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1 ケトン体って、何? 2012年5月
こんにちは。

糖質制限食とは切っても切れない関係のある「ケトン体」についておさらいしてみましょう。

そもそもケトン体とは、一般社会ではほとんど耳慣れない言葉です。

そして医学界においては、ほとんどの医師が「ケトン体は人体において悪者である」という大きな誤解・先入観を持っています。

「ケトン体は、本当はとってもいい奴で超優れもの」なのですが、これでは浮かばれませんね。

ケトンとは、ケトン基をもつ化合物のこといいます。

さて、医学・生化学の世界において、β-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの3者を、ケトン体として総称してきました。

このうちβ-ヒドロキシ酪酸はケトン基がないので、化学構造上は実はケトンではないのですが、ケトンであるアセト酢酸に可逆的に変換されるので、過去習慣的にケトン体の範疇に含まれて扱われてきました。

そして、人体で日常的にエネルギー源として利用されている主たるものは、ケトン体のうちβ-ヒドロキシ酪酸なのです。

アセトンはエネルギー源として利用されません。

血液検査で、ケトン体分画として検査機関に依頼すると<β-ヒドロキシ酪酸濃度+アセト酢酸濃度=総ケトン体濃度>として、データがかえってきます。

糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。

つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。

糖質摂取後3~4時間までは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖ですが、糖質摂取後4時間くらい経過すると、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。

従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。

このことを多くの医師・栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。(-_-;)

続く。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
改善?
私は境界型の者です
半年前はお米を100gでも食べると食後尿糖が出てしまう状態だったので、スーパー糖質制限食を始めました。
3ヵ月くらい続け、先日の健康診断でHbA1cが4.7と良好?な数字となっていました。
ただ、炭水化物を取ってないせいか結構痩せてきてしまったので、お米を少し食べてみようと思い、レストランへ行ったのですが
予想以上のお米が出てきて、200g以上を食べてしまいました。
ですが、2時間後の尿糖を検査してみたら糖反応がありませんでした。
これ以降、ご飯を食べても糖が反応する事も全くありませんでした。

糖質制限をする事で血糖値の上昇が抑えられる様になるという事はあるのでしょうか?

また、このままお米を食べ続けてもいいのでしょうか?(お米は十三穀米など)
2012/05/06(Sun) 09:20 | URL | そっと | 【編集
Re: 糖質制限と湿疹
糖質制限 さん。

断食疹ともいえる湿疹と思います。
断食中に湿疹が出ることがあるのです。

糖質制限さんの場合も、急激なカロリー制限のために湿疹が出た可能性があります。
1000キロカロリは少なすぎます。

立ちくらみも低エネルギー過ぎるためと思います。
糖質制限ですので、脂質・タンパク質はしっかり摂取してください。
男性ですので身長や運動量にもよりますが、1600~2000㌔カロリ/日は摂るのが普通です。
糖質も20gくらいまでOKと思います。
2012/05/06(Sun) 10:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 初めてコメントさせていただきます。
あすか さん。

人類70億の食料確保のためには、穀物も必要と考えています。

そのため私は、テーラーメードの食事療法を提案しています。
既に糖尿病になった人は糖質制限食、
若い人や糖尿病ではない人は、運動量に応じて、未精製穀物を適量という
食い分け論です。
2012/05/06(Sun) 10:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
yuka さん。

1回に1kgは、普通に考えて多いと思います。

糖質制限食では、脂質・タンパク質は充分量摂取してOKですが、
女性でしたら、徐々にゆっくりと
1600~1800/日くらいを目指しては如何でしょう。
2012/05/06(Sun) 10:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
ニシ さん。

糖質制限食でも直線的に体重が減り続けることはありません。

階段状に減少して、踊り場のような時期もありますので。
2012/05/06(Sun) 10:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 改善?
そっと さん。

糖質制限食で、膵臓のβ細胞が休養できて、回復し、
耐糖能が改善したのだと思います。

ただ、以前と同じような量の糖質を摂取する生活が続けば、またしばらくして
β細胞が疲弊してくれば耐糖能が再悪化の可能性があります。

緩やかな糖質制限食で折り合いを付けては如何でしょう。
2012/05/06(Sun) 11:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
ご回答ありがとうございます。
早速のご回答ありがとうございます。皮膚科では明確な回答がもらえず不安でしたが、これで安心しました。しかしながら、睡眠にも支障がある位のカユミがあるのですが、その場合なにか薬を処方してもらった方が良いのでしょうか?何度も質問して申し訳ありませんがご回答いただけると助かります。よろしくお願い致します。
2012/05/06(Sun) 11:08 | URL | 糖質制限 | 【編集
Re: ご回答ありがとうございます。
糖質制限 さん。

しばらく落ち着くまで痒み止め内服は構わないと思います。
2012/05/06(Sun) 12:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
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