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1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い、インスリン産生は続く
こんにちは。

2012年2月、糖尿病ネットワークに以下の記事が掲載されました。

『1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い 発症後もインスリン産生は数十年間続く』


☆☆☆
【糖尿病ネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2012/02/016936.php

1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い
発症後もインスリン産生は数十年間続く

2012年02月

1型糖尿病発症後もインスリン産生が数十年間続く可能性が、米マサチューセッツ総合病院(MGH、ボストン)の研究者らによる新しい研究で示された。同疾患発症後の治療可能な期間は、これまで考えられていたよりも長いことを示すエビデンス(科学的証拠)が増えつつあるが、今回の知見もそれに加わるものだという。

研究を主導したMHG免疫生物学研究所所長のDenise Faustman氏は、「従来、進行した1型糖尿病患者ではβ(ベータ)細胞の機能は完全に停止していると考えられていた。しかし、今回の研究データおよび他のデータから、膵臓は1型糖尿病発症後も数十年間、同レベルで機能しつづけていることが示された」と述べている。

β細胞は膵臓でインスリンを産生・貯蔵する細胞である。今回、1型糖尿病患者182人の血液試料を調べたところ、Cペプチド(インスリンの血中濃度のマーカーとなる蛋白 [たんぱく])の産生が糖尿病発症後数十年間続き、血糖値に反応し続けていることがわかった。1型糖尿病患者ではCペプチド値が低いが、これまで考えられていたように突然減少するのではなく、徐々に減少し、1型糖尿病に31~40年罹患している患者でも、10%はいまだCペプチドの産生があり、β細胞機能が維持されているという。この知見から、低Cペプチドレベル、すなわち進行した1型糖尿病患者でも、β細胞機能の保存あるいは促進するような治療のベネフィット(便益)があることが示されると、研究者らは指摘している。この知見は、医学誌「Diabetes Care」(糖尿病ケア)」3月号で報告された。

Faustman氏は「この結果は、1型糖尿病の治療的介入に長期的な展望を開くものである。われわれが行ったフェーズ1試験で、BCG(カルメット-ゲラン桿菌)接種を受けた患者で、一時的なインスリン産生の回復がみられることの説明にもなる」と述べている。

●原文 http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661846
[2012年2月21日/HealthDayNews] Copyright© 2011 HealthDay. All rights reserved.】


高雄病院でも、1型糖尿人は、過去30人以上、診てきました。

ほとんどの方は、入院して糖質制限食による治療を体験されました。

一日蓄尿して尿中Cペプチド(*)を測定したり、早朝空腹時の血中Cペプチドを測定すると、測定できないレベル(インスリン産生ゼロ)の人もおられましたが、多くの場合、正常レベルよりは低値ですが測定可能でした。


高雄病院の基準値
一日尿中Cペプチド基準値: 29.2~167(μg/day)
空腹時血中Cペプチド:1~3ng/mL


医学誌「Diabetes Care」(糖尿病ケア)」3月号の今回の論文、1型糖尿人でも、長期にわたりインスリン分泌能を保つ場合があることを示唆しています。

このように、1型でも内因性インスリン分泌能が残っている場合、それを維持するには何が一番大切なのでしょう。

私は、高血糖がβ細胞を傷害する最も大きな要因と考えており、この点では日本糖尿病学会と一致しています。

即ち、高血糖そのものが、β細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を生じる最大のリスクと考えられます。

アポトーシスが生じれば、β細胞は死滅してどんどん数が少なくなり、遂には消失してインスリン分泌能力がゼロになります。これは1型だけでなく2型でも同様です。

1型においても、スーパー糖質制限食なら、カロリー制限食に比して超速効型インスリンの量は1/3以下になります。持続型インスリンの量は、不変~1/2になります。

カロリー制限食を実践しながらインスリン注射をすれば「低血糖と高血糖の繰り返し:血糖値の乱高下」を生じますので、β細胞のアポトーシスを防ぐことは困難です。

糖質制限食を実践してのインスリン注射なら「血糖値の乱高下」は生じず、血糖日内変動幅も少なくなり、β細胞のアポトーシスを防いでくれる可能性があります。

さらに糖質を摂取して、頻回に追加分泌インスリンを出すこと自体が、やはり膵臓のβ細胞への負担となると私は考えています。

糖質制限食なら、農耕以前の人類と同様に、追加分泌インスリンは、せいぜい2~3倍しかでませんので、β細胞が疲弊することがありません。

結論です。

『糖質制限食なら食後高血糖がないのでβ細胞のアポトーシスが生じない。糖質制限食なら追加分泌インスリンはごく少量ですむのでβ細胞は疲弊しない。』


江部康二


(*)Cペプチド

 
インスリンが合成される前段階の物質(プロインスリン)が分解されるとCペプチドとインスリンが形成されます。これらのプロセスは膵臓のβ細胞内で行われます。

Cペプチドはインスリンと同じ割合で血液中に分泌され、ほぼ分解されないまま血液中を循環し、尿中に排出されます。従って、血中や尿中のCペプチドを測定すると、インスリンが膵臓からどのくらい分泌されているのかが判ります。

インスリン分泌能は、通常は血中インスリンを測定して判断します。しかし、インスリン注射をしている人は、自分の膵臓から出ているインスリンと、外部からのインスリン注射を合計したデータがでるので、インスリン分泌能の正確な測定ができません。

この点Cペプチドは膵臓から分泌されているインスリンだけを測定することができますので、内因性インスリン分泌能の正確な測定が可能であり、インスリン注射をしている糖尿人において1型でも2型でも、有用な検査です。



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
薬は必要ですか?
こんにちは

毎日、先生のページを拝読しております。又、嬉しいかな「糖質オフでやせるレシピ」の本も参考に、楽しい食事をしております。
さて、糖質制限食を始めて3が月です。
糖尿病になり 10年!!  まじめ?に病院に通いお薬も飲んでも改善されず・・・
でも 先生のブログに巡り合い!! 出会えました。  先日の検査にてドクターも 凄い!!と喜んで下さったのですが、 薬が効いたのかな?と。2か月前に 炭水化物の制限をしてみますと伝えてから 先日受診して私は 糖質制限の素晴らしさを確信しました。
H23.12月  A1c 7.8
 24. 2月      7.2
     3月     6.5
薬は グリメピリド1mg朝夜1錠・エクア50mg朝夜1錠。  先日は 改善したのでグリメピリドを朝食前を1錠とエクア50mgに減らして頂きました。
お聞きしたいのですが、未だ6.5のA1cだと 薬はもうしばらくは飲むべきでしょうか?  糖質制限食は何も苦にはならず、これからも安心して楽しく続けられます。身長150 体重48 コレステロール195・中性脂肪141・HDL69・LDL99。
お忙しい所 すみませんが よろしくご回答下さいませ。

    
2012/03/25(Sun) 14:14 | URL | 園田 貞子 | 【編集
Re: 薬は必要ですか?
園田 貞子 さん。

拙著のご購入ありがとうございます。
HbA1cの改善も良かったです。
グリメピリドが、2錠/日→1錠/日に減って良かったです。

今後も主治医と相談されながら、HbA1cのデータをみて
グリメピリド(1mg)1錠→グリメピリド(0.5mg)1錠→なし

でエクア単独を目指してください。
さらに改善すれば、糖質制限食のみで薬なしも夢ではありませんよ。

2012/03/25(Sun) 18:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
1.5型糖尿病の診断、治療法
オーストラリアに在住の者です。4ヶ月前に糖尿病と診断され、薬に頼るのがいやで知人が出版した糖質制限食をやっているうちに先生のブログに出会いました。日本食で何を食べて良いのかがわかり、日本でも同じ方法で治療されてる先生がいてとても心強いです。帰国したら本を何冊か購入します!こちらでもまだマイナーな方法です。
プチ糖質制限食を実地してから3ヶ月でA1cが6.6から5.8に変わり、体重も6キロ減り現在154cm49.5キロです。ただ、44歳で肥満型でなく母が糖尿病なのでLADAの検査をしましたがそうではなくMODYか2型かもしれないと言われました。田舎に住んでいるのでここのお医者さんでは判断できないと言われています。少し都会のEndocrinologistはDiamicronでなくDiabexを薦めており糖質制限食を理解しているのか不明です。コレストロールが6から6.8に上ったのでCRESTORを飲みなさいと言われ服用しています。
今後糖尿病が進行し、薬に頼らないといけなくなったときのためにも詳しい検査をしてMODYかどうか確かめたほうが良いでしょうか。MODYだった場合、糖質制限食を続けていいのか、又、日本に帰国する際、親戚宅を転々とするので食事の制限が難しい為、一時的に薬を飲もうと思っていますが、どちらの薬が良いでしょうか。お忙しいとは思いますが、南半球にも先生のファンがおりますのでどうぞよろしくお願いいたします。必要であれば、今までの血液検査の結果を送ります。
2012/03/25(Sun) 20:32 | URL | 豪子 | 【編集
頑張ります!!
お忙しい中、有難うございました。
これからも皆様のご質問や先生のアドバイスやご助言を参考にしながら、糖質制限食に励んでいきます!!  益々のご活躍をお祈り致します。
2012/03/25(Sun) 20:51 | URL | 園田 貞子 | 【編集
質問があります!
はじめまして
いつも先生のページを参考にさせていただいています。

2ヶ月前・・・糖尿と診断はされたわけではないもの、食後3時間の血糖が220もあり脂肪肝の疑いもあるとのことでした。1ヵ月後に再検査という状況で節制を心に深く誓いダイエットを開始しました。(当時身長174センチの98キロ)
低インシュリンダイエットを始めてしばらくして、先生のページを拝見し、糖質制限食を開始したしだいであります。
1ヵ月後の再検査では肝数値に多少の異状が見られたものの空腹時血糖98、HbA1cが5.6
大事をとって再々検査(更に1ヵ月後)をして空腹時92、HbA1cは5.3という数値に
肝数値はまったく問題ない数値に
2ヶ月たった今体重は86キロまで減少しました。

遺伝的体質や自分の体格、体重を省みて糖尿とは切っても切れない仲なのだと思います。
これからも糖質制限食をしていこうと思うわけですが、何点か疑問があり、質問させていただこうと思いメールしたしだいであります。

質問1
以前から食事前に酢を飲むということを実験的に繰り返しており、酢を飲んで食事をすれば食後2時間くらいの睡魔が来ないという経験があるのですが、
酢を飲む=血糖が上がらない(あがりにくい)=酢を飲んで食事をすれば多少の糖質食はOKなのか?

質問2
上記の状態でも結局身体に吸収される糖質量は変わらないわけなのですが、血糖値が上がりにくい状態で糖質はどのように身体に吸収されるのでしょうか?吸収されずに排出されるのでしょうか?

質問3
糖尿病と診断されたことがないので血液の糖負荷テストを受けたことがないのですが、これからのことを考えて受けておいたほうがいいのでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、質問に答えていただければ幸いです。
長々と自分語り失礼しました。

2012/03/25(Sun) 22:28 | URL | 京都在住A | 【編集
HbA1c改善
江部先生はじめまして。G.kenです。およそ9年前に2型糖尿病と定期健診で判断がくだされ、
カロリー制限と運動療法で治療に専念してましたが、血糖値が不安定でHbA1cも6.1から下がらず
悩んでいましたが、なんと5.6にまでになりました。
2011.8月から糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食を参考に7ヶ月間実践してこれほどの成果です。先生のおかげでここまでよくなりました。
ありがとうございます。
 先日3.24(土)に高雄病院へ行き診察をしていただいて出た結果です。先生に前もって連絡しようとおもったのですが、迷惑がかかると思い断念しました。ここに詳細をのせたいとおもいます。
身長 163cm
体重 59kg
CK  208
血糖 131 (空腹時)
HbA1c 5.6
総コレステロール 242
中性脂肪 42
HDL-C 88
LDL-C 146
Seg 66.5
昨晩に定量ちょっとオーバーの飲酒、朝目覚め時、こむら返りを体験し、煮干、干し海老、魚の
スープを飲み、ストレッチもして万全をきして予防したところ何もおこりませんでしたが、これでよろしいんでしょうか。
上記に掲載した数値の結果で疑わしい病気がありましたら教えて頂きたいですが、お忙しい中だとおもいますが、宜しくお願いいたします。
 小栗先生、坂井管理栄養士先生、受付の方々
には本当に感謝しております。
 長くなって申し訳ありません。
2012/03/26(Mon) 11:03 | URL | G.ken | 【編集
Re: 1.5型糖尿病の診断、治療法
豪子 さん。

LADA (Latent Autoimmune Diabetes in Adults、成人潜在性自己免疫糖尿病)は、
slowly progressive type 1 diabetes (緩除進行型1型糖尿病)、type 1.5 diabetesとも呼ばれています。

若年発症成人型糖尿病(英:Maturity Onset Diabetes of Young, MODY)
は遺伝性疾患で常染色体優性遺伝だそうです。→日本人ではまれと思います。

44才で肥満のない2型糖尿病は、日本人では普通です。
豪子さんも普通に2型糖尿病の可能性が高いです。

Diabexはメトホルミンで、欧米では糖尿病の第一選択の薬です。
スーパー糖質制限食なら糖尿病が進行することもありません。
薬もなしでOKと思います。
主食(糖質)を食べざるを得ないときだけ飲む薬は、αGI剤が速効型インスリン分泌促進剤です。
2012/03/26(Mon) 15:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: HbA1c改善
G.ken さん。

「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
のご購入、ありがとうございます。

コントロール良好となって良かったですね。
他のデータも問題ないと思います。


こむら返りには「煮干、干し海老」などでカルシウム補給が良かったのだと思います。
2012/03/26(Mon) 17:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: こんな記事をみつけました
しゅん さん。

ありがとうございます。

2012年03月18日 (日)のブログ記事
「白米を多く食べると糖尿病のリスクが高まる」
で取り上げました。
2012/03/26(Mon) 17:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 失礼しました
しゅん さん。

御母上、今の治療でよろしいのではと思います。
実践されるとしたら、ゆるゆるの糖質制限食で折り合いつけるのも選択肢の一つですね。
2012/03/27(Tue) 09:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 代わってあげたい
ばぁ~ば さん。

1型糖尿病の子供さんの、患者会があると思います。

小児1型糖尿病においては、日本でも糖質管理食がかなりの病院で取り入れられています。
糖質制限食は、困難でも、糖質管理食なら導入しやすいと思います。

糖質管理食で、インスリンの量と摂取糖質量のマッチングが良くなれば、血糖コントロールが良好となります。
是非主治医とご相談ください。
2012/05/06(Sun) 10:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
C-ペプチドを測定しました
江部先生、ご無沙汰しております。福岡の1型糖尿人・木村です。

先日、IDDM発症10年にして初めてC-ペプチドを測定しました。結果は0.55ng/mlと僅かですがインスリン自己分泌が残存していることが確認できました。

10年前、突然の発症から入院~そして退院直後に江部先生の著書に出会い、以来糖質制限と「少量で小まめなインスリン注射」で血糖値コントロールしております。時に羽目を外しそうになることもありますが、この結果で本当に糖質制限ダイエットを続けて良かった、さらに頑張って続けようとの思いを新たにしました。

同時に検査したHbA1cも4.9%と、新基準移行後初めての4%台を達成。昨年から新しく主治医になっていただいた福岡糖質制限クリニックの堺先生のご指導を受けながら、これからもしっかりコントロールして行きたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
2016/03/01(Tue) 12:53 | URL | IDDMランナー | 【編集
Re: C-ペプチドを測定しました
IDDMランナー さん

お久しぶりです。
C-ペプチド:0.55ng/mlと出ていますね。
京都微生物研究所の基準値は、1.5~3.5ng/ml
検査機関により基準値が1.2~2.0ng/ml、のこともあります。
ともあれ、低めですが10年経過して、内因性インスリンが残っているのは大変良いことです。

HbA1cも4.9%とは、素晴らしいです。
1型の場合は、グリコアルブミンも同時に算定できるので、両方調べましょう。
HbA1cがあまりにも良いので、低血糖の有無だけ、しっかりチェックしましょう。

堺先生は、2/28(日)の医療従事者向けセミナーに参加されましたので、たくさんお話することができ
とても有意義でした。
2016/03/01(Tue) 13:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
グリコアルブミンも
江部先生、早速のご返信有難うございます。
ご報告し忘れておりましたが、今回グリコアルブミンも同時に測定し12.8と低めでした。やはり糖質制限のお陰で食後高血糖を回避できているようです。
後はご指摘のように低血糖に注意が必要かと思いますが、これも糖質制限の賜物でインスリン使用量が少ないので、重大な低血糖になったことはほとんどありません。(過去、ひどい低血糖になった時は大抵、高炭水化物食を摂った時の大量のインスリン注射が原因でした)
これからも1型糖尿病患者のモデルになれるよう努力して参ります。
2016/03/06(Sun) 11:29 | URL | IDDMランナー | 【編集
Re: グリコアルブミンも
IDDMランナー さん

食後高血糖もないし
低血糖なければ、とても優秀なコントロールですね。

HbA1cとGAが両方とも良好なので安心です。
2016/03/06(Sun) 18:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
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