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タンパク質の消化・吸収・代謝、そして血糖との関わりは? 
こんにちは。

「タンパク質を摂取しても、直接血糖に変わらない」というのが、現在のADA(米国糖尿病学会)の見解であり、高雄病院の臨床経験においても確かめられています。

そのことを生理学的事実を基に、以下確認していきましょう。

食物中のタンパク質は、消化管でアミノ酸に分解され吸収されます。

アミノ酸は、吸収されて門脈から肝臓に到り、アミノ酸プールに入ります。

生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています

食事由来のアミノ酸は、肝臓から肝静脈を経て大静脈に入り、心臓を経て各組織へ送られます。

各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質がアミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。

筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。

『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。

体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。

再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。

組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。

代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。

生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』

上記は医学映像教育センター のサイト
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html

から引用させてもらいました。謝謝。

このように、タンパク質を食べて消化・吸収・代謝されていく過程を整理整頓してみると、「摂取したタンパク質が直接血糖に変わる」ようなことは理論的にもあり得ませんね。

食事で摂取したタンパク質は、アミノ酸に分解されて体内に吸収され、とりあえずアミノ酸プールに入るということです。

一旦、アミノ酸プールに入ったあと、肝臓で糖新生によりブドウ糖に変わることはあります。

何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。



江部康二



*参考と引用

キーワードでわかる臨床栄養
http://www.nutri.co.jp/dic/ch3-3/  

『体重70kgの男性では、10~11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250~300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。
 
その内、外因性(食事性)タンパクは100gとされ、腸管内の消化液、剥離脱落した腸細胞、漏出した血漿タンパクなどの内因性タンパクの吸収と合わせ160gが消化管から吸収されます。
 
アミノ酸は門脈を通って肝臓に入り、必要量の血清タンパクなどの合成に使われ、ほかはアミノ酸プールに入ります。
 
アミノ酸プールも一定量を越えると過剰分は分解されエネルギーとして使われたり、肝臓で脂質やグリコーゲンとして貯蔵されます。
 
遊離アミノ酸は、新しいタンパク質の合成(70~80%)やエネルギー基質として用いられ(20~30%)ます。

また、尿素・アンモニア・ケトン体・グルコース・二酸化炭素に代謝されます。
 肝臓では、アルブミン、フィブリノーゲン、ガンマグロブリンのような主要血漿タンパク質20gを合成します。
 
白血球代謝に20g、ヘモグロビンに8gを合成します。
 
また、非タンパク質性誘導体として、ポルフィリン、プリン、ピリミジン、神経伝達物質、ホルモン、複合脂質、アミノ糖の合成にも使用されます。』
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
月検診のご報告!順調です。
2010.8    兄が糖尿病性の壊死で、足を切るの切らないの。
2010.9.27 糖尿病専門医にかかる。(2カ月待ち)
2011.5.26 HbA1cの値が横ばい。ネット検索で江部先生のブログに。
          先生の全著書を読破、スーパーを実施。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2012.2.27 月検診データ(9か月経過時点)

[医師のコメント]
(参ったという感じの苦笑いで、)
「順調です。この調子で頑張りましょう。」
「アルブミンも消えましたネ。」
1kg増えたことに関して、
(私)「『妻が、太りたい』と言うので、メニューを変えてみました。
毎朝体重計に乗っているので、また、調整します。」
それで、カロリー、炭水化物、タンパク質の話をして、
血圧を測って、この間、5分程度?
医師「みんなが、あなたのようであれば…。(メニューの成分分析、血糖値測定、記録を指す。)」

小学生に、「先生、ボクが大学受験まで元気で頑張ってね。」
なんて言われると、も~、やるっきゃない。(笑)


身長164.5cm、
体重59.6kg      <2010.11/64.8kg>
体脂肪(23.5⇒)23.0    <2011.3/28.1>
血圧(130/80⇒)130/90  <130・120~90・80の間で推移>
空腹時血糖値(117⇒)105  <2011.2/178>
HbA1c(5.1⇒)5.1     <2010.9/7.5>
ケトン(  ⇒)+     <2011.6、7/(2+)>
アルブミン(  ⇒)    <2011.2、7、10/+>
*(2012.1⇒)今回、< >内は、この間の最大値

PS 妻と二男、いきつけの床屋さん、生徒Aとその家族(薬剤師)、生徒のお父さん(公務員)…
と、増殖中…(笑)。
2012/02/28(Tue) 17:37 | URL | 北九州 三島 | 【編集
松田 虔様より紹介していただきました。
こんばんは。私は次男が低血糖症になり栄養療法をしています。
そこで糖質制限食を知り、江部先生のブログでいつも勉強させてもらっております。

今回は、父の糖尿病のことで フェイスブックでお世話になっている松田 虔様より江部先生に相談するようにと、アドバイスをいただき、ずうずうしくも相談のメールをさせてもらっています。

私の父は、現在72歳で2型糖尿病です。
以前に 指導入院をしたことはありますが、入院中もその後も、血糖値はほとんどさがらなかったようです。

1年前に 呼吸が苦しくなり、心臓にステントをいれる手術をしました。
それ以来、疲れたり 仕事がいそがしかったりすると 呼吸がくるしくなり、肺に水がたまったりします。
血糖値も薬をのんでも相変わらず高いということで、インシュリン注射をうちはじめました。

今回、主治医の先生が転勤ということで、心臓では有名な『小倉記念病院』の先生を紹介していただくことになり、心臓の外膜?が固いので呼吸がくるしいので、手術をするか相談することになりました。
また、最近の血液検査ではr-GTPが246、ALPが771と高くなっています。
いろいろな臓器に負担がかかっているようです。

この心臓もたぶん糖尿が原因ですよね、、
私は、先生の本をわたして糖質制限をするように 勧めているのですが、インシュリンをうっているので
ご飯を食べなかったら 低血糖になってしまうと言います。
一緒に住んでいないので 管理してあげることができないので・・
なかなか糖質制限食を実行させることができません。
私自身は次男にスーパー糖質制限食を(現在4カ月)実行して、内臓の数値もよくなり精神的にも落ち着きはじめているので、父にも試してもらいたいのです。いまのところ、主治医のいうことと違うので父自身は半信半疑のようです。

北九州の門司に住んでいるのですが。。。近くに糖質制限をしながら薬(インシュリン)の調整を診てくださる
ような病院はないでしょうか・・??

もしなければ、このような状態でも高尾病院で指導していただければ、少しは心臓の負担も減るのでしょうか?

支離滅裂な相談で申し訳ありません。 
手元に血液検査の結果と処方賎がありますが、何を記載すればいいのかよくわかりません。
私も糖尿病については不勉強でしたので・・すみません。

インシュリンうを打ちながらの糖質制限、心臓の合併症がある場合 についてアドバイスをいただければ、うれしいです。



2012/02/28(Tue) 21:01 | URL | 田村 由紀子 | 【編集
Re: 月検診のご報告!順調です。
北九州 三島 さん。

糖尿病腎症が発症すれば、通常はそのまま一方通行でじり貧ですから、
尿中微量アルブミンが消えたのは、最高に素晴らしいです。

主治医も、糖質制限食積極的肯定派に、なってくれそうですか?

2012/02/29(Wed) 08:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 松田 虔様より紹介していただきました。
田村 由紀子 さん。

「1年前に 呼吸が苦しくなり、心臓にステントをいれる手術をしました。
それ以来、疲れたり 仕事がいそがしかったりすると 呼吸がくるしくなり、肺に水がたまったりします。」

糖尿病のため、すでに動脈硬化がかなり進行しています。
この進行した動脈硬化は、血糖コントロールが改善しても、消えない借金としてずっと残り続けます。
従いまして、ここまで進行した動脈硬化に関しては、糖質制限食でももう多くは期待できません。

次男さんの場合はしっかり間に合ったと思います。
2012/02/29(Wed) 08:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
嘔吐下痢症
江部先生、こんにちは。
質問があります。
子供の嘔吐下痢症がうつってしまい、今、何も食べれません。水分と糖分をとると良いと小児科で言われましたが私は糖尿人なので、りんごのすりおろしとかポカリを薄めたものを飲むのはやはり危険でしょうか?何かお勧めがあれば教えてください。
豆腐や野菜スープもまだ無理そうです。
お返事お待ちしています。
2012/02/29(Wed) 09:22 | URL | まゆりん | 【編集
Re: 嘔吐下痢症
まゆりん さん。

リンゴのすりおろしやポカリの3倍うすめで、1~2日しのいで
水分補給で脱水を防ぎます。

その後豆腐や野菜スープに移行すればいいと思います。
2012/02/29(Wed) 13:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
お返事ありがとうございました。
果物とポカリ3倍うすめで回復まで
なんとか乗り切りたいと思います。
江部先生も風邪にはお気をつけください。
2012/02/29(Wed) 15:24 | URL | まゆりん | 【編集
ありがとうございました。
お忙しい中、お返事いただきありがとうございます。なってしまった動脈硬化はもう仕方ないですね。。。もっと早くに糖質制限という方法をしっていれば・・と思います。次男もいろいろな検査では、どこも悪いところはないといわれ、診療内科で一年 薬物療法の末・・これでは良くならないと、調べて たどり着いたのがオーソモレキュラー(分子整合栄養医学)でした。そこで糖質制限と血糖値のコントロールについて教えていただいて、江部先生の本などで勉強しました。次男は中学3年ですが、今知ることができてよかったと心からおもっています。

父については、今の段階で、出来ることは何でしょうか・・・糖質制限でせめてこれ以上、動脈硬化がすすまないようにはできませんか?
2012/02/29(Wed) 17:43 | URL | 田村 由紀子 | 【編集
蛋白と糖
>何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。

…答えはこの文献にあります
プラクティス 28(5)493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
(P498)
蛋白質はそのエネルギーの60%が糖質に変換されて食後2~4時間ほどで血糖値を上昇させ、脂質は同様に約10%が変換されて食後4時間以上かけて血糖値を上昇させる(図1)[12]

12) Woodyatt, R. T. : Obiects and method of diet adiustmentin diabetes. Arch Intern Med, 28: 125~141, 1921

  □
 次の論文が「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」ことを完全に否定しています。その後のADAの文献に何度も引用されています。
http://jcem.endojournals.org/content/86/3/1040.full
2012/03/02(Fri) 21:42 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 蛋白と糖
精神科医師A さん。

情報をありがとうございます。

『糖尿病食事療法
-個別化・多様化するニーズへの対応-
28巻5号 2011年9月15日 p.493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター 』

2011年の黒田先生の日本の論文でも、
『12) Woodyatt, R. T. : Obiects and method of diet adiustmentin diabetes. Arch Intern Med, 28: 125~141, 1921 』
1921年の文献を引用して、タンパク質が60%血糖に変わるとされているのですね。

これに対して、2001年のGannonらの論文で「タンパク質は血糖値に変わらない」と
臨床試験データを基に報告されて以後、他の論文も考慮して、
米国糖尿病学会(ADA)では、「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という見解になったのでしょう。

黒田先生は、ADAの見解の変化をご存じないのでしょうかね?

2012/03/04(Sun) 21:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
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