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evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
こんにちは。

evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM

EBMが現在、医学界を席巻しています。

EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。

一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。

ともあれ今回の記事は、EBMについて考察してみます。

医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。

ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。

その論文も

①無作為割り付け臨床試験
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤症例対照研究
⑥地域相関研究
⑦時系列研究
⑧症例報告
⑨実証的研究に基づかない権威者の意見

といった順番で、信頼度に差をつけられています。

これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。

ごちゃごちゃ並んでいて、研究の名称も難しいし、何やようわからんし、勘弁してくれと思っているそこの貴方 (∵)?

そう、私も似たようなもんなので安心してください。

心配要りません。シンプルにいきましょう。

一般にエビデンスレベルが高い研究論文と言うときは、

①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究

に基づく論文のことをさします。

もう、はっきり言ってこれだけ覚えておけばいいです。

勿論、症例報告も大切な医学研究の一つなのですが、ことEBMというときは、超割り切って、「無作為割り付け臨床試験(RCT)」と「前向きコホート研究」だけ考慮すればいいということです。

かつて、医学界では

<⑨実証的研究に基づかない権威者の意見>

が幅を利かしていて、学会発表などでも、有名大教授で権威者のA氏が質問にたって「私はこう思う」といったら、水戸黄門の印籠みたいなもので「ヘヘー、恐れ入りました。」という事で一件落着という世界だったのです。( ̄_ ̄|||)

<⑨実証的研究に基づかない権威者の意見>

権威者が、何人か寄り集まって、ガイドラインの内容を決めると、コンセンサスによる決定となります。

これは、上述のヒエラルキーからみると、エビデンスレベルは最低というか、はっきりいってエビデンスはないということです。

権威者の意見とか、コンセンサスに基づく見解とかに頼っているのは非科学的であるという批判が、世界中の医学界で続出して、それではいかんということで、evidence based medhicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
が登場したわけです。


さて、前振りが長かったですが、「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」2010の食事療法の部分、 31ページに

「摂取エネルギー量の決定」
「摂取成分量」

の項目で、摂取エネルギー量算定の目安や炭水化物は指示エネルギー量の50~60%など、グレードAで推奨してあります。

摂取エネルギー量の目安に従えば、かなりのカロリー制限食(低カロリー食)となります。

まあ、結局、従来の糖尿病食である、「カロリー制限・高糖質食」を、相変わらずグレードAで推奨しているわけです。

そして、以前にもブログ記事にしましたが驚くべき事に、

「摂取エネルギー量の決定」
「摂取成分量」

の項目は、グレードAの推奨なのに、根拠はともにコンセンサスなのです。

つまり、科学的根拠に基づいていないことが、明示されているのです。

何をかいわんや・・・ですね。

つまり、糖尿病の食事療法に関しては、現在エビデンスはないのです。

これは、糖質制限食においても同様です。

「カロリー制限・高糖質食」にも「糖質制限食」にも、ともにエビデンス(無作為割り付け臨床試験(RCT)、前向きコホート研究)は無いのです。

一方、生理学的事実として、糖質制限食なら、食後高血糖は生じず、カロリー制限・高糖質食なら、食後高血糖が必ず生じるということが明白です。

そして、<食後高血糖ガイドライン2007国際糖尿病連合>によれば、食後高血糖は、大血管合併症の独立した危険因子であり、癌発症リスク上昇と関連するとのことです。

糖質制限食により、食後高血糖を防ぐことの意味は、大変大きいと思います。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ヤフーのヘルスケアで
コバタケです。11日に初コメントして当日早速ご回答をいただき感激しております。さて糖尿病をネット検索したところ、ヤフーのヘルスケアで驚くべき説明文を発見しました。血糖値の上昇は糖質摂取によって起こるというものです。引用します。「糖尿病は一言でいうと、血液の中に含まれる糖の濃度が高い状態が長く続く病気です。血中の糖の濃度がある程度高くなると、尿の中にブドウ糖が漏れてくることがあるため、『糖尿病』と名づけられました。ではどうして糖の濃度は高くなるのでしょうか?私たちが毎日の食事で摂取する糖質(ごはん、パン、お菓子、果物など)は唾液や膵液、腸液に含まれる消化酵素によって、そのほとんどがブドウ糖となります。このブドウ糖は腸から吸収されて血液中に入ります。また肝臓からは蓄えられているエネルギー源の一部がブドウ糖として血液の中に放出されます。これらを合わせて「血糖(けっとう)」といいます。血糖は体のいろいろな細胞(脳、筋肉、肝臓など)に取り込まれて、エネルギー源として役に立ちます。通常では、血糖の値(血糖値)は非常に狭い範囲に調節されています。その調節は胃の後ろに位置し、膵(すい)臓のランゲルハンス島の中にあるβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用によって行われています。このインスリンの分泌が低下したり、その働きが十分でないと血糖がスムーズに細胞内に入っていけなくなったり、肝臓から過剰なブドウ糖が放出されたりして、その結果血糖値は高くなります。」(引用以上)すなわち血糖値の上昇は糖質摂取で起きる(裏返せば、脂質、たんぱく質では起こらない)と正しいことが書かれてあります。言わずもがな、糖質制限理論の要の部分です。執筆者は門脇孝先生ら東大医学部附属病院糖尿病専門の3先生となっています。専門医の先生方も糖尿病を正しく理解されていることを知って大変嬉しくなりました。
2012/02/13(Mon) 18:28 | URL | コバタケ | 【編集
糖尿病学会専門医も「糖質制限食」推進派に変身!
江部先生

こんばんわ。糖質制限食もエビデンスはないことはわかりました。

今日、2か月毎の定期検査、診察で当方の主治医(日本糖尿病学会専門医)も糖質制限食メリットを認め、糖質制限食を肯定、積極的に勧めてくれたことに、驚くとともに大変うれしく思いました。

昨年4月からス-パ-糖質制限食を開始し、HA1cは7.3から、3か月で5.1に低下しその後も正常値を維持していました。これまで主治医は正常値を維持しているので、糖質制限食を中止せよとは言えないが、主食も取るようにと従来のカロリ-制限を勧めてその考えを変えませんでした。

今日の測定値、HA1c、5.3、血糖値(食後2時間)、110でした。
今日の主治医の意見は、正常値で問題はなく、脂肪、タンパク質で十分カロリ-を取り(当方はやせ気味で身長172cm、体重52kg)野菜も十分取って、今の食事を継続しなさい、に大変換したのです。

もちろんその理由は聞きませんでしたが、江部先生の幅広い活動の結果が、わが主治医にも影響を与えていることは間違いないと思います。また、ヒエラルキ-8位としても、自分の患者の症例も否定できない事実です。

糖質制限食が広く認知され全国の多くの病院で実施される日も近いと感じます。

名古屋・h
2012/02/13(Mon) 22:30 | URL | 名古屋・hさん | 【編集
糖質制限と女性ホルモンの関係
江部先生こんばんは。毎日ブログを拝見し、勉強させていただいています。
今日は、糖質制限と女性ホルモンの関係で質問させていただきたいのです。

私は、昨年5月からスタンダード糖質制限(昼食のみ炭水化物を少量とる)を行い、12月2日の人間ドックでは晴れて17キロの減量に成功しました。もちろん、血液検査の結果もバッチリです。このことは以前コメントさせていただき、先生からも返事をくださいました。ありがとうございました。

しかし、困ったことに、12月2日が予定日だった生理が全然来なくて、今日まで一回もありません。
それまではまずまず順調にきていたのに・・・

8か月で17キロも落としたのがいけなかったのでしょうか。体重が一気に減ったからと言って体調が悪くなったわけでもなく、むしろいい方向に向いたのですが・・・血液検査でも、貧血など1項目も引っかかっていません。
年齢を考えると(49歳)更年期に入っているとは思うのですが、急に生理がなくなるとは思いません。
糖質制限をすると、女性ホルモンの働きが落ちるとも思いませんし・・・昨年8月にホルモン値の検査をしたところ、正常値でした。

お忙しいところ恐縮ですが、教えていただければ幸いです。
2012/02/14(Tue) 00:36 | URL | 高原の四季 | 【編集
名古屋hさん
よくやりましたね。主治医が理解したことすごいことです。糖質制限食にとっては大きな前進だといえます。この考えを広めるためには一人一人を説得していくしかないと思ってます。医師が変わると数10~100人単位で変わっていくでしょう。hさんお疲れさまでした。
2012/02/14(Tue) 09:17 | URL | ちえ | 【編集
糖質制肯定に転換したDr.の患者hさんへ
私は名古屋・hさんの後を追っている気がします。糖質制限を始めて3ヶ月。HbA1cは7.0強→5.8へ、身長=171、体重=53です。私の主治医<尿病専門医>に「糖質管理食を始めました」と遠回しに言ったところ、主治医は「体に負担がかかることが医学的に立証済みであるから、度を越さないように」とのご指示。しかし私は、江部先生療法を続けます。実績期間を積み重ね、私の主治医にも認めて貰おうと思っています。認めて貰わないと、飲まなくて良い薬を飲んだり何かに不都合が起こると思っていますので。
2012/02/14(Tue) 09:33 | URL | とっさん | 【編集
いつも拝読させていただいています。

久山町研究によって、カロリー制限高糖質はコホート研究により効果がないということにはならないのでしょうか?
それほどの精度はないのでしょうか?
2012/02/14(Tue) 10:42 | URL | しん | 【編集
> しん さん > 久山町研究
食事・生活習慣指導によって短期的には糖尿病の増加に歯止めはかからなかったということですね。
日本中で中高年者の80%に負荷試験を行えば、おそらくより多くの糖尿患者が見つかると思いますから、
おそらく、効果はあったのでしょう、でも80%に日本中で負荷試験なんて調べようがないですね。
子供時代から数十年の食事・生活習慣で糖尿病発症すると思いますので、中・長期的にはどうなるか知りたいですね。
2012/02/14(Tue) 11:47 | URL | korune | 【編集
Re: ヤフーのヘルスケアで
コバタケ さん。

情報、ありがとうございます。

少なくとも、一歩前進ですね。
2012/02/14(Tue) 12:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
はじめまして。慢性腎不全において、RCTを行ったMDRD STUDYにおいて超低たんぱく質食は低たんぱく質食と比較しても効果に変わりがないという結果でした。しかし、食事療法にRCTを行う事自体が間違っており、研究技法に間違いがあったとのことでした。私は、糖質制限食はまだ行ったことがない栄養士ですが、腎症において、日本腎臓学会ではまだ認めていない超低たんぱく質食事療法を行っています。糖質制限食との共通点として「効果があるかどうか、実際に試してから議論するべきだ」と感じました。超低たんぱく質食も、まだ試したことがないのに批判したり、技法が間違っているがために、おかしな結果が出ているという始末。糖質制限食も、まずは試してみる価値がありますね。いろいろ勉強させていただきます。ありがとうございました。
2012/02/14(Tue) 14:06 | URL | りお | 【編集
Re: 糖質制限と女性ホルモンの関係
高原の四季 さん。

減量し過ぎて、標準をわって痩せると、生理がとぶことがあります。

BMI18.5未満なら、要注意です。

BMI20~25未満なら、体重は関係ないので、そろそろ更年期かもしれませんね。

糖質制限食で女性ホルモンが減ることはないと思います。
2012/02/14(Tue) 14:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制肯定に転換したDr.の患者hさんへ
とっさん。

糖質管理食は、欧米では標準的食事療法として確立しています。

特に1型糖尿病では、糖質管理食が普通です。

糖質制限食も、2008年のADAの栄養勧告からは、
肥満のある2型糖尿病においては、ランクAで推奨されています。

日本でも、広まればいいですね。
2012/02/14(Tue) 14:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
しん さん。

仰有るとおりと思います。

「カロリー制限・高糖質・低脂肪食」を九州大学医学部の先生方が
久山町住民に指導されて、結果として糖尿病激増です。

私も、久山町の前向きコホート研究で、
「カロリー制限・高糖質・低脂肪食」による糖尿病発症増加というエビデンスが
確認されたと認識しています。
2012/02/14(Tue) 14:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: > しん さん > 久山町研究
korune さん。

久山町で、1988年と2002年に40~79才の年齢層の80%近い住民を対象とした、
75g経口血糖負荷試験を用いた糖尿病の有病率調査です。

14年間ですので、結構長期です。
1988年と2002年と共に、75g経口血糖負荷試験を実施してますので、
14年間の食事指導で、正味、糖尿病が増えています。
2012/02/14(Tue) 14:51 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re:Re:糖質制限と女性ホルモン
江部先生、さっそくのご返事ありがとうございました。
現在BMIは22なので、痩せすぎではなく更年期に入ったと思います。
婦人科の先生に相談してみます。
2012/02/14(Tue) 15:14 | URL | 高原の四季 | 【編集
Re: > しん さん > 久山町研究
効果があったかどうかは、食事・生活習慣指導をしなかった集団で中高年者80%に負荷試験を行って比較しないと解りません。
指導なしの集団により多くの糖尿患者が見つかれば効果あったという事です。
2012/02/14(Tue) 15:21 | URL | korune | 【編集
Re: タイトルなし
りお さん。

超低タンパク食と糖質制限食と湿潤療法を実践しておられる医師を知ってます。
信頼できる臨床医です。
2012/02/14(Tue) 15:47 | URL | ドクター江部 | 【編集

>日本中で中高年者の80%に負荷試験を行えば、おそらくより多くの糖尿患者が見つかると思いますから、
おそらく、効果はあったのでしょう、でも80%に日本中で負荷試験なんて調べようがないですね。
子供時代から数十年の食事・生活習慣で糖尿病発症すると思いますので、中・長期的にはどうなるか知りたいですね。

何故にそうお考えなのか、よく解りません。
久山町でなされた指導がない場合、潜在的に久山町の結果より糖尿病患者が多いとお考えの理由を教えてくだされば幸いです。

また比較対照するには日本中の80パーセントの人に負荷試験を行わなくとも一定数のサンプルの抜き取り試験で事足りますし、ある程度予算があれば可能だったと思います。統計的な考え方の問題として比較は可能ですし、実行可能だったということです。
2012/02/14(Tue) 21:27 | URL | しん | 【編集
江部先生

ご返答ありがとうございます。

そうですね。私の表現は不確かなのかもしれません。

>前向きコホート研究で、
「カロリー制限・高糖質・低脂肪食」による糖尿病発症増加というエビデンスが
確認されたと認識しています。

これは確かですね。
ありがとうございます。
2012/02/14(Tue) 21:32 | URL | しん | 【編集
しん さんへ、ご返事
> 何故にそうお考えなのか、よく解りません。
> 久山町でなされた指導がない場合、潜在的に久山町の結果より糖尿病患者が多いとお考えの理由を教えてくだされば幸いです。

コモンセンスです

逆に食事指導や生活習慣指導の結果で、糖尿病発症が増えると考えるのはあまりに宗教じみています
また、そのような理由も根拠もデータも示されていません
食事指導や生活習慣指導がなされていない中高年者の80%に負荷試験をして、比較すれば解ると思いますが
それも無いので、効果があったか無かったかの確定は不能です
2012/02/15(Wed) 13:39 | URL | korune | 【編集
korune
ご返答ありがとうございます。

根拠はコモンセンス(常識)ですね。

エビテンスの話でそれに解を求めるのは、久山町の研究に限らず、臨床試験も前向きコホート研究も否定しています。
議論になりませんよ。

久山町の研究でも明瞭な対照があればもっとよいのは確かで、たとえば同じ町内で食事指導だけする群とか運動だけ指導する群とか、両方しない群もつくって糖負荷試験すればもっと明瞭な結果が出たでしょうね。

しかしながら統計的なことや理論は宗教ではなく、科学的にブログでも江部先生はのべられていますので、読まれることをお勧めします。

また、対照実験をしていないので効果は解らないとおっしゃるのでしたら、はじめからこの久山町の研究が無意味なことになってしまします。
あなたが言われることが事実ならたとえ糖尿患者が減っても、食事指導や運動療法の効果があったかなかったのかわからないことになります。
この実験自体不能だったことになります。
(私はそうは思わない)
2012/02/17(Fri) 06:00 | URL | しん | 【編集
しん さんへ ご返事
これで最後にしますが
> エビテンスの話でそれに解を求めるのは、久山町の研究に限らず、
> 臨床試験も前向きコホート研究も否定しています。
エビデンスとか、前向きコホートとか、全然そういうレベルの話になりません
まったくもってデタラメです
根拠もデータも何もないのに、コモンセンスに反することを言ってるだけです

【ある町で100年間毎日カップヌードルを食べさせた、100年後に平均寿命が延びた
だから、カップヌードルを食べると寿命が延びる】 と言ってるのと同様です
比較せずに片方が優れてると言うのは、中学生にも笑われます

> しかしながら統計的なことや理論は宗教ではなく、科学的にブログでも江部先生はのべられていますので、
> 読まれることをお勧めします。
統計にも理論にも科学にもなってません
比較が無いので、効果があったか無かったかの確定は不能です
2012/02/18(Sat) 18:59 | URL | korune | 【編集
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