高タンパク食と骨粗鬆症

12 0
こんにちは。例によって少し筋肉痛の江部康二です。

糖質制限食は、相対的に高タンパク食・高脂肪食になります。
今まで、高タンパク食・高脂肪食が健常な腎臓や膵臓を傷害しないことや、発ガンや冠動脈疾患のリスクもないことをブログで説明してきました。

今回は、高タンパク食と骨粗鬆症の問題です。

1968年にWachman and Bernsteinが「内因性酸仮説」において、
『高タンパク食を摂取すると、タンパク質代謝によって作られた酸を緩衝するために骨のカルシウムが利用されるため、骨粗鬆症になりやすく尿中のカルシウムも増加する』
と提唱しました。

あくまで仮説に過ぎず、証明された訳ではないのですが、かなり一人歩きしてしまいました。いろんなブログで、高タンパク食の害を説明しようとする時には、よくこの仮説が引用してあります。

まあ、世界中でこれを巡って、その後30年以上論争が続いてきました。実際、研究によってはこの仮説を支持するようなものもありました。

しかし、一方で高タンパク食が骨粗鬆症の予防や、大腿骨頭骨折予防に益があるという研究もたくさんありました。

こういった歴史的状況を背景に、この論争に決着をつけるような研究論文を今回発見しました。(*1 巻末の英文の文献です)

572人の女性と388 人の男性(55–92才)を4年間観察した研究です。

『食事中のタンパク質が、骨粗鬆症を予防するのか、障害するのか、過去の研究では両方あって、はっきりしない。それでこの研究を行った。
結果:動物性タンパク質は成人女性においては、骨の健康を守る役割がある。
一方、植物性タンパク質は、骨カルシウム量には両性で無関係である。
結論:動物性タンパク質の摂取量が多いほど、少なくとも成人女性では、統計的に有意差をもって、骨の健康に役立つ』

他の研究者の42の論文にこの論文が引用してあり、評価が高いことを示しています。

私の結論です。

女性では動物性タンパク質で骨粗鬆症が予防できる可能性が高まりました。男性では、予防できるかどうかわかりませんが、少なくとも骨粗鬆症の悪化は考えにくいです。

*1
「American Journal of Epidemiology Vol. 155, No. 7 : 636-644 、2002
Protein Consumption and Bone Mineral Density in the Elderly
The Rancho Bernardo Study
Joanne H. E. Promislow1, Deborah Goodman-Gruen2, Donald J. Slymen3 and Elizabeth Barrett-Connor2
1 Department of Epidemiology, School of Public Health, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC.
2 Department of Family and Preventive Medicine, School of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA.
3 Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, San Diego State University, San Diego, CA.」
ページトップ