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新バージョンの食品交換表にカーボカウントを掲載する方針
こんばんは。

精神科医Aさんから、新バージョンの食品交換表にカーボカウントを掲載する方針を、石田均先生が日本病態栄養学会1/14のワークショップ「食品交換表とカーボカウント」で述べられたとのコメントをいただきました。

石田均先生は、食品交換表編集委員長ですので、確かな情報と思います。

【カーボカウントの図
 1/14のワークショップ「食品交換表とカーボカウント」の続きです。食品交換表編集委員長の石田Drは、食品交換表にカーボカウントを掲載する方針をはっきり述べました。津田Drは「食品交換表はいわばdata baseで、カーボカウントは指導する内容である。両者を一つにすると、混乱するかもしれず、個人的には反対」と述べました。
 伊藤Drは、「DM患者は医療費負担が大きく、経済的に苦しいです。なるべく安い値段で出版してほしい」と要請していました。なお、内潟Drの講演内容は、南江堂『内科』2011年6月号の著作とおおむね同じでした。旧作の図が載っている点まで同一です。
2012/01/18(Wed) 20:11 | URL | 精神科医師A | 】



精神科医Aさん。

いつも貴重な情報をありがとうございます。

三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を急峻に上昇させるのは糖質だけです。
これは、カロリーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。

このことに注目して、糖質摂取を制限して血糖コントロールするのが、高雄病院で推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。

一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting、カーボカウント)で、欧米では定着している食事療法です。特に1型糖尿病では、カーボカウントが主流です。

これには、1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食(カーボカウント)が成功を収めたことが、大きく関係しています。

糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。
血糖値を上昇させるのは糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。

糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。

「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」ということが生理学的事実です。

糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。

従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。

欧米では一般的なカーボカウントですが、日本では、小児の1型糖尿病以外には、ほとんど普及していないのが現状です。

今回、新しいバージョンの「食品交換表」にカーボカウントが取り上げられるのは、とても素晴らしいことです。

日本の糖尿病食事療法も、やっと「カロリー制限・低脂肪食」一辺倒から脱却できそうですね。

カーボカウントから糖質制限食へ辿り着く道のりは、糖尿病学会においては、まだまだ長くて遠いのでしょう。

うかうかしていると、普通の内科医がどんどん糖質制限食を取り入れて、糖尿病専門医はかえって置いてけぼりをくう可能性もありますね。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ADAのカーボカウント解説書
<糖尿病医療スタッフのための実践!カーボカウント >
坂根直樹・佐野喜子 監訳 医歯薬出版2010年2月
www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=255060
原著名:Practical Carbohydrate Counting, A How-to-Teach Guide for Health Professionals (ADA2008)

第10章 炭水化物以外の食事因子が血糖に与える影響

P126 *たんぱく質と脂肪の供給源

 近年、たんぱく質の50%がブドウ糖に変換される、というのが一般的な考えかたでしたが、これについてはADAの研究(ADA 2008b; Franz 2000)で、以下のような検討がなされています。
 1型糖尿病患者の場合,たんぱく質の摂取量が非常に多い場合は,、血糖に影響するかもしれませんが、一般的な量(3~4オンス)を食べたときでは、血糖の反応にほとんど影響を与えません。通常よりたんぱく質を多く摂取した場合、予測した血糖値より、ゆっくり大きな上昇を示します(Gannon et al. 2001)。2型糖尿病患者では、たんぱく質で血糖値は上昇しませんが、インスリン分泌が増加します(ADA 2008b; Franz 2000)。食事中のたんぱく質によってインスリンが分泌され、グリコーゲンとして肝臓と骨格筋に蓄えられるために、ブドウ糖が消費されていると推測されます(ADA 2008b)。
 脂肪の食後血糖への影響は、血糖を上げるというよりむしろ、血糖の上昇を遅らせることだといわれています(Franz 2000; Gannon et al. 2001)。これはブドウ糖の吸収が遅くなり、胃が空っぽになるのがゆっくりとなるからです(Peters and Davidson 1993; Jones et al. 2005)。血糖値が高かったり、食事量が多いと血糖値の上昇を妨げるほど、食べるペースやそのほかの食事因子も、胃が空っぽになるのを遅くすることがあるかもしれません(Jones et al. 2005)。

文献
1) ADA 2008b: Nutrition Recommendations and Interventions for Diabetes. Diabetes Care 31: S61-S78
ttp://care.diabetesjournals.org/content/31/Supplement_1/S61.full
2) Franz 2000: Protein Controversies in Diabetes. Diabetes Spectrum 13:132
3) Gannon et al. 2001: Endocrinology & Metabolism 86(3)1040-1047
ttp://jcem.endojournals.org/content/86/3/1040.full
4) Jones et al. 2005: Diabetes Technology & Therapeutics. 7:233-240
www.liebertonline.com/doi/abs/10.1089/dia.2005.7.233
  □
「糖尿病患者のためのカーボカウント完全ガイド 」も、ほぼ同一の内容です
www.ishiyaku.co.jp/search/search.aspx?ST=2&SW=%8D%E2%8D%AA%92%BC%8E%F7&SS.x=13&SS.y=4
ところが「カーボカウントナビ(2010)」、「Dr.坂根のクイズでわかる糖尿病カーボカウント 初級編(2011)」には、池田義雄(2001)の旧作の図が掲載されています。どういうことですか、坂根先生
2012/01/19(Thu) 21:54 | URL | 精神科医師A | 【編集
風邪薬で血糖値上りますか?
糖質制限食をおっかなびっくりながら、1ヶ月半続けています。体重5kg減・8.2%から5.9%へと、びっくりするくらいの変化です。ただ、ここ2,3日風邪で葛根湯を飲んでいるんですが、何か血糖値が多少上昇気味、たんなる誤差ですかね。
ドクター江部先生を信じて努力していますが、ここと関係あるんですよね、あらてつさんのブログ、おもしろいんですが、品位にかける記述があったり、ここのところ驕る平家滅びる的はしゃぎすぎがあって、ちょっと嫌味ですね。
2012/01/19(Thu) 22:00 | URL | js | 【編集
> ADAのカーボカウント解説書
精神科医師A 先生
アメリカンなデブ2型だけ検討して2型の場合は、と記載するの御引用の書も乱暴だと思いますが。
日本には、タンパク質で血糖上昇をきたす痩せ2型の患者さんが普通に沢山居ります。
2012/01/20(Fri) 08:52 | URL | korune | 【編集
jsさんへ 風邪と血糖値
風邪薬というよりも、糖尿人は、風邪など体調を崩したとき(シックデイ)には血糖値が上がるものです。糖質の摂取以外にも、血糖値が上がる要因はいろいろありますので、糖質制限さえしていれば食事直後の血糖値はコントロールできますが、糖質制限だけで全てがコントロールできるとお考えになるのは良くないと思いますよ。
2012/01/20(Fri) 11:05 | URL | ちゅら | 【編集
Re: ADAのカーボカウント解説書
精神科医師A 先生

またまた貴重な情報をありがとうございます。

【近年、たんぱく質の50%がブドウ糖に変換される、というのが一般的な考えかたでしたが、これについてはADAの研究(ADA 2008b; Franz 2000)で、以下のような検討がなされています。
 1型糖尿病患者の場合,たんぱく質の摂取量が非常に多い場合は,、血糖に影響するかもしれませんが、一般的な量(3~4オンス)を食べたときでは、血糖の反応にほとんど影響を与えません。通常よりたんぱく質を多く摂取した場合、予測した血糖値より、ゆっくり大きな上昇を示します(Gannon et al. 2001)。】

坂根直樹先生、ちゃんとご存知だったのですね。

【ところが「カーボカウントナビ(2010)」、「Dr.坂根のクイズでわかる糖尿病カーボカウント 初級編(2011)」には、池田義雄(2001)の旧作の図が掲載されています。】

これは精神科医師Aさんの仰有るとおり、変ですね。
坂根直樹先生、ADAのカーボカウント解説書を日本語に訳されたのに、
内容をお忘れになったのでしょうか?
あるいは単なるうっかりミスでしょうか?
2012/01/20(Fri) 16:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 風邪薬で血糖値上りますか?
js さん。

HbA1cの改善、良かったですね。

シックデイ(風邪とか肺炎とか・・・)の時は血糖値が上昇します。
数日で落ち着きますので。

あらてつさんは、私が監修している「糖質制限ドットコム」の社長さんです。
品位のことはそういう意見があったと伝えておきます。
2012/01/20(Fri) 16:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
杏林大教授・石田均氏の批判
月刊糖尿病2012年1月号
「糖尿病の食事療法の新たな展開」石田均
P116 <極端な糖質制限食への警鐘>
 さて、上述の一般的な利点や欠点に十分留意しながら、日常生活のなかでカーボカウントの考え方を食事療法に活用するとしても、実際のところ最も注意すべき問題点として、現状においてもいまだ炭水化物の摂取下限に関するコンセンサスが得られていないことが挙げられる。したがって、この方法の一種の悪用によって極端な糖質制限に走ることのないよう留意すべきと考えられる。
 実際に、最近のFooらの動物実験による成績[5]から、極端な糖質制限食(炭水化物12%,蛋白質45%,脂質43%)を長期間摂取すると、“いわゆる西洋食"(炭水化物43%,蛋自質15%,脂質42%)と比較して、血糖値は予想通りに低下した。なお、ここで興味深いのは、脂質の合量については両者間に差がない点である。このように、みかけ上は“いわゆる西洋食"に比べて血糖コントロールの改善を示すものの、一方で大動脈の動脈硬化をさらに促進することが明らかにされている。
 また、ごく最近のBradleyらの肥満2型糖尿病症例を対象としたRCT[6]においても、低脂肪食(炭水化物60%,脂質20%)と低炭水化物食(炭水化物20%,脂質60%)を比較すると、予想に反して全身の動脈の硬化度が、低炭水化物食においてむしろ悪化するとの成績が示されている。
 これらの事実は、従来からの日本食の基本となる低脂肪食が、長期にわたる心血管系の保護に大いに寄与していることを改めて明らかにした。それとともに、昨今、糖尿病症例に対する民間療法として、雑誌などを通して一種のブームのように流布されている極端な糖質制限に対して、強い警鐘を鳴らしている。

[5] Foo SY et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2009:106(36):15418-23
[6] Bradley U et al., Diabetes. 2009:58(12):2741-8
2012/01/21(Sat) 15:36 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 杏林大教授・石田均氏の批判
精神科医師A さん。

情報をありがとうございます。

石田均先生、
動物実験の是非は兎も角として
相変わらず、英国砂糖局がスポンサーの一つである、「歪曲論文」

[6] Bradley U et al., Diabetes. 2009:58(12):2741-8

を引用しておられますね。
冒頭の結論では、本文と違うことを書いています。
本文では動脈硬化の指数は悪化していません。
ずっと本文を読んでおられないのでしょう。
2012/01/21(Sat) 16:53 | URL | ドクター江部 | 【編集
Diabetesの論文
論文のAbstractにはこう明記されています

<RESULTS>
a significant decrease in augmentation index following the low-fat diet,

compared with a nonsignificant increase within the low-carbohydrate group.

低炭水化物群は「非有意な増加」ですから、『むしろ悪化する』とはいえません。明白な誤りです

<CONCLUSION>
"may imply"が使われています。「意味するかも知れない」と訳すべきでしょう

ttp://diabetes.diabetesjournals.org/content/58/12/2741.abstract
2012/01/21(Sat) 17:33 | URL | 精神科医師A | 【編集
民間療法との中傷
 江部Drの書いた書籍を医師に見せても、民間療法だとの反応を示す場合があります
 そこで提案ですが、先生が「治療」や「内科」に執筆した医学論文を、原文のまま単行本の巻末に付録として掲載してはどうでしょうか。それを医師に見せれば、民間療法とは言わなくなります
2012/01/21(Sat) 21:16 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 民間療法との中傷
精神科医師A さん。

よい案ですが、さすがに医学雑誌「治療」「内科」側が
他社の本への付録は、許可してくれないと思います。

著者紹介に、医学雑誌「治療」「内科」掲載論文を載せることを考慮します。
2012/01/22(Sun) 09:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
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