2011年12月22日 (木)
こんばんは。
グラフトンさんから、糖尿人とアルコール、アルコールと膵臓についてコメント・質問をいただきました。
【11/12/21 グラフトン
江部先生、こんばんは。
いつも大変有益な情報を提供していただきありがとうございます。
ところで、糖尿とアルコールの関係についてどのような本にも否定的に書かれております。
先生監修のレシピ集にはアサヒのスタイルフリーが載っておりましたので私も飲んでおります。
しかしながら疑問点として、たとえ糖質がほとんど含まれてないとは言ってもアルコールは含まれております。
アルコールと膵臓の関係について人間ドックで指摘されてお酒をやめようかと思っていたところに先生のレシピ集と理論面の本に出会いました。
先生自身かなり飲まれているようですが、アルコールは膵臓によくないというエピデンスはあるのでしょうか??】
グラフトンさん。
レシピ集のご購入ありがとうございます。
日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。
糖尿病専門医研修ガイドブック・改定第4版、81ページによれば、その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。
1、良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2、糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3、脂質代謝異常(特に高中性脂肪血症)がない
4、肝・膵疾患がない
5、決められた上限量を守る患者である
4の肝臓や膵臓の疾患がないことが、条件となっているわけですからアルコールが、肝臓と膵臓に一定の負担をかけることは間違いありませんね。
アルコール性肝障害は大変有名で、皆さんよくご存知と思います。
それから急性膵炎による入院の80%以上を、胆道疾患とアルコール多飲が占めています。
これはアルコール多飲であって、適量なら急性膵炎など起こしません。
また個人差があると思いますが、適量のアルコールなら肝障害にもなりません。
で、5はなかなか耳が痛いですね。(=_=;)
私の場合、1~4は完璧にクリアですので、
5だけがハードルが高いです。 (*- -)(*_ _)
それでは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?
欧米では、「適量」を守れば飲酒OKとしています。
例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。
糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー30ml(シングル)×3杯です。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
グラフトンさんから、糖尿人とアルコール、アルコールと膵臓についてコメント・質問をいただきました。
【11/12/21 グラフトン
江部先生、こんばんは。
いつも大変有益な情報を提供していただきありがとうございます。
ところで、糖尿とアルコールの関係についてどのような本にも否定的に書かれております。
先生監修のレシピ集にはアサヒのスタイルフリーが載っておりましたので私も飲んでおります。
しかしながら疑問点として、たとえ糖質がほとんど含まれてないとは言ってもアルコールは含まれております。
アルコールと膵臓の関係について人間ドックで指摘されてお酒をやめようかと思っていたところに先生のレシピ集と理論面の本に出会いました。
先生自身かなり飲まれているようですが、アルコールは膵臓によくないというエピデンスはあるのでしょうか??】
グラフトンさん。
レシピ集のご購入ありがとうございます。
日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。
糖尿病専門医研修ガイドブック・改定第4版、81ページによれば、その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。
1、良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2、糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3、脂質代謝異常(特に高中性脂肪血症)がない
4、肝・膵疾患がない
5、決められた上限量を守る患者である
4の肝臓や膵臓の疾患がないことが、条件となっているわけですからアルコールが、肝臓と膵臓に一定の負担をかけることは間違いありませんね。
アルコール性肝障害は大変有名で、皆さんよくご存知と思います。
それから急性膵炎による入院の80%以上を、胆道疾患とアルコール多飲が占めています。
これはアルコール多飲であって、適量なら急性膵炎など起こしません。
また個人差があると思いますが、適量のアルコールなら肝障害にもなりません。
で、5はなかなか耳が痛いですね。(=_=;)
私の場合、1~4は完璧にクリアですので、
5だけがハードルが高いです。 (*- -)(*_ _)
それでは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?
欧米では、「適量」を守れば飲酒OKとしています。
例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。
糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー30ml(シングル)×3杯です。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
江部先生、よく分かりました。ありがとうございます。
適量を飲む、難しいですね。私はあれば飲んじゃいますから困りものです。
健康な人でも休肝日を週に2日はつくるのがいいと聞いております。
仕事の休みの日くらいにしたいと思います。
適量を飲む、難しいですね。私はあれば飲んじゃいますから困りものです。
健康な人でも休肝日を週に2日はつくるのがいいと聞いております。
仕事の休みの日くらいにしたいと思います。
2011/12/22(Thu) 21:03 | URL | グラフトン | 【編集】
父が糖尿病なんですが
合併症もでてきた
みたいで毎日何回も
下痢をしてる
みたいです(>_<)
それなのに毎日
お酒を飲んでて
大丈夫なんですかね?
私には何も言って
くれないので詳しい
状態が分からなくて…
合併症もでてきた
みたいで毎日何回も
下痢をしてる
みたいです(>_<)
それなのに毎日
お酒を飲んでて
大丈夫なんですかね?
私には何も言って
くれないので詳しい
状態が分からなくて…
2011/12/23(Fri) 06:56 | URL | のん | 【編集】
先生、こんにちは!
お聴きしたい事があるのですが…
朝の(起き抜け)の血糖値が130を下回る事がないのです。
A1cは5.7です。
2ヶ月くらいで8.5から下げました。
これも先生の本を読み、糖質制限を知り
実行したおかげです。
A1cは下がってるのに、朝一の血糖値が安定しません。
夜は運動し、2時間後の血糖値は100くらいに押さえています。
(運動しなくても120~130くらいで落ち着きます)
そのまま食後4時間内には就寝し
睡眠時間は6時間くらいです。
薬はエクア服用。
今、禁煙外来に通っていて(チャンピックス服用)
タバコを我慢するストレスなのかとも思ったり…
先生、朝の血糖値を安定させるにはどうしたら、良いのでしょうか?
また、朝一の血糖値が高いと合併症のリスクが高くなりますか?
不安だらけです。
お聴きしたい事があるのですが…
朝の(起き抜け)の血糖値が130を下回る事がないのです。
A1cは5.7です。
2ヶ月くらいで8.5から下げました。
これも先生の本を読み、糖質制限を知り
実行したおかげです。
A1cは下がってるのに、朝一の血糖値が安定しません。
夜は運動し、2時間後の血糖値は100くらいに押さえています。
(運動しなくても120~130くらいで落ち着きます)
そのまま食後4時間内には就寝し
睡眠時間は6時間くらいです。
薬はエクア服用。
今、禁煙外来に通っていて(チャンピックス服用)
タバコを我慢するストレスなのかとも思ったり…
先生、朝の血糖値を安定させるにはどうしたら、良いのでしょうか?
また、朝一の血糖値が高いと合併症のリスクが高くなりますか?
不安だらけです。
2011/12/23(Fri) 09:24 | URL | 空 | 【編集】
のん さん。
お父上の下痢、糖尿病神経障害の可能性が高いです。
お父上、自覚して自己管理されるしかないと思います。
お父上の下痢、糖尿病神経障害の可能性が高いです。
お父上、自覚して自己管理されるしかないと思います。
2011/12/23(Fri) 11:30 | URL | ドクター江部 | 【編集】
糖尿病の3大合併症ゎ
知ってたけど下痢も
関連がぁるんですね↓
何しろ頑固だから
聞かなくて(;_;)
下痢ゎ治るのですか?
知ってたけど下痢も
関連がぁるんですね↓
何しろ頑固だから
聞かなくて(;_;)
下痢ゎ治るのですか?
2011/12/23(Fri) 13:42 | URL | のん | 【編集】
のんさん。
まず糖尿病のコントロールです。
血糖コントロールにより合併症は改善することもありますが、一定以上進行していれば治らないこともあります。
まず糖尿病のコントロールです。
血糖コントロールにより合併症は改善することもありますが、一定以上進行していれば治らないこともあります。
2011/12/23(Fri) 15:55 | URL | ドクター江部 | 【編集】
血糖値の改善は停滞しているこの頃ですが、改善されてきた症状が1つあります。
かれこれ30年の地(痔)主で、最近では長い時間の立ち仕事や中腰での仕事で症状が悪くなり困っていました。
金曜日~土曜日までの3日間立ち仕事でしかも中腰の状態が多い仕事をしていました。
ところが、痔の症状が悪化せずに快調に仕事ができました。
血糖値と血流の改善で肛門付近のうっ血が解消されてきたのだと思います。
糖質制限食を始めてから色々な症状の改善が見られ、これからも続ける意欲につながります。
かれこれ30年の地(痔)主で、最近では長い時間の立ち仕事や中腰での仕事で症状が悪くなり困っていました。
金曜日~土曜日までの3日間立ち仕事でしかも中腰の状態が多い仕事をしていました。
ところが、痔の症状が悪化せずに快調に仕事ができました。
血糖値と血流の改善で肛門付近のうっ血が解消されてきたのだと思います。
糖質制限食を始めてから色々な症状の改善が見られ、これからも続ける意欲につながります。
2012/06/10(Sun) 19:12 | URL | 解決ZERO | 【編集】
解決ZERO さん。
それは素晴らしいですね。
それは素晴らしいですね。
2012/06/10(Sun) 21:07 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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