2007年09月17日 (月)
おはようございます。
今日は、京都漢方シンポジウム第二日目です。
昨日も漢方の討論、大いに盛り上がりました。
今日のシンポジウムでは、「 糖質制限食」の最新のデータを
パワーポイント・スライドで、全国の漢方医の皆さんに紹介します。
さて今回は、ダルメシアンさんの質問にお答えします。
「私だけかもしれませんが、糖質制限食をしていると、どうしても肉などの動物性たんぱく質及び動物性脂肪を過剰に摂取してしまいがちになります。しかし、ガン経験者を初めとして多くの人達が肉食がガンの原因だと言って、玄米菜食をすすめていることも事実です。江部先生は、肉食とガンの関係についてはどう思われますか。」
ダルメシアンさんコメントありがとうございます。
以前comocomo さんからも同じ質問がありました。
『高タンパク、高脂肪食と発ガン?』
結構皆さんが素朴に持つ疑問のようですので、回答を一部再掲します。
「 糖質制限食を実践して動物性タンパク質や動物性脂肪を摂りすぎると、ガンの発病率が上がらないか?」という質問ですね。
動物タンパク質や動物性脂肪の摂取と発ガンに関しては諸説あるようですが、結局、本格的な疫学的研究が行われてないので、結論は出せないのが現状です。
ただ、
『生肉・生魚という高タンパク・高脂肪食が主食であるイヌイットの人々の疫学的研究においては、西洋人と比し特に発ガン性に差はなかったと報告されています。
そして、イヌイットさんに心筋梗塞、糖尿病、アレルギー疾患が少なかったことも報告されています。
Dyerberg.J :Scand J Clin Lab Invest Suppl. 1982;161:7-13. 』
それから過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、ガンなどの元凶として、脂質が犯人とされてきました。
ところが、米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して、意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
つまり、従来のヘルシー食(糖質を中心に野菜をたっぷりと摂取)を徹底して脂質を減らしても、ガンも心筋梗塞も減らなかったという衝撃的な事実が明らかとなったわけです。
「5万人の8年間に及ぶ大規模介入試験」というのは巨額の研究費が必要で、日本では不可能な第一級の研究ですから、その意味はとても大きいのです。
江部康二
今日は、京都漢方シンポジウム第二日目です。
昨日も漢方の討論、大いに盛り上がりました。
今日のシンポジウムでは、「 糖質制限食」の最新のデータを
パワーポイント・スライドで、全国の漢方医の皆さんに紹介します。
さて今回は、ダルメシアンさんの質問にお答えします。
「私だけかもしれませんが、糖質制限食をしていると、どうしても肉などの動物性たんぱく質及び動物性脂肪を過剰に摂取してしまいがちになります。しかし、ガン経験者を初めとして多くの人達が肉食がガンの原因だと言って、玄米菜食をすすめていることも事実です。江部先生は、肉食とガンの関係についてはどう思われますか。」
ダルメシアンさんコメントありがとうございます。
以前comocomo さんからも同じ質問がありました。
『高タンパク、高脂肪食と発ガン?』
結構皆さんが素朴に持つ疑問のようですので、回答を一部再掲します。
「 糖質制限食を実践して動物性タンパク質や動物性脂肪を摂りすぎると、ガンの発病率が上がらないか?」という質問ですね。
動物タンパク質や動物性脂肪の摂取と発ガンに関しては諸説あるようですが、結局、本格的な疫学的研究が行われてないので、結論は出せないのが現状です。
ただ、
『生肉・生魚という高タンパク・高脂肪食が主食であるイヌイットの人々の疫学的研究においては、西洋人と比し特に発ガン性に差はなかったと報告されています。
そして、イヌイットさんに心筋梗塞、糖尿病、アレルギー疾患が少なかったことも報告されています。
Dyerberg.J :Scand J Clin Lab Invest Suppl. 1982;161:7-13. 』
それから過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、ガンなどの元凶として、脂質が犯人とされてきました。
ところが、米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して、意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
つまり、従来のヘルシー食(糖質を中心に野菜をたっぷりと摂取)を徹底して脂質を減らしても、ガンも心筋梗塞も減らなかったという衝撃的な事実が明らかとなったわけです。
「5万人の8年間に及ぶ大規模介入試験」というのは巨額の研究費が必要で、日本では不可能な第一級の研究ですから、その意味はとても大きいのです。
江部康二
ご丁寧な回答をありがとうございました。
私の父は、若い頃から大酒を飲んで、肉もたくさん食べていました。それでも、81歳になる今まで何の病気らしい病気はしたことがありません。それにひきかえ、各種の健康食品を毎日取っていた母がガンにかかって現在闘病中です。
人間の健康については、マクロの研究では解明できないようなことも含まれているような気がします。特にガンのような人間の究極の難病については、ケースバイケースのような人間の知力の及ばない問題が含まれているような気がします。
御回答ありがとうございました。
私の父は、若い頃から大酒を飲んで、肉もたくさん食べていました。それでも、81歳になる今まで何の病気らしい病気はしたことがありません。それにひきかえ、各種の健康食品を毎日取っていた母がガンにかかって現在闘病中です。
人間の健康については、マクロの研究では解明できないようなことも含まれているような気がします。特にガンのような人間の究極の難病については、ケースバイケースのような人間の知力の及ばない問題が含まれているような気がします。
御回答ありがとうございました。
2007/09/17(Mon) 17:21 | URL | ダルメシアン | 【編集】
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