2011年09月12日 (月)
おはようございます。
2011年9月10日(土)夕方、某製薬メーカーさん主催のDPP-4阻害薬の講演会(in京都)に行ってきました。
DPP-4阻害薬には興味があったので、何か良い情報でもあるかなと思ったのです。
その中で、興味深かったのが
『mean amplitude of glycemic excursions (MAGE:平均血糖変動幅)』
の話しでした。
MAGEは、持続血糖測定システム(CGMS)が前提の検査です。
1日を通して、血糖値は幅をもって変動しているわけですが、その振幅の大きさの度合いをみる指標です。MAGEが大きいほど、血糖変動幅も大きいことになります。
2型糖尿病で見られる血糖異常は、
空腹時血糖(FPG)
食後血糖(PPG)
MAGEで評価される血糖変動
の3つの要因で構成されています。
過去当分の間は、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。
しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。
つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。
例えば、MAGE(1日24時間を通しての平均血糖変動幅)が、一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、それぞれ心血管疾患のリスクとなるとのことでした。
「持続的高血糖より、平均血糖変動幅や食後高血糖のほうが、酸化ストレスへの影響が大きい。」
という論文を演者は引用しておられました。(*)
論文では、血糖変動のことを『glucose swings』という面白い表現をしてました。
「今後介入試験においては、HbA1cや平均血糖値だけでなく、急性の血糖変動(acute glucose swings)をターゲットにする必要がある」と論文の結論で述べています。(*)
これはおおいに納得です。(^^)
しかし、結局最後には
「DPP-4阻害剤は血糖変動幅を少なくしてMAGEを減らすので他の薬物より好ましい」
という、メーカーさんにはとてもおいしい、演者の結論でした。( ̄_ ̄|||)
これが糖質制限食なら、DPP-4阻害剤を飲まなくても、MAGEと食後血糖(PPG)はリアルタイムに改善します。
当然のことですが、DPP-4阻害剤を飲んだときよりも、
はるかに改善度は速やかで大きいです。ヾ(^▽^)
多くの場合、空腹時血糖(FPG)も徐々に改善します。
つまり、糖質制限食実践で空腹時血糖(FPG)、食後血糖(PPG)、MAGEで評価される血糖変動の全ての改善が期待できます。
やはり、薬に頼るよりは、美味しく楽しく糖質制限食ですね。 (^_^)
江部康二
(*)
Activation of Oxidative Stress by Acute Glucose Fluctuations Compared With Sustained Chronic Hyperglycemia in Patients With Type 2 Diabetes
Louis Monnier, MD; Emilie Mas, PhD; Christine Ginet, MD; Françoise Michel, MD; Laetitia Villon, MD; Jean-Paul Cristol, MD; Claude Colette, PhD
JAMA. 2006;295:1681-1687.
2011年9月10日(土)夕方、某製薬メーカーさん主催のDPP-4阻害薬の講演会(in京都)に行ってきました。
DPP-4阻害薬には興味があったので、何か良い情報でもあるかなと思ったのです。
その中で、興味深かったのが
『mean amplitude of glycemic excursions (MAGE:平均血糖変動幅)』
の話しでした。
MAGEは、持続血糖測定システム(CGMS)が前提の検査です。
1日を通して、血糖値は幅をもって変動しているわけですが、その振幅の大きさの度合いをみる指標です。MAGEが大きいほど、血糖変動幅も大きいことになります。
2型糖尿病で見られる血糖異常は、
空腹時血糖(FPG)
食後血糖(PPG)
MAGEで評価される血糖変動
の3つの要因で構成されています。
過去当分の間は、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。
しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。
つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。
例えば、MAGE(1日24時間を通しての平均血糖変動幅)が、一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、それぞれ心血管疾患のリスクとなるとのことでした。
「持続的高血糖より、平均血糖変動幅や食後高血糖のほうが、酸化ストレスへの影響が大きい。」
という論文を演者は引用しておられました。(*)
論文では、血糖変動のことを『glucose swings』という面白い表現をしてました。
「今後介入試験においては、HbA1cや平均血糖値だけでなく、急性の血糖変動(acute glucose swings)をターゲットにする必要がある」と論文の結論で述べています。(*)
これはおおいに納得です。(^^)
しかし、結局最後には
「DPP-4阻害剤は血糖変動幅を少なくしてMAGEを減らすので他の薬物より好ましい」
という、メーカーさんにはとてもおいしい、演者の結論でした。( ̄_ ̄|||)
これが糖質制限食なら、DPP-4阻害剤を飲まなくても、MAGEと食後血糖(PPG)はリアルタイムに改善します。
当然のことですが、DPP-4阻害剤を飲んだときよりも、
はるかに改善度は速やかで大きいです。ヾ(^▽^)
多くの場合、空腹時血糖(FPG)も徐々に改善します。
つまり、糖質制限食実践で空腹時血糖(FPG)、食後血糖(PPG)、MAGEで評価される血糖変動の全ての改善が期待できます。
やはり、薬に頼るよりは、美味しく楽しく糖質制限食ですね。 (^_^)
江部康二
(*)
Activation of Oxidative Stress by Acute Glucose Fluctuations Compared With Sustained Chronic Hyperglycemia in Patients With Type 2 Diabetes
Louis Monnier, MD; Emilie Mas, PhD; Christine Ginet, MD; Françoise Michel, MD; Laetitia Villon, MD; Jean-Paul Cristol, MD; Claude Colette, PhD
JAMA. 2006;295:1681-1687.
良かった。タイムリーですね。月一のHbA1cが順調なので、血糖値も詳しく知りたくなり、購入しました。150回分セットなので、明日の朝の空腹時から、食後1時間、2時間、就寝前と測ってみようと思います。測定結果についてはまたご報告します。そうそう、眼底検査も合格でした。
早朝空腹時、朝食後1時間、食後2時間
昼前、昼食後1時間或いは2時間
夕前、夕食後1時間或いは2時間
眠前
先生のご指示、「カテゴリー、血糖測定」では、以上のようにありました。
昼前、夕前が不足していました。追加します。
昼前、昼食後1時間或いは2時間
夕前、夕食後1時間或いは2時間
眠前
先生のご指示、「カテゴリー、血糖測定」では、以上のようにありました。
昼前、夕前が不足していました。追加します。
江部先生。
いつもお世話になります。
早速ですが、糖質制限を続けて血中のケトン体が上昇すると、尿酸値も上がってしまうとの記事を見ました。
折り合いは付くのでしょうか?
それとも諦めて、薬で尿酸値を下げる方向が良いのでしょうか?
先々週の検査結果では、8.5の値でした。
よろしくお願いします。
いつもお世話になります。
早速ですが、糖質制限を続けて血中のケトン体が上昇すると、尿酸値も上がってしまうとの記事を見ました。
折り合いは付くのでしょうか?
それとも諦めて、薬で尿酸値を下げる方向が良いのでしょうか?
先々週の検査結果では、8.5の値でした。
よろしくお願いします。
江部先生、こんにちは。
このお薬は、朝食前に1錠飲めば、一日中効き、単独使用では、低血糖の恐れも少ないという新薬でしょうか?
たぶん、私に処方されているお薬だと思います。
私は、現在、スタンダードの糖質制限食をしていて、食後は、できるだけ散歩するようにしています。
糖質の多量摂取が予想される日に限り、お薬を飲んでいます。
結果的に糖質をあまり摂取しなくても低血糖にならないから、「お守り」のようなものです。
このような付き合い方で問題ないでしょうか?
あと、お薬を飲んでない日で、突然、夜に糖質を摂ることになった場合、急きょ、このお薬を飲んで差し支えないでしょうか?
ちなみに、朝にこのお薬を飲み、夜はパン食べ放題のベーカリーレストランで食べ、食後15分散歩し、食後2時間値は156でした。
お薬を飲まない日は、「これぐらいええやろ」と、夕飯にソフトフランスパンを1個加えただけで、192でした。
先生のお考えをご教示いただけると幸いです。
このお薬は、朝食前に1錠飲めば、一日中効き、単独使用では、低血糖の恐れも少ないという新薬でしょうか?
たぶん、私に処方されているお薬だと思います。
私は、現在、スタンダードの糖質制限食をしていて、食後は、できるだけ散歩するようにしています。
糖質の多量摂取が予想される日に限り、お薬を飲んでいます。
結果的に糖質をあまり摂取しなくても低血糖にならないから、「お守り」のようなものです。
このような付き合い方で問題ないでしょうか?
あと、お薬を飲んでない日で、突然、夜に糖質を摂ることになった場合、急きょ、このお薬を飲んで差し支えないでしょうか?
ちなみに、朝にこのお薬を飲み、夜はパン食べ放題のベーカリーレストランで食べ、食後15分散歩し、食後2時間値は156でした。
お薬を飲まない日は、「これぐらいええやろ」と、夕飯にソフトフランスパンを1個加えただけで、192でした。
先生のお考えをご教示いただけると幸いです。
2011/09/14(Wed) 11:01 | URL | よし | 【編集】
よし さん。
DPP-4阻害剤により確保されるインクレチンというホルモンは、
高血糖時には作用しますが、正常血糖では作用しないので、単独使用では
低血糖になることはほとんどありません。
今のやり方で、よしさんお場合は効果があるので、それでいいと思います。
このやり方では効果が出ない人もいると思います。
DPP-4阻害剤により確保されるインクレチンというホルモンは、
高血糖時には作用しますが、正常血糖では作用しないので、単独使用では
低血糖になることはほとんどありません。
今のやり方で、よしさんお場合は効果があるので、それでいいと思います。
このやり方では効果が出ない人もいると思います。
2011/09/14(Wed) 13:13 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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