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平均血糖変動幅と心疾患リスク、糖質制限食とDPP-4阻害薬
おはようございます。

2011年9月10日(土)夕方、某製薬メーカーさん主催のDPP-4阻害薬の講演会(in京都)に行ってきました。

DPP-4阻害薬には興味があったので、何か良い情報でもあるかなと思ったのです。

その中で、興味深かったのが

『mean amplitude of glycemic excursions (MAGE:平均血糖変動幅)』

の話しでした。

MAGEは、持続血糖測定システム(CGMS)が前提の検査です。

1日を通して、血糖値は幅をもって変動しているわけですが、その振幅の大きさの度合いをみる指標です。MAGEが大きいほど、血糖変動幅も大きいことになります。

2型糖尿病で見られる血糖異常は、

空腹時血糖(FPG)
食後血糖(PPG)
MAGEで評価される血糖変動

の3つの要因で構成されています。

過去当分の間は、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。

しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。

つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。

例えば、MAGE(1日24時間を通しての平均血糖変動幅)が、一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、それぞれ心血管疾患のリスクとなるとのことでした。

「持続的高血糖より、平均血糖変動幅や食後高血糖のほうが、酸化ストレスへの影響が大きい。」

という論文を演者は引用しておられました。(*)

論文では、血糖変動のことを『glucose swings』という面白い表現をしてました。

「今後介入試験においては、HbA1cや平均血糖値だけでなく、急性の血糖変動(acute glucose swings)をターゲットにする必要がある」と論文の結論で述べています。(*)

これはおおいに納得です。(^^)

しかし、結局最後には

「DPP-4阻害剤は血糖変動幅を少なくしてMAGEを減らすので他の薬物より好ましい」

という、メーカーさんにはとてもおいしい、演者の結論でした。( ̄_ ̄|||)

これが糖質制限食なら、DPP-4阻害剤を飲まなくても、MAGEと食後血糖(PPG)はリアルタイムに改善します。

当然のことですが、DPP-4阻害剤を飲んだときよりも、
はるかに改善度は速やかで大きいです。ヾ(^▽^)

多くの場合、空腹時血糖(FPG)も徐々に改善します。

つまり、糖質制限食実践で空腹時血糖(FPG)、食後血糖(PPG)、MAGEで評価される血糖変動の全ての改善が期待できます。

やはり、薬に頼るよりは、美味しく楽しく糖質制限食ですね。 (^_^)



江部康二



(*)
Activation of Oxidative Stress by Acute Glucose Fluctuations Compared With Sustained Chronic Hyperglycemia in Patients With Type 2 Diabetes

Louis Monnier, MD; Emilie Mas, PhD; Christine Ginet, MD; Françoise Michel, MD; Laetitia Villon, MD; Jean-Paul Cristol, MD; Claude Colette, PhD

JAMA. 2006;295:1681-1687.
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
血糖値検査機を購入
良かった。タイムリーですね。月一のHbA1cが順調なので、血糖値も詳しく知りたくなり、購入しました。150回分セットなので、明日の朝の空腹時から、食後1時間、2時間、就寝前と測ってみようと思います。測定結果についてはまたご報告します。そうそう、眼底検査も合格でした。
2011/09/12(Mon) 12:23 | URL | 三島  | 【編集
早朝空腹時、朝食後1時間、食後2時間
昼前、昼食後1時間或いは2時間
夕前、夕食後1時間或いは2時間
眠前

先生のご指示、「カテゴリー、血糖測定」では、以上のようにありました。
昼前、夕前が不足していました。追加します。
2011/09/12(Mon) 12:29 | URL | 三島  | 【編集
尿酸値と糖質制限
江部先生。

いつもお世話になります。

早速ですが、糖質制限を続けて血中のケトン体が上昇すると、尿酸値も上がってしまうとの記事を見ました。

折り合いは付くのでしょうか?

それとも諦めて、薬で尿酸値を下げる方向が良いのでしょうか?

先々週の検査結果では、8.5の値でした。

よろしくお願いします。
2011/09/12(Mon) 17:18 | URL | 長山です。 | 【編集
DPP-4阻害薬との付き合い方
江部先生、こんにちは。

このお薬は、朝食前に1錠飲めば、一日中効き、単独使用では、低血糖の恐れも少ないという新薬でしょうか?
たぶん、私に処方されているお薬だと思います。

私は、現在、スタンダードの糖質制限食をしていて、食後は、できるだけ散歩するようにしています。
糖質の多量摂取が予想される日に限り、お薬を飲んでいます。

結果的に糖質をあまり摂取しなくても低血糖にならないから、「お守り」のようなものです。
このような付き合い方で問題ないでしょうか?

あと、お薬を飲んでない日で、突然、夜に糖質を摂ることになった場合、急きょ、このお薬を飲んで差し支えないでしょうか?

ちなみに、朝にこのお薬を飲み、夜はパン食べ放題のベーカリーレストランで食べ、食後15分散歩し、食後2時間値は156でした。

お薬を飲まない日は、「これぐらいええやろ」と、夕飯にソフトフランスパンを1個加えただけで、192でした。

先生のお考えをご教示いただけると幸いです。
2011/09/14(Wed) 11:01 | URL | よし | 【編集
Re: DPP-4阻害薬との付き合い方
よし さん。

DPP-4阻害剤により確保されるインクレチンというホルモンは、
高血糖時には作用しますが、正常血糖では作用しないので、単独使用では
低血糖になることはほとんどありません。

今のやり方で、よしさんお場合は効果があるので、それでいいと思います。

このやり方では効果が出ない人もいると思います。
2011/09/14(Wed) 13:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
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