FC2ブログ
DPP-4阻害薬の血糖改善効果は魚介類の摂取量が多いほど高い
こんばんは。

少し前の、日経メディカルのウェブサイトで

「DPP-4阻害薬の血糖改善効果は魚介類の摂取量が多いほど高い」

という面白い記事を見つけました。(☆☆☆参考)

関西電力病院疾患栄養治療部の岩崎真宏氏が、2011年6月の糖尿病学会で発表した研究報告の記事です。

記事によると、DPP-4阻害薬の単剤投与による血糖改善効果は、魚介類の摂取量が多い人のほうが高い可能性があり、HbA1cの低下量はEPAおよびDHAの血中濃度に相関して大きくなることが確認されました。

「各患者における炭水化物やタンパク質、脂肪の摂取量とHbA1c変化量との間に相関は認めなかった。」

これは、基本的にカロリー制限食(高糖質食)の範疇での食事療法でしょうから、炭水化物やタンパク質、脂肪の摂取量には大きな差はなかったと考えられます。

もし意図的に糖質制限食をした人がいれば、4ヶ月後ですから、少なくとも1~2%の改善は認められたと思います。

「より詳細に、摂取した食品を穀類やイモ類、肉類、卵類、乳類、豆類、野菜類、きのこ類などに分けてHbA1c変化量との相関を調べたところ、唯一、魚介類とのみ有意に負の相関を認め、魚介類の摂取量が多いほどHbA1c低下量が大きいことが明らかになった。」

穀類やイモ類を多く食べた場合は、理論的にはHbA1cは上昇するはずですが、量がそんなに大きな差がなくて有意差が出なかったのでしょうね。

その中で、魚介類の摂取量が多いほどHbA1c低下量が大きいというのは興味深いです。

さらに、n-3系の多価不飽和脂肪酸のうち、EPAやDHAの摂取量が多いほど、HbA1c低下量が大きいというのも、面白いです。

岩崎氏は、EPAやDHAがDPP-4阻害薬の効果にどのように影響しているのかとの質問に対し、

「EPAやDHAにインクレチンの分泌を促進する作用があり、DPP-4阻害薬を併用することで効果がより強まっている可能性がある」

と答えておられます。

これはあくまでも仮説ですね。

この仮説が正しければ、単純に<DPP-4阻害剤+EPA(エパデール)>の投薬で血糖コントロール・HbA1cが改善するということになります。

しかし、インクレチンは、糖質や脂質を摂取すると消化管から分泌されるホルモンです。

従ってEPAやDHAだけがインクレチンを分泌させるというわけではありませんので、ことはそう簡単にはいかないと思います。



江部康二



☆☆☆参考 日経メディカル ウェブサイトから転載

【2011. 6. 9 富田文=日経メディカル別冊編集
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/dm/pickup/201106/520011.html
DPP-4阻害薬の血糖改善効果は魚介類の摂取量が多いほど高い

関西電力病院疾患栄養治療部の岩崎真宏氏

DPP-4阻害薬の単剤投与による血糖改善効果は、魚介類の摂取量が多い人の方が高い可能性が示された。HbA1cの低下量は、魚介類に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸のイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度に相関して大きくなることも確認された。関西電力病院疾患栄養治療部の岩崎真宏氏(写真)らが、札幌で開催された日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。

DPP-4阻害薬は、インスリン分泌を促進するインクレチンの分解を防ぐことで血糖降下作用を増強するが、その効果には、そもそものインクレチンの分泌刺激となる食事由来の栄養素が大きく影響していると考えられる。そこで、岩崎氏らは、DPP-4阻害薬による血糖改善効果をより効果的にする食事療法を調べるために、DPP-4阻害薬の単剤投与で治療している患者について、摂取栄養素とHbA1c変化量との関係を調べた。

対象は、関西電力病院外来通院中の2型糖尿病患者で、DPP-4阻害薬を単剤投与している42人(シタグリプチンもしくはアログリプチンのどちらかを内服)。臨床検査および食事調査(目安記録法)を定期的に行い、4カ月の治療期間後に、種々の栄養成分とHbA1c低下量の相関分析を行った。

4カ月の治療期間後に、患者の平均BMIに変化が認められなかった。一方、平均HbA1c値は、有意に0.5%低下した(p<0.01)。

HbA1cの低下の程度に、患者間で差を認めたことから、岩崎氏らは、各患者における食事摂取内容がDPP-4阻害薬の血糖改善効果に影響を与えているかを調べた。

まず、各患者における炭水化物やタンパク質、脂肪の摂取量とHbA1c変化量との間に相関は認めなかった。そこで、より詳細に、摂取した食品を穀類やイモ類、肉類、卵類、乳類、豆類、野菜類、きのこ類などに分けてHbA1c変化量との相関を調べたところ、唯一、魚介類とのみ有意に負の相関を認め、魚介類の摂取量が多いほどHbA1c低下量が大きいことが明らかになった。

次に、魚介類の成分で特徴的な脂肪酸について、HbA1c変化量との関係を調べた。各種脂肪酸(飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸〔n-6系、n-3系〕)の摂取量と、HbA1c変化量の関係を調べたところ、n-3系の多価不飽和脂肪酸でのみ有意に負の相関を認め、n-3系の多価不飽和脂肪酸の摂取量が多いほどHbA1cの低下量が大きいことが分かった。

さらに、n-3系の多価不飽和脂肪酸のうち、EPAやDHAの摂取量が多いほど、HbA1c低下量が大きいことも分かった。

EPAやDHAは体内で合成することができないので、血中濃度は摂取量を反映すると考えられる。岩崎氏は、これらの結果を、より客観的な指標で示すために、血中のEPAおよびDHAの濃度と、HbA1c変化量との相関を調べ、血中のEPAとDHAの濃度が高いほど、HbA1c低下量が大きいことも明らかにした。

以上から、EPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸を含む魚介類の摂取は、DPP-4阻害薬による血糖改善のための効果的な食事療法となる可能性が示唆された。

岩崎氏は、EPAやDHAがDPP-4阻害薬の効果にどのように影響しているのかとの質問に対し、「EPAやDHAにインクレチンの分泌を促進する作用があり、DPP-4阻害薬を併用することで効果がより強まっている可能性がある」と答えた。】

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可