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主食前のα-グルコシダーゼ阻害剤と速効型インスリン分泌促進剤
こんばんは。

リンダさんから、グルコバイやベイスン、そしてファスティックについて、コメント・質問をいただきました。

「11/08/11 リンダ
江部先生 いつも質問にお答えいただき感謝しております
先日、質問させていただきまして、もしお薬を出して頂くなら グルコバイやベイスンというお薬が良いという事でしたので 主治医にこの薬名を申しましたら【ファスティック30mg】を1日1回 という事でした
先生のブログではファスティックという名のお薬が出てこないので 少し不安ですがこれはグルコバイ同様の効果のあるお薬なのでしょうか?
糖質制限食を旅先でもなるべく実行するつもりでおりますが なにぶん食いしん坊なもんで。。。。。」


リンダさん。

グルコバイ、ベイスン、セイブルは、いずれもα-グルコシダーゼ阻害剤という範疇に属すお薬です。

デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)、やオリゴ糖に分解されます。

この二糖類やオリゴ糖は、マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど)に分解されて小腸から体内に吸収されます。マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。

この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害剤』(グルコバイ、ベイスン、セイブルなど)です。

グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。

ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。従って、グルコバイのほうが少し効果が強いですが、副作用もややでやすいです。

作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。

しかし、食後高血糖を抑制する効果はそれほど強力ではありません。

また、頻度の多い副作用として、分解が遅れて腸管にのこった糖類が醗酵してガスがでたり、お腹が張ったり、下痢をすること。

スーパー 糖質制限食の場合は、ほとんど薬はなしですが、お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、グルコバイを内服してもらうことがあります。

従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害剤』です。

高雄病院入院中にグルコバイ100mgを内服して、昼食に例えば玄米150g、110g、90gとかで実験して、食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることも多いです。

つぎに「グルファストやスターシスやファスティックなどのグリニド系薬剤」を主食摂取直前に内服して、一般の糖尿病食を摂取すれば、食後高血糖はあるていど防ぐことができます。

グリニド系薬剤は速効型インスリン分泌促進剤に分類され、内服直後に作用を開始して、約2時間くらい効果が持続します。

SU剤に比べれば作用時間がごく短時間で、膵臓へ与える影響が少ないのが特徴です。

しかし、これらの薬剤の効果も、やはり限定的であり、普通に炊いたご飯を通常の150g摂取したら、ほとんどの糖尿人の食後血糖値は200mgアップとなります。

これは、高雄病院の入院患者さんで何度も確かめました。血糖値を下げるとしても、20~40~60mgくらいでしょうか?

また効果には、個人差があります。

高雄病院の入院患者さんのデータでは、炊いたご飯100~110gくらいなら、グルファストで食後2時間血糖値180mg未満となる人もおられます。

炊いたご飯100~110gでも、グルコバイ単独やグルファスト単独では、180mgを超える糖尿人も、「グルファスト+グルコバイ」なら、食後2時間血糖値180mg未満の一応の目標達成の人。

可能ならば血糖自己測定器を購入して、

空腹時血糖値126mg/dl未満、理想的には110mg/dl未満
食後2時間血糖値180mg/dl未満、理想的には140mg/dl未満
HbA1c6.5%未満、理想的には5.8%以下

を目指してくださいね。

これらの目標が達成されていれば、糖尿病合併症の進行がないとされていますので。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
チョコチョコ食いはどうでしょうか
江部先生。先日はコメントを頂き有難うございました。あれからまたスーパー糖質制限を続けています。結局体重は5月からこの三ヶ月で20キロ減りました。体調もとても良いです。それもすべて糖質制限に出会えたおかげです。感謝してもしきれません。ところで今日はまた、どうしても分からないことがあるので、お尋ねしたいのです。それはおやつのことです。私は例えば10時と3時などと時間を決めて、糖質をいくらか決めた範囲でとるというよりは、一回は2から3グラムぐらいを一日に4、5回とるようになってしまいました。勿論食事の3回はスーパー糖質制限をしてます。勿論まったくゼロってわけにはいきませんよね。野菜に含まれている糖質まで計算すればゼロはありえないとのこと。それでも今はちょっとわけがあり、晩御飯を抜いてますので、朝昼の2回の食事とそのおやつで一日の糖質摂取は30いくかいかないかくらいだと思います。ただ、このようにいくら一回の摂取量が少なくても、回数が多いのはどうなのかと不安になりまして。もしかしたら、膵臓が休むひまがなくなってしまい、結果的に良くないことになるのでしょうか。それとも一回の摂取量を、回数にわけることで少なく抑えるほうが食べ方としていいのでしょうか。細かいことを伺い、恐縮なのですが、またお時間のあるときにご教示頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願いします。
2011/08/12(Fri) 23:54 | URL | さんち | 【編集
NASHと糖質制限について
私はアルコールを飲まないのですが、γGTPが10年前頃より高くなり、200を超えることもあります。最近の検査で、GOT36、GPT46、γGTP185となっていました。
インスリン抵抗性を指摘されています。若い時から糖質が大好き生活をしてきましたので、脂肪肝があると思うのですが、今は糖質制限で5キロ減量したにもかかわらず、肝臓の数値は改善しません。

CTで胆道を調べられましたが、特に問題はないとのことでした。肝生検はしていません。
NASHの改善として、脂肪摂取を控えること、糖分を控える、運動するというのをどのお医者さんも指摘されているようです。

そこで、質問なのですが、脂肪を控えるというのが脂肪肝には必要なのでしょうか。高タンパクは推奨されるようですが、脂肪はどのように考えてよいのかお教えいただけたら有り難いです。
2011/08/13(Sat) 00:13 | URL | よよ | 【編集
機能性低血糖の改善
はじめまして。27歳で境界型糖尿病になってしまったものです。
先日ハワイに行ったのでWall-MartでSMBG用機器を見てきました。フリースタイルフリーダムライトという4秒で測れるというものが約$20、このフリーダムライトに対応する50本入りチップが$69でした。買おうかと思いましたがその後のチップの入手法などを考えると今使っているフリーダムで十分満足しているので面倒だなと思いやめました。
普通の棚に並んで置いてあり気軽に買える状態で売られていました。チップも同じように棚にありましたが欠品が多く、あっても汚れてたりで管理状態はあまり良くないなと感じました。以上ご報告です。
そして話は変わりますが、ぜひ先生の見解をお聞きしたいです。
私は子供のころから口が渇き口が臭いといわれることがしょっちゅうでした。自分でも口臭を感じており悩んでいて人と話すときは人に息がかからないように、相手の顔を見て離さないようにしてきました。歯は奥歯全部が虫歯になりました。歯磨きはちゃんとしてましたし兄は同じ環境で育ったのに虫歯はほとんどありません。体格はやせ形で中学生では165㎝55㎏でした。高校生の時に過食症になり3年間で20㎏太り鬱症状が出始めました。そのまま大学を卒業し就職していくらか体重は減ったのですが薬の治療が必要なほどではないが鬱傾向の状態は続いていました。仕事でSMBGというものを知り測ってみたら320という値が出てびっくりし怖くなりインターネットで調べていくうちに糖質制限に出会いました。1カ月ぐらい続けているとずっと続いていた鬱症状が無くなりました。子供のころからの口渇も無くなり口臭も無くなり、100人に2~3人しかいないほど口の中がきれいだと歯医者さんに言われました。肌もきれいになり吹き出物が出来なくなりました。ただ今でも過食症というものから完全には抜け出せていないので体重は減っていません。自分では機能性低血糖症だったのだろうと思います。高校生の時の過食症で膵臓が疲弊しそうなったのだと考えるのが普通ですが、子供の頃から口渇また、鬱以外にもいくつか機能性低血糖症の症状がありそのことを考えると元々高血糖の傾向があったのかなとも思います。でも今まで血液検査で引っ掛かったことはありません。
1型ではないが子供のころから先天的にインスリンの分泌に問題があるという可能性はあるのでしょうか?先生のご意見を伺いたくコメントさせていただきました。
お暇なときで構いませんので、回答いただけたらうれしいです。
2011/08/13(Sat) 20:32 | URL | kiki★rara | 【編集
Re: NASHと糖質制限について
よよ さん。

糖質制限食で脂肪肝は改善します。
私自身も、脂肪肝と内臓脂肪肥満、メタボが改善しました。

糖質制限食は高脂質・高タンパク食となりますが、問題ありません。

糖質制限食で、肥満に伴う代謝症候群の全ての指標が、改善します。
即ち「内臓脂肪、高血圧、高血糖、高中性脂肪値、HDL-C低値」が全て改善します。

私見ですが、NASHやメタボは、精製炭水化物の頻回・過剰摂取が根本要因と考えています。
2011/08/14(Sun) 09:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 機能性低血糖の改善
kiki★rara さん。

症状の改善、良かったですね。
糖質制限食では、虫歯菌の餌である糖質が少量なので歯垢が減ります。
それで、歯周症や虫歯の改善が期待できます。

小児でも、先天的にインスリンが遷延してでたり、過剰にでたりという場合があるようです。
その場合機能性低血糖の症状が出現します。

特に2型糖尿病の家族歴があるときは、小児といえども要注意ですね。



2011/08/14(Sun) 10:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
脂肪肝
有難うございました。やはり糖質制限でまちがいないという確信をいただきました。最近主食は玄米を50グラム程度にし、野菜、肉、さかな、乳製品を摂るようこころがけてきて、HbA1cが5.7で推移していますが、10年前から上がり始めたγGTPだけは下がりません。

昨年12月頃の食事内容の記録をみると、スーパー糖質制限にかなり近い食事を摂っていたことがわかりました。その頃の肝機能はγGTPは100以下で、GOTもGPTも基準値をかなり下回っていました。

最近、油断してかなり甘い糖質制限をしていたのと、運動量が減ってかなり筋肉が落ちたたため、体重はさらに2キロ減っているにもかかわらず、今回の数値オーバーになったのではと思っています。

ウルソを処方されましたが、糖質制限をがんばります。
2011/08/14(Sun) 16:37 | URL | よよ | 【編集
Re: 脂肪肝
よよ さん。

スーパー糖質制限食でも下がらないγGTPは、
脂肪肝ではなく、胆道系の炎症の可能性があります。

その場合はウルソの適応となります。
2011/08/14(Sun) 20:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
お忙しい中御返信有難う御座いました。長文失礼いたしました^^;

子供のころから悩んでいた「口渇」が治ったのは本当に嬉しかったです。
大袈裟ではなく、糖質制限食というものに出会えて人生の見え方が変わりました。これからも糖質制限で心身ともに健康に生きていきたいと思います。

江部先生もどうか健康でお過ごしください。

2011/08/14(Sun) 21:50 | URL | kiki★rara | 【編集
有難うございます
不安に対しご親切にご教示をいただけるのでほんとうに有り難いです。
2011/08/15(Mon) 08:47 | URL | よよ | 【編集
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