2011年07月27日 (水)
こんにちは。
以前、新聞報道を本ブログ記事で紹介したと思いますが、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果の一つ
<米飯摂取と糖尿病との関連について>
が、がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されていました。
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
以前、新聞報道を本ブログ記事で紹介したと思いますが、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果の一つ
<米飯摂取と糖尿病との関連について>
が、がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されていました。
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
http://www.sukiya.jp/menu/#/forhere,gyudon,m_140, いつもお疲れ様です!既出かも知れませんが、「すき家」で素晴らしいメニューを発見しました。「牛丼ライト」です。牛丼のご飯のかわりに豆腐が!成分表をみても糖質が7分の1です。330円でけっこう満足でした!
2011/07/27(Wed) 21:09 | URL | 山本@神戸 | 【編集】
こころ さん。
高雄病院では、
機能性低血糖の患者さんの入院治療は行っておりません。
外来には、ごく少数ですが、機能性低血糖で通院しているかたもおられます。
高雄病院では、
機能性低血糖の患者さんの入院治療は行っておりません。
外来には、ごく少数ですが、機能性低血糖で通院しているかたもおられます。
2011/07/28(Thu) 14:59 | URL | ドクター江部 | 【編集】
山本@神戸 さん。
情報ありがとうございます。
情報ありがとうございます。
2011/07/28(Thu) 15:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
いつもブログ拝見しております。
人工甘味料とインスリンについて疑問がありましたので
質問させていただきます。
週刊現代のネットの記事で人工甘味料とインスリンの関係について下記のように言及していました。
「ボストン大学医学部のバーバラ・コーキー博士の研究によると、すい臓は人工甘味料にも反応し、大量のインスリンを出すことがわかりました。」
URL:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/13246
過去のブログを拝見すると、人工甘味料は、インスリンを分泌させないとあるのですが、上記の記事が誤りなのでしょうか。
よろしくお願い致します。
人工甘味料とインスリンについて疑問がありましたので
質問させていただきます。
週刊現代のネットの記事で人工甘味料とインスリンの関係について下記のように言及していました。
「ボストン大学医学部のバーバラ・コーキー博士の研究によると、すい臓は人工甘味料にも反応し、大量のインスリンを出すことがわかりました。」
URL:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/13246
過去のブログを拝見すると、人工甘味料は、インスリンを分泌させないとあるのですが、上記の記事が誤りなのでしょうか。
よろしくお願い致します。
2011/07/28(Thu) 15:17 | URL | ドドリア | 【編集】
ドドリア さん。
これはまだまだよくわからないと思います。
人工甘味料に関しては、早急な結論はだせない段階です。
仮に血糖値を上昇させない人工甘味料が大量にインスリンを分泌させるようなことがあれば、
当然低血糖になります。
人工甘味料入りの清涼飲料水で低血糖になったとは聞いたことがありません。
バーバラ・コーキー博士のはあくまで仮説段階で確定ではなく、論文にはなってないと思います。
これはまだまだよくわからないと思います。
人工甘味料に関しては、早急な結論はだせない段階です。
仮に血糖値を上昇させない人工甘味料が大量にインスリンを分泌させるようなことがあれば、
当然低血糖になります。
人工甘味料入りの清涼飲料水で低血糖になったとは聞いたことがありません。
バーバラ・コーキー博士のはあくまで仮説段階で確定ではなく、論文にはなってないと思います。
2011/07/28(Thu) 16:45 | URL | ドクター江部 | 【編集】
信也 さん。
クレアチニン1.62と改善、良かったです。
クレアチニン1.62と改善、良かったです。
2011/07/28(Thu) 16:49 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生、さっそくのご返信
本当にありがとうございました。
流れ上、
もしかしたらお世話になることもあるかもしれません。
そのときはよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。
流れ上、
もしかしたらお世話になることもあるかもしれません。
そのときはよろしくお願いいたします。
2011/07/28(Thu) 17:32 | URL | こころ | 【編集】
こんにちは。江部先生
糖質制限食を始めようと思い、先生のご著書を読破しましたが、いつの間にか毎食1膳弱のご飯が止めれません。何故かと言えば、先日の健診で、Hba1cが4.7だったためです。
私は、ご飯軽く1膳、主菜、副菜と日本人の標準的な食べ方をすると、食後1時間値が190ぐらいになります。お寿司やお蕎麦なら200を超えることもあるので、糖質制限食にtryしようと思いましたが、Hba1c 4.7なら、努力して糖質制限する、必要はないのでしょうか???
アドバイス、お願いします。
糖質制限食を始めようと思い、先生のご著書を読破しましたが、いつの間にか毎食1膳弱のご飯が止めれません。何故かと言えば、先日の健診で、Hba1cが4.7だったためです。
私は、ご飯軽く1膳、主菜、副菜と日本人の標準的な食べ方をすると、食後1時間値が190ぐらいになります。お寿司やお蕎麦なら200を超えることもあるので、糖質制限食にtryしようと思いましたが、Hba1c 4.7なら、努力して糖質制限する、必要はないのでしょうか???
アドバイス、お願いします。
2011/07/28(Thu) 19:01 | URL | エルザ | 【編集】
エルザ さん。
食後高血糖が、動脈硬化の元であり、発がんのリスクとなります。
食後1時間値が180mg未満、食後2時間値が140mg未満なら
毎食、ご飯1膳弱、構わないと思います。
食後高血糖が、動脈硬化の元であり、発がんのリスクとなります。
食後1時間値が180mg未満、食後2時間値が140mg未満なら
毎食、ご飯1膳弱、構わないと思います。
2011/07/28(Thu) 21:44 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
なるほど、そうですよね。
低血糖の方が続出しますよね。安心しました。
お忙しい中ありがとうございました。
なるほど、そうですよね。
低血糖の方が続出しますよね。安心しました。
お忙しい中ありがとうございました。
返信、有難うございます。
あくまでも、食後高血糖を避けることですね。血糖値と相談しながら、少しのご飯を楽しみます。
ちなみに、長年アフター性口内炎に苦しんできましたが、糖質を抑える食事にし、見事に出なくなりました。メガビタミン療法でも効かなかったのですが、これも、糖質制限食の効果でしょうか?・・・ビックリです。
あくまでも、食後高血糖を避けることですね。血糖値と相談しながら、少しのご飯を楽しみます。
ちなみに、長年アフター性口内炎に苦しんできましたが、糖質を抑える食事にし、見事に出なくなりました。メガビタミン療法でも効かなかったのですが、これも、糖質制限食の効果でしょうか?・・・ビックリです。
2011/07/31(Sun) 12:11 | URL | エルザ | 【編集】
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