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健康診断後の受診・受療率、要治療糖尿病でも30歳代の6割が放置
こんばんは。

健康日本21推進フォーラム(高久史麿理事長・自治医科大学学長)は、2011年7月7日、検診後の受診率、受療率調査の結果を発表しました。

以下は報道用資料の詳しい版、PDFファイルです。
http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M000261/201107057711/_prw_fl1_1T4btIOx.pdf


本調査は、過去1年間の健康診断で「血糖値」が高く、「要治療」と判定された男女500人を対象に、2011年6月1~3日にかけてインターネット調査を実施した結果です。

調査の結果、健康診断で「要治療」という判定がでているにも関わらず、2割強(23%)が受診していませんでした。

特に30歳代は4割(41%)が未受診でした。20歳代30.0%、40歳代14.0%、50歳代19.0%が未受信でした。

また「未受診者」と「非受療者(受診はしたものの無治療)」を合わせた『放置群』は、約4割(39%)もありました。

30代に至っては6割近く(58%)が放置群を占めることがわかりました。

30代の継続治療率は42%、20代は45%と低い数字です。

これに対して、40代以上は70%以上が継続して治療を受けていました。

やはり年齢が高くなるほど、一定の危機感があるのでしょうね。

ともあれ、糖尿病治療開始は、早ければ早いほどいです。早期治療により高血糖の持続による合併症が予防できるからです。

勿論、糖質制限食で血糖コントロール良好を保つのも、早ければ早いほどいいです。

5年、10年高血糖を放置して、その後糖質制限食でコントロール良好になっても、過去の「高血糖の記憶」が借金としてずっと残ります。

健康診断で「要治療」の判定がでて、放置している20代、30代の糖尿人の方々、まだまだ間に合います。

是非、糖質制限食を開始して薬物に頼ることなく、血糖コントロール良好を保ち将来の合併症を予防しましょう。


江部康二


☆☆☆☆参考

高血糖の記憶


糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。

「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。

ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。

DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。

その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(*)

同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、両群をさらに平均11年間追跡しました。

つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、DCCT終了後11年間行われたことになりますね。

その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは「継続的な強化療法群」の方がやはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(**)

すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、その後良好なコントロールが得られても、血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。

この借金の正体が、組織沈着AGEではないかと言われています。

まだ仮説ではありますが、組織に沈着したAGEが血管を傷害し続け、動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明するとされています。(***)

高血糖の記憶・借金を残さないためには、糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。当然、早ければ早いほどいいわけです。

糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、食後高血糖が生じ将来に借金を残します。

是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。


(*)N Engl J Med 1993; 329: 977-986

(**)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653

(***)AGE

タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。

過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
AGEにつきまして
AGEとても怖いですね・・・
私は糖尿発覚時A1cは11オーバーでした。
現在38歳ですが、多分5~10年位は食後高血糖になっていたのでは?と思います。
発覚時は既に神経障害、腎症がありましたが糖質制限のおかげで全て元に戻りA1cは4%台です。
(幸い目は大丈夫でした)
しかし今後糖質制限食を続け、コントロールが良くてもまた腎症などに
なるのでしょうか?
糖質制限食の他には対処法はないのでしょうか?

アドバイス頂ければと思います。
2011/07/25(Mon) 22:11 | URL | けい | 【編集
Re: AGEにつきまして
けい さん。

蛋白尿陰性→尿中微量アルブミン陰性

神経障害、腎症の改善良かったです。

なら腎症は大丈夫です。
糖質制限食実践でHbA1c5.8%未満なら、食後高血糖もないし、合併症が進行する確率はゼロと思います。

糖質制限食で必要充分と思います。

かくいう私も、少なくとも10年近く境界型の食後高血糖があって、2002年糖尿病発覚です。
2011/07/25(Mon) 23:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
はじめまして。
今年2月に糖尿病が判明しました。それ以来、WEBでいろいろなことを検索し
江部先生のブログも拝見しております。本当に助けられました。ありがとうございます。

2月の段階でHbA1cが10%、お砂糖をラカントに変更し、3月に7.6、さらに糖質を減らす努力をし
4月6.2、5月5.9、6月5.3と順調に下がりました。
心配なことが尿検査の蛋白が2+なことです。検査は毎月血液検査と尿検査のみで
血液検査のクレアチニンは0.7です。

担当の先生は、博士課程を修了した糖尿の先生なのですが
まだ30代の先生です。心配なのは・・・
ほかに検査をすることなく、いろいろな質問をしても
「サプリメントは自己管理で」「糖尿は食事制限がすべてだと思う」
と言われてしまい、蛋白の2+のことにもとくに指導はなく
塩分を控えるように、1日1400キロカロリーで、血圧を下げる薬で
腎臓を少し保護できますといわれています。

この治療のみで、大丈夫なのでしょうか?
病院を変えてみた方がよいのか、気がかりです。

アドバイスをお願いできましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
2011/07/26(Tue) 01:46 | URL | ラベンダー | 【編集
Re: はじめまして。
ラベンダー さん。

HbA1cの改善、良かったです。

尿タンパクが陽性ですが、クレアチニンが正常なので糖質制限食OKです。
糖質制限食で徹底的に血糖コントロールを保つことで蛋白尿が改善する可能性もあります。

「アンジオテンシンⅡ受容体ブロッカー(ARB)」というタイプの降圧剤が、少し腎保護作用があると
されています。

2011.07.04 (Mon)のブログ「糖尿病腎症と糖質制限食」をご参照ください。
2011/07/26(Tue) 08:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生 おはようございます

最近困っている事があります

それは便秘の問題です

糖質制限前は便秘などは無縁の生活でした
ところが糖質制限を始めて半年が経ちここ数ヶ月便秘で悩んでおります
先生のブログを拝見すると糖質制限をして数ヶ月するとお通じの方も
良くなるという事で期待しているのですがなかなか。。。。

水分を多く摂り、野菜(食物繊維)もたっぷり摂っており適度な運動もしてます
同じく糖質制限をしている主人も便秘気味です

今まで便秘薬は使った事はありません
あんまり薬はのみたくないので・・・・

糖質制限食を続けながらどのようにすれば便秘を解消出来ますでしょうか?

ご解答宜しくお願い致します
2011/07/26(Tue) 09:40 | URL | リンダ | 【編集
Re: タイトルなし
リンダ さん。

便通問題はほとんどの場合3ヶ月から半年で改善するのですが、やや長いですね。
その内腸内細菌叢(腸内フローラ)が新しい環境に慣れて
落ち着くと思うのですが・・・個人差があるのでしょうね。

脂質・タンパク質は充分量摂取して低カロリーにならないようにしましょう。
オリーブオイルなども積極的に摂取してくださいね。
2011/07/26(Tue) 10:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
失礼します。今年40歳で、糖質制限を何年もやっています。
祖歩も母も糖尿病です。
先生の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」は大変驚きましたが
とても参考になりました。
実は私自身、糖尿病を発症しているかわかりません。
しかしたまたま食後に病院で計ってもらった際に175や155を見ています
親の自己測定機で検査した所、空腹時は75~90,
100gのお米を食べたら血糖値150~160くらい
袋ラーメン食べて寝そべっていたら187くらいいきました。
ha1cは4.5です。先生の本のお陰で、糖質制限に気付いてこの5年ずっとこの調子です。
しかしha1cが優秀な為に、糖尿病の気があるかもしれないといっても
そんな筈はないと笑って帰されてしまいます。
なのでまともな教育をうけていません。。
予備軍か、糖尿病かわかりませんがご飯100gで血糖値ピーク150いくなら
200g食べたら余裕で200いきそうな気がします。怖くてできませんが。
初めて食後160を病院で見てから5年、ha1cは優秀でもこれで大丈夫なのかと少し不安でもあります
コントロールしていればずっとこのままで問題ないでしょうか…。

2011/07/26(Tue) 16:13 | URL | 燕 | 【編集
先生有難うございました。
先生有難うございました。
合併症このままなら大丈夫との事安心しました!
これからも糖質制限食でがんばっていきます!

あと最近はまっている糖質制限食で、キャベツ乱切り(200~300g位)を蒸して、
ツナ缶x2、ごま油たっぷり、塩、コショウ、しょうゆを適量加え
よく混ぜれば出来上がり!
(糖質約7~11g)
簡単で、なかなか美味しいですよ!
2011/07/26(Tue) 17:22 | URL | けい | 【編集
江部先生、ありがとうございました。
先生。ご多忙のところレスポンスありがとうございました。

尿蛋白が2+でも
糖質制限食で徹底的に血糖コントロールを保つことで
蛋白尿が改善する可能性もと言っていただき
これからもがんばって糖質制限食を続けて頑張ろうと思います。

鳥越製粉さんの「パンdeスマート」のミックス粉を買い
ふすまパンを自宅で焼き、ピーナツをローストして
無塩バターとエリスリトールを加えてフードプロセッサーにかけて
ピーナツバターを作り、パン食も糖質制限しながら楽しんでいます。

初めはご飯やパンを食べないことがキツかったのですが
ふすまパンを焼くようになってから、サンドもOKですし
バリエーションが増え楽しくなってきました。

先生のブログに出会わなかったら、病院で受けたカロリー制限の
栄養指導のままで、5か月で5.3までは下がらなかったと思います。
本当にありがとうございます。
2011/07/27(Wed) 01:39 | URL | ラベンダー | 【編集
Re: 病院の紹介をお願いします
G.ken さん。

ゆずるクリニックの原 譲(はら ゆずる)
先生とご相談いただけば幸いです。

http://www.yuzuru-clinic.com/index.html
〒187-0032 東京都小平市小川町1-972-7
TEL 042-348-8515 FAX 042-348-8516


2011/07/28(Thu) 15:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
病院の紹介ありがとうございました。
この度はお忙しい中、病院をご紹介頂きありがとうございました。
こんなに早くお返事をいただけて、本当に嬉しく思っております。

こちらの病院は、地理的にも、時間的にも通院が可能ですので、早いうちに是非受診したいと思います。

今後もご指導宜しくお願いいたします。
ありがとうございました。
2011/07/28(Thu) 17:09 | URL | G.ken | 【編集
高血糖の記憶について
先生 随分ご無沙汰しております。

糖尿病と言われてすぐに糖質制限食をはじめて2年。
発覚時は空腹時200 HbA1cは7.3もありましたが、みるみる落ち着き、今では 空腹時は105~130の間をうろついてはいるものの、HbA1cはもうずっと4.5くらいです。
食べたい時には薬併用で自由に食べ、普段はきちんと計算して楽しくやっています。

で、私も発覚時は手足(左右対称じゃなかったように思うのですが、感度の違い?)や顔・唇の妙な痺れを感じ、10年くらい受けていなかった検診を受けたら、発覚したのでした。
だた、血液は血糖値以外は、特に問題ありませんでした。
(発覚時の空腹時IRIは15.9 HOMAβは 77.35 と、機能的には残存していたっぽいです)

糖質制限を始めて、1ヶ月しないうちに痺れも消え、安心していたのですが、この記事を読んで、心配になってしまいました。

このままの食事をしていても、血管は損傷し続けるのでしょうか?
2011/07/29(Fri) 03:05 | URL | ゆうこ | 【編集
ちなみに
さきほど、食べたい時(外食など)には薬を飲んで と書きましたが、
グルファスト+ベイスン で、180を超える事はありません。
2年間で、自己採決で180超えたのは、2回だけです♪ 誤差はあるとは思いますが、自己採決の方が高く表示されるのを考えれば、多分、そうは違わないと思います。
2011/07/29(Fri) 03:14 | URL | ゆうこ | 【編集
Re: 高血糖の記憶について
ゆうこ さん。

過去の高血糖の時期に、あるていどの動脈硬化のリスクがあったと思います。
その後痺れなどの症状が改善しておられますので、リスクはごく軽度のものと考えられます。
すなわち血糖コントロール良好で改善するていどのごく軽いリスクだったのだと思います。
この2年間、好調ですので、今後合併症につながるような問題はないと思います。

2011/07/29(Fri) 08:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
高血糖の記憶
糖質制限食を始めて2ヶ月近くなります。3週間実践したあとの検査結果は7.3→6.0であまりの効果の早さにびっくりし、次の検査が楽しみです。頑張って楽しく続けますありがとうございます。

本を読ませていただいていても、この“高血糖の記憶”というのが一番気になりました。
定期的に健康診断を受けていたわけではないので、体がだるいという理由で初めて検査をしてヘモグロビンA1cが高いと出る前に一体どれくらい血糖値が高かった時期があるのか?もわかりませんし、
1年カロリー制限食をして6.9→5.5に下がったあとは、情けないことに・・安心してしまって3年ほど全く受診しなかった時期もあり、(正に、↑統計で一番多いと出ているの30代の時です。)その間の数値も全くわかりません。

過去の状態を考えてもどうにもならないことですし、
今は糖質制限食に幸い出会うことが出来たのだから一生懸命やって、少しでも楽しくコントロールしていく・・そのことだけでいいのだと思いますが・・
これから良い状態を保っても、記憶が残る以上、合併症リスクは変わらないのか・・と思うとつらいですね・・。
もちろん糖質制限食に出会えなかったら・・もっと長い期間コントロールの悪い状態が続き更にリスクは高まったというわけですが・・・
2011/07/29(Fri) 10:42 | URL | 千鶴 | 【編集
Re: 高血糖の記憶
千鶴 さん。

現在コントロール良好ということは、コントロール不良に比べれば、合併症のリスクはほとんどありません。

合併症として出現するのは、神経障害が一番早いので、それが出ていないのなら、今後も合併症の出現の心配は
まずないと思います。

シンプルに述べれば、高血糖の期間はあるていど動脈硬化のリスクがあったと考えられますが、幸いそれの蓄積が合併症の出現にいたるほどのリスクにはなっていなかったということです。

2011.07.12 (Tue)のブログ「糖尿病と糖質制限食と早期治療と合併症」
をご参照ください。
2011/07/29(Fri) 11:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
先生お忙しいのに返事ありがとうございますm(  )m
“高血糖の記憶”については、少しむずかしくて、
今から頑張っても、リスクは下がらないのか・・と読み誤ってしまいまいそうですが・・・
数値が高かった時期にはリスクも高かった・・と考えればいいですね。
7月12日の記事ももう一度読ませていただきました。
①~③をコントロール目標にすれば、合併症リスクは下がるとわかり安心しました。
どうもありがとうございました。

合併症に苦しんで亡くなった祖父・父・叔父のころにも糖質制限食が広く知られていたらなあ・・・と思います・・
一人でも多くの人に知ってもらえるようになるといいです。。。
2011/07/29(Fri) 14:34 | URL | 千鶴 | 【編集
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