FC2ブログ
養腎降濁湯(漢方)と腎不全
こんばんは。

糖尿病の合併症の一つに糖尿病腎症があります。

腎症の一番初期の段階は、尿中微量アルブミンの増加としてとらえられます。

血液検査でクレアチニン、などに異常が出現すれば腎不全となります。

さらに進行すれば、人工透析が必要となります。

現在、年間約1万の人が糖尿病腎症により人工透析を導入していますが、慢性腎炎を抜いて疾患別では1位となっています。

糖質制限食で糖尿病のコントロールを良好に保ち(食後2時間血糖値を140mg/dl未満、HbA1cを6.5%未満)、合併症が出現しないようにするのが理想です。

しかしながら、糖質制限食に出会う前に、既に腎症が出現している患者さんもおられます。

こんな時は漢方薬の出番です。

腎不全は、漢方薬の役割が大きいと考えられる病気の一つです。

血液検査で腎機能障害(血清クレアチニン値の上昇など)が確定していたら、西洋医学的にはそれを改善する方法はないというのが常識ですし、数年前までは、漢方薬でもさすがに無理と私達も考えていました。

しかし、2002年に黄耆を中心とした生薬の組み合わせで、クレアチニン値が改善する例を初めて経験しました。

当初は驚きましたが、その後、高雄病院で症例を積み重ねて明らかな効果を確認しました。

そして2007年6月17日(日)日本東洋医学会学術総会において、江部洋一郎院長(当時)が、「腎不全に対する養腎降濁湯の効果」という講演を1時間行いました。

この時点での症例数は、21例とまだ少ないのですが、初診時と半年後の検査で13例においてクレアチニン値が改善しました。

中には4.6→3.2(正常0.4~1.4mg/dl)、5.8→3.6と顕著な減少のあった例もありました。

不変が3例で悪化が5例でした。

全員の平均値は初診時5.2から半年後4.4と減少していました。

西洋医学的な治療も種々試みられていますが、クレアチニン値の上昇速度を遅らせるのが主目的で、減少させるような治療法は皆無です。

黄耆、芍薬、甘草、土茯苓などの漢方生薬で構成される養腎降濁湯加減を処方し、62%にクレアチニン値の減少が見られたことは、腎不全治療の一筋の光明と言えます。

原疾患が慢性腎炎でも糖尿病性腎症でも関係なく、約6割の人に養腎降濁湯で一定の効果が期待できます。

効果があるときは、最初の1~3ヶ月でクレアチニン値が改善します。

逆に言えば、最初の1~3ヶ月で改善がないときは、残念ながら養腎降濁湯の効果は期待できないということとなり、服薬は中止となります。

診察ご希望の場合は電話(高雄病院:075-871-0245)
でご相談いただけば幸いです。


江部康二



2017年7月、追加
養腎降濁湯で腎機能が一旦、改善しても、半年~1年くらいで、再び悪化する症例もあり、
なかなか一筋縄ではいきません。
なお、多発性嚢胞腎の場合は、嚢胞による物理的な腎障害なので、効果がでにくいです。



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
Re: クレアチニン1.88の私でも
加倉井義忠 様

大田区大森北4-1-1
     東京衛生学園付属・入新井クリニック  03-5767-6651
平馬先生か北田先生が保険で漢方生薬を処方されています。
予約制かもしれないので、電話で確認してください。
2011/11/27(Sun) 10:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re: クレアチニン1.88の私でも2

Re: クレアチニン1.88の私でも2

クレアチニン1.88は、まあまあと思います。
養腎降濁湯の有効率は69%くらいあると思います。

あとは蛋白尿がどのていどかによります。


2011/11/29(Tue) 11:05 | URL | ドクター江部 | 【編集
削除してくださって感謝です。
先生の日本中からの相談のメールを見させていただき、驚きと反省そして希望が持てました。
仕事と責任の関係でなかなか動けませんが、できれば京都まで行って 先生に是非 診察していただきたいです。
2011/11/29(Tue) 16:35 | URL | たこやき頭 | 【編集
先生のお働きは、日本中の・・・いや、世界中の糖尿病患者にとって 光と希望を与えておられますね。先生は、ノーベル賞にノミネートされてもおかしくないと思います。この働きをあらゆる医師が認めて欲しいです。というか、医学部の教材にすべきです。みなさんもそう思いませんか?
2011/12/01(Thu) 15:54 | URL | たこやき頭 | 【編集
糖尿病性腎症をどうしても治したいのですが
江部先生が紹介されている養腎降濁湯を処方してくださるところは愛知県にありますか?
2016/01/17(Sun) 17:52 | URL | 中山千尋 | 【編集
Re: 糖尿病性腎症をどうしても治したいのですが
中山千尋 さん

漢方生薬の問屋さんに、問い合わせて見ます。
2016/01/17(Sun) 18:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生 お忙しいところありがとうございます。よろしくお願いします。
2016/01/18(Mon) 12:23 | URL | 中山千尋 | 【編集
江部先生 お忙しいところ申し訳ありません。
養腎降濁湯を飲んで、腎臓の働きを少しでも回復させることはできるのでしょうか?
西洋医学では、腎臓は悪くなったら元には戻らないとありますが、整体師の方で治らない病気はないとおっしゃっている方がいると聞きましたが、いかがでしょうか?メトグルコ錠を飲んでいた副作用もあって腎臓が悪くなるスピードを上げた可能性も無いとは言えないと薬剤師から聞きました。数値はクレアチニン3・01でeGFR が14です。次の診察まで少しありますが、すぐに透析になってしまうのでしょうか?
どうぞ教えてください。
2016/01/18(Mon) 14:24 | URL | 中山千尋 | 【編集
Re: 糖尿病性腎症をどうしても治したいのですが
中山千尋 さん

治すというまでは無理と思いますが、
腎症の進行がくいとまればいいですね。

以下の先生方が養腎降濁湯を処方しておられると思います。

1.灰本クリニック 灰本元先生
愛知県春日井市弥生町1-80
0568-85-0567
http://www.haimoto-clinic.com/

2.名古屋逓信病院 内科 中村了先生
名古屋市東区泉2丁目2番5号
052-932-7151
http://www.hospital.japanpost.jp/nagoya/outpatient/examination/examination01.html

3.平松内科クリニック 平松幸治先生
愛知県名古屋市緑区篠の風3丁目112
052-878-1230
http://www.hospitalcity.ne.jp/hiramatsu-naika/
2016/01/18(Mon) 15:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生 ありがとうございます。
早速、お訪ねしてみようと思います。
いつもメニューを参考にさせていただいていた江部先生から直接お返事頂けて、本当に感謝しています。
また良い報告ができればと願っています。
2016/01/18(Mon) 21:09 | URL | 中山千尋 | 【編集
江部先生 先日は、ありがとうございました。
ひとつおしえて下さい。
先生が処方されている養腎降濁湯と柴苓湯は同じような効能なのでしょうか?
2016/02/08(Mon) 13:44 | URL | 中山千尋 | 【編集
Re: タイトルなし
中山千尋 様

養腎降濁湯と柴苓湯は、構成生薬が全く異なっています。
効能も違います。
2016/02/08(Mon) 17:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生ありがとうございます。
柴苓湯ではクレアチニンの数値を下げることはできないのでしょうか?
それから、私は先生のレシピ本を何冊か持っているのですが、腎臓が悪くなっている場合は、糖質オフはできない場合があるとありますが、腎臓が悪くなっていて、たんぱく質とカリウムに制限がある場合は、どうしたら良いのでしょうか?
食生活だけでなく治療についても、情報があり過ぎて何が真実で何を取り入れたら良いのかわかりません。
江部先生の色々なお話を読んでいると、とても分かりやすく納得できることばかりです。

2016/02/08(Mon) 21:29 | URL | 中山千尋 | 【編集
Re: タイトルなし
中山千尋 さん

最新の見解が以下のブログ記事に載っています。

2016年01月17日 (日)の本ブログ記事
「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版。糖尿病腎症と糖質制限食。」

をご参照いただけば幸いです。

柴苓湯や養腎降濁湯で効果がある場合もありますし、効果がない場合もあります。
クレアチニンを下げるのは、なかなか簡単ではありません。
2016/02/09(Tue) 08:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生ありがとうございました。
糖質制限の考え方がもっともっと広まるといいと思います。
たくさんの方々からのお問い合わせがあるにもかかわらず、お答えをいただきありがたいです。
2016/02/09(Tue) 14:09 | URL | 中山千尋 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可