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スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①
こんにちは。

スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのでしょうか?

総摂取カロリーに対して

「脂質56%、タンパク質32%、糖質12%」

という構成比がスーパー糖質制限食です。

当然、従来の一般的な食生活に比べれば、高脂質・高タンパク食となります。

ブログ読者の皆さんが一番心配なのは、高脂質・高タンパク食を長年続けたら、何らかのガンになり易くなるのではないかという懸念でしょう。

これに対しては、

「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」

というのが、結論です。

すなわち、

「スーパー糖質制限食で発ガンのリスクが増えるというエビデンスはない。」

ですし、一方

「スーパー糖質制限食で発ガンのリスクが減るというエビデンスもない。」

ということです。

これは、糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団におけるガンの発生を、10年.20年経過を追ったような臨床研究は、現時点で存在しないので、当然の結論です。


【低炭水化物食と全死亡率および死因別死亡率:二つのコホート研究

「Annals of Internal medicine
September 7 2010 vol.153 Issue5 p289-298 
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause and Cause-Specific Mortality:Two Cohort Studies
Teresa T. Fung, Rob M. van Dam, Susan E. Hankinson, Meir Stampfer, Walter C. Willett, and Frank B. Hu」

要旨

「低炭水化物食と死亡率の関連を長期にわたって調べたデータはほとんどない。今回,前向きコホート研究で,Nurses' Health Study(訳注:看護師の健康調査)に参加した85,168人の女性とHealth Professionals' Follow-up Study(訳注:医療従事者追跡研究)に参加した44,548人の男性を最大26年間追跡した。動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率,心血管死亡率,がん死亡率が高かった。一方,植物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率と心血管死亡率が低かった。」】

この論文の、

「糖質制限食(低炭水化物食)で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では、全死亡率、心血管死亡率、がん死亡率が高かった。」

を根拠にして、糖質制限食は発ガンのリスクが懸念されると言う人もいますが、これは根本的な誤解です。

この論文はあくまでも、総摂取エネルギーの35~42%を、炭水化物から摂取しているグループにおける話です。

総摂取エネルギーの12%を糖質から摂取しているグループ は、この論文のどこにも登場しないので、比較不能です。

つまり、高雄病院流のスーパー糖質制限食を実践している人においては、この論文は全く参考になりません。

炭水化物を総摂取エネルギーの60%食べているグループに比べれば、炭水化物35~42%のグループのほうが、確かに低糖質食です。それで低炭水化物食のコホート研究としたのでしょう。

一方、糖質を総摂取エネルギーの12%しか食べていないグループに比べれば、炭水化物35~42%のグループは3倍以上の高糖質食であり、低糖質食とは言えません。

これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。

糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、せいぜい基礎分泌の約2倍ていどです。

一方、炭水化物摂取比率35~42%のグループは、1回の食事の糖質は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。

すなわち、炭水化物摂取比率35~42%のグループでは、明白な発ガンリスクとなるインスリン分泌が改善できていません。

これだけのインスリン分泌量は、糖質60%のグループとさほど変わらないと思います。

スーパー糖質制限食なら、発ガンリスクのインスリン分泌は極少量で済みます。

これらのことは生理学的な事実です。

また国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」2007年、によれば、食後高血糖そのものが、ある種のガンのリスクとなります。

糖質を総摂取エネルギーの12%とするスーパー糖質制限食なら、食後高血糖は生じませんが、炭水化物摂取比率35~42%のグループは、1日3回以上食後高血糖を生じます。

「インスリン分泌が極少量」「食後高血糖がない」という、発ガンリスクを軽減させる効果があるスーパー糖質制限食において、長年続けることでそれらを上回る何らかの発ガンリスクが、存在するのかしないのかということは
、今後長期にわたり検討していく必要はあるでしょう。

幸い、現在までそのような謎の発ガンリスクは知られていませんが・・・。

結論です。

「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」のですが、発ガンリスクが明白に確認されているインスリンの分泌が、スーパー糖質制限食なら、極少量に抑えられることは、生理学的事実です。
また、発ガンリスクの一つの食後高血糖も、スーパー糖質制限食なら生じません。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
NO TITLE
ほりぐち と申します。
投稿の方法がよくわからなくて・・・・
ここに書いております。
5月24日に体調が悪く掛り付けの医院で相当進んだ糖尿と判断され血液検査を行いました。
結果は血糖値:595、HbA1c:11.7でした。
結果、ジャヌビア錠を毎朝1錠のむ、糖分は摂取は極力控えるようにと処方されました。
数日間様子を見ましたが、尿糖の検査結果は+++以上で下がる気配は見られませんでした。(ドラッグですぐ検査紙を購入しました)
心配になりインターネットで検索、先生のブログを発見、アマゾンで本を入手してさっそく5月31日から糖質ゼロの食事に切り替えました。
2日後には尿糖は+次の日には+-と激変しました。(この後。自分の判断でジャヌビアを飲むのを中止しました。)
尿糖では判断できないので血糖値の測定器を購入して血糖値も200以下になっていることが確認できました。
1カ月後の6月24日医院で採血しました。
結果は血糖値:595⇒109、HbA1c:11.7⇒9.5、中性脂肪:114⇒63、総コレステロール:234⇒282、HDL:62⇒76、LDL:149⇒193でした。
結果には大満足ですが、少し気になる点は総コレステロールが高くなったことです。
特にうれしかったのは中性脂肪の値が下がったことです。エコー検査で肝脂肪の蓄積を
注意されていましたので・・・
コメントをお願いしたいのは
1・先生には、ジャヌビアは十日以上飲んでいないことを告げたのですがジャヌビアは続けてもらはないといけませんと処方されました。飲んだ方がいいのでしょうか?
2・食事の時1回だけ家族と同じものを食べて食後1時間値で300近くになったのにびっくりしたのですが、糖質ゼロはずっと続けないといけないのでしょうか?
3・朝起きてすぐの血糖値より少し動いた朝食前の方が高いのですが気にしなくていいのでしょうか?
目にとめて頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします、(77歳男性)
投稿の方法が間違っていましたら正しい方法をおしえていただけると助かります
2011/06/27(Mon) 23:25 | URL | ほりぐち | 【編集
ダイエット飲料の飲み過ぎについて
江部先生、いつも勉強させていただいてゐます。

今回はツイッターで流れてきた以下の記事が目にとまりました。日常的にゼロコーラやネックスなどのゼロカロリー炭酸飲料を飲んでをりますので、気になりました。

ダイエット清涼飲料の飲みすぎは禁物、胴囲の増加が飲まない人の6倍に
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/ada2011/201106/520445.html

>「カロリーを減らすためにダイエット炭酸飲料の消費を促すことは、必ずしも賢明な対策とは言いがたい。カロリーはゼロかもしれないが、もたらす結果は期待通りではない」などと指摘した。

「ダイエット清涼飲料」とは、カロリーだけでなく、糖質もゼロの飲料だと思ひますが、いつたいなぜ「胴囲の増加が飲まない人の6倍に」もなつてしまふのか?

記事を読んでもその理由がわかりません。もちろん、人口甘味料の摂りすぎは体によくないのはわかりますが、「飲まない人」とこんなにも差ができる理由はなんでせうか。
2011/06/27(Mon) 23:45 | URL | まへかは | 【編集
Re: ダイエット飲料の飲み過ぎについて
まへかは さん。

2011年6月24日から28日まで開催された第71回米国糖尿病学会での報告ですね。

結果として、胴囲が増えたと記載してあるのですが、何故増えたかは書いてありません。

よくわかりませんが、運動などの補正もしてあるので
「ダイエット清涼飲料」が、カロリーゼロ、糖質ゼロなら、原因はそれ以外の食生活でしょうか?
2011/06/28(Tue) 16:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
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