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肝硬変と糖質制限食
おはようございます。

ある和歌山の外科医さんから、肝硬変と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。


【11/06/19 ある和歌山の外科医
質問です。
江部 康二 先生

はじめまして。

和歌山県で外科医をしております。
私も、高度肥満で、今年の4月からダイエットをしております。ダイエット当初は、身長167cm、体重97kg、HbA1c 8.3%であったのが、この6月中旬で85kg、HbA1c 5.3%まで改善しました。
江部先生の糖質制限ダイエットについてはダイエットの途中で、桐山先生の書籍から知り、先生の執筆された、danchuの増刊号で知ることとなり、途中から、運動療法(きついものではないのですが)と併用しております。先生の糖質制限ダイエットについて、効果がテキメンしており、周りにも、やせたいと言っている方にはお勧めしているしだいであります。(ご存知だと思われますが、医師は不養生ですから)

ところで、質問なのですが、私の専門が肝臓外科であり、肝硬変の患者に対応することが多いです。先生の書籍のなかでふれられていないのですが、肝硬変の患者に対しても、この、糖質制限ダイエットについては活用できるのでしょうか?また、適応範囲内がございましたら、教えてください。

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。】


ある和歌山の外科医さん。
本のご購入ありがとうございます。

2011年4月:167cm、体重97kg、HbA1c 8.3%
2011年6月:85kg、HbA1c 5.3%

素晴らしい改善ですね。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v 

さてご質問の、「肝硬変と糖質制限食」ですが、結論から言いますと適応となりませんし、禁忌と思います。

理由は、肝硬変の段階に至ると、肝臓の「糖新生」能力が低下しているためです。

糖質制限食実践により、食後高血糖はリアルタイムに改善します。

一方、糖質を摂取しなくても、通常は肝臓で「糖新生」をしているので、低血糖にはなりません。

空腹時や夜間睡眠時には、普通食(糖質あり)を食べている人でも、アミノ酸や乳酸やグリセロール(脂肪の分解物)を原料に肝臓で糖新生をして、血糖値を確保しています。

糖質制限食実践中は、例えばビーフステーキを食べている最中にも、肝臓で糖新生していて、これに要すエネルギーが減量効果の一つを占めていると思います。

このように糖新生能力があることを前提に、糖質制限食実践があるわけです。

従いまして、肝硬変で糖新生能力が低下している場合は、糖質制限食実践により低血糖になる可能性がありますので、肝硬変に糖質制限食は適応となりませんし、禁忌と思います。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
No title
勉強になりました。さすがはドクターだけあって見事に血糖の改善がなされしかも鋭い質問まで感心しました。肝硬変に糖質制限は禁忌だとは気付きませんでした。
2011/06/21(Tue) 09:50 | URL | ちえ | 【編集
HbA1cが下がりません
江部先生
先生の御著書、全部キッチンに揃えて、いつもどれかを開いています。糖尿人へ希望を与えてくれるすばらしいメッセージ、本当にありがとうございます。先日は台北の書店で中国語版を見かけたので、台湾人の友人にプレゼントしましたら大喜びしてくれました。

私たち夫婦(共に60歳)は、1年半前HbA1cが5.8 でした。どちらもインスリン分泌不足のタイプです(1.0)。

すぐに、スーパー糖質制限食と週2の筋トレや食後の運動を始めました。空腹時血糖値、食後の血糖値も100を超えることはめったになく、実際、これ以上はすることがないというレベルでがんばってきたつもりです。
私は160センチで、48キロから42キロになりました。スーパー糖質制限食ですと、どんなに食べても太りませんので、筋トレで筋肉を増やしていくほかないと思っています。2人共、スタミナはあるし、どんなに歩いても疲れませんし、私が長年苦しんでいたアトピーも出なくなりました。

ところが、昨日、1年ぶりに測ったHbA1cは再び、2人共、5.8だったのです。(夫はこれまでに3度ほど測定してもらっていましたが、毎回5.7前後でした。)
つまり、普通の食事をしていた時の数値と、1年半もスーパー糖質制限食と運動を厳守した結果の数値が同じだったわけです。

夫はこう言います。この1年半の間、インスリン分泌がどんどん減少したという事実が背後にあったとしたら、説明がつくのでは? 糖質制限食と運動のおかげで5.8が保たれたというふうに解釈すればいいのでは?と。しかし、全く制限をしていなかった時点での数値と、スーパー糖質制限食を1年半も続けた後の数値が同じ、ということが私には不思議でならないのです。

又、暁現象が毎日起きている可能性があるとしたら、それを改善する方法はあるのでしょうか? (薬?)

先生の御意見をお伺いできれば幸いです。よろしくお願い申します。


追伸:
奇妙なことに、私たち夫婦の血液検査の結果はほとんど同じ数値なんですよ。これってホンモノの似たもの夫婦ですよね?(←今後は代表で1人だけ検査に行けば費用も1人分ですむと笑っていますが)。




小野
2011/06/21(Tue) 18:39 | URL | 小野 | 【編集
Re: HbA1cが下がりません
小野 さん。

本のご購入ありがとうございます。

「空腹時血糖値、食後の血糖値も100を超えることはめったになく」

これならHbA1c5%くらいのはずですね。不思議です。

HbA1c5.8%なら、平均血糖値は123mgくらいです。

HbA1cには国際標準値とJDS値(日本の従来の基準値)があります。
国際標準値は、「JDS値+0.4」で表示されます。
もしかして今回のHbA1cは国際標準値なのでしょうか?

また暁現象が生じているなら、早朝空腹時血糖値は110mgを超えてくるので、こちらも大丈夫です。
2011/06/21(Tue) 19:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
JDS値と国際標準値
江部先生
早速のご回答、ありがとうございました。
HbA1cにJDS値と国際標準値の2種類があることを初めて知り、驚きました。(5.8はドイツで測ったので、JDS値では5.4 というわけですね。どちらにしても、ボーダーラインであることは確実なので一生、糖質制限は続けます)。

ところで、未だに解せないのは、糖質制限をしていなかったころ(=初めてHbA1cを測ったとき)と、スーパー糖質制限をした1年半後の数値が同じだったということです。先生のご経験上、同じような例に出会ったことがおありですか? 

この1年半のあいだ、1回だけクロワッサンを1個かじったことがありますけど、そのせいかな(笑)。

やはり、その間にも、インスリンの分泌が著しく低下したため、と見るのが妥当でしょうか? そういうふうに考えれば、同じ数値に納得いくのですけど。

再度、先生のご意見を伺うことができましたらありがたいです。

小野


2011/06/22(Wed) 23:48 | URL | 小野 | 【編集
Re: JDS値と国際標準値
小野 さん。

「5.8はドイツで測ったので、JDS値では5.4 というわけですね。」

そういうことです。

つまり、スーパー糖質制限食実践で
『JDS値で、5.8%→5.4%の改善』
ということだと思います。

もともと5.8%でコントロール良好ですので、改善もこんなものかもしれません。

2011/06/23(Thu) 00:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
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