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日本人の糖尿病患者の食事摂取の状況
こんばんは

2011年5月19日~21日、札幌で開催された第54回日本糖尿病学会において、日本人の糖尿病患者の食事摂取の状況が報告されました。

その結果は、日本糖尿病学会の食事療法ガイドラインに、概ね適合しているとのことです。


【日本では糖尿病患者は、一般の人よりもエネルギー摂取量が低く、栄養素別の摂取状況は日本糖尿病学会の食事療法のガイドラインには概ね適合していることが明らかになった。また、日本の糖尿病患者は、欧米の糖尿病患者よりも低脂質食であることも分かった。
日本人の2型糖尿病患者の実態を調査している大規模臨床研究であるJapan Diabetes Complication Study(JDCS)によるもので、筑波大学水戸地域医療教育センター内分泌代謝・糖尿病内科の堀川千嘉氏(写真)らが、札幌で開催された日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。】


この報告によれば、日本の2型糖尿人は、医師の指導を比較的よく守って、低カロリー低脂質で健気に頑張っていることとなります。

当時の国民健康・栄養調査と比較すると、1日のエネルギー摂取量は国民平均の2002kcalに対して、本研究対象者の1日のエネルギー摂取量は1737kcalとかなり低カロリーです。

3大栄養素のエネルギー比率は、炭水化物で53.6%、タンパク質で15.7%、脂質で27.6%です。欧米より炭水化物比率が多く、脂質比率が少ないです。

ところが、このように日本糖尿病学会の食事療法ガイドラインに、概ね適合しているにも関わらず、全国59施設の40~70歳の2型糖尿病患者1516人というこの大規模調査で、インスリンや経口剤も適宜使用していてもHbA1c(国際標準値)7.9±1.3%でした。日本の基準値JDSになおしたら、HbA1c7.5±1.3%です。

従来、インスリン・経口薬・運動療法・食事療法(カロリー制限)をしていても、HbA1c6.5未満のコントロール良好群に入る2型糖尿人は、3割に満たないと言われていたので、今回の報告結果も、こんなものと思います。

やはり糖質を摂取する限りは、コントロール良好への道は困難としか言いようがありません。

一方、糖質制限食なら、カロリー制限なしで、コントロール良好を保てる糖尿人は、過半数を占めると思います。

インスリンも内服薬も運動もなしで、コントロール良好の方も多数おられます。


江部康二



☆☆☆
以下は2011. 5. 23の日経メディカル別冊編集・オンライン版の記事を転載です。

【日本人の糖尿病患者の食事摂取の状況、
日本糖尿病学会の食事療法ガイドラインに概ね適合

筑波大学水戸地域医療教育センター内分泌代謝・糖尿病内科の堀川千嘉氏

日本では糖尿病患者は、一般の人よりもエネルギー摂取量が低く、栄養素別の摂取状況は日本糖尿病学会の食事療法のガイドラインには概ね適合していることが明らかになった。また、日本の糖尿病患者は、欧米の糖尿病患者よりも低脂質食であることも分かった。日本人の2型糖尿病患者の実態を調査している大規模臨床研究である

Japan Diabetes Complication Study(JDCS)によるもので、筑波大学水戸地域医療教育センター内分泌代謝・糖尿病内科の堀川千嘉氏(写真)らが、札幌で開催された日本糖尿病学会(JDS2011)で発表した。

欧米では糖尿病患者は肥満傾向にあり、食事制限や身体活動が奨励されるレベルに至っていないことが報告されている。一方、日本人糖尿病患者の食事摂取状況を調べた大規模な調査はなく、日本人の食事摂取状況は明らかでない。そこで堀川氏らは、日本人2型糖尿病患者の食事摂取状況と日本糖尿病学会の食事療法のガイドラインへの適合状況を調べた。

対象は、全国59施設の40~70歳の2型糖尿病患者1516人。1996年に実施した食物摂取頻度調査(FFQg)で有効な回答が得られた人で、HbA1c(JDS値)が6.5%未満の場合は除外した。

対象者の基本属性は、年齢59±7歳、糖尿病罹病期間は11±7.1年、体重は58.4±9.3kg、BMIは22.9±3.0kg/m2、HbA1c(国際標準値)7.9±1.3%、インスリンの治療者は20.0%、経口薬のみの治療者は65.8%だった。

食事調査には、日常の1~2カ月程度の期間の栄養素および食品群別摂取量を推定するために使用されている調査票である食物摂取頻度調査 (FFQg)を用いた。計算には「エクセル栄養君」を使用した。

その結果、対象者の摂取エネルギーは1737kcalで、3大栄養素のエネルギー比率は、炭水化物で53.6%、タンパク質で15.7%、脂質で27.6%だった。

一般の健康な日本人の食物摂取状況を示すものとして当時の国民健康・栄養調査と比較すると、本研究対象者の1日のエネルギー摂取量は国民平均の2002kcalよりも低かった。

栄養素別にみると、炭水化物のエネルギー比率が国民平均よりやや低めではあるが、3大栄養素のエネルギー比率は対象者と国民平均はほぼ同等だった。

さらに、対象者の栄養素摂取状況と、日本糖尿病学会の推奨比率および欧米における比率を比較したところ、炭水化物エネルギー比率は、日本糖尿病学会の推奨比率(55~60%)をわずかに下回っている程度だった。また、欧米諸国が提案している糖尿病治療食のエネルギー比率(45~65%)には十分に適合していた。

海外糖尿病患者の栄養摂取状況と比較すると、日本の糖尿病患者は米国、スペイン、ヨーロッパなどの欧米諸国の糖尿病患者よりも炭水化物エネルギー比率が高く、脂質エネルギー比率が低いことが分かった。一方で、アフリカや韓国の糖尿病患者と比較すると、炭水化物エネルギー比率が低く、脂質エネルギー比率が高いことが分かった。

なお堀川氏は、本研究の限界点として、自記式調査票による調査であったため記入者の過大申告や過少申告の可能性があること、調査方法や質問紙の違いによる摂取推定量の誤差があることを挙げた。】



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖尿病学会ガイドライン食事療法でのコントロ-ル不可能の実例
先日、ブロともをおねがいした名古屋・hです。
私は現在69歳、日本糖尿学会認定専門医指導の下、食事療法、運動療法を続けてきましたが、徐々に悪化して、この4月には薬治療が必要な状況となりました。この時、先生の糖質制限食を知り、約2か月実施した結果は以下の通りです。

            HA1c        空腹血糖値
04,10,01     6.0          127
09,02,25     6.1          100
10,08,25     6.3          108
11,02,28     6.8          128
11,04,18     7.3          125
ス-パ-糖質制限食実施
11,06,13     5.8           97

従来の食事療法、運動療法ではコントロ-ルできなくなり、薬漬けになる寸前で糖質制限食で救出されました。糖質制限食をお教えいただいたことに深く感謝しています。

主治医はこの結果に大変驚いていましたが、糖尿病学会指定の専門医であるにもかかわらず、糖質制限食については全く知りませんでした。
江部先生の啓蒙活動でより多くの人が糖質制限食の恩恵に浴することができるよう望む次第です。

なお、ブログで紹介のロ-カ-ボオ-ト麦パンは利用させていただいています。味もなかなか良好です。

名古屋・hさん
2011/06/16(Thu) 00:30 | URL | 名古屋・hさん | 【編集
No title
こんにちは。
今回の記事を読み、困難だった主治医や栄養士とのやりとりを思い出してしまいました。糖質制限は数値として結果を出せば医師にはなんとか理解されるのですが、栄養士は難しいと思います。実際、無理でした。

話は変わりますが、ちょっと前に「糖尿病=ウイルス感染説」というものを聞いたことがあります。もし、そうだとするとⅠ型、Ⅱ型共に幼少期の予防接種で患者数を大幅に減らすことが出来るのに・・・
先生はいかが思われますか?
2011/06/16(Thu) 06:47 | URL | こう | 【編集
栄養指導に疑問を感じたので
江部先生こんにちは。
今月より、これまでの病院への通院をやめて、高雄病院京都駅前診療所でお世話になっています。
昨年より糖尿病の治療をしていますが、通院を続けているうちに疑問に思う事が色々出てきました。
いくら頑張っても5.6から5.8のくらいまでにしかならない。
夕食2時間後、血糖値140を越える事も少なくありません。
特定検診の医師からは、A1cを今の水準で維持するのは無理なんて趣旨の発言。
また通院していた病院の管理栄養士さんは、野菜なら1キロ食べても良いなんて発言。
冷静になって考えて出した結論が、高雄病院京都駅前診療所にお世話になり、
糖質制限食を取り入れる事でした。
おかげさまで、A1c5.2になっただけでなく、身体に力が入るようになりました。カロリー制限食では、毎日フラフラの状態でしたので。
それと血糖値がいくら上がっても食後1時間120程度になりました。
健康を取り戻した気分になりました。
ありがとうございました。これから頑張っていきます。
2011/06/16(Thu) 13:20 | URL | 摂津のエクレア | 【編集
アメリカ糖尿食近況
江部先生
この一年アメリカ駐在になりHBA1cが無投薬で4.8~5.2と
数値が良好でしたのでご無沙汰していました。
依然として日本の食事指導が総カロリー規制だと知り
ややショックを受けコメントさせていただきました。
患者自身が「糖質摂取量と上昇血糖値」が比例している一点さえ
教えられていれば自分の身体で試して実感するでしょうに、
知らないことの怖さを感じます。

ところで、本題のアメリカですが、日本とはかなり違う方向で
食事指導がされています。
インスリンが一番効果的なのは当然として、
西海岸の都市部では肥満と糖質のコントロールが
投薬以上に重要だという医師のほうが多いです。

患者の状態により、発覚直後の血糖値を下げるために
ほぼ糖質をカットするという処置はありますが、
糖質自体は不可欠な栄養素なので、いかに血糖値を上げないように
必要最低限の糖質を摂取する方法を指導されます。
1食事の最初に主食類をとらない、野菜や肉類を先にとり
 後半に主食類を。
2棟質量は個人の糖尿コントロール状態により減量幅を決める。
 主食の減った分は野菜を増やす。
3主食の種類も全粒粉など繊維質の多いものを選び
 固く調理することで吸収を遅らせる。
4インスリン分泌のある人は食後ならばデザートもOK、
 その分は主食の糖質量と調整する

私の先生はこんな感じでした、「FEWER, SLOWER, LATER」
(糖質は少なめに、吸収の遅いものを、あとから摂取)という感じで
食事の重点はカロリー制限よりも糖質の量と取り方に置かれています。

私のいるカリフォルニアはアジア系が多く、食事指導の際も
人種にあった話をしてもらえます。
アジア系の非肥満者の糖尿発症率が高いのは認識されていて
担当医師のグループでは、食事が原因だと考えているそうです。
白人の典型的な食事と比べ糖質が多く、「空腹にいきなり糖質」的な
食事多く膵臓への負担が大きいそうです。
非肥満のアジア系患者は、食事指導で糖質をコントロールするだけで
数値が大幅に改善し、過半数が無投薬で観察状態になるそうです。
糖尿発症率が高いのは遺伝子ではなく食事習慣だろうと
考えているようです。

アメリカでは個々の医師の裁量幅が広く、患者も治療を自由に選べる
あくまで西海岸の都市部での一歩進んだ糖尿意識です。
人口が少なく生活習慣病医不足の中西部、南部では今でも
「EAT LESS, WALK MORE, AND LOSE WEIGHT」
(食事を減らして歩いて減量)が基本です。

即座に手術などが必要なく、毎日の食事が将来の病状を大きく左右する
糖尿は永くつきあう友達のようで、悪魔のような存在ですね。
2011/06/16(Thu) 18:01 | URL | 糖尿東京人(在米) | 【編集
Re: 糖尿病学会ガイドライン食事療法でのコントロ-ル不可能の実例
名古屋・hさん

血糖値、HbA1c改善、良かったです。
このまま、薬なしで、美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さい。
2011/06/16(Thu) 22:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: No title
こう さん。

1型は何らかのウィルス感染をきっかけに、免疫の誤作動を生じ、
β細胞を自己破壊してしますという説があります。
しかし特定のウィルスが確定しているわけではありません。

2型はウィルス感染は無関係で、生活習慣と遺伝的素因が大きいと思います。
2011/06/16(Thu) 23:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 栄養指導に疑問を感じたので
摂津のエクレア さん。

高雄病院京都駅前診療所に受診されて、
HbA1c5.2%とは、素晴らしい改善ですね。

体調も良好とのこと、高雄病院理事長として、私としても嬉しい限りです。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
2011/06/16(Thu) 23:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
サーチュイン遺伝子と糖質制限食
日曜放映のNHKスペシャル「あなたの寿命は延ばせる ~発見!長寿遺伝子~」 (再放送予定:2011年7月3日(日)  午後3時50分~4時39分 総合 )にて「飢餓状態になるとサーチュイン遺伝子が活性化して若返る」と放映されました。食料を30%減した老齢アカゲザルの毛色も毛並み若々しかったことが印象的でした。「糖質制限食DVD」を改めて見直したところ、江部先生の髪の毛の黒くて若々しいこと!! 番組では「人間で基礎代謝量から25%減量した食事を3~7週間継続すると、サーチュイン遺伝子が働き始める」内容でした。江部先生は顔の肌の張りといい、サーチュイン遺伝子が働いている、としか思えません。日々のブログを拝見するに、江部先生が「25%減量した食事」をしているとは到底思えません。間違っていたらゴメンナサイ><

  ◎『糖質制限食を継続すると25%減量した食事でなくても、サーチュイン遺伝子が働く』が体内で起こっているのでしょうか? 

現在、番組の影響で健康食品「レスベラトロール」がネット通販で売り切れ続出中です><
お手透きの時にご教示頂ければ幸いです。


2011/06/17(Fri) 13:42 | URL | らこ | 【編集
葛藤
ご無沙汰しています。

2型糖尿病もしくは機能性低血糖の可能性大と指摘いただきましたnorikkyです。

その後、江部先生のおかげで血糖値はFBS70~80

昼食後 1時間値 90~140  2時間値 90~120代で

経過しています。 これも 糖質制限食の賜物です^^

今回ですが、私看護師なのですが・・江部先生のおかげで血糖値などの推移など勉強させていただきました^^


ですが・・糖尿病の患者の 入院患者さんの ターゲスみるなり・・・

2時間値が 200とか・・ 悪までも主治医の意見のなので なにもいえませんが・・・

相変わらず 1400カロリーの糖尿病食です。

血糖値上がっても あたりまえだし・・と自分で思いながら。

自分だけでも血糖コントロールして合併症を起こさなければいいかな?
と思っていますが・・。

「糖質制限食すれば 血糖コントーるできますよ」と患者さんに教えたいですけど 悪までも主治医の判断と私看護師なので言えない葛藤もあります。

一応 管理栄養士には ここのサイトをすすめました。

「糖質制限食を行った人の10年後20年後のデータがないから安易に勧められない」でした。確かにそうですが・・


私達糖尿病人としては、いかに血糖をコントロールして 合併症を防ぐべきだと反論したいです。
医師が勧めるカロリー制限食たべても 血糖は グルコーススパイス起こすだけですし。

江部先生の論じる、GI値の低い食事をするかで合併症を防ぐべきかと思います。

「10年20年のデータなくても 糖尿病による足切断して長生きするより、しっかり血糖コントールして少しでも生きたほうがましです」

アルコールなしの病院食より 適度のアルコール摂取もできて血糖コントロールできたほうが楽しく人生を味あえます。

私は、そう思っています。 私なりに 葛藤あじわってますが・・
早く 江部先生の糖質制限食が 日本で広まる事を祈っています。

ましてや 国の医療費削減になるかと思います。




2011/06/17(Fri) 14:11 | URL | norikky | 【編集
Re: 葛藤
norikky さん。

長期間の糖質制限食の例ですが、
イヌイットは、4000年間、生肉.生魚が主食でスーパー糖質制限食だったころは
糖尿病や心筋梗塞はほとんどありませんでした。

1920年代に小麦を常食しはじめて、40~50年で糖尿病も心筋梗塞も
欧米並みに増加しました。

また、現在まで動脈硬化のリスク要因として知られている、HDL-C、LDL-C、血糖値、中性脂肪など
全てが糖質制限食で改善します。
西洋医学の現在までのEBMが正しいなら糖質制限食の予後も悪かろうなずがありません。
2011/06/17(Fri) 17:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: サーチュイン遺伝子と糖質制限食
らこ さん。

髪の毛も大分白くなり、生え際は若い頃に比べれば後退してます。

まあ、糖質制限食をはじめてから、髪の毛1本1本が太くしっかりした感じではあります。

お腹いっぱい食べてますので、1800~2000キロカロリ/日の食事と
それとは別にボチボチのアルコールですね。

レスベラトロールはマウスではいいデータがあるみたいですね。
でも人間ではまったく未知数ですので、私はのみません。
2011/06/17(Fri) 17:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
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