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食事誘発性熱産生(DIT)
こんにちは。

今回は、Toshi さんから食事誘発性熱産生(DIT)についてコメントいただきました。
私もうろ覚えだったので調べてみました。

Tarzan「体脂肪の燃やし方」、いいですね。私も買おうと思います。

【11/06/06 Toshi
Tarzan 579号
江部先生こんばんは
先日本屋さんにて「体脂肪の燃やし方」のタイトルになんとなくひらめきを感じ、タイトル名の雑誌を購入しました。
内容は「体脂肪を溜めない」「体脂肪を燃やす」という方面から糖質制限を勧めていて、良い意味で復習できました。
特に「DIT」という聞き慣れない単語の解説もあり、とても参考になる内容でした。やはり糖質制限は正しいんだと再認識いたしました。
これからも糖質制限が広まる事に期待しております。】


Toshiさん。
コメントありがとうございます。

食事誘発性熱産生(しょくじゆうはつせいねつさんせい)
Diet Induced Thermogenesis(DIT)

厚生労働省のページにわかりやすい解説があったので引用します。


【厚生労働省 メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト e-ヘルスネット】
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html

「食事誘発性熱産生
食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること。
食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。このため、食事をした後は安静にしていても代謝量が増えます。
この代謝の増加を食事誘発性熱産生または特異動的作用といいます。
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは、栄養素の種類によって異なります。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、
糖質のみの場合は約6%、
脂質のみの場合は約4%で、
通常の食事はこれらの混合なので約10%程度になります。
食事をした後、身体が暖かくなるのはこの食事誘発性熱産生によるものです。
加齢や運動不足で筋肉が衰えると、基礎代謝が低下するだけでなく食事誘発性熱産生も低下します。
逆にトレーニングで筋肉を増やすと食事誘発性熱産生は高くなるとされています。
また、食事の摂り方としてよく噛まずに飲み込んだり、流動食だけを摂る場合に比べると、よく噛んで食べる方が食事誘発性熱産生は高くなるといわれています。」


恥ずかしながら、私はタンパク質・糖質・脂質で、それぞれ食事誘発性熱産生(DIT) が異なることを知りませんでした。

タンパク質を摂取したときのDITが30%と突出しています。

肉や魚や豆腐を中心に食べると身体が温かくなるということですね。

さて、スーパー糖質制限食と糖尿病食で、DITを試算してみました。

わかりやすくするため、1食1000キロカロリーとして計算してみました。

<1000キロカロリーの食事で試算>

スーパー糖質制限食 

糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は7.2kcal
脂質56% 560kcal→食事誘発熱産生は22.4kcal
蛋白質32% 320kcal→食事誘発熱産生は96kcal
合計125.6kcal→摂取エネルギーの12.6%

糖尿病食 

糖質60% 600kcal→食事誘発熱産生は36kcal
脂質20% 200kcal→食事誘発熱産生は8kcal
蛋白質20% 200kcal→食事誘発熱産生は60kcal
合計104kcal→摂取エネルギーの10.4%

スーパー糖質制限食は糖尿病食より、約2.2%ほど食事誘発熱産生(DIT)が多いことになります。


同一摂取カロリーなら、何を食べても食事誘発熱産生(DIT)は一緒と思い込んでましたが、実際は違うんですね。勉強になりました。

ということで、同一摂取カロリーなら、スーパー糖質制限食の方が糖尿病食よりは食事誘発熱産生(DIT)が少し多くて、ささやかだけどダイエットに有利です。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
グルカゴンと糖質制限
先日某大学病院の先生の糖尿病の講演で糖尿病の原因はインスリンとグルカゴンの分泌異常だという話を聞きました。インスリンについては糖質制限の有効性は理解できるのですが、グルカゴンの分泌異常(多く出てなかなか減らない)について糖質制限はどういう効果があるのでしょうか。またその先生の話では血中のブドウ糖、インスリン、グルカゴンの比率を健常人に近づけると肝臓がブドウ糖をどんどん取り込み血糖値が下がるとのでブドウ糖の摂取は必要だと言っておられましたが、江部先生はどう思われますか?
2011/06/08(Wed) 13:47 | URL | 佐藤 | 【編集
Re: お久しぶりです
モン吉 さん。

ありがとうございます。
一桁間違えてました。
早速訂正します。
2011/06/08(Wed) 23:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
違和感
私の認識が間違っていなければ、食事誘発熱は食後に体が熱くなる感じがする現象の事で良いのでしょうか?
普通の食事をしていた頃は、気温が高くなると、食後に汗をかいていたり、団扇で扇いでいたりしました。しかし、糖質制限食にした頃から暑い時でも食後に汗をかくことが殆ど無くなりました。
冬は体が温まり難い感じがします。ただし、体温の持続性はある気がします。

糖質制限食の食事誘発熱が多いなら、今まで以上に汗をかいていてもおかしくはないのですが、逆に汗をかかなくなってしまいました。ちなみに、同じ定食をご飯付きで食べた同僚は汗をかいていました(笑)。
普通の食事をしていた頃より、糖質制限食で体重を落としているので、それも関係しているとは思います。

これは少数派なのでしょうか?皆さんはどうでしょうか?
2011/06/09(Thu) 00:14 | URL | ざと | 【編集
Re: グルカゴンと糖質制限
佐藤 さん。

教科書的には、糖尿人において、インスリン作用不足により二次的に高グルカゴン血症となるようです。

ということは、糖質制限食でインスリン作用不足を解消してやれば、必然的に
血中のブドウ糖、インスリン、グルカゴンの比率は、健常人なみになると思います。

糖尿人が糖質(ブドウ糖)を摂取すれば、インスリン作用不足が目立ちますので、当然良くないと思います。
2011/06/09(Thu) 08:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 違和感
ざと さん。

わたしも同様です。
体重が10kg今より多い頃は、食事中に汗をかくことがありましたが、
今はありません。
よくわかりませんが、DITだけでは語れないのでしょうね。
2011/06/09(Thu) 08:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
なるほど
初めまして。ルナと申します。

糖質制限を我流ながらやり始めて。1ヶ月がたちました。

ダンスの発表会のために、体重を短期間で落としたくて糖質制限を始めました。1ヶ月で約4kg減らすことが出来ましたが、
標準体重にはまだまだといった踊れるおデブなんです(^^;)

糖質制限を意識した食事を最近とるように心がけ始めて、職場での昼食後に同じ室温の部屋にいるはずなのに、
一人だけ、発汗(驚)昼食に行く前は少し肌寒くて上着を羽織っていたんですが…

何か、関連はあるのだろうかと調べていてこちらの記事に辿り着き、なるほど!と思えました。

随分前の記事だったのですね。

今回短期で落とすためと思っていましたが、とても自分にあっていますし、標準に持っていくまで、標準になってからの
自分の体コントロールのために、糖質制限を続けようと思っています。
2015/09/10(Thu) 13:24 | URL | ルナ | 【編集
Re: なるほど
ルナ さん

減量成功良かったです。

確かに、食事誘発熱産生は、高タンパク食で増加するので、糖質制限食だと温まりますね。
2015/09/10(Thu) 18:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
Westerterp KR, Nutr Metab (Lond). 2004;1(1):5
で検索してください
食事誘発熱産生に関する論文です
2016/11/05(Sat) 18:26 | URL | 名無しのヒデ | 【編集
Re: タイトルなし
名無しのヒデ さん

ありがとうございます。
読んでみます。
2016/11/05(Sat) 20:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
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