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糖質制限食と動物性脂肪・2011
こんばんは。

今回はエルザさんから、糖質制限食と動物性脂肪についてコメント・質問をいただきました。


【11/06/03 エルザ
動物性脂肪
はじめまして。江部先生。
これから、糖質制限食を初めてみようと思い、先生のご著作やコラムを拝見しています。

よく、動脈硬化を予防するために、動物性脂肪は避けるよう言われています。糖質制限食の場合だと、動物性脂肪はカロリー源ということになると思いますが、毎日ロースやバラ肉を食べてしまっても、良いのでしょうか?揚げ物はいかがですか?原始時代にはなかったと思いますが・・・
私は、血糖値が食後1時間値200、空腹時は95ぐらいです。
また、HDL-C 90 LDL-C 58で、やせっぽちです。



エルザ さん。
本のご購入、ありがとうございます。

【揚げ物はいかがですか?原始時代にはなかったと思いますが・・・ 】

確かに、火を使い始めたのはいつごろなのか?

一説には50万年前とか言われてます。

少なくとも火の発見と継続的使用の、前段階では全て生食ですね。

その後の50万年間は、火の通ったものを食べているので、火を使うのは許容範囲でしょう。

あとは、総摂取カロリーに占める割合として、大雑把に脂質56%、タンパク質32%、糖質12%くらいであれば油脂を使って揚げ物をしても、まあいいかと考えてます。


次に、糖質制限食を推進する立場として、動物性脂肪の適切な摂取量はどのくらいかということですね。


① 赤肉(牛・豚・羊)

世界ガン研究基金の2007年の報告
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php

世界ガン研究基金の食生活指針の中で

「動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。赤肉は週500g以下に。」

と記載されています。これは、ひとつの目安でしょうか。

「赤肉(牛・豚・羊)の摂取量を、週500g以下」というのは、日本人にとってはそんなに高いハードルではないですね。

ちり鍋、寄せ鍋、水炊き、湯豆腐、ちゃんこ鍋、かき鍋、石狩鍋・・・、野菜炒め、煮魚、焼き魚、おでん、ラカントSを使って麻婆豆腐、鶏肉料理・・・、週1回は、150gの牛ステーキを食べて・・・。

結構豪華な食生活でも、赤肉500g/週以下で目標達成です。

でも、赤肉500g/週以下というのは、米国人には厳しい目標ですね。

まあ、世界ガン研究基金には逆らうようですが、糖質制限食をしている場合は、私個人の意見としては、赤肉をもう少し摂取してもいいような気がします。


②脂肪摂取量

柴田博著「ここがおかしい日本人の栄養の常識」(技術評論社)2007年 

を参考にさせていただいて、脂肪摂取量(動物性脂肪+植物性脂肪)80~100g/日くらいまではOKと思います。

そして脂肪摂取量が40g以下とか少なすぎるよりは、100gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかに良いという報告があります。

なお日本人の動物性脂肪供給量は、

2003年の統計では米国の71.5gに対してわずか34.5gです。

植物性脂肪供給量は、米国で83.9gで、脂肪全体では155.4g、

植物性脂肪供給量は、日本で51.7gで、脂肪全体では86.2gです。

この国連食料農業機関(FAO)の統計は供給量ですから、摂取量はもっと少ないです。

ちなみに世界一の脂肪供給量の国は、フランスです。

動物性脂肪106.4、植物性脂肪62.0、総脂肪168.3gです。

動物性脂肪の摂取量は、米国よりはるかに多いですが、フランスの虚血性心疾患(心筋梗塞など)罹患数は、米国よりはるかに少なくて、フレンチパラドックスと呼ばれています。

こうなると、動物性脂肪が単純に心筋梗塞に悪いとは言えないようですね。

英国心臓財団の1999年のデータによると、35〜74歳の男性の虚血性心疾患による死亡率は、米国では10万人あたり115人で、フランスでは10万人あたり83人です。

米国人は、大量の植物性脂肪を供給されており、そのほとんどは大豆油のようで、リノール酸過剰摂取の弊害が、心筋梗塞を増やしている可能性があります。

脂肪摂取量に関しては、

2010年01月28日 (木)のブログ「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」
2010年02月10日(水)のブログ「糖質制限食と脂質の摂取量」
2010年02月12日 (金)のブログ「糖質制限食と脂質の摂取量・続き」
2010年02月15日 (月)のブログ「糖質制限食と脂質の摂取量・続き・お詫びと訂正」

をご参照下さい。


③コレステロール低下医療と脂質栄養の方向転換(プレスセミナー)

2009年10月20日(火)東京
主 催:金城学院大学「脂質栄養」オープン・リサーチ・センター、日本脂質栄養学会
後 援:日本薬学会

「コレステロール仮説の崩壊と動物性油脂の復権」 奥山治美(*)

コレステロール低下医療の方向転換が進み始めた。リノール酸摂りすぎが多くの病気を増やしており、また数種の植物油脂は実験動物に有害作用を示す。これに対し動物性脂肪は安全性が高い。健康に良い油脂の選び方は、完全に方向転換しなければならない。

日本脂質栄養学会の奥山先生は「リノール酸の摂りすぎが良くなくて、動物性脂肪は安全性が高い」と明言しておられます。植物性油脂の主成分がリノール酸です。

④<米国医師会雑誌2006年2月8日号>

米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。

この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。

脂質熱量比率20%ですから、対照群の女性(脂質熱量比率30数%)に比べれば、動物性脂肪も植物性脂肪も含めて40%くらい摂取量を減らした計算です。

権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけです。

動物性脂肪も間違いなく減らしていますが、心血管疾患(心筋梗塞など)は全く減りませんでした。


①②③④を合わせて考えてみると、少なくとも大食漢ではない通常の日本人が、糖質制限食を実践するとき、結構お腹いっぱい食べても、動物性脂肪や動物性タンパク(赤肉)が過剰になる心配は少ないといえますね。 (^_^)

なお高雄病院方式の糖質制限食では、バターやチーズは0K食品です。


*)奥山 治美
薬学博士 東京大学薬学部卒。東京大学大学院薬学研究科修了。東京大学助手、名古屋市立大学助教授、教授を歴任。現在金城学院大学特任教授、「脂質栄養」オープンリサーチセンター・センター長。日本脂質栄養学会初代会長。名古屋市立大学名誉教授。脳機能、生活習慣病に及ぼす脂質栄養の影響を広く研究し、新方向へ転換を推進中。油の正しい選び方・摂り方、農文協、2008年



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
妊娠糖尿病
江部先生、はじめまして。
今回初めてコメントさせて頂きます。

現在29週、第2子を妊娠中です。
第1子の時の50g OGTTの糖負荷試験で1時間値が166であり、75gの糖負荷試験を受けることになりました。そこで妊娠糖尿病について調べたところ、先生のブログや著書を知ることが出来ました。そして、スーパー糖質制限食を実行し、検査の結果
空腹時 66
1時間値 158
2時間値 138
となり、無事に39週で2420gの赤ちゃんを出産することが出来ました。

そして、第2子を妊娠中の現在、50g OGTTを受けたところ、また166となり75g OGTTを受けることになりました。

結果は
空腹時 78
1時間値 176
2時間値 180
HbA1c 4.9  
という結果になり、妊娠糖尿病と診断されました。

両親共に糖尿病であり、遺伝要因はかなり強いと思いますが、なるべく糖質制限をしてきたつもりでったのでショックも大きく、、、。
主食は食べていませんでしたがチョコレートやクッキーが食べたくて食べてしまっていたのが原因でしょうか?

年齢も35才を過ぎ、今回の妊娠で足の静脈瘤がひどく思うように運動もできません。
2時間値の血糖が上昇してしまったのは、もはや糖尿病を発症してしまったのでしょうか?
2011/06/05(Sun) 01:56 | URL | ニジスケ | 【編集
Re: 妊娠糖尿病
ニジスケ さん。

現時点で妊娠糖尿病ですが、糖尿病ではありません。
75gOGTTは、通常の食事とはかけ離れた糖質摂取です。
あまり気にしなくていいと思います。
妊娠中、糖質制限食を続ければ、血糖Tコントロールは問題ないと思います。
2011/06/05(Sun) 09:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
有難うございます。
江部先生。
詳しく、教えてくださって有難うございます。
安心して、おいしいおかずを作って、幸せ気分になります。もちろん、糖質は避けて (^^)
2011/06/05(Sun) 18:22 | URL | エルザ | 【編集
はじめまして
初めてコメントさせて頂きます。
今回の記事も興味深く拝見させていただきました。
お肉大好きなので参考にさせていただきます。
私は昨年末に2型糖尿病と診断されてから、困り果てていたところを
糖質制限に救われたものです。
先生のサイトを参考にさせて頂き、スタンダード糖質制限を実施しています。
2010年11月の時点でHbA1cが11.3、空腹時も198と高く…
現在ではHbA1cが5.1で空腹時は78~95位に下がりました。
ちなみに投薬無し、食事と運動のみです。
主治医には褒めて頂き、先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

ところが今回妊娠したことが分かりました。
かねてから希望していた、待望の第一子です。
現在妊娠6週初めで、主治医には『食後2時間で200を超えたらすぐ受診して下さい』と言われました。
その時はそのまま帰宅しましたが、色々調べるうちに食後は120以下に抑えるのでは?と疑問が出てきました。
先生のブログにも空腹時は100以下、食後2時間は120以下と書いてある記事があったと思いますが…。
私の主治医の指示はまちがっているのでしょうか?
とても良い先生で疑う気は無いんですが、子供の事があるので心配です。
ちなみに昨晩はうっかりお寿司を食べてしまい…食後2時間は160を越えてしまいました。子供は大丈夫かと心配です。
宜しければご意見頂ければ幸いです。
2011/06/06(Mon) 05:28 | URL | ぴいちゃん | 【編集
Re: 母の糖尿病について
つるた さん。

糖質制限食で痩せるときは、カロリー不足が考えられます。

オリーブオイルを使った料理、
果物1/3個を1日に2回間食、
ミックスナッツを20~30粒を1日2回間食、

などで、しっかり脂質・糖質・エネルギーを摂取してください。

2011/06/06(Mon) 18:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
赤肉はどこがだめなのでしょう?
赤肉はどこがだめなのでしょう?

江部先生
お疲れさまです

赤肉をたくさんとると心疾患リスクが高まるという情報は
よく目にしますが
どうしてなのかしろうとにはよくわかりません!
ネット上でしらべても明確な答えがみつかりません

統計上だけでメカニズムは不明なのでしょうか?
それとも赤肉自体よりそれについてくる脂肪が問題なのでしょうか
(それでしたら、ヒレ肉や脂肪を除去すれば制限はほとんどなくなると思いますが)
赤肉もたんぱく質で他のたんぱく質同様アミノ酸に分解してから吸収される
はずですから同じはずでは?と素人は思ってしまいます

赤肉大好きなのでつい質問させていただきました

もしお手すきがあったらでお願いします
2011/06/07(Tue) 09:59 | URL | 肥満人 | 【編集
Re: 赤肉はどこがだめなのでしょう?
肥満人さん。

赤肉と心疾患、調べてみます。
2011/06/07(Tue) 18:47 | URL | ドクター江部 | 【編集
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