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脂肪分解と糖新生と糖質制限食
おはようございます。

今回はポコロコさんから、「脂肪分解と糖新生と糖質制限食」について、コメント・質問をいただきました。


【11/05/26 ポコロコ
代謝は難しい
江部 先生
今日は、初めまして。
最近このHPを知り、楽しく感心しながら読ませて頂いています。
さて、糖質制限ダイエット、というか糖質制限療法というか、
とにかく「糖質制限をする事は、人間(人類)の本来の食事生活に近い食生活をすることであるので、健康に良いのでは無いか?」
という事ですよね。
素晴らしい。そしてエビデンスも揃っている。
そもそも簡単に「糖質」が手に入らなかった時代に、その貴重な栄養を秋の収穫時に身体に漏らさず蓄え、それを冬の厳しさに対抗する「足し」にしていたという事か・・・
その貴重さとおいしさの為に次の秋が待ちどうしかったでしょうね。
そして普段は動物や魚、保存の利く木の実をなるべく丸ごと食べ、経験によって身体に良いと思われる草や樹皮等を、「薬(そう思っていたかどうか分かりませんが)」として摂取して長い長い時代を生き抜いてきた。
農業を始めて、糖質を手に入れやすくした為に、まるで貴重品を持った人がさらに欲しがるように糖質の「甘さ」の質を高め、それが人々にさらに求められ、中世のフランスのようにケーキの無駄食いによる、虫歯がステイタスにまでなったのでしょう。
そして、糖質の発展(ケーキなど更に甘くて美味しいもの)が、本来主食ではない、エクストラとして摂取していた穀物、特に精製された炭水化物が砂糖そのものと同等のカロリーを持ち、本来身体にとって余分なもの、たまに貰えるお年玉ではなく、毎月当たり前のように貰えるお小遣いと錯覚してしまったのでしょう。糖尿病は、そのバチが当たった、というところでしょうか。
すいません、前置きが長くなりすぎました(^^;
一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。
個人的には「ちょっと極端な感じがするな~」とも思ったことを覚えていますが、「折角ある筋肉を、少しでもダイエットをする為に消耗してしまうのは何だか大変もったいないぞ」とも思い、低インシュリンダイエットやその他炭水化物ダイエットに踏み切れませんでした。
(言い訳がましいのですが・・・^^;)
その辺をお手すきの時に教えて頂けると迷い無く、家内にも堂々とダイエット生活に入れるのですが・・・・。
よろしくご回答お願い致します。
ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが(^^) 】




ポコロコさん。
コメントありがとうございます。
前置き?・・・仰有る通りだと思います。

【一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。】

糖質を制限すると、脂肪は常に分解されていて、肝臓では常に糖新生(新たにブドウ糖をつくること)をしています。

つまり、ビーフステーキを食べている最中にも、脂肪が分解されてますし、糖新生も行われています。

中性脂肪が分解すると脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸はそのまま、心筋や骨格筋など体細胞のエネルギー源となります。

また脂肪酸は肝細胞内で日常的に代謝されてアセチルCoAになり、アセチルCoAからケトン体が生じます。

ケトン体は脳細胞をはじめ、肝細胞と赤血球以外の全ての細胞のエネルギー源となります。

糖質制限食実践中や絶食中は、肝臓でのケトン体産生が高まります。

肝臓の糖新生は、空腹時には誰でも日常的に行われています。糖質制限食なら、食事中にも糖新生が行われています。

糖新生の原材料は、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどです。これらから新たにブドウ糖をつくることを糖新生といいます。

それから各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。

筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。

『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。

体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。

再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。

組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。

代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。

生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』

(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html

いずれにせよ、体のタンパク質は、24時間分解と合成を繰り返して代謝回転しているわけです。

糖質制限したときだけ、筋肉が分解されるというのは、完全な誤解です。

【ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。
時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。
ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??
あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが 】


176センチ、83キロ、BMI26.8

2011-05-25のブログの如く、20才の時の体重から10kg以上増加したことがある人は、糖尿病発症のリスクが跳ね上がります。

精製炭水化物を摂取してグルコースミニスパイクを繰り返していれば、その内、内臓脂肪肥満が生じてインスリン抵抗性が増大し、インスリンがさらに過剰分泌され、高血圧やメタボとなっていきます。

悪い意味でも「ローマは一日にしてならず・・・」

20才のころからの積み重ねが、中年になって生活習慣病を生み出します。

ポコロコさん、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。

HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、もう充分危ないですよ。

私は52才、糖尿病発覚時

167cm、66kg、BMI23.7 20才時より10kg以上増加。

20才

167cm、54kg、BMI19.4

ポコロコさんと同様、健康診断の血液・尿検査ではずっと正常でしたが、52才時にたまたま食後血糖値を測定して、200mg以上あり糖尿病が確定しました。

私も急に太り始めた40才過ぎに、空腹時インスリンを測定していれば、HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性とインスリン過剰分泌が診断できたと思いますが、後の祭りです。


ポコロコさん、ゆめゆめ油断めされませんように。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
20歳時の体重
はじめまして。
先程こちらを知った糖尿病に脅える 身長167㎝・体重63キロの41歳の女です。

20歳時の体重は、確か60キロ位だったと思いますが、16歳の頃から体重が安定しません。16歳の頃、最高体重65キロから夕食を食べないダイエットで2か月位で52キロまで減らし、それから52キロ~65キロまで体重が増えたり減らしたりの繰り返しです。


体重が安定しない場合も20歳時の体重よりも10キロ以上増えた場合は危険でしょうか? (現在が太りすぎなのはわかりますが、何キロ減らせば良いか等の目安に)

それと昨年の今頃、健康診断でHbA1c5.0でしたが、血糖値も計らないと糖尿病は早期発見できないのでしょうか?

ちなみに、昨年の健診よりも3キロ体重が増えてしまって、今、せめて3キロ減らそうとダイエット中です。

2011/05/28(Sat) 14:13 | URL | テンテン | 【編集
ご回答有難うございます(^^)
江田先生

丁寧なご回答有難うございます。
実は25日から自主的に糖質制限食を実践し始めました。
今日で6日目です。

面白いのは昨日辺りから朝ごはんを抜いても昼過ぎにお腹があんまり空きません。
昨日はまた、人と一緒に昼食を取る事になっていたので、ファミレスでステーキを単品で頼み、同席の人から「昼から豪快ですね。ご飯は要らないのですか?」と聞かれ、糖質制限食に切り替えている事とその考え方をお話させて頂いた所、その方も「あ~、それ、理に適っているね~。僕も明日から始めてみます」と言っていました。

半年後にお互いの「割れた腹筋」を見せ合いすることになりました。
さて、上手く行きますかどうか。

先生の御著書を近々読ませて頂こうと思っております。その後また疑問が湧いたらご質問させて頂きますので宜しくお願いいたします。
2011/05/30(Mon) 10:17 | URL | ポコロコ | 【編集
No title
江部先生はじめまして。

私は、糖尿病を煩っておりませんが、先生監修のdancyu別冊「満腹ダイエット」「酒飲みダイエット」を読み、糖質制限によるダイエットを行なっ
ている最中です。本日で、スーパー糖質制限食3週間経過ですが、体重5Kg減少して63Kg、体脂肪率17.1%です。ここ数日、体重減少傾向が鈍化し、
増加する日もありますが、もう少しがんばって絞りたいと思っています。
(目標は10Kg減少の58Kgです)

さて、本日は先生に質問があり、コメントいたしました。

私は趣味でロードバイク(自転車)に乗っていますが、これは大変カロリーを消費します。2時間ほど乗ると1000Kcal程度消費します。(ツールドフ
ランスに出場するプロだと、一日のレース(6~7時間)で、6000~7000Kcalほど消費するそうです)
したがい、こうしたロードバイクに乗るためには、カロリー=糖質の補給が重要であり、走る前および走っている最中も始終糖質の補給をすること
が常識となっています。(走っている間に糖質が切れると、手足に全く力が入らない、ハンガーノックという症状になります)

糖質制限食を続けていて、体内のグリコーゲンがほとんど無くなっている状態で、こうした高カロリー消費運動をしても問題ないでしょうか?

先日、恐る恐る2時間ほど走った限りは、ハンガーノックも起こさず走りきれたのですが、今後3時間4時間とロングライドを楽しみたいので、注意
点をご教授いただければ幸いです。

長文失礼しました。

先生の益々のご活躍を祈念しております。
2011/05/30(Mon) 16:07 | URL | yama | 【編集
Re: No title
yama さん。

本のご購入ありがとうございます。
糖質制限食実践中でも、血糖値は正常に保たれているので、
筋肉中のグリコーゲンもあるていど
蓄えられています。
しかし、単純に筋肉中のグリコーゲン量を増やすだけなら、
「グリコーゲンローディング」的に炭水化物摂取のほうが増えると思います。

一般に長距離の筋肉運動は、脂肪酸-ケトン体を上手にエネルギー源として使い続けて、
いかに筋肉中のグリコーゲンを節約するかにかかっています。
筋肉中のグリコーゲンが一定レベル以下に減ると、ハンガーノックになるのでしょう。

一方、筋肉運動中はインスリンに無関係に筋肉細胞は血糖値を取り込むので、
少々糖質を摂取しても血糖値は上昇しないし肥満もしないと思います。
走る前の糖質補給は、脂肪酸-ケトン体が燃えにくくなるのでいまいちです。
走っている最中の糖質補給は、上述のように問題ないと思います。
2011/05/30(Mon) 18:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました
yamaです。
江部先生、ご丁寧なご回答ありがとうございました。
ご助言に従い、スーパー糖質制限食を、続けながら自転車も楽しんでいきたいと思います。
2011/05/31(Tue) 07:38 | URL | yama | 【編集
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