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糖尿病の薬物治療から糖質制限食で脱却
こんにちは。

今日は、3日間降り続いた雨がからっと上がって、とても良い天気の京都です。

しかし、雨の代わりに黄砂が満開で、東山三十六峰すべて霞がかかっていました。

ヒノキ花粉症が終わって、ほっとしたのも束の間で、黄砂にやられて、のど痛、鼻水、眼痒・・・の人もおられます。

黄砂、恐るべしです。

さて今回は、an さんから、

「糖尿病を患ってから15年間、この10年近くは薬物治療を続けていたのが、糖質制限食で脱却できた。」

という嬉しいコメントをいただきました。


【11/05/12 an
初めまして
江部先生 毎日拝読しております。
いつも興味深い記事をありがとうございます。
生イカ 気をつけます!

さて、私は15年程前から糖尿人で、先生の著書を3冊読んで糖質制限を始めて4週間経ちました。

先生の記事と皆さんのコメントが、大きな力、支えです。

私の症例も何かの参考になればと、恥ずかしながら書かせていただきます。
私は50代女性です。 40歳代はじめに糖尿病と診断され、最初の数年はカロリー制限で「良」そのうち「可」になりベイスンを処方され、それがグルファストに代わり、加えてアクトス、ベスタミオンと毎日3種の薬を服用するに至りました。
最近のHbA1cは 7.37でした。 

実は薬の副作用「放屁」「下痢」が私の悩みでした。
私は人前に立つ仕事です。仕事に入ったら逃げ場はありません。
「止まらない放屁」や「急な下痢」は深刻で、主治医に何度訴えても、「そのうち慣れる、しょうがない」と取り合ってもらえず、仕方なく、人前に立つ時間が長い日は、薬をやめてその場をしのぎ、検診前になるとカロリー制限をして薬を飲んで血糖値を下げるという、悪循環を繰り返していました。
そうしながらも毎月ちゃんと病院に通っているのだから、なんとかなるだろうと、甘く考えてもいました。
2ヶ月ほど前 仕事が続いて、薬を飲まないで10日間過ごし、パーティも重なって、計った空腹時血糖値が295で、主治医から、「失明したいんですか???足を切りたいんですか?」と、改めて薬の服用の徹底を厳命されました。

私が糖尿病と診断された時点から15年、栄養指導は最初の一回きりで「1400カロリー内であれば何を食べてもOK、主食はしっかり取りなさい」  診察は、月に一度、靴下の上からむくみを調べ、血圧を測り、検査結果を見て「薬を出しておきます」というだけのものでしたので、急に出た失明や足を切るという言葉に愕然としました。

そこで、真剣に効果的な糖尿病改善法を探していて江部先生の著書とこのブログに出会った次第です。

すぐスーパー糖質制限をはじめ 血糖値測定器も購入しました。
4週間で薬なしで、空腹時血糖が120mgより上がることは少なくなりました。
何よりも嬉しいのが、おなかの調子、おならを気にしなくても済むことです。笑顔で人前に立つことができ、生き返ったような気がしています。
心から感謝しています。

長く無謀な糖尿生活を送ったので、今後、合併症が出てくるのは避けられないのかな?と不安ですが、今後は、江部先生の病院か、糖質制限に理解のある病院での治療を続けるつもりです。
私の経験が何かのお役に立つといいのですが・・・
糖質制限食の普及を心から願って、先生の本を周りに配っています。
先生 どうぞ、お元気でご活躍ください。
長々と失礼しました。】


anさん。
本のご購入ありがとうございます。コメントもありがとうございます。おおいに読者の皆さんの参考になると思います。

ベスタミオンは、ベイスンのジェネリックです。

一番困っておられた「放屁」「下痢」は、ベスタミオンの副作用と考えられます。

病気の治療において「生活の質を保つ」はとても大切なことですので、私は、ベイスンやグルコバイなど、αGI阻害薬で、放屁などの副作用がある程度以上出現したら、中止することを原則としています。

【40歳代はじめに糖尿病と診断され、最初の数年はカロリー制限で「良」そのうち「可」になりベイスンを処方され、それがグルファストに代わり、加えてアクトス、ベスタミオンと毎日3種の薬を服用するに至りました。】

日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食は、総摂取カロリーの60%が糖質という高糖質食です。

このような高糖質食を実践すれば、いくらカロリー制限しようが、糖尿病学会推奨の週3日以上の運動(1日に15~30分の運動を2回)をしようが、結局、糖尿病は徐々に確実に進行していきます。

1)<高糖質食摂取→食後高血糖→膵β細胞の障害>
2)<高糖質食摂取→食後高血糖→インスリン抵抗性増大>
3)<高糖質食摂取→食後高血糖→インスリン大量追加分泌→β細胞疲弊>

1)2)3)が悪循環すれば、徐々にインスリン分泌能も低下し、インスリン抵抗性も増していき、インスリン作用は低下し糖尿病は進行・悪化していきます。

このことは、英国の2型糖尿病世界最大の研究であるUKPDSにおいて

「どのような治療をしようとも2型糖尿病は慢性に進行するβ細胞の障害を呈する」

と1998年にすでに報告されています。

すなわち、運動をしようが、薬物療法をしようが、従来のカロリー制限食(高糖質食)を実践する限りは、2型糖尿病は、慢性進行性の膵β細胞不全となっていくのです。

ですから、anさんが、医師や栄養士の指導をしっかり守って、糖尿病治療に努力したとしても、結局徐々に悪化して、「食事療法+運動療法」単独の段階に薬物療法が加わり、さらに薬物の種類も増えていくというパターンとなったのも、しかたのないことなのです。

これはanさんに限らず、ほとんどの患者さんのナチュナルコースです。

私自身の担当していた糖尿病患者さんも、過半数の人で糖質制限食導入前は、遺憾ながら同様の経過で徐々に悪化していました。

このように患者さんがいくら努力しても、「カロリー制限食(高糖質食)」を摂取する限りは、確実に糖尿病は悪化していくわけですから、ひどい話です。 (*_*)

食後高血糖を防いで、この悪循環を断ち切ることができるのは、唯一「糖質制限食」だけです。

【スーパー糖質制限をはじめ 血糖値測定器も購入しました。
4週間で薬なしで、空腹時血糖が120mgより上がることは少なくなりました。
何よりも嬉しいのが、おなかの調子、おならを気にしなくても済むことです。笑顔で人前に立つことができ、生き返ったような気がしています。】


薬を3種類中止されたにもかかわらず、素晴らしい改善です。

副作用がないので生活の質も良好に保たれとても良かったです。

今後も美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。 (^_^)

なお合併症に関して、眼科検診や頸動脈エコーは、念のためしておいたほうがいいと思います

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
血糖値自己測定について
糖質制限のおかげで、従来の治療から脱却できました。
感謝しています。

私の場合は食前と食後1時間は正常、食後2時間が高めという
上がりにくく下がりにくい体質のようです。

血糖値自己測定の頻度について教えてください。
細かく計測したいのですがセンサーが高価な為、そう頻繁には出来ません。毎日計ることは出来ますので、最低でも計っておくべき時を教えてください。
初歩的な質問ですみません。継続する為にはコスト面も重要になってきますので、恥ずかしながら質問させていただきました。






2011/05/14(Sat) 08:18 | URL | こう | 【編集
Re: 合併症 糖尿病性網膜症
藤中孝義様

アサヒスタイルフリー一缶と焼酎一合くらいなら、心配要りません。
糖尿病合併症予防や進行をくいとめるためには

① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満

①②③④の糖尿人の目標達成を目指してくださいね。
2011/05/14(Sat) 16:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
ミナ さん。

夜間、食後数時間以降経過したら、肝臓が糖新生していると思います。
2011/05/14(Sat) 16:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
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