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糖尿病とラーメン実験と機能性低血糖
こんにちは。

今回は、ジロリアンさんから、ラーメン実験と機能性低血糖という興味深いコメントを頂きました。


【11/05/07 ジロリアン
江部先生お久しぶりです。
コメントさせて頂くのは昨年の3月3日ぶりです。
先生と出会い、スーパー糖質制限食によって 血糖コントロールが良好となり、体も絶好調で お酒を大量に飲んでも、翌日は二日酔いがありません。
まぁ、大量に飲んではいけないのでしょうが、 体が調子が良いからか量が飲めてしまうのです。
でも、気をつけないといけませんよね。

さて今回、スーパー糖質制限食1年4ヶ月になり、 久々に自分の体で人体実験をしてみました。
大好きだったラーメンを食べて血糖値を測定してみたのです。

麺が約300gのものを食べました。
食前血糖値  98mg
食後30分   143mg
食後1時間  241mg
食後2時間  249mg
食後3時間   60mg
食後4時間  174mg
食後7時間  223mg

食後3時間で急激に血糖値が下がっています。
この時、急に体が怠くなり、脂汗が出て震えも来ました。
両足の膝から下に痺れのような感覚もありました。
血糖値がこれ以上下がったら危ないと思い、 効果の程は分かりませんが、 飴を一つ食べてから、フラつくので寝ていました。
しばらくして体が楽になったので血糖値を計ると174mgでした。
ラーメンを食べてからは何も食べていないのに 食後7時間でも200mgオーバーとは 精製炭水化物恐るべしです。

実は、糖質制限食を始めてから ラーメンを食べるのは今回が3回目なのですが、 今まで、低血糖の症状はありませんでした。 ですので今回の低血糖症状は少し驚きで 糖質は危険であると再認識した次第です。】



ジロリアン さん。
お久しぶりです。

スーパー糖質制限食で血糖コントロールが良好、良かったです。
本日は貴重な実験報告、ありがとうございました。

ゆでた麺が約300gなら、糖質含有量は83.6gです。

食前血糖値  98mg
食後30分   143mg
食後1時間  241mg
食後2時間  249mg
食後3時間   60mg
食後4時間  174mg
食後7時間  223mg

1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるとして、83.6gなら250mg上昇で、<98+250=348>

ピークの食後血糖値は348mgになってもおかしくないので、それなりに内因性のインスリン追加分泌が出ているようです。

食後30分143mgなので、追加分泌インスリンの第1相は、血糖値上昇を45mgに抑える程度には出ています。

一方、追加分泌インスリンの第2相は出遅れて、食後1時間241mg、食後2時間 249mgと、それぞれ143mg、151mgの上昇です。

出遅れた追加分泌インスリンが、その分遷延して出続けるので、食後3時間60mgと一気に下降しています。そのため機能性低血糖の症状が生じています。

2型糖尿人における、典型的な機能性低血糖パターンです。

ただ、インスリン分泌能が、もっと衰えてしまった2型糖尿病なら、低血糖が生じるほどインスリンを分泌できませんので、ジロリアンさんは、まあまあ糖尿人としては軽くて良かったと言えますね。

「食後4時間174mg、食後7時間223mg」

飴1個にしては、血糖値が上がりすぎですね。

また糖質そのものの吸収は、数分から2時間で終了ですので、ゆでた麺が約300g(糖質含有量83.6g)が、7時間後まで影響を及ぼすことはないと思います。

食後4時間と7時間の血糖値の上昇は、低血糖に対して生体が一生懸命反応して、血糖上昇作用のあるグルカゴン、アドレナリン、副腎皮質ホルモンが結構大量に分泌されて、肝臓の糖新生も亢進したのでしょうね。

ともあれ、これだけのことを起こすわけですから

「精製炭水化物恐るべし」

ですね。


江部康二


☆☆☆インスリン

インスリンは人体で唯一血糖値を下げるホルモンで、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられ分泌されます。

24時間少量持続的にでている基礎分泌のインスリンと、食後血糖値が上昇したときにその10~20倍の量が出る追加分泌のインスリンがあります。

基礎分泌のインスリンの量では、筋肉・脂肪細胞などの糖輸送体*Glut4は、細胞内部に沈んでいるのでほとんど血糖を取り込むことができません。

糖質を摂取し血糖値が急上昇しインスリンが大量に追加分泌されると、Glut4が細胞表面に移動し、筋肉・脂肪細胞が血糖を取り込みます。

このとき余った血糖が中性脂肪に変わるので、インスリンは別名肥満ホルモンと呼ばれています。

追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。

この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。

その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの持続するインスリン分泌を行います。

これは、食事における糖質の残りをカバーしています。即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。

2型糖尿病患者は、通常、第1相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。

また、第二相も低下していることが多いので、糖質を摂取する限り、一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。

糖質制限食ならば、食後高血糖はほとんど生じません。従って、追加分泌インスリンは、ごく少量ですみます。


(*)
糖輸送体(Glut:glucose transporter)

ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。

Glut1~Glut14まで報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性で、常に細胞の表面にあり、血流さえあればすぐに血糖を取り込めます。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
Re: マルチビタミン・ミネラルを飲んでみて
norikky さん。

糖質制限食の場合、肉・魚・野菜・豆腐・・・万遍なく摂取するので
玄米菜食などどは異なりビタミン不足にはなりにくいです。
従いまして私は、サプリは飲んでおりません。
特定保健食品やサプリによる血糖値改善はあったとしてもごく軽度で臨床に役立つほどはありません。
2011/05/24(Tue) 10:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
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