2011年04月29日 (金)
おはようございます。
生化学・生理学など本当はかなり苦手分野なのですが、何とかいろいろ調べて、脂質代謝について考えてみました。
食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。
この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。キロミクロンは、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。
鎖骨下静脈に入ったキロミクロン(中性脂肪が積み荷)のほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、脂肪酸とグリセロールに分解され、中性脂肪は血液中から取り除かれます。
脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そしてエネルギー源として利用されなかった肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。
このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになります。
その脂肪酸を筋肉がしっかり利用してくれれば、余った脂肪酸を再合成して中性脂肪をつくり、脂肪細胞に蓄積する比率は少なくなります。
つまり、肥満しないためには、いかに筋肉が食事由来の脂肪酸を、たくさんエネルギー源として利用してくれるかがポイントですね。
なお糖質を摂取してインスリンが分泌されてしまうと、筋肉細胞毛細血管のリポ蛋白リパーゼが抑制されて、中性脂肪を脂肪酸に分解できず、エネルギー源として使えなくなるので、余剰となり脂肪細胞に蓄積されやすくなります。
インスリンには、タンパク質合成の促進、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪の合成促進・分解抑制など、全体として異化を抑制して各種貯蔵物質の新生・同化を促進する作用があります。
また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。
空腹時には、身体のエネルギーの大半が脂質代謝から供給されています。
脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。
遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなりエネルギー源となります。
グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。
江部康二
生化学・生理学など本当はかなり苦手分野なのですが、何とかいろいろ調べて、脂質代謝について考えてみました。
食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。
この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。キロミクロンは、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。
鎖骨下静脈に入ったキロミクロン(中性脂肪が積み荷)のほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、脂肪酸とグリセロールに分解され、中性脂肪は血液中から取り除かれます。
脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そしてエネルギー源として利用されなかった肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。
このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになります。
その脂肪酸を筋肉がしっかり利用してくれれば、余った脂肪酸を再合成して中性脂肪をつくり、脂肪細胞に蓄積する比率は少なくなります。
つまり、肥満しないためには、いかに筋肉が食事由来の脂肪酸を、たくさんエネルギー源として利用してくれるかがポイントですね。
なお糖質を摂取してインスリンが分泌されてしまうと、筋肉細胞毛細血管のリポ蛋白リパーゼが抑制されて、中性脂肪を脂肪酸に分解できず、エネルギー源として使えなくなるので、余剰となり脂肪細胞に蓄積されやすくなります。
インスリンには、タンパク質合成の促進、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪の合成促進・分解抑制など、全体として異化を抑制して各種貯蔵物質の新生・同化を促進する作用があります。
また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。
空腹時には、身体のエネルギーの大半が脂質代謝から供給されています。
脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。
遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなりエネルギー源となります。
グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。
江部康二
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