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基礎代謝の増加と体重減少と糖質制限食
こんにちは。

今回は、脂質やタンパク質の摂取で肥満しにくい理由について、アケミさんから、コメント・質問をいただきました。

【11/04/26 アケミ

こまめに以前の記事を読んで、インスリン(の過剰分泌)が肥満をおこすこと、よって糖質が肥満の原因であることは、わかりました。
では、脂肪やタンパク質は、どんなふうに代謝されるのでしょうか。カロリー的にどんなに大量にとっても、脂肪やタンパク質なら、インスリンが出ないから、太らないのでしょうか。
このへん、もうひとつよくわからないので、教えていただければ幸いです。】



アケミ さん。

さすがに

「脂質やタンパク質はカロリー的にどんなに大量にとっても太らない。」

ということはありません。

<消費エネルギー>=<基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> です。

脂質やタンパク質も大量に食べて、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、当然太ります。

一方、少なくとも同一摂取カロリーなら、糖質制限食のほうが脂質制限食よりは体重減少効果があります。

糖質制限食の場合、ビーフステーキ(高脂肪・高タンパク食)を食べている最中にも、心筋や骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用しています。

このため体脂肪細胞内の中性脂肪は、どんどん脂肪酸とグリセロールに分解されて、血中に放出されています。

また、ビーフステーキを食べている最中にも、肝臓ではアミノ酸などからブドウ糖を新生していて、それにエネルギーを消費しています。

そして肝臓では、ビーフステーキを食べている最中にも、ケトン体を産生しており(脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体)脂肪酸を分解してえたエネルギーを消費しています。

肝臓でつくられたケトン体は、肝臓では使われずに血中に入り、他の組織のエネルギー源となります。

これらのエネルギー消費はおそらく、基礎代謝の増加につながっていると思います。

基礎代謝に関して一番信頼できそうなデータです。

<人における諸組織・器官のエネルギー代謝>

肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19% 

(「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989)

一般に筋肉が基礎代謝の約40%と言われていて、私も検証せずにそう思っていたのですが、肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした(=_=;) 

ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が活性化されるので、糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説はなかなか説得力があると自画自賛しています。(^^)

通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、基礎代謝の増加のために体重減少が生じますね。

さてインスリンですね。

人体の代謝へのインスリンの効果には①②③があります。

①炭水化物代謝:エネルギーの貯蔵(肝、筋、脂肪組織)
  -グリコーゲン合成の増加(肝、筋)       
  -血中からのグルコース取り込みの増加(筋、脂肪組織)
  -糖新生とグリコーゲン分解の抑制(肝)

②脂質代謝
  -トリアシルグリセロール(TAG)分解の減少
  -TAG生成の増加

③タンパク質合成の増加

①②③とも、とにかく蓄えて貯蔵する役割です。

人類の400万年の進化の歴史を考えれば、インスリンがエネルギーを蓄える作用を持っていることは、大変重要な意味を持っていたと思います。

同一カロリーの摂取でも、糖質を摂取してインスリンが分泌されると、脂肪分解から脂肪合成に、流れが180度変わります。

インスリン注射やSU剤(インスリン分泌促進剤)が肥満を悪化させることは、UKPDSやACCORDをはじめ多くの研究で報告されています。

このように、高脂質・高タンパク食で体重が増加しにくい理由の一つは、インスリンの分泌がほとんどないことが関係していることは間違いないと思います。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖新生について
毎日先生のブログを頼りに頑張っています。有難うございます。糖新生について教えていただきたいと思います。糖新生はたんぱく質のアミノ酸と脂肪のグリセロールを材料にブドウ糖を作るとありますが、エネルギー代謝の糖質と脂質代謝の場合、糖質と脂質を食べた時、先ず糖代謝が優先すると理解していますが、肝臓での糖新生の場合もどちらかが優先して使われるのでしょうか。主にアミノ酸を材料に糖新生がされるのならば蛋白摂取が少ないと体蛋白分解がすすんでしまうのではないかと少し不安です。
2011/04/27(Wed) 18:39 | URL | 北国の空 | 【編集
肝臓って…
先生こんばんは。ちびゆかです。 痩せるには「筋肉付けて代謝をあげなさい」ってよく言われるけど、肝臓の方がエネルギー使ってるなんてビックリです。 脳はエネルギー使うとは、よく聞きますが…


って言う事は、糖質制限ってエネルギーをたくさん使える身体になれるという事ですね。


スーパー糖質制限を続けて1ヶ月ですが、今、私の身体は少しずつエネルギーを使えるようになってきているんですね。


すごいです!糖質制限食。

私も理想の体型なるまで、いや、なっても続けたいと思います。
2011/04/27(Wed) 22:26 | URL | ちびゆか | 【編集
ありがとうございます
ただ、なんだか、ますます疑問がわいてきました。
1。糖質制限食において肝臓がよく働くっていうことは、言い換えると、肝臓に負担がかかっている、ということでしょうか。実際に肝臓に障害が起きるかどうかはともかく、必要以上に肝臓に負担がかかるのは、いいこととは思えないのですが。
2。できれば、タンパク質と脂肪と、それぞれが体内で代謝する過程を知りたいです。脂肪をとった場合、リパーゼが出るところまでは知っていますが、その後、どうなるのか。その場で燃やすエネルギーと蓄積するエネルギーはどうやって区別されるのか。また、タンパク質の場合、からだの修復にまず使われると思うのですが、そうなる分と、熱量になる分とは、どう仕分けされているのか。

以上、ご説明いただけると、安心できます。
2011/04/28(Thu) 06:55 | URL | アケミ | 【編集
糖質制限とインスリン注射
相変わらず毎日こちらのブログを参考にし
先生の本は時折読み返し
スーパー制限食を続けること五カ月、
この三カ月はHbA1c6.0をキープ中です。
体重もマイナス5キロ減からまだ減りつつあり
その他コレステロールなども正常値に落ち着いています。
夢のような体調です(笑)

こちらの記事でも何度か出てきていますが
早朝空腹時血糖の上昇についての悩みなのですが
スーパーを始めてから100を切ることもあった空腹時血糖が
ここ二カ月ほど140前後の高め推移です。
それでもHbA1c6.0ということは食後血糖の上昇はある程度
抑えられているのだと思うのですが。
糖質制限以前はノボリン30R注を「朝12夜22」でしたが
糖質制限開始後~徐々に減り、今は「朝8夜14」です。
自分としては優5.8以下を目指し空腹時を改善したいのですが
インスリン注射の種類を変えるなどの策をとるのもアリでしょうか?
お時間のある時にご教示願えれば幸いです。
2011/04/28(Thu) 14:15 | URL | はしゆか | 【編集
このままでいいのかしら
江部先生

いつもブログ拝見しています。
本も2冊だけですが買って毎日の献立に使っております。

私は、空腹詩血糖が121で糖質制限職を始めました。
血糖値は、安定していますがコレステロールがどんどん上がってきました。
でも範囲内です。
しかし問題は、旦那です。
普段はスーパー、週末はゆるーい制限(旦那は昼食には制限職に食パンを1枚、夫婦ともども週末は出かけたなら制限解除です)です。
旦那(検査では引っかかったことなし、でも簡易検査では食後血糖では200越えの時も)を巻き込んでの制限ですので、どうしても緩くなってしまいます。

もともと私はコレステロールが低く、HDLが高くLDLが低いのですが、夫は真逆。
まして夫は魚嫌い。
どうしても肉肉しい食卓になります。
案の定、LDLの増加となりました。

糖質制限を始めて1年以上が過ぎました。

このままでいいでしょうかねえ。。。といいつつ続けています。

先生、お暇なときにご教授をお願いいたします。




2011/04/28(Thu) 20:18 | URL | 甘こいし | 【編集
Re: 糖質制限とインスリン注射
はしゆか さん。

本のご購入ありがとうございます。
インスリンの量も大分減って良かったですね。
ただ早朝空腹時血糖値が140mg前後なら、
いったん夜の14単位を15単位か16単位に増やして、100~110ていどを
目指されては如何でしょう。

2011/04/28(Thu) 21:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: このままでいいのかしら
甘こいし さん。

通常、糖質制限食でHDL-Cは上昇します。
LDL-Cはいったん上昇した場合も1~2年で基準値に入ることが多いです。
2011/04/28(Thu) 21:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖新生について
北国の空 さん。

夜間絶食時には、肝臓の糖新生の50%が乳酸からです。
次に多いのはアミノ酸で、その次がグリセロールです。

2010-03-19のブログ「糖質制限食と糖新生・2010年3月」もご参照ください。
2011/04/28(Thu) 21:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生ご無沙汰しておりますm(__)m
糖質制限による肝臓の代謝向上に、筋トレによる筋肉量UP、有酸素運動による発達した筋肉の毛細血管の機能向上(発達)が合わされば、
肝臓(27%)+筋肉の合計代謝(18%)=45%がさらに向上するのでは!?と感じる記事でした゜+。(*′∇`)。+゜
最近、職場でも管理栄養士さんとドクターを交えたカンファレンスで、糖質量の管理と運動療法のタイミングや内容をテーラーメイドに設定していく形ができてきました。
まだまだこれからですが、早く、日本の糖尿病治療に夜明けがくることを願いつつ、先生のご活躍応援しています゜+。(*′∇`)。+゜
PS:現在体重を80Kgまで増やせました(除脂肪体重71Kgで体脂肪9Kg)
さらに筋肉を作り上げて、糖質制限で肝臓の機能増進!基礎代謝を上げていきます!!
2011/05/04(Wed) 13:12 | URL | 蝶々 | 【編集
コレステロールの常識のウソ
コレステロールに関する常識は、
製薬会社の息のかかった学者が唱えた?もので

今の常識は下記ホームページのとおりです。

HDL-CやLDL-Cの上がり下がり(特に元”悪玉”と
いわれていたLDL-C)に、神経質になるのはやめましょう。

金城学院大学オープン・リサーチ・センター
http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/

長寿のための“コレステロール ガイドライン 2010年版”
http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/guideline1.pdf

糖尿病に関する常識も、栄養学会のほうから、糖質制限食
を重視したガイドラインが出ることを望みます。


2011/05/05(Thu) 22:32 | URL | 津上伸一 | 【編集
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