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糖質摂取で肥満する理由とGLUT4、インスリン
こんにちは。


A)『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』

B)『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が約50%を取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』


普通に糖質を摂取しているときは、A)B)のプロセスで中性脂肪が脂肪細胞に蓄積され、体脂肪が増えていきます。

それでも、筋肉量がしっかりあって基礎代謝が多い人は、『食事で蓄えられた中性脂肪』と、『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスがとれていて、肥満(脂肪蓄積)は生じずにすみます。

中年で筋肉量が減り、基礎代謝も減少すれば

『食事で蓄えられた中性脂肪』 > 『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』

となり、肥満が始まります。

インスリンが追加分泌されればその量に応じて、GLUT4が脂肪細胞や筋肉細胞表面に発現してくるわけです。インスリンの量が多ければ、細胞表面に発現するGLUT4の数が増えます。

糖輸送体(GLUT)は1~14まで報告されています。GLUT4は筋肉細胞と脂肪細胞に特異的で、インスリンにより細胞表面にトランスロケーションするという、他の13種の糖輸送体にはない特徴を持っています。

スーパー糖質制限食なら、血糖値はほとんど上昇しないし、食後の追加分泌インスリンはせいぜい2倍くらいです。

これくらいのインスリン量なら、脂肪細胞や筋肉細胞の表面に発現するGLUT4の数はごくわずかです。

従って、脂肪細胞が血糖値を取り込んで、中性脂肪に変えて備蓄することもほとんどありません。

それどころか、ステーキを食べている最中にも、脂肪は分解されて脂肪酸やケトン体となり、筋肉や体の組織で利用されているのです。

即ち、スーパー糖質制限食で高タンパク・高脂質で高カロリーの食事をしても、インスリンはほとんど分泌されないので、脂肪細胞表面に発現するGLUT4の数は極少なく、ブドウ糖を中性脂肪に変える回路はほとんど働きません。

また糖質を摂取して上昇した血糖は、インスリンとは無関係に肝臓で約50%が取り込まれ、残りは大循環に回ります。

肝臓に取り込まれたブドウ糖は、グリコーゲンとして蓄えられますが、余剰のブドウ糖は中性脂肪に変換されます。

スーパー糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しないので、肝臓に取り込まれるブドウ糖もほとんどありません。従って肝臓で合成する中性脂肪もほとんどありません。


A)『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』

B)『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が約50%を取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』

糖質を摂取したときに認められるA)B)のパターンが、スーパー糖質制限食実践ならほとんどないので、中性脂肪が脂肪細胞に蓄積されにくいのです。

糖質摂取とインスリン分泌で太りやすい理由、糖質制限食でやせやすい理由、お分りいただけたでしょうか。


江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
Re: A type of low-carb, high-fat diet
pigmentosum さん。

情報ありがとうございます。
マウスの腎不全がケトン食で改善とのことですね。
http://www.msnbc.msn.com/id/42689095
2011/04/22(Fri) 17:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 副作用による高血糖
Macha さん。

薬剤により、内分泌系への影響やインスリン分泌抑制とか、いろいろ血糖値上昇につながる
副作用があるようです。
2011/04/22(Fri) 19:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
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