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糖質制限食とHbA1c・脂肪肝改善、そしてコレステロール値
こんにちは。

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よろしくお願い申し上げます。江部康二。   m(_ _)m


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さて今回は、ゆうさんから、糖質制限食とHbA1c、脂肪肝改善、そしてコレステロール値について、コメント・質問をいただきました。


【11/04/02 ゆう
はじめまして。
初めてコメントします。
いつも先生のブログ、本を参考に糖質制限に取り組んでおります。
今日は、LDL-C TCについてご質問があります。
初めての質問なので、今までの経過を先に説明させていただきます。
長くなりますが、よろしくお願いいたします。
昨年、10月に糖尿が発覚。HbA1c:9.8 空腹時血糖値300超え 肝機能も悪く、毎週のように検査が続く日々。 最悪なら、入院もと言われていました。
最初の1ヶ月は、カロリー制限。
12月には、HbA1c:7.6 空腹時血糖値140 体重も、89キロから87キロになりました。
そんな時に、先生のブログを知り「糖質制限食」を知りました。
本も読ませていただき、「糖質OFF」を参考に献立をたて スーパー糖質制限食に、取り組むことにしました。
もともと、野菜や魚が多く、肉はほとんど食べません。
ただ、炭水化物は大好きで・・・パスタ2~3人前も大丈夫。
そんな、食生活からの糖質制限食でしたから・・・
最初は、炭水化物が取れないことが苦痛でした。
でも、おかげ様で1月の検査ではHbA1c:5.9 空腹時血糖値119
肝機能も、ALT:226→52 AST132→27 ALP535→362
体重も、82キロ 高めの血圧も下がり・・・ と、全体的に数値が下がり、担当医にも驚かれました。
数値が良いので2ヶ月に1度、家の近くの総合病院に検査に行くことになりました。
糖質制限にしてからは、総摂取カロリーが最低でも1200前後を維持するため
肉も食べるように、動物性たんぱく質植物性たんぱく質と半々になるようにしていました。
3月の検査で、HbA1c:4.8 空腹時血糖値114
肝機能 AST:19 ALT:29 ALP :300
体重は、72キロまで下がりました。
しかし、TCが220 LDL-C171 HDL-C42 と HDL-Cは、若干(以前は33)上がったものの TCやLDL-Cは、高いままで、逆に前より高いです。
担当医は、すぐにでも薬を処方したいくらいだが糖質制限をしている事も知っていますのでしばらく様子を見ようとおっしゃっています。
ただ、TC200超えはすでに処方するレベルだともおっしゃいました。
今日の記事が、ちょうどタイムリーでしたので質問させていただこうと思った次第です。
LDL-C/HDL-C比が2.5を超えると、プラーク(*)占拠率が上昇し、2.0以下ではプラークの退縮が認められるとのこと
私の場合、4.07と2.5を超える数値になりますよね。
これは、治療が必要なレベルでしょうか? それとも、まだ様子を見ても大丈夫でしょうか?
それと、眼瞼黄種が出来ています。おととしくらいからでしょうか。
糖尿になって初めて、糖尿病の合併症で出ると聞きましたがそうなのでしょうか?消えることはないのでしょうか?
今は、食事でなるべくコレステロールを下げる食材とスーパー糖質制限食を合わせてやっています。
一日の糖質量は、おおよそ10~18g 総カロリー1000キロカロリーくらいです。
お忙しいとは思いますが、ぜひ教えていただけますようよろしくお願いします。】



ゆうさん。本のご購入ありがとうございます。
薬はなしで、スーパー糖質制限食だけで、HbA1c・脂肪肝・肥満の改善、良かったですね。

『2010年12月、HbA1c:7.6% 空腹時血糖値140mg 87kg』
『2011年 3月、HbA1c:4.8% 空腹時血糖値114mg 72kg』


素晴らしいの一言です。(^-^)v(^-^)v

『TCが220 LDL-C171 HDL-C42 とHDL-Cは、若干(以前は33)改善』

コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、人体に必要不可欠な大切な物質です。

通常肝臓でコレステロールを7~8割合成しており、食事由来のコレステロールは2~3割程です。

糖質制限食実践で、コレステロール摂取量が増えるので、初期にLDLコレステロール値が上昇することがあります。

この場合も肝臓が調整するので、半年~1年~(2年)で元に戻ります。ゆうさんも、このまま薬なしで経過をみられていいと思います。

また総コレステロール値は、現在はガイドラインの基準値から除外されているので、気にしなくていいと思います。

人によっては、糖質制限食実践で、LDLコレステロールが高値から正常値になることもあります。

私の友人、春日井市の灰本元医師は、2009年に重症DM(HbA1c>9.0%)33名への低糖質食治療で、インスリンを使用することなく半年後に、HbA1cの平均値が10.9から7.2%へ下がり、LDL-Cの平均値は低下、HDL-Cの平均値は上昇することを報告しています。

糖質制限食実践で、HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。

LDL-コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、なぜそうなるのかはよくわかりません。

私自身は、HDL-コレステロールはかなり増加し、LDL-コレステロールは少し低下しました。

私のHDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール値、中性脂肪値は
1999年、糖質制限前: HDL 69   LDL 123   T-Cho 210   TG85
2004年、糖質制限2年:HDL 99   LDL 97   T-Cho 231   TG 75
2010年、糖質制限8年:HDL 105   LDL110   T-Cho 223   TG37

私のHDLコレステロール値は、10年で40%以上増えています。

2010年のLDL-C/HDL-C比は1.05でOKです。

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」において、従来の基準が変更されました。
新ガイドライン2007年版での主要な変更点は以下の2つです。

* 従来の「高脂血症」という病名を「脂質異常症」に変更。
* 総コレステロール値を予防や診療の基準にするのを除外。
「脂質異常症の診断基準」(空腹時採血) 2007年4月
・LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg/dL以上

となりました。

そしてガイドラインでは<高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(*)、HDL-C低値>の
LDLコレステロール以外の6項目の危険因子が、

ゼロ(低リスク群)
危険因子1~2(中リスク群)
危険因子3以上(高リスク群)

そして心筋梗塞や狭心症の既往歴のある群の4群が設定されています。

糖尿病があれば、高リスク群に分類されます。

低リスク群は、LDLコレステロール160mg/dl未満、
中リスク群は、140mg/dl未満、
高リスク群は、120mg/dl未満
冠動脈疾患の既往がある群は、100mg/dl未満

が目標とされています。

糖尿病があると、それだけで高リスク群に入れられます。

これは、糖尿病の人が通常のカロリー制限食(高糖質食)を摂取していると、必ず食後高血糖が生じ、大血管の動脈硬化が進行し、将来の心筋梗塞のリスクとなる現実(過去の研究報告結果)があったからと思われます。

しかし、糖質制限食なら、糖尿人でも食後高血糖は生じません。

従って、糖尿人でも糖質制限食を実践していて、糖尿人の目標

① 空腹時血糖値126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値140mg/dl未満
③ 食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c5.8%未満

を達成していれば、糖尿病のために心筋梗塞のリスクが増すことはないので、ガイドラインの分類を単純にあてはめる必要はないと思います。

また糖質制限食実践により、HDL-Cが上昇し、TGが低下・改善するので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは低下・改善します。

従って、スーパー糖質制限食を実践にして、血糖コントロール良好を保っている糖尿人は<高血圧、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(*)、HDL-C低値>のリスクがなければ、LDL-C:160mg/dl未満までは心配ないと思います。

それより高値でも、経時的には基準値に下がってくることが多いので、経過をみてもいいと思います。

なお、眼瞼黄色種は、血液中の脂肪分が皮膚にたまり黄色いしこりとなったものです。血液検査で中性脂肪が高値のことが多いです。糖質制限食で中性脂肪は正常化するので、眼瞼黄色腫も改善する可能性があります。中性脂肪が正常化しても眼瞼黄色腫が改善しなければ、レーザー治療で良くなることが多いです。

(*)加齢:男性45才以上、女性55才以上



江部康二


☆☆☆ <コレステロールについて>  江部康二

コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。

一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。

正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。

HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。 即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。(**)

実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。

これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。

コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。

そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。

小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。酸化LDLは、血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。

酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
 
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)

HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。

糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)

(**)
LDLとかHDLはリポタンパク質と呼ばれています。コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。このタンパク質のことをアポタンパクといいます。アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ケトン体ますます上昇
江部先生、こんにちは。
やっと春らしくなって参りましたね。

さて、今日定期検診に行って参りました。
体重と体脂肪の減少が停滞しておりますが、おかげさまで肝臓、腎臓、コレステロールの値は
全部正常範囲内に入りました。
ありがとうございます。

ところで、ケトン体ですが、スーパー糖質制限開始から丸1年の今年の二月に
初めて+になったのですが、今回は3+になっていました。
先生の著作では、初期にこうしたことが起こると記述されていたと思います。

先月、今月のデータが示しているのは、私の体はこれから本当の意味で糖質制限の効果がでてくるということなのでしょうか?
それともなにかほかのことを意味しているのでしょうか?
また、私以外にも同様の現象が起きている人はいらっしゃいますでしょうか?

先生は以前にもまして大車輪のご活躍で、超ご多忙と存じております。
機械がございましたらご教示いただければ幸せです。
2011/04/05(Tue) 15:43 | URL | たかあき | 【編集
ありがとうございます
先生、お忙しいところ早速のお返事を
ありがとうございます。

総コレステロール値は、現在はガイドラインの基準値から
除外されているので気にしなくていいとの事。
また、LDL-Cも糖質制限初期には上がることがあるとの事
安心しました。
このまま、糖質制限を続けて経過を見たいと思います。

今、少しずつですが、過去記事も読み進めております。
いろいろ、参考にさせていただいて
今日も、ゴーヤと赤ワインが良いとの記事を見たので
夕飯はゴーヤチャンプルにしてみました。
夕飯の糖質量は、約8.5㎎でした。

食前の血糖値    112㎎
1時間後の血糖値  121㎎   9㎎上昇

ゴーヤを食べていない日の夕飯で、糖質量9㎎の時

食前の血糖値     85㎎
1時間後の血糖値  102㎎  27㎎上昇

と、明らかな違いにビックリしました。


早朝血糖値が、2桁になる事が少ないので
赤ワインを試して見ようと思いますが・・・
お酒は、飲まない方ですし高脂血症が心配なので
半分くらいから、試して見ようかなと思っています。

先生に「素晴らしいの一言」と褒めていただけて
とても励みになりました。
また、ブログと本を参考に勉強させていただいて
頑張っていきます。

また検診時の結果など、書き込ませて頂く事も
あると思いますが、どうぞこれからもよろしく
お願い致します。



2011/04/05(Tue) 19:46 | URL | ゆう | 【編集
ケトン体を一時的に低下させる
江部先生。こんばんは。
糖質制限を行って1年程度経過して、HbA1C5.1%で早朝血糖値92と非常に良い状態で推移しております。
これも先生の本やブログのおかげです。ありがとうございます。

さて、ケトン臭についてです。
先日、父に匂いを指摘されました。色々聞いて多分ケトン臭だと思っています。(自分の匂いはわからないので、ブログとかの皆さんの書き込みから想像しています。)

江部先生のブログには半年ぐらいで匂わなくなると書かれていましたので、一年程度経過した今は安心しておりましたが、父の指摘で不安になってしまいました。実はその時は多少汗をかいた後と言う事も関係しているかも知れません。

それで、一時的にでも良いのでケトン臭を消したいと考えています。
具体的には月に週1回、1回当たり3時間程度消えていれば良いのです。
先生のブログには糖質を取るとケトン体の値が一気に下がるともかかれています。

もし知っていらっしゃったら教えて欲しいのですが、
・ケトン体の値が下がればケトン臭は直ぐ消えるのでしょうか?
・ケトン体を下げるには、どの程度の糖質を何時間位前に取ればベストでしょうか?
(根拠は無いですが30g(私の血糖値が何とか180未満になる程度)の糖質を2時間前位に取って様子見です)

一方的で非常に申し訳無いのですが、お時間のあるときで良いのでお願い致します。
2011/04/05(Tue) 23:20 | URL | ざと | 【編集
口の臭いについて
三月に高雄病院に入院していた女性です。小栗先生が担当してくれました。お世話になりました。
御蔭さまで、ひとりでぼちぼち制限食を作ってやっています。
最近の検査で、悪玉ノコレステロ―ル値が高くなったので、こちらのブログを拝見しました。
落ち着いてくると、書かれてあり、安心しました。
江部先生自らが、糖尿人なので、とても信頼できます。

さて、ブログの投稿を見ていて、あれって思ったことがありました。
口の臭いについて、悩んでおられる方がいるということですね。
私も少し前にとても悩んで、今は解消したので、参考になればと、
思います。
URLは私のブログです。ご覧になってみてください。

口臭なのかと思っていたけど、ケトン臭だったのかもしれないですね。
どちらにしても、薄めた酢でブラッングして、臭いは無くなりました。

2011/04/07(Thu) 10:40 | URL | 三姉妹 たか子 | 【編集
Re: ケトン体を一時的に低下させる
ざと さん。

「30g(私の血糖値が何とか180未満になる程度)の糖質を2時間前位に取って様子見です。」

それで大丈夫と思います。

2011/04/07(Thu) 18:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました
江部先生、お忙しいところ、
お答え下さりありがとうございました。
2時間前の糖質摂取を続けて行こうと思います。
2011/04/08(Fri) 01:13 | URL | ざと | 【編集
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