2011年04月04日 (月)
おはようございます。
今回はotoki さんから、糖質制限食で脂肪肝・HbA1c・HDLコレステロール改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/02 otoki
江部先生 こんばんは!
昨年8月に糖質制限食にて肝機能の改善がみられ、久しぶりに再度血液検査をしました。
22,08,16 23,03,19
r-GT 36 32
AST 18 26
ALT 15 18
HDL 76.8 100.6
LDL 83.0 87.4
中性脂肪 81 57
HbA1c 5.4 5.4
食後90分 159 130
LDL・・HDLの比がなんと0.87でした。
朝食と昼食には軽く炭水化物を摂っています。
毎日焼酎を300mL~飲んでいます。
ちなみに21,10,23の検査値は r-GT 116で、HbA1c 8.7 でした。
耐糖能性とは復活するものなのでしょうか?
さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑
糖質を控えるだけで改善でき、信じられません!】
otoki さん。
素晴らしいデータ改善ですね。
『平成21年10月23日、r-GTP:116、HbA1c :8.7%』
『平成22年8月16日、r-GTP:36、HbA1c :5.4%、HDL:76.8、LDL:83.0』
『平成23年3月13日、r-GTP:32、HbA1c :5.4%、HDL:100.6、LDL:87.4』
糖質制限食を実践されて、平成22年8月16日の検査では、γ-GTPとHbA1cが正常値まで改善しています。
毎日焼酎を300mL~飲んでおられますので、γ-GTPの改善は脂肪肝の改善と考えられます。
さらにその後の7ヶ月で、HDL-Cが76.8→100.6 と31%も増加していて、大変好ましい変化です。
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」(*)との研究報告がありますので、otoki さん、とてもいいですよ。
現在まで、HDL-Cを増加させる作用が確認された薬剤は、ほとんどないと思います。スタチン系の薬剤で、HDL-C値が増えるという報告もありますが、はっきりしません。
以下は、NM online 2011.1.12 日経BP社の記事からの抜粋です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/etc/201101/518047.html
【スタチンはLDLコレステロール(LDL-c)値を下げ、心筋梗塞リスクを低下させるが、スタチンを使用している患者にも心血管イベントは発生する。米Tufts大学のHaseeb Jafri氏らは、大規模な無作為化試験を対象にメタ分析を行い、スタチン使用はHDLコレステロール(HDL-c)値と心血管イベントリスクの関係には影響を与えないこと、スタチン使用中であってもHDL-c低値の患者の心血管イベント発生率はスタチン非使用者と同様であることを明らかにした。論文は、Ann Intern Med誌2010年12月20日号に掲載された。】
どうやらスタチンは、LDLコレステロール値は下げるけれど、HDLコレステロール値には影響をあたえないようです。
こうなると、糖質制限食だけが、HDL-Cを増加させる作用を有す治療法と思います。
『耐糖能性とは復活するものなのでしょうか? さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑 』
まず糖質制限食実践により、食後高血糖が改善されて、糖毒(高血糖)による膵臓のβ細胞障害がなくなります。
また同様に糖毒(高血糖)によるインスリン抵抗性も改善されます。
さらに、糖質制限食により膵臓のβ細胞は休養できるので、疲弊していたのが元気を回復します。既に壊れたβ細胞は勿論回復不能ですが・・・。
また、体重が7kg減量できていますので、肥満によるインスリン抵抗性も改善していると思います。
まとめると、膵臓のβ細胞が、どのていど壊れているかによりますが、糖質制限食により、耐糖能改善ということはありえます。
その人本来のβ細胞機能の9/10までの回復なのか、5/10の回復なのか、3/10の回復なのかは、β細胞がどのていど壊れているかによる個人差ということとなります。
江部康二
☆☆☆☆☆
(*)2010-10-07の本ブログ記事
<HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇>
メディカル トリビューン 2010年9月30日号に載った記事によると、またまた、大変興味深い研究報告がありました。(**)
タフツ大学(ボストン)分子心臓学研究所のRichard H. Karas理事らが、
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」
との研究結果を、Journal of the American College of Cardiology(2010; 55: 2846-2854)に発表しました。
Karas理事は「HDL-Cの血中濃度と発がんリスクとの間には重要な関連がある。このことは体内でHDL-Cが果たしうる別の重要な役割を裏づけるものだ。以前の研究からはLDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなることが示されており、今回の結果は重要である」と述べています。
今回の研究は、スタチン系薬の試験におけるHDL-C値と発がんリスクとの関連を、総合的に解析した初の研究です。
2004年の法律改正後の製薬企業と、直接利害関係のない研究者らによる研究かどうか、微妙な時期なのですが、
「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」
というスタチン系製薬会社にとっては、誠に都合の悪い結論をはっきり言い切ってますので、少なくともKaras理事は、ニュートラルな立場の人と推察されます。
総症例数が14万5,743例の大規模試験で、追跡期間の中央値は5年で、発がんの報告件数は8,185例です。
研究の結果、
「HDL-C値が10mg/dL高くなるごとに発がんリスクが36%低くなる。これはベースラインのLDLコレステロール(LDL-C)値や年齢,BMI,糖尿病,性,喫煙状況を含む他の危険因子とは独立したものであった。」
とのことでした。
これは、スタチン系薬剤で、HDL-C値が上昇すれば発ガンリスクが減少するという、製薬会社にも有利なお話しではあります。
一方、糖質制限食を実践すれば、スタチン製剤の比ではなく、ほとんどの人において、HDL-C値が上昇します。
このことは、薬に頼ることなく、糖質制限食で心筋梗塞とガンが予防できるということであり、大きなアドバンテージですね。
(**)http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43390072/
[2010年9月30日(VOL.43 NO.39) p.07] メディカル トリビューン
江部康二
今回はotoki さんから、糖質制限食で脂肪肝・HbA1c・HDLコレステロール改善という嬉しいコメントをいただきました。
【11/04/02 otoki
江部先生 こんばんは!
昨年8月に糖質制限食にて肝機能の改善がみられ、久しぶりに再度血液検査をしました。
22,08,16 23,03,19
r-GT 36 32
AST 18 26
ALT 15 18
HDL 76.8 100.6
LDL 83.0 87.4
中性脂肪 81 57
HbA1c 5.4 5.4
食後90分 159 130
LDL・・HDLの比がなんと0.87でした。
朝食と昼食には軽く炭水化物を摂っています。
毎日焼酎を300mL~飲んでいます。
ちなみに21,10,23の検査値は r-GT 116で、HbA1c 8.7 でした。
耐糖能性とは復活するものなのでしょうか?
さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑
糖質を控えるだけで改善でき、信じられません!】
otoki さん。
素晴らしいデータ改善ですね。
『平成21年10月23日、r-GTP:116、HbA1c :8.7%』
『平成22年8月16日、r-GTP:36、HbA1c :5.4%、HDL:76.8、LDL:83.0』
『平成23年3月13日、r-GTP:32、HbA1c :5.4%、HDL:100.6、LDL:87.4』
糖質制限食を実践されて、平成22年8月16日の検査では、γ-GTPとHbA1cが正常値まで改善しています。
毎日焼酎を300mL~飲んでおられますので、γ-GTPの改善は脂肪肝の改善と考えられます。
さらにその後の7ヶ月で、HDL-Cが76.8→100.6 と31%も増加していて、大変好ましい変化です。
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」(*)との研究報告がありますので、otoki さん、とてもいいですよ。
現在まで、HDL-Cを増加させる作用が確認された薬剤は、ほとんどないと思います。スタチン系の薬剤で、HDL-C値が増えるという報告もありますが、はっきりしません。
以下は、NM online 2011.1.12 日経BP社の記事からの抜粋です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/etc/201101/518047.html
【スタチンはLDLコレステロール(LDL-c)値を下げ、心筋梗塞リスクを低下させるが、スタチンを使用している患者にも心血管イベントは発生する。米Tufts大学のHaseeb Jafri氏らは、大規模な無作為化試験を対象にメタ分析を行い、スタチン使用はHDLコレステロール(HDL-c)値と心血管イベントリスクの関係には影響を与えないこと、スタチン使用中であってもHDL-c低値の患者の心血管イベント発生率はスタチン非使用者と同様であることを明らかにした。論文は、Ann Intern Med誌2010年12月20日号に掲載された。】
どうやらスタチンは、LDLコレステロール値は下げるけれど、HDLコレステロール値には影響をあたえないようです。
こうなると、糖質制限食だけが、HDL-Cを増加させる作用を有す治療法と思います。
『耐糖能性とは復活するものなのでしょうか? さすがに体重は7Kgほど減りましたが・・笑 』
まず糖質制限食実践により、食後高血糖が改善されて、糖毒(高血糖)による膵臓のβ細胞障害がなくなります。
また同様に糖毒(高血糖)によるインスリン抵抗性も改善されます。
さらに、糖質制限食により膵臓のβ細胞は休養できるので、疲弊していたのが元気を回復します。既に壊れたβ細胞は勿論回復不能ですが・・・。
また、体重が7kg減量できていますので、肥満によるインスリン抵抗性も改善していると思います。
まとめると、膵臓のβ細胞が、どのていど壊れているかによりますが、糖質制限食により、耐糖能改善ということはありえます。
その人本来のβ細胞機能の9/10までの回復なのか、5/10の回復なのか、3/10の回復なのかは、β細胞がどのていど壊れているかによる個人差ということとなります。
江部康二
☆☆☆☆☆
(*)2010-10-07の本ブログ記事
<HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇>
メディカル トリビューン 2010年9月30日号に載った記事によると、またまた、大変興味深い研究報告がありました。(**)
タフツ大学(ボストン)分子心臓学研究所のRichard H. Karas理事らが、
「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」
との研究結果を、Journal of the American College of Cardiology(2010; 55: 2846-2854)に発表しました。
Karas理事は「HDL-Cの血中濃度と発がんリスクとの間には重要な関連がある。このことは体内でHDL-Cが果たしうる別の重要な役割を裏づけるものだ。以前の研究からはLDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなることが示されており、今回の結果は重要である」と述べています。
今回の研究は、スタチン系薬の試験におけるHDL-C値と発がんリスクとの関連を、総合的に解析した初の研究です。
2004年の法律改正後の製薬企業と、直接利害関係のない研究者らによる研究かどうか、微妙な時期なのですが、
「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」
というスタチン系製薬会社にとっては、誠に都合の悪い結論をはっきり言い切ってますので、少なくともKaras理事は、ニュートラルな立場の人と推察されます。
総症例数が14万5,743例の大規模試験で、追跡期間の中央値は5年で、発がんの報告件数は8,185例です。
研究の結果、
「HDL-C値が10mg/dL高くなるごとに発がんリスクが36%低くなる。これはベースラインのLDLコレステロール(LDL-C)値や年齢,BMI,糖尿病,性,喫煙状況を含む他の危険因子とは独立したものであった。」
とのことでした。
これは、スタチン系薬剤で、HDL-C値が上昇すれば発ガンリスクが減少するという、製薬会社にも有利なお話しではあります。
一方、糖質制限食を実践すれば、スタチン製剤の比ではなく、ほとんどの人において、HDL-C値が上昇します。
このことは、薬に頼ることなく、糖質制限食で心筋梗塞とガンが予防できるということであり、大きなアドバンテージですね。
(**)http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43390072/
[2010年9月30日(VOL.43 NO.39) p.07] メディカル トリビューン
江部康二
お忙しい中早速ご返答を頂き、ありがとうございました。
糖質制限を知ってから、糖質が多い物を頂くことに少し罪悪感を抱いてしまったりしていたので、気持ちが楽になりました。
これからはうまくつき合えるように工夫していきたいと思います。
先日糖質制限ドットコムで購入したパンやスイーツが早速届きましたので、頂くのが楽しみです♪
糖質制限を知ってから、糖質が多い物を頂くことに少し罪悪感を抱いてしまったりしていたので、気持ちが楽になりました。
これからはうまくつき合えるように工夫していきたいと思います。
先日糖質制限ドットコムで購入したパンやスイーツが早速届きましたので、頂くのが楽しみです♪
2011/04/04(Mon) 13:03 | URL | なおみ | 【編集】
ゆう さん。
母上は心配ないと思います。
正常型の範囲内での変動です。
1時間値も180mgを超えていなければ、大丈夫です。
母上は心配ないと思います。
正常型の範囲内での変動です。
1時間値も180mgを超えていなければ、大丈夫です。
2011/04/04(Mon) 18:53 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生の記事に取り上げていただけるのは3度目です。 お世話になりありがとうございます。
江部先生に出会わななかったらおそらく散々でしたでしょう。
父母の糖尿病での悲惨な状況を見てきましたから・・
だから自分も、55歳を超え数値が気になり仕方がありませんでした。
だから糖質制限食の効果が確信でき安心しています。
20代後半の頃からrGTPが高かったり・・最近の数値が信じられません。
嘘のような本当の話です! これからは節制にも心掛けていきます。
糖質制限食を紹介された江部先生に・・ありがとうございます。
これからも新しい情報よろしくお願いいたします。
江部先生に出会わななかったらおそらく散々でしたでしょう。
父母の糖尿病での悲惨な状況を見てきましたから・・
だから自分も、55歳を超え数値が気になり仕方がありませんでした。
だから糖質制限食の効果が確信でき安心しています。
20代後半の頃からrGTPが高かったり・・最近の数値が信じられません。
嘘のような本当の話です! これからは節制にも心掛けていきます。
糖質制限食を紹介された江部先生に・・ありがとうございます。
これからも新しい情報よろしくお願いいたします。
2011/04/04(Mon) 21:04 | URL | otoki | 【編集】
2年前まで血糖値600を越えていましたが、スーパー糖質制限食で現在120~200に下がっています。
血液検査では、血糖値とhbA1c以外すべて正常値でした。
これまで薬は使ったことがありません。
困ったことに血糖値は下降しているのですが、下肢に痛みが強く出るようになりました。足裏のしびれや針でつつくような痛みもあります。皮膚も過敏で触られると痛みを感じます。
こういった症状に八味地黄丸が効くかもしれないと聞いたのですが、江部先生のご意見をお聞かせいただけませんか。
よろしくお願いします。
血液検査では、血糖値とhbA1c以外すべて正常値でした。
これまで薬は使ったことがありません。
困ったことに血糖値は下降しているのですが、下肢に痛みが強く出るようになりました。足裏のしびれや針でつつくような痛みもあります。皮膚も過敏で触られると痛みを感じます。
こういった症状に八味地黄丸が効くかもしれないと聞いたのですが、江部先生のご意見をお聞かせいただけませんか。
よろしくお願いします。
ZAKIさん。
数年以上に及ぶ高血糖があると、消えない借金のように、後々に影響が残ります。
やはり糖尿病神経障害と思われます。糖尿人の目標をクリアしていれば、進行はくいとまると思います。
八味地黄丸や他の処方もあり、健康保険が効きますので、主治医にご相談ください。
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値130mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
数年以上に及ぶ高血糖があると、消えない借金のように、後々に影響が残ります。
やはり糖尿病神経障害と思われます。糖尿人の目標をクリアしていれば、進行はくいとまると思います。
八味地黄丸や他の処方もあり、健康保険が効きますので、主治医にご相談ください。
【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために
① 空腹時血糖値130mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満
2011/05/07(Sat) 17:52 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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