2011年03月10日 (木)
こんばんは。
下記のユーチューブへのリンクをクリックしていただくと、とても嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。江部康二。 m(_ _)m
さて、ジュンさんから、インスリンの作用と糖輸送体と基礎分泌・追加分泌などについて、コメント・質問をいただきました。
【11/03/10 ジュン
No title
江部先生 おはようございます。
理解不足ですみません、教えていただけると幸いです。
・ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?
・筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか?
・健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか?
・インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?】
ジュンさん。
復習も兼ねて質問の回答を考えてみましょう。
「ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?」
インスリンは、肝臓における糖新生を抑制し、グリコーゲンの合成を促進します。
結果として、肝静脈へのブドウ糖放出を抑制します。インスリンは必要ですね。
「筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか? 」
筋肉が収縮したときは、筋肉細胞内のGlut4という糖輸送体が、細胞内から細胞表面に移動するので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
脳の糖輸送体は、Glut1であり、常に細胞表面に存在しているので、血流さえあればいつでも血糖を取り込めます。
ちなみに赤血球や網膜もGlut1を持っているので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
なお、糖質を食べて血糖値が上昇したときは、インスリンが大量に追加分泌されて、筋肉細胞のGlut4が細胞表面に移動するので血糖を取り込めます。Glut4が筋肉細胞内にあるときは、血糖をほとんど取り込めません。
「健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか? インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?」
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る、追加分泌のインスリンがあります。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常の人は、血糖値が上昇し始めたら、即インスリンが追加分泌されます。
これは第1相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの、持続するインスリン分泌を行います。これは、食事における糖質の残りをカバーしています。
即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。
食事が終わってしばらくしたら、また第1相のインスリンがプールされると思います。
江部康二
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【11/03/10 ジュン
No title
江部先生 おはようございます。
理解不足ですみません、教えていただけると幸いです。
・ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?
・筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか?
・健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか?
・インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?】
ジュンさん。
復習も兼ねて質問の回答を考えてみましょう。
「ブドウ糖を肝臓にグリコーゲンとして蓄える時はインシュリンは必要なのでしょうか?」
インスリンは、肝臓における糖新生を抑制し、グリコーゲンの合成を促進します。
結果として、肝静脈へのブドウ糖放出を抑制します。インスリンは必要ですね。
「筋肉の運動時や脳などはインシュリンがなくても体内にブドウ糖を取り込めるものなのでしょうか? 」
筋肉が収縮したときは、筋肉細胞内のGlut4という糖輸送体が、細胞内から細胞表面に移動するので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
脳の糖輸送体は、Glut1であり、常に細胞表面に存在しているので、血流さえあればいつでも血糖を取り込めます。
ちなみに赤血球や網膜もGlut1を持っているので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。
なお、糖質を食べて血糖値が上昇したときは、インスリンが大量に追加分泌されて、筋肉細胞のGlut4が細胞表面に移動するので血糖を取り込めます。Glut4が筋肉細胞内にあるときは、血糖をほとんど取り込めません。
「健康な人は、β細胞にインシュリンが一定量蓄えられているものなのでしょうか? だとすると、食事の追加分泌でその一定量を使ってしまうと、一回の食事でも、あまりだらだらと時間をかけてたくさん食べていると、健康な人でも溜ったインシュリンを使いはたしてしまうと、血糖値が上がってしまうものなのでしょうか? インシュリンを作って蓄えるのにどの程度の時間がかかるものなのでしょうか?」
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る、追加分泌のインスリンがあります。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常の人は、血糖値が上昇し始めたら、即インスリンが追加分泌されます。
これは第1相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれるやや少なめの、持続するインスリン分泌を行います。これは、食事における糖質の残りをカバーしています。
即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。
食事が終わってしばらくしたら、また第1相のインスリンがプールされると思います。
江部康二
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