2011年03月02日 (水)
こんにちは。
糖尿病診療マスター・2010年3月号・Vol.8 No.3
臨床医のための実践食事療法
を読んで、の続きです。
309ページから314ページまで、日本鋼管福山病院内科の箱田知美先生が、
「カーボカウント法の実際」
と題して解説をしておられます。
この解説の中で309ページに
「食事に含まれる炭水化物・蛋白質・脂質の食後血糖値に対する影響と超速効型インスリンの作用時間」
という図が載っています。
この図は、米国糖尿病協会(ADA)が1997年に発行した
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,1997」
に載っている図です。
この米国糖尿病協会の本は、日本では池田義雄先生が監訳され、
「糖尿病教室パーフェクトガイド ADA(アメリカ糖尿病協会)発行 医歯薬出版、2001」
として、出版されました。
これ以降、ADA発行・1997版の記述である
「糖質は数分~120分で100%血糖に変わり、タンパク質50%、脂質10%未満が血糖に変わる」
という図が、日本中に流布しました。
その後、ADA発行・2004年版
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004」
において、
「血糖を上昇させるのは基本的に糖質のみであり、蛋白質・脂質は血糖に変わらない」
と、1997年版から明確に文言が変更されました。
この変更は、東海大学の大櫛陽一先生からご教示いただきました。
これを受けて、私が書いた「内科」の小論文に、その旨を記載しました。(*)
おそらく、私の「内科」の2010年の論文が、ADA発行・2004年版の変更を、本邦初で紹介したことになると思います。
私も大櫛先生のご指摘まで気がついてなかったので、大きなことは言えないのですが、糖尿病専門医の先生方には、
ADA発行・2004年版
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004」
の変更を、是非認識していただきたいと思うのです。
このように大きな変化に、英語に堪能な糖尿病専門医の方々が、何故2004年から数年経過した今もお気づきにならないのかが不思議です。
糖尿病診療マスター・2010年3月号の日本鋼管福山病院内科の箱田知美先生の説明文も、1997年版のままでは困ります。2004年版を早急に調べられて、取り上げて頂きたいと思うものです。
(*)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
江部康二
糖尿病診療マスター・2010年3月号・Vol.8 No.3
臨床医のための実践食事療法
を読んで、の続きです。
309ページから314ページまで、日本鋼管福山病院内科の箱田知美先生が、
「カーボカウント法の実際」
と題して解説をしておられます。
この解説の中で309ページに
「食事に含まれる炭水化物・蛋白質・脂質の食後血糖値に対する影響と超速効型インスリンの作用時間」
という図が載っています。
この図は、米国糖尿病協会(ADA)が1997年に発行した
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,1997」
に載っている図です。
この米国糖尿病協会の本は、日本では池田義雄先生が監訳され、
「糖尿病教室パーフェクトガイド ADA(アメリカ糖尿病協会)発行 医歯薬出版、2001」
として、出版されました。
これ以降、ADA発行・1997版の記述である
「糖質は数分~120分で100%血糖に変わり、タンパク質50%、脂質10%未満が血糖に変わる」
という図が、日本中に流布しました。
その後、ADA発行・2004年版
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004」
において、
「血糖を上昇させるのは基本的に糖質のみであり、蛋白質・脂質は血糖に変わらない」
と、1997年版から明確に文言が変更されました。
この変更は、東海大学の大櫛陽一先生からご教示いただきました。
これを受けて、私が書いた「内科」の小論文に、その旨を記載しました。(*)
おそらく、私の「内科」の2010年の論文が、ADA発行・2004年版の変更を、本邦初で紹介したことになると思います。
私も大櫛先生のご指摘まで気がついてなかったので、大きなことは言えないのですが、糖尿病専門医の先生方には、
ADA発行・2004年版
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004」
の変更を、是非認識していただきたいと思うのです。
このように大きな変化に、英語に堪能な糖尿病専門医の方々が、何故2004年から数年経過した今もお気づきにならないのかが不思議です。
糖尿病診療マスター・2010年3月号の日本鋼管福山病院内科の箱田知美先生の説明文も、1997年版のままでは困ります。2004年版を早急に調べられて、取り上げて頂きたいと思うものです。
(*)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
江部康二
画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」|DVD、絶賛発売中!
糖質制限食の第一人者、高雄病院理事長、江部康二医師の講演が臨場感溢れるDVDに。二つの講演会を収録し、この一枚に糖質制限食のエッセンスを凝縮!お求めはこちらから http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php> 「血糖を上昇させるのは基本的に糖質のみであり、蛋白質・脂質は血糖に変わらない」
一度くらい原文を載せて頂けませんか
文脈解るように、前後含めて数行なら引用という事で問題ないと思いますが
あと、ページ番号なども付記していただけると幸いです
一度くらい原文を載せて頂けませんか
文脈解るように、前後含めて数行なら引用という事で問題ないと思いますが
あと、ページ番号なども付記していただけると幸いです
2011/03/02(Wed) 23:38 | URL | korune | 【編集】
江部先生こんにちは。
このブログでも何度かアドバイスをいただいている初心者エイジです。
先生の「糖尿病診療マスター」の感想を読まさせていただきました。
「血糖を上昇させるのは基本的に糖質のみであり、蛋白質、脂質は血糖に変わらない」ということを、おかげさまで日々、実感しています。
昨年5月の衝撃の糖尿病の診断(当時体重 73kg、空腹時血糖180、HbA1c 8.2!)その後6月に先生の著書に出会い、自己判断でスーパー糖質制限食をすぐに開始。もちろんすぐに結果が出始め、2ヶ月後の昨年8月には、HbA1c 4.7となり、それからの7ヶ月あまり毎月の検診でも4.7をキープ。今日の定期検診もHbA1c 4.8とう結果でした。
もちろん主食もお菓子もほとんど食べてはいませんが、日々のおかずも大好物のホルモン焼きもたくさん食べて、お酒(チューハイ、ハイボール)も結構飲んで、食に対するストレスもほとんどないというありがたい状況でこの結果です。糖質制限食と適度な運動(ウォーキング、サイクリングなど)だけで、体重も15キロ減の58kgを同じく7ヶ月あまりキープできています。ここ何十年とつらかった、胃炎、肩こり、頭痛、眼の疲労も雲散霧消し風邪も引かなくなり健康この上ないです。副産物で(笑)お酒も強くなり二日酔いもありません。脂肪肝が改善されたからでしょうか?
「糖尿病診療マスター」を書いておられる偉い先生にもこの結果を聞いてもらいたいものです。今日は定期検診で主治医の先生が外出で他の先生がカルテを見て診断してくれたのですが、「うちの患者さんでも、4%代をキープし続けるほどの良好なコントロールはすごいことですよ!」とお褒めの言葉をいただきました。
江部先生ありがとうございます。昨年、糖質制限食に出会ってなかったらどんなことになっていたんだろうと考えると、感謝の気持でいっぱいです。
糖尿病になる前に先生の著書に出会いたかった!!!(汗・・・)
これからも第2の人生を、糖尿人して元気に糖質制限食でがんばっていきたいです。
このブログでも何度かアドバイスをいただいている初心者エイジです。
先生の「糖尿病診療マスター」の感想を読まさせていただきました。
「血糖を上昇させるのは基本的に糖質のみであり、蛋白質、脂質は血糖に変わらない」ということを、おかげさまで日々、実感しています。
昨年5月の衝撃の糖尿病の診断(当時体重 73kg、空腹時血糖180、HbA1c 8.2!)その後6月に先生の著書に出会い、自己判断でスーパー糖質制限食をすぐに開始。もちろんすぐに結果が出始め、2ヶ月後の昨年8月には、HbA1c 4.7となり、それからの7ヶ月あまり毎月の検診でも4.7をキープ。今日の定期検診もHbA1c 4.8とう結果でした。
もちろん主食もお菓子もほとんど食べてはいませんが、日々のおかずも大好物のホルモン焼きもたくさん食べて、お酒(チューハイ、ハイボール)も結構飲んで、食に対するストレスもほとんどないというありがたい状況でこの結果です。糖質制限食と適度な運動(ウォーキング、サイクリングなど)だけで、体重も15キロ減の58kgを同じく7ヶ月あまりキープできています。ここ何十年とつらかった、胃炎、肩こり、頭痛、眼の疲労も雲散霧消し風邪も引かなくなり健康この上ないです。副産物で(笑)お酒も強くなり二日酔いもありません。脂肪肝が改善されたからでしょうか?
「糖尿病診療マスター」を書いておられる偉い先生にもこの結果を聞いてもらいたいものです。今日は定期検診で主治医の先生が外出で他の先生がカルテを見て診断してくれたのですが、「うちの患者さんでも、4%代をキープし続けるほどの良好なコントロールはすごいことですよ!」とお褒めの言葉をいただきました。
江部先生ありがとうございます。昨年、糖質制限食に出会ってなかったらどんなことになっていたんだろうと考えると、感謝の気持でいっぱいです。
糖尿病になる前に先生の著書に出会いたかった!!!(汗・・・)
これからも第2の人生を、糖尿人して元気に糖質制限食でがんばっていきたいです。
2011/03/03(Thu) 14:34 | URL | 初心者エイジ | 【編集】
korune さん。
もし医療関係の方でしたら、ご自分で確認して頂けば幸いです。アマゾンでも手に入ります。
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004」
の55,56ページに載っています。
1997年版ではあった、タンパク質・脂質が血糖値に変わるという記載は削除されています。
64ページには、Nutriennts in food group の表があります。
血糖値への影響はタンパク質・脂質はなしとされています。
もし医療関係の方でしたら、ご自分で確認して頂けば幸いです。アマゾンでも手に入ります。
「Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004」
の55,56ページに載っています。
1997年版ではあった、タンパク質・脂質が血糖値に変わるという記載は削除されています。
64ページには、Nutriennts in food group の表があります。
血糖値への影響はタンパク質・脂質はなしとされています。
2011/03/03(Thu) 17:27 | URL | ドクター江部 | 【編集】
お忙しいところ恐縮です
ページ番号の記載有難うございます
ページ番号の記載有難うございます
2011/03/03(Thu) 18:45 | URL | korune | 【編集】
日々お忙しい中、更新作業お疲れ様です。
そして、お勉強をさせて頂き有難う御座います。
関連記事で質問をさせて頂くべきなのか悩んだのですが、
最新記事にて失礼させて頂きます。
現在、先生のブログと買わせて頂いた本を参考に
主食をおからに切り替え身体を絞っている最中です。
体重の数値にはほぼ変化はありませんが
毎日1時間のエクササイズ効果も現れているようで
脂肪量が減り筋量が増え見た目の変化が着実に現れてきています。
筋肉は脂肪の三倍(でしたかね)と言われているので
数値の増減は気にしていなかったのですが
先日、
当方のブログに江部先生のところの患者さん?とおっしゃる方からコメントを頂きました。
その内容は、
おからは糖質制限になりませんよ。
体重の数値が減らないのはおからを主食にしている所為で
その理由としては
おからはたんぱく質量が豊富だけれど、その中にはでんぷん質も多く含まれていて炭水化物を摂取しているのと同じ事。
だから体重が減らないんですよ。
豆腐はOKでもおからはNGとの内容でした。
でんぷん質と炭水化物は同等として考えるべきなのでしょうか?
こんがらがり不安になってしまいました。
是非、お教え頂ければと存じます。
大変お忙しい先生にお手間をお掛けしてしまいますが
どうぞご教授下さいませ。
そして、お勉強をさせて頂き有難う御座います。
関連記事で質問をさせて頂くべきなのか悩んだのですが、
最新記事にて失礼させて頂きます。
現在、先生のブログと買わせて頂いた本を参考に
主食をおからに切り替え身体を絞っている最中です。
体重の数値にはほぼ変化はありませんが
毎日1時間のエクササイズ効果も現れているようで
脂肪量が減り筋量が増え見た目の変化が着実に現れてきています。
筋肉は脂肪の三倍(でしたかね)と言われているので
数値の増減は気にしていなかったのですが
先日、
当方のブログに江部先生のところの患者さん?とおっしゃる方からコメントを頂きました。
その内容は、
おからは糖質制限になりませんよ。
体重の数値が減らないのはおからを主食にしている所為で
その理由としては
おからはたんぱく質量が豊富だけれど、その中にはでんぷん質も多く含まれていて炭水化物を摂取しているのと同じ事。
だから体重が減らないんですよ。
豆腐はOKでもおからはNGとの内容でした。
でんぷん質と炭水化物は同等として考えるべきなのでしょうか?
こんがらがり不安になってしまいました。
是非、お教え頂ければと存じます。
大変お忙しい先生にお手間をお掛けしてしまいますが
どうぞご教授下さいませ。
2011/03/03(Thu) 19:02 | URL | 岡野 | 【編集】
岡野 さん。
本のご購入ありがとうございます。
五訂日本食品標準成分表によれば
おから・旧来製法 :100g中に糖質はなし。食物繊維が9.7g。炭水化物9.7g。
おから・新製法:100g中に糖質は2.3g。食物繊維が11.5g。炭水化物13.8g。
です。
従いまして、おからは糖質制限OK食品です。
安心してご賞味ください。
本のご購入ありがとうございます。
五訂日本食品標準成分表によれば
おから・旧来製法 :100g中に糖質はなし。食物繊維が9.7g。炭水化物9.7g。
おから・新製法:100g中に糖質は2.3g。食物繊維が11.5g。炭水化物13.8g。
です。
従いまして、おからは糖質制限OK食品です。
安心してご賞味ください。
2011/03/03(Thu) 22:40 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ホッとしました。
基本OKでも例外があったらどうしようと不安な気持ちがむくむく顔を覗かせていたので
先生のお墨付きを頂けて良かったです。
これで安心して糖質制限を継続していけます。
先生のご本はこれまでに二冊ほどなのですがより知識を得たいと思いましたので買い揃えていこうと思います。
お忙しい中、ご返答を頂き本当に有難う御座いました。
これからも知識を広げたくお邪魔させて頂きます。
基本OKでも例外があったらどうしようと不安な気持ちがむくむく顔を覗かせていたので
先生のお墨付きを頂けて良かったです。
これで安心して糖質制限を継続していけます。
先生のご本はこれまでに二冊ほどなのですがより知識を得たいと思いましたので買い揃えていこうと思います。
お忙しい中、ご返答を頂き本当に有難う御座いました。
これからも知識を広げたくお邪魔させて頂きます。
2011/03/03(Thu) 23:31 | URL | 岡野 | 【編集】
こんにちわ。
3月2日の日経新聞に面白い記事が掲載されていました。
「東京大学のグループは、肥満などが原因の2型糖尿病患者では血管からうまくインスリンが出ないために、血糖値が下がりにくくなっていることをマウス実験で確認」
また、閉塞性動脈硬化などの治療薬として承認され使われている薬(酵素の働きを活発にさせて、毛細血管の機能を回復させるものだそうです)を使っての臨床試験もされているそうです。
これでまた2型糖尿病患者に新しい希望の灯が見えてくるような気がします。
3月2日の日経新聞に面白い記事が掲載されていました。
「東京大学のグループは、肥満などが原因の2型糖尿病患者では血管からうまくインスリンが出ないために、血糖値が下がりにくくなっていることをマウス実験で確認」
また、閉塞性動脈硬化などの治療薬として承認され使われている薬(酵素の働きを活発にさせて、毛細血管の機能を回復させるものだそうです)を使っての臨床試験もされているそうです。
これでまた2型糖尿病患者に新しい希望の灯が見えてくるような気がします。
2011/03/06(Sun) 01:08 | URL | 大虎猫 | 【編集】
大虎猫 さん。
面白いニュースですね。
ブログ記事にしようと思います。
面白いニュースですね。
ブログ記事にしようと思います。
2011/03/06(Sun) 09:40 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |