2007年08月08日 (水)
おはようございます。今朝もセミに起こされた江部康二です。
暑い一日が始まりますが、この際、今回は逆療法で暑苦しい(?)お話を一つ。
さて、欧米における肥満の増加が目立っています。世界保健機関(WHO)によると、肥満の指標であるBMI(体重÷身長÷身長)数値が30以上の肥満人口は、1995年から2000年の間に、世界で2億人から3億人以上に増加したそうです。
人口に占める肥満者の割合(大人の場合)は米国で30.5%、英国で22.14%、オーストラリアは16.4%です。日本(3.1%)や中国(2.9%)などアジア諸国は欧米に比べると肥満人口はかなり少ないです。
日本の場合、BMI25以上が肥満とされていますが、欧米に比べるとかなり厳しい基準ですね。
でも、BMI30というのは、日本では雑踏ですれ違ったとしても、一目肥満で目立つ存在ですので、欧米の肥満恐るべしです。( ̄◇ ̄)
米国フロリダ州の病院では、肥満患者を運ぶため、体重220キロにも対応できる救急車を導入したそうです。体重約150キロを超える入院患者は、20年前は年に1人いるかどうかでしたが、最近は、毎日のように運ばれてくるといいます。
このように、欧米には体重150kgを超える、巨大肥満がざらにみられますが、日本人ではまれです。この違いはなぜでしょう?
一言で言えば「インスリン分泌能力の差」です。以前ブログでインスリンは肥満ホルモンと書きました。
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されてまず筋肉で利用させますが、余った血糖値が全て中性脂肪に変わります。
糖質の過剰摂取を繰り返していると、その度にインスリンが分泌されて徐々に肥満していきます。
一旦肥満(特に内臓脂肪肥満)してしまうと、細胞にインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてくるので、同じ程度の血糖値を処理するのに、今まで以上の量のインスリンが必要となります。
そして更に肥満が進行するという、悪循環のスパイラルに入ります。
欧米人(特に白人)は、インスリン分泌能力が高いので、このスパイラルに入っても10年、20年、30年と大量のインスリンを出し続けるので、糖尿病にはならずに巨大肥満が発症するのです。
日本人は、数年レベルでインスリン分泌能力が疲弊してきて糖尿病を発症してしまうので、巨大肥満に到らないのです。
ともあれ、糖質の過剰摂取が肥満や糖尿病の根本的な要因ですので、結論として、これらの問題を解決するには、糖質制限食の出番となります。
肥満・糖尿病の原因は、決して脂肪ではないことはお忘れなく!!
最近の欧米の研究により、従来推奨されてきた脂肪制限食は、減量における長期的有用性には否定的であることが明らかとなりました。(医学雑誌、治療、食事療法のエビデンスと実際、柳内秀勝、多田紀夫、2007.7、2286~2290)
江部康二
暑い一日が始まりますが、この際、今回は逆療法で暑苦しい(?)お話を一つ。
さて、欧米における肥満の増加が目立っています。世界保健機関(WHO)によると、肥満の指標であるBMI(体重÷身長÷身長)数値が30以上の肥満人口は、1995年から2000年の間に、世界で2億人から3億人以上に増加したそうです。
人口に占める肥満者の割合(大人の場合)は米国で30.5%、英国で22.14%、オーストラリアは16.4%です。日本(3.1%)や中国(2.9%)などアジア諸国は欧米に比べると肥満人口はかなり少ないです。
日本の場合、BMI25以上が肥満とされていますが、欧米に比べるとかなり厳しい基準ですね。
でも、BMI30というのは、日本では雑踏ですれ違ったとしても、一目肥満で目立つ存在ですので、欧米の肥満恐るべしです。( ̄◇ ̄)
米国フロリダ州の病院では、肥満患者を運ぶため、体重220キロにも対応できる救急車を導入したそうです。体重約150キロを超える入院患者は、20年前は年に1人いるかどうかでしたが、最近は、毎日のように運ばれてくるといいます。
このように、欧米には体重150kgを超える、巨大肥満がざらにみられますが、日本人ではまれです。この違いはなぜでしょう?
一言で言えば「インスリン分泌能力の差」です。以前ブログでインスリンは肥満ホルモンと書きました。
糖質を摂取して血糖値が上昇すると、インスリンが追加分泌されてまず筋肉で利用させますが、余った血糖値が全て中性脂肪に変わります。
糖質の過剰摂取を繰り返していると、その度にインスリンが分泌されて徐々に肥満していきます。
一旦肥満(特に内臓脂肪肥満)してしまうと、細胞にインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてくるので、同じ程度の血糖値を処理するのに、今まで以上の量のインスリンが必要となります。
そして更に肥満が進行するという、悪循環のスパイラルに入ります。
欧米人(特に白人)は、インスリン分泌能力が高いので、このスパイラルに入っても10年、20年、30年と大量のインスリンを出し続けるので、糖尿病にはならずに巨大肥満が発症するのです。
日本人は、数年レベルでインスリン分泌能力が疲弊してきて糖尿病を発症してしまうので、巨大肥満に到らないのです。
ともあれ、糖質の過剰摂取が肥満や糖尿病の根本的な要因ですので、結論として、これらの問題を解決するには、糖質制限食の出番となります。
肥満・糖尿病の原因は、決して脂肪ではないことはお忘れなく!!
最近の欧米の研究により、従来推奨されてきた脂肪制限食は、減量における長期的有用性には否定的であることが明らかとなりました。(医学雑誌、治療、食事療法のエビデンスと実際、柳内秀勝、多田紀夫、2007.7、2286~2290)
江部康二
昨夜、外来の診察でお目にかかりました。糖質制限食でやつれることも無く、この4ヶ月ほどで、すっかり元の体重にもどり、ありがとうございました。先生のブログは朝一番に拝見しております。これからも宜しくお願いいたします。
2007/08/08(Wed) 09:24 | URL | kara | 【編集】
先生のブログを毎日楽しく拝見させて頂き、食養生に関して興味を持つようになりました。最近は、玄米魚野菜食を少しずつ実践しています。
ところで、先生は「マクロビオティック」に関してどのようにお考えですか?
ところで、先生は「マクロビオティック」に関してどのようにお考えですか?
2007/08/08(Wed) 17:55 | URL | tom | 【編集】
江部先生こんにちは。私は糖質制限食により一ヶ月で八キロの減量に成功しました。格闘技をやっているのですが、こんなに楽な減量は初めてです。ところで、減量中に気になったことですが、この時期は暑いため大量に汗をかき、大量に水分を採ります。この水分の大量摂取により、水太りなどが起こり、減量のペースが落ちるようなことはあるのでしょうか?
2007/08/08(Wed) 21:31 | URL | 山本勘助(22才 男) | 【編集】
初めて投稿させていただきます。
主食を抜けばの著書は一年程前に
購入しまた最近読み直しています
やはり糖質を制限すれば血糖値の
上昇は抑えられますが・・・
長期的な体への影響と馬力不足(笑)
を感じます。
無投薬、事故血糖測定しながら食事療
法と運動で血糖値の上昇を抑えていま
す!今朝早朝は110でした!
上昇と戦っています
主食を抜けばの著書は一年程前に
購入しまた最近読み直しています
やはり糖質を制限すれば血糖値の
上昇は抑えられますが・・・
長期的な体への影響と馬力不足(笑)
を感じます。
無投薬、事故血糖測定しながら食事療
法と運動で血糖値の上昇を抑えていま
す!今朝早朝は110でした!
上昇と戦っています
2007/08/09(Thu) 06:12 | URL | ラッキー太郎 | 【編集】
おはようございます。
ブドウ糖負荷試験について、どうしても疑問がありコメントします。
境界型なので、自前の血糖測定器で食後血糖値等を測定していました。
何を食べても今まで190を越えた事はありませんでした。
きっかけでブドウ糖負荷試験を受けておこうと思い受けました。結果・・・
空腹時:95
1時間値210
2時間値175
3時間値110
でした。1時間値の随時血糖値が200を越えているので糖尿だと診断されました。
しかし、200を越えた事は今まで経験しておりません。ブドウ糖という極めて血糖値の上がりやすい物質を75gという大量摂取した場合にのみ200を越えた、と解釈していますが私は糖尿人なのでしょうか?それとも、境界糖尿人なのでしょうか?また、ブドウ糖負荷試験の75gという量はご飯に換算するとどのくらいなのでしょうか?
質問ばかりですみません。よろしくお願いいたします。
ブドウ糖負荷試験について、どうしても疑問がありコメントします。
境界型なので、自前の血糖測定器で食後血糖値等を測定していました。
何を食べても今まで190を越えた事はありませんでした。
きっかけでブドウ糖負荷試験を受けておこうと思い受けました。結果・・・
空腹時:95
1時間値210
2時間値175
3時間値110
でした。1時間値の随時血糖値が200を越えているので糖尿だと診断されました。
しかし、200を越えた事は今まで経験しておりません。ブドウ糖という極めて血糖値の上がりやすい物質を75gという大量摂取した場合にのみ200を越えた、と解釈していますが私は糖尿人なのでしょうか?それとも、境界糖尿人なのでしょうか?また、ブドウ糖負荷試験の75gという量はご飯に換算するとどのくらいなのでしょうか?
質問ばかりですみません。よろしくお願いいたします。
2010/04/18(Sun) 10:03 | URL | クリオネ | 【編集】
クリオネさん。
ブドウ糖負荷試験では2時間値が診断基準となります。
従ってクリオネさんのデータなら、境界型です。
「ブドウ糖という極めて血糖値の上がりやすい物質を75gという大量摂取した場合にのみ200を越えた」
ということでよいと思います。
75gのブドウ糖というのは、炊いたご飯306gに相当します。
ブドウ糖負荷試験では2時間値が診断基準となります。
従ってクリオネさんのデータなら、境界型です。
「ブドウ糖という極めて血糖値の上がりやすい物質を75gという大量摂取した場合にのみ200を越えた」
ということでよいと思います。
75gのブドウ糖というのは、炊いたご飯306gに相当します。
2010/04/18(Sun) 11:22 | URL | ドクター江部 | 【編集】
>>従ってクリオネさんのデータなら、境界型です。
そ、そうですか?・・
その病院の医師には随時血糖で200以上あればその時点で「糖尿」です。って言われました。
どう考えても、ブドウ糖と通常の食事だとペナルティーがありますよね。
糖質制限食で頑張ってみます。先生の著書もネットで購入してこれから読ませて頂きます。
その医師の認識が間違っているのですね。
そ、そうですか?・・
その病院の医師には随時血糖で200以上あればその時点で「糖尿」です。って言われました。
どう考えても、ブドウ糖と通常の食事だとペナルティーがありますよね。
糖質制限食で頑張ってみます。先生の著書もネットで購入してこれから読ませて頂きます。
その医師の認識が間違っているのですね。
2010/04/18(Sun) 12:09 | URL | クリオネ | 【編集】
クリオネさん。
その通りです。
随時血糖値というのは、ブドウ糖負荷試験は実施していなくて、
食前でも食後でも適当に採血するという意味です。
75gブドウ糖負荷試験の診断基準は、2時間後の血糖値で判断します。
200mg/dl以上が糖尿病型、
140mg/dl未満が正常型、
どちらでもないのが境界型です。
同様に
空腹時血糖値
126mg/dl以上が糖衣尿病型、
110mg/dl未満が正常型、
どちらでもないのが境界型です。
その通りです。
随時血糖値というのは、ブドウ糖負荷試験は実施していなくて、
食前でも食後でも適当に採血するという意味です。
75gブドウ糖負荷試験の診断基準は、2時間後の血糖値で判断します。
200mg/dl以上が糖尿病型、
140mg/dl未満が正常型、
どちらでもないのが境界型です。
同様に
空腹時血糖値
126mg/dl以上が糖衣尿病型、
110mg/dl未満が正常型、
どちらでもないのが境界型です。
2010/04/18(Sun) 17:37 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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