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糖質制限食と血管(血管壁)
こんばんは。

つい先ほど、千葉・木更津から、帰京しました。

大盛況で成果の多い講演会でした。また報告したいと思います。

さて心配性さん から 糖質制限食と血管(血管壁)について、コメント・質問をいただきました。


「10/11/22 心配性
質問です。
先日、11月20日(土)の世界一受けたい授業というTV番組のなかで東海大学教授で内分泌.糖尿病専門医の久保明教授が炭水化物を全く摂らないと血管が弱くなるから良くないということをおっしゃっておられました。この見解はいかがなものでしょうか?久保先生ご自身は、低炭水化物の摂取を推奨されてはいらっしゃいますが?」


心配性さん。

必須アミノ酸、必須脂肪酸は存在します。

これらは人体では合成できないので、外部の食物から摂取することが絶対に必要です。

これに対して、必須糖質という概念はありません。

例えばブドウ糖は、赤血球の唯一のエネルギー源ですので、人体に絶対必要です。

しかし、ブドウ糖は肝臓で糖新生により作りますので、食物から摂取しなくても自力で賄えるわけですね。

スーパー糖質制限食でも野菜分の糖質が摂取しますので、総摂取エネルギーの12%くらいは糖質で、56%が脂質で、32%がタンパク質です。

また、糖質制限食で高血糖は改善し正常の血糖値になりますが、低血糖になるわけではありません。肝臓で糖新生するからです。

イヌイットが伝統的食生活を維持していた4000年間は、生肉・生魚でまさにスーパー糖質制限食を実践していました。

このころのイヌイットには、心筋梗塞や脳梗塞が、当時のデンマーク人に比べて極めて少なかったのは有名な話です。すなわち、動脈硬化が少なかったということですね。

糖質制限食により、全身の血流・代謝が改善します。

今まで西洋医学でEBMとして、動脈硬化のリスク要因といわれていた因子が、全て糖質制限食で改善します。

HDL-C、LDL-C、TG、血糖値、HbA1c・・・

従いまして、血管が脆くなるどころが丈夫になると考えられます。

例えば、スーパー糖質制限食を8年間実践中の江部康二の2010年10月のデータは、以下の如くです。


☆☆☆
空腹時採血血糖値108mg(110未満)
HbA1c:5.2%(5.8未満)
ケトン体:675μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
尿酸:3.4mg/dl(3.4~7.0)
TC:223mg/dl(150~219)
TG:37mg/dl(50~149)
HDL-C:105.3mg/dl(40~98)
LDL-C:110mg/dl(140未満)
BUN:17.9mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.66mg/dl(0.6~1.1)
シスタチンC:mg/dl   (0.53~0.95)
IRI:4.0(3~15μU/ml)
γGTP:36IU/L(48以下)
GOT:25IU/L(9~38)
GPT:26IU/L(5~39)
アルブミン:4.8g/dl(3.8~5.3)
尿中アルブミン:mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性


このように、過去の西洋医学のEBMが正しいならば、糖質制限食実践による血管壁への影響は、好ましいもの以外は考えられません。

久保明先生は、勉強不足と思います。

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
TVの詳細です
私は録画しておいた番組を先ほど見たので、折角なので詳細を記述します。
「骨から動脈硬化を修復する細胞が出ている事がずいぶん前からわかっていた。しかし、極端に炭水化物を減らすとその細胞が少なくなる事が判った。そのため骨髄からの動脈硬化のレスキュー隊が少なくなってしまうという事が判ったので、ご飯を無くすのはなかなか難しいと思います」という事を言われていました。

出典は
N ENGL J MED361,23 DECEMBER 3,2009
と、画面に映っていました
2010/11/23(Tue) 21:26 | URL | ざと | 【編集
出典の元ネタなど
はじめまして。糖質制限食を実践中の者です。

The New England journal of medicineの
A Look at the Low-Carbohydrate Dietという記事の
元になっているのは、
PANSに掲載された以下の記事です。
Vascular effects of a low-carbohydrate high-protein diet
http://www.pnas.org/content/early/2009/08/21/0907995106

これに関連して、スウェーデンでのコホート研究も出ています。
Mediterranean and carbohydrate-restricted diets and mortality among elderly men: a cohort study in Sweden
Am J Clin Nutr 2010 92 (4) 967-974


どうも形勢不利な論調です。
2010/11/23(Tue) 23:43 | URL | AGEs | 【編集
事実と解釈
私も、その番組見ました

炭水化物を減らすと動脈硬化のレスキュー隊が少なくなってしまうというのが事実であるとして、

見方を変えれば、糖質を取らなければ、血管が傷つかず、むしろ丈夫になるので

レスキュー隊が出動する必要が少なくなってくるという解釈もできるかなと思います


放火犯(糖質)がいなくなると、消防車の出動回数が少なくなるから

少しは放火しましょうと言われているようで変な気がしました

2010/11/24(Wed) 00:08 | URL | ポン吉 | 【編集
お礼とお詫び・ご報告
心配性です。早速の回答をありがとうございました。(ざとさんの補足もありがとうございました。)コメントが届いていないと勘違いし、同じ内容のものを3通も送信してしまい申し訳ありませんでした。さて、4月に尿中アルブミンが46mgと基準値をオーバーして、腎症への進行が心配で即糖質制限食にした84歳の母も、7月の検査では、基準値内に下がり、また10月の検査でも基準値内でした。これも先生の提唱なさる糖質制限食を実行したお陰です。ありがとうございました。引き続き糖質制限食を継続していきます。
2010/11/24(Wed) 06:53 | URL | 心配性 | 【編集
マウスでの実験のようですね
はじめまして。私は米国で境界型糖尿病と診断され、日々管理に勤しんでいる者です。
 この話題に興味がありましたので、ざとさんからの情報を基に、出典を調べてみました。出典はおなじみの「The New England Journal of Medicine」からのもので、「A Look at the Low-Carbohydrate Diet」(by Steven R. Smith, M.D.; N Engl J Med 2009; 361:2286-2288December 3, 2009)という論文のようです。以下のページから要約を読むことができます。
http://prod.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcibr0908756
残念ながら、全部読むには購読が必要ですが、骨髄の話は、マウスでの実験からの結果のようですね。これが人間やもっと大きな動物の場合ではどうなるのか、私も関心があります。
 また、この論文の要約を読む限りでは、焦点は糖尿病の食事療法としての低炭水化物食ではなく、「今はやりの低炭水化物食」(おそらくアトキンスダイエットのことを言っていると思います)にあてられているようです。
 論文全体を読まなければわかりませんが、この実験がマウスの膵臓機能(マウスの血糖値のレベル等)にまったく注目していない場合は、結果を糖尿病の食事療法に適用するのは難しいと思います。
2010/11/24(Wed) 12:44 | URL | Lotus Flower | 【編集
Re: No title
yuka さん。

近いのはやはり便利です。
糖質制限食で自己管理しつつ、
結果良好なら、1/2ヶ月の検査でもいいと思いますよ。
2010/11/24(Wed) 14:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
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