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HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇
こんばんは。

メディカル トリビューン 2010年9月30日号に載った記事によると、またまた、大変興味深い研究報告がありました。


タフツ大学(ボストン)分子心臓学研究所のRichard H. Karas理事らが、

「HDLコレステロール値が高い人では心疾患リスクが1/2~1/3になるだけでなく、発ガンのリスクも大幅に低くなる」

との研究結果を、Journal of the American College of Cardiology(2010; 55: 2846-2854)に発表しました。


Karas理事は「HDL-Cの血中濃度と発がんリスクとの間には重要な関連がある。このことは体内でHDL-Cが果たしうる別の重要な役割を裏づけるものだ。以前の研究からはLDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなることが示されており、今回の結果は重要である」と述べています。

今回の研究は、スタチン系薬の試験におけるHDL-C値と発がんリスクとの関連を、総合的に解析した初の研究です。

2004年の法律改正後の製薬企業と、直接利害関係のない研究者らによる研究かどうか、微妙な時期なのですが、

「LDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなる。」

というスタチン系製薬会社にとっては、誠に都合の悪い結論をはっきり言い切ってますので、少なくともKaras理事は、ニュートラルな立場の人と推察されます。

総症例数が14万5,743例の大規模試験で、追跡期間の中央値は5年で、発がんの報告件数は8,185例です。

研究の結果、

「HDL-C値が10mg/dL高くなるごとに発がんリスクが36%低くなる。これはベースラインのLDLコレステロール(LDL-C)値や年齢,BMI,糖尿病,性,喫煙状況を含む他の危険因子とは独立したものであった。」

とのことでした。

これは、スタチン系薬剤で、HDL-C値が上昇すれば発ガンリスクが減少するという、製薬会社にも有利なお話しではあります。

一方、糖質制限食を実践すれば、スタチン製剤の比ではなく、ほとんどの人において、HDL-C値が上昇します。

このことは、薬に頼ることなく、糖質制限食で心筋梗塞とガンが予防できるということであり、大きなアドバンテージですね。


江部康二


☆☆☆☆☆参考
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43390072/
[2010年9月30日(VOL.43 NO.39) p.07] メディカル トリビューン

HDLコレステロール値が高いと発がんリスクが減少
〔ワシントン〕 タフツ大学(ボストン)分子心臓病学研究所のRichard H. Karas理事らは「HDLコレステロール(HDL-C)値が高い人では心疾患リスクが2分の1~3分の1になるだけでなく,発がんのリスクも大幅に低くなる」との研究結果をJournal of the American College of Cardiology(2010; 55: 2846-2854)に発表した。

総合的な脂質検査が重要
 今回の研究は,スタチン系薬の試験におけるHDL-C値と発がんリスクとの関連を総合的に解析した初の研究である。この研究では計24件の脂質異常症治療のランダム化比較試験を同定し,治療群と対照群との間でベースラインのHDL-C値と発がん率を比較した。総症例数が14万5,743例の大規模試験となり,追跡期間の中央値は5年で,発がんの報告件数は8,185例であった。

 研究の結果,HDL-C値が10mg/dL高くなるごとに発がんリスクが36%低くなることがわかった。これはベースラインのLDLコレステロール(LDL-C)値や年齢,BMI,糖尿病,性,喫煙状況を含む他の危険因子とは独立したものであった。

 Karas理事は「HDL-Cの血中濃度と発がんリスクとの間には重要な関連がある。このことは体内でHDL-Cが果たしうる別の重要な役割を裏づけるものだ。以前の研究からはLDL-C値と総コレステロール(TC)値が低いほどがんの発症率が高くなることが示されており,今回の結果は重要である」と述べている。

 また「今回の結果は因果関係を示すものではない。このHDL-Cの保護的機序についてはまだ明らかではない。さらなる研究が必要である」と指摘している。

 さらに「脂質値に異常がある患者は,心疾患とがんの双方の個々の危険因子について医師に相談すべきである。この研究はTC,LDL-C,HDL-C,トリグリセライドを含む総合的な脂質検査を受けることの重要性を強調している」と述べ,「患者は自身の全体的な健康と疾患リスクにとって,各脂質値がどのような意味を持つのかを知り,理解する必要がある」と付け加えている。

健康的ライフスタイルを強調
 HDL-C値を高める最良の方法は健康的なライフスタイルを選択すること,すなわち定期的に運動し,健康的な食事を取り,飲酒は適度に抑え,禁煙することである。心疾患リスクが高いとされる人には,HDL-C値を上昇させる薬剤がある。

 アイオワ大学公衆衛生学部(アイオワ州アイオワシティー)疫学・内科学のJennifer G. Robinson教授が同誌の付随論評(2010; 55: 2855-2857)で考察しているように,発がんリスクの減少においてHDL-Cそのものが原動力となっているのか,他の健康促進行動と関連したものなのかを判断するのは難しい。

 同教授は「この研究は,HDL-Cが喫煙,肥満,炎症など,心疾患とがんの双方に関与することが知られているすべてのライフスタイル・危険因子の重要なマーカーである可能性を示している」と述べ,「低いHDL-C値は,慢性疾患リスクのマーカーと考えられるため,そのような患者にライフスタイルの改善を強調する動機付けになる」としている。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
死んだ母に見せたかった!
今日の江部先生のブログを死んだ母に見せたかったです。糖尿病 → ガン で死にましたので。私のデータからすると、HDLが糖尿発症時は低く、糖質制限食で良くなりました。私自身も、ガンが合併症で出る危険性が遠くなったことにホッとしました。
江部先生に感謝!!
2010/10/07(Thu) 20:39 | URL | らこ | 【編集
コレステロールの薬について
いつも丁寧なご回答いただきありがとうございます。

また質問で申し訳ないのですが、15年ほど前に会社での健康診断を受け始めた頃からコレステロールの高値を指摘され、薬を服用していた時期もあるのですが、現在は様子見と言われここ10年ほどは薬は飲んでいません。

内科医によって見解が様々なのですが、最近の血液検査の結果は
総コレステロール 236
HDL 97
LDL 129
で、だいたいいつもHDLは100前後 総コレステロールは230~250辺りを推移しています。

HDLが高いので、このままでよいという医師もいれば、総コステロール値を見れば飲まなくてはいけないという医師もいます。

先日お見かけした先生のHDL、LDL値とだいたい同じくらいかと思ったのですが、先生は特に服薬などはしていらっしゃらないのでしょうか?
2010/10/08(Fri) 09:49 | URL | 千咲 | 【編集
糖質制限に理解のある医師について
江部先生、こんにちは。
私は以前「脱皮?」という投稿をしたhiyoと申します。その後夫は、4月10.4%のHbA1Cが現在5.7%まで改善してきました。毎月よくなる数字に夫婦ともども本当に先生に感謝の日々です。(手足も相変わらずつるつるです^^)

さて、そんな日々なのですが、夫の主治医がなかなか糖質制限に理解を示してくれません。横浜在住ですが、首都圏近辺で糖質制限にご理解のある先生をご紹介いただけないでしょうか。

サイト内の検索も行ってみたのですが、やり方が悪いらしく上手くヒットしません。どうかよろしくお願いします。
2010/10/08(Fri) 11:03 | URL | hiyo | 【編集
検索結果
先ほど投稿したhiyoです。本当に検索の仕方が悪かったようで、「東京都」で検索して北里研究所病院糖尿病センターにたどり着きました。自宅からも比較的近そうなので、夫に勧めてみようと思います。

今後も糖質制限食作り、楽しく、おいしく行っていきたいと思っています。
2010/10/08(Fri) 12:01 | URL | hiyo | 【編集
驚きです。
昨年12月の私のHDLーchの値は、65だったのが、今年の8月の値は、115になっていました。  また、総コレステロール値は237から190、LDL-chは、151から78、中性脂肪値は109から40に(スーパー糖質制限開始から90日目の検査値)。 主治医の先生もこの値を見て、「心臓病で死ぬことはまずなさそうだね」。と言ってくれました。
 
本当に糖質制限食は素晴らしいです。糖尿人だけでなく、心臓病の予防に加えて癌の予防効果まであるとは!
腎臓や肝臓に異常の無い方すべてに、糖質制限食は推奨できますね。
 
糖尿病になって、良かったことは糖質制限食にめぐり合えたことに尽きます。

 改めて、江部先生に感謝、感謝です。
 
2010/10/08(Fri) 14:24 | URL | のばやん | 【編集
Re: コレステロールの薬について
千咲さん。

私は服薬なしです。

千咲さんのデータも全く問題ないと思います。
2010/10/08(Fri) 15:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ご参考まで:ブログコメント発見;高用量スタチン療法でLDLコレステロール(LDL-C)値を大幅に低下させると,HDL-C値を上げても心血管リスクは変わらない
海物語さん。

貴重な情報ありがとうございます。

「LDL-Cは低ければ低いほどいい」というのが
つい最近まで常識だったことを思えば、
画期的な変化ですね。

欧米の2004年の法律制定の成果でしょうか?
2010/10/08(Fri) 15:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限の成果
糖質制限食を実践して下記の通り成果が出ました。
江部先生本当に感謝しております。ありがとうございます。
2008年9月 健康診断の結果
HbA1C 5.2
GOT 17
GPT 23
GTP 12
LDL-C 112
HDL-C 93
TG 51

2010年9月 健康診断の結果
HbA1C 4.5
GOT 42
GPT 49
GTP 16
LDL-C 99
HDL-C 135
TG 48
糖質制限食の成果でHbA1C 5.2→4.5となりました。
ただ、気になるのが肝臓系の数値の悪化と、HDL-C 135という結果で
コレステロールは「要精密検査(5段階の評価で一番悪い結果)」となってしまいました。
HDL-C 135はやはり危険な数値になるのでしょうか?
肝臓系の数値の悪化は、糖質を食べられなくなってしまった影響で
自分の中でアルコールに依存する傾向が強くなった為なのかなと思っております。
ただ、血糖値に関しましては空腹時血糖値も、通常であれば85~95くらいになりましたので
今後もスーパー糖質制限食(時には気晴らしに少し脱線をする事があっても)実践していきます。
先生いつもありがとうございます。
2010/10/12(Tue) 13:39 | URL | もっち | 【編集
Re: 糖質制限の成果
もっちさん。

HDL-Cは基本的には多いほどいいとされています。
肝機能はお酒をほどほどでお願いします。

2010年10月07日 (木)のブログ
「HDL-C値が高いと発ガンリスク減少、LDL-Cが低いと発ガンリスク上昇」
もご参照ください。
2010/10/12(Tue) 16:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ご紹介頂いた研究について
きゅう さん。

私もメディカルトリビューンの記事を見ただけです。
原文は読んでおりません。
すいません。
2010/10/15(Fri) 15:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
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