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イヌイットとビタミンC考2010
こんばんは。

今回は、マサイ族の次に、イヌイットとビタミンCについて考えて見ました。

4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。

現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしもいえませんが、セイウチ猟などを中心に生業としていたようです。

現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀頃、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代がありました。

その後200~300年で他の極北周囲地域、西はチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、チューレ文化と呼ばれています。

12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。

そのため、クジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。

イヌイットといえば、誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、15世紀頃に形成されました。

その後、ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。

この伝統的な食生活のころは、海生動物の生肉・内臓、生魚肉・内臓が主食で、穀物や野菜もなしで、果物もほとんどなしです。

海生動物や魚の内臓には、あるていどのビタミンCが含まれていると思いますが、野菜や果物ほどではありません。

イヌイットの好物であるマクタック(シロイルカの生皮)にビタミンCが含まれているとのことですが、量的には野菜や果物には到底及ばないと思われます。

キビヤックというイヌイット独特の発酵食品があります。海鳥(ウミスズメ類)をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作るそうです。

大変臭いそうですが、ビタミンCが豊富という説もあります。しかし通常、発酵食品にはビタミンCは含まれていないと思います。

結局ビタミンCが豊富なのは、新鮮な野菜と果物、そしてサツマ芋とジャガ芋です。内臓には含まれてますが、量的には野菜や果物には及びません。

こうなると、イヌイットが伝統的な食生活を続けていたころは、ビタミンCの補充はどうしていたのかという疑問が生じます。

イヌイットの伝統的食生活では、マサイ族と同様にビタミンC摂取量は少ない可能性が高いですし、ビタミンC血中濃度も低い可能性が高いです。そして、ビタミンC不足による病気はどうなのでしょう?

この疑問、仕方ないので、今夜は苦手の英文の論文を検索して、調べてみようと思います。(∵)?

続く

江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
β細胞インスリン第1相分泌での新たな発見
全く日記とは関係なくて恐縮ですが、今年のサイエンスの1月8日号で、動物実験ですが、β細胞に対してグルコース刺激によるインスリン分泌で、アドレナリンα2受容体遮断薬で第1相分泌が復活したとのことです!何でも、糖尿病の人のβ細胞はアドレナリン新た2の受容体が過剰に発現しているらしく、その為にグルコース刺激しても分泌するインスリンの量が少なくなるそうです。

何故インスリン分泌が遅延するのかが分かり始めたということですね!
2010/09/24(Fri) 13:14 | URL | 哲学者 | 【編集
いつからアスコルビン酸はビタミンとなったか?
こんにちは、遅い夏休みをとって鉄の肝臓に磨きをかけているヘルミです。
先日「人とサルの違いがわかる本」を読みました。http://www.bk1.jp/product/03240721?icid=T
それによると、ビタミンCを合成できないのは原猿を除く霊長類とその他数種のみ。
サル類は体重500g以下では昆虫食で、それ以上では植物食。
サルは主食の種類により歯や消化管に特徴がありますが、ヒトは特に目立った特徴がないのが特徴であり、雑食向きということです。
また、石器を使用する250万年も前からヒトの犬歯は小さく、肉食獣の比べ腸が長いことから、肉食は考えにくいようです。
霊長類の祖先は歯や消化管の特徴から果実や葉が主食だったようです。ヒトがチンパンジーと別れたのが500万年前とされており、おそらくかなり古い時点で霊長類の先祖はビタミンCを生合成できなくなっていたのでしょう。

仮説です。(パクリ)
ヒトの先祖はアフリカで、果実を食べるチンパンジーにも葉っぱを食べるゴリラにも負け、森林を追い出されて草原に出て行った→手に入るものは肉でも果実でも虫でも何でも食べる雑食化が進んだが、もともとは植物に依存する動物だった。
こんなのどうでしょう。
2010/09/24(Fri) 15:33 | URL | ヘルミ | 【編集
Re: β細胞インスリン第1相分泌での新たな発見
哲学者 さん。

興味深い情報ありがとうございます。
動物実験からヒトへの応用までは、なかなか時間はかかるようですが・・・。
2010/09/24(Fri) 17:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: いつからアスコルビン酸はビタミンとなったか?
ヘルミ さん。

中新世の終わりの550万年前頃に大規模な気候変動があり
森林が減り、サバンナが出現したとされています。

本来霊長類は樹上生活者であり、ゴリラやチンパンジーは今もそうです。
樹上を追われて、サバンナにおりて、そこに適応していったのが、人類でしょうね。

「サル類は体重500g以下では昆虫食で、それ以上では植物食」
これは面白いです。

ヘルミさんの仮説も興味深いです。
その中で、サバンナに追いやられたか弱い人類(まだ知恵と文化なし)にとって、
一番手に入りやすいもので、なおかつ他の動物の主食とも競合しないのは、
骨・骨髄というのも、捨てがたい仮説ですね。
2010/09/24(Fri) 17:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
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