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糖質制限食とDPP-4阻害剤
こんばんは。

らこさんから、DPP-4阻害剤について、コメント・質問をいただきました。

「10/09/10 らこ
3種類のDPP-4阻害剤の違いを教えて下さい
◎シタグリプチン(商品名:グラクティブ、ジャヌビア)
◎ビルダグリプチン(商品名:エクア)
◎アログリプチン(商品名:ネシーナ)

この3種類のDPP-4阻害剤の違いを教えて下さい。
父がスーパー糖質制限食+現在シタグリプチン(商品名:グラクティブ、ジャヌビア)を100mg/日 飲んでいます。」



DPP-4阻害剤として、現在

①シタグリプチン(商品名:グラクティブ、ジャヌビア)
②ビルダグリプチン(商品名:エクア)
③アログリプチン(商品名:ネシーナ)

の3種類が保険収載されています。

DPP-4阻害剤は、インクレチンというホルモンを血中にとどめる作用があります。インクレチンとは、小腸から分泌されるホルモンであり、GIPとGlp-1があります。

これらは、高血糖時には、SU剤とは異なる機序でインスリン分泌を促進させます。また、インスリン生合成を促進させます。さらに動物モデルでは、膵β細胞の保護作用が確認されています。

血糖値が正常のときには、インスリン分泌を促進させず、食後高血糖の時にインスリン分泌を促進させるので、低血糖も起こしにくいです。

まことに都合のいいホルモンなのですが、DPP-4という酵素によって速やかに分解され、血中の半減期は約2分と短いのです。

このDPP-4という酵素の働きを阻害してやれば、インクレチンは血中に当分存在して、血糖降下作用を発揮してくれることになります。

そこで登場したのが、DPP-4阻害剤です。

①と③は1日1回投与で、②は1日2回投与です。

①と②は、
SU剤、インスリン抵抗性改善剤(アクトス)、メトホルミンなどビグアナイド剤との併用OKです。グルコバイなどα-グルコシダーゼ阻害薬とは健康保険上は併用できません。

③は、
SU剤、メトホルミンなどビグアナイド剤との併用は健康保険上はできません。グルコバイなどα-グルコシダーゼ阻害薬とインスリン抵抗性改善剤(アクトス)は併用できます。

①②③とも、DPP-4阻害剤という範疇で、基本的に同じ作用機序の薬ですので、はっきりした違いと言えば、上記の差くらいです。

DPP-4阻害剤は膵β細胞保護作用など、糖質制限食的にも好ましいところがあるので、コントロールがあと一歩の糖尿人には、使ってみたいお薬ですね。

私も早速、20名以上に処方しましたが、かなりの有効性がありました。

例えば、心は糖質制限食を目指しておられますが、身体が間食を求めるタイプのキャラで、なかなかコントロール良好となりがたい糖尿人・・・(-_-;)

高雄病院入院後、退院して数ヶ月はHbA1c6%くらいをキープしているけれど、徐々に緩んで6.5%、7%、7.5%・・・。

ちょっと引き締めて7.1%・・・。

また緩んで7.3%・・・。

こんな感じで1年あまり、なかなか7%を切れなかった糖尿人が、ジャヌビア内服1ヶ月でHbA1c6.3%と1%改善した例を経験しました。 (^_^)

また、糖質制限食実践で、食後高血糖は速やかに改善しますが、早朝空腹時血糖値だけはなかなか減りがたい場合があります。

このような糖尿人にジャヌビアを投与したところ、翌日にはSMBGで、早朝空腹時血糖値200mg→150mgと改善した例もありました。

2ヶ月経過してさらに早朝空腹時血糖値が100~130mgまで改善されました。

使用経験、9ヶ月ですが、このように明らかな有効例を複数経験しました。

過半数の人には有効で、HbA1cが1ヶ月で1%改善した上述のような例もありましたが、0.3%程度の例もありました。2名の糖尿人は、変化なしでした。

気になる副作用ですが、SU剤などの併用例以外では低血糖はほとんどないようです。吐き気などの副作用も比較的少ないようです。

ただ、どの薬にもあるような、皮膚障害、胃腸障害、肝機能障害、赤血球減少、浮腫・・・などは、頻度は少ないけれど報告されています。

すでに欧米では、4年間の使用経験がありますが、現時点では特に問題となるような副作用は報告されていません。

ただ、10年・20年・30年使ってどうなるかというのは誰にもわかりませんので、私達医師にも処方する責任がありますが、ここらは患者さんも自己判断・自己責任で、ということになります。

私自身は、今ある高血糖をコントロールすることを優先したいと思っていますので、糖質制限食がゆるくて血糖コントロールがいまいちの糖尿人には、DPP-4阻害剤のことを説明して、使用する方向で相談しています。

なおインクレチンの関連薬として、GLP-1の注射薬も承認されました。GLP-1は注射なので、やや使いにくく、私も使用していません。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
早速
江部先生、お忙しい中を早速の御回答ありがとうございます。
併用薬の保険併用が異なるのですね!
特に併用する薬は無いので、江部先生が使用されているジャヌビアを安心して継続します。
父の場合

◎HbA1c=10.2,血糖値=336、隠れてビール呑み+ラーメン&カレー隠れ喰いで アマリール2mg/日+アクトス3錠/日+ベイスン3錠/日+その他の薬6種類(外科手術不能宣言喰いました><)
◎HbA1c=6.9安定,早朝血糖値=120~135、スーパー糖質制限食+ジャヌビア100mg/日+痰を切る薬1種類のみ

になりました。これも全て江部先生の御指導の賜物です。
足の手術跡がまだ塞がらないのは、血糖値が高いからだと整形外科で手術して下さった執刀医先生の言葉です。父も歩くと手術跡がうずく、と申しております。完全に直るにはまだ時間がかかりそうです。退院時に外科のことよりも先に「血糖値を上げないで下さい。」と言われたことが印象的でした。
2010/09/10(Fri) 19:08 | URL | らこ | 【編集
ダンピング症候群
わたしは現在53歳ですが、28歳時に十二指腸潰瘍穿孔にて十二指腸と胃の5分の4を摘出しました。以後、後期ダンピング症候群である低血糖症状に怯えながら生きてきました。毎食後2~3時間で起きる低血糖症状の恐怖は自分にとってかなりのストレスだったと思います。食後1時間弱で血糖値は200を越え、その後1~2時間で70~80まで一気に下がりました。医師の言うところによると、急激な血糖値の変化によって低血糖の症状が現れるとのことで、私はどこに出かけるにも、おにぎりやパンなどを持ち歩いていました。

そんな生活を長く送りすぎていたためでしょう、ここ数年は食後の血糖値が300近くになり、体重も増え、低血糖の発作は起きにくくなり、当然HBA1Cは最高9.4とかを示すようになりました。運動も積極的にし、体重も減らしましたが、そのためにかえって疲れを残すことも希ではありませんでした。色々な努力はすれども、HBA1Cが7.0を切ることはありませんでした。

今年になって、医師からジャヌビアを処方され、血糖値はは230~110位の間で推移しています。でも私はどこか納得できませんでした。そんな時、先生のブログを見つけ、先日試しに、豚肉150gと野菜を、ごま油で炒め、食べてみたのですが、その後1時間の血糖値は123でした。我が目を疑いました。2時間値は121。信じられなかったのが正直な感想です。わたしにすれば、低血糖を起こしていた値に近いものなのですから。ただ、食後高血糖になれきっている身体は不安感を覚えてしまいます。食後の高血糖が安心感を生み続けてきた長い年月の感覚は身体に染みついてしまっています。職場で仕事をしてにいるときは、なおさら怖いです。25年間も高血糖とダンピング症候群を繰り返してきたのですから。そこで、夕食を糖質制限食に変えていくことから徐々に身体を慣らしていきたいと思っています。

それにしても、胃切除後の症状に対して、「震えがきたら何か食べなさい」としか、アドバイスできなかった医師達に対して、今更ながらに絶望感を感じてしまいます。

私は宮本輝氏の「春の夢」が日本文学の傑作であると信じていますので、先生との対談本も早速読ませて頂きました。ちょうど、縄文の土偶に関心があったこともあり、縄文以前の人類の食生活も大変納得できました。

先生の勧められる糖質制限食は私のような胃切除後の後期ダンピング症候群に悩んでおられる方々にも光を与えてくれるものだと思います。出会えて幸せだと心から感謝申し上げます。そして、このブログが私のような症状で悩んでおられる胃切除された方々の目に触れんことを願っています。
2010/09/10(Fri) 22:21 | URL | あきら | 【編集
薬と糖質制限
専業主婦である為、なかなか自分の健康状態をきちんと知る機会がなく、今年初めて健康診断を受け「重症の糖尿病」と診断されました。昔から太っていましたが、健康には自信があった為、すごくショックでした。空腹時294、HbA1c11.1という数字のヒドさも意味も理解していませんでした。処方されたのは、食前に飲む薬として「スターシス0.5錠」「ボグリボースOD1錠」と、1日1回「リピトール1錠」です。食事指導も無く「痩せれば良くなります」との事でした。その後「糖尿病専門医」の存在を知り、3軒ほど病院を回りましたが…特に検査はせず、「カロリー計算して体重を落としましょう」との事。自己流で「肉を減らす」「油を減らす」などしていたのですが、体重も減らず不安になり、糖尿病についてネットで調べているうちに、先生のブログに出会いました。糖質(特に主食)に対して、全く逆の事をしていた事を知りショックでした。糖質制限を初めてまだ日が浅いですが、お薬について不安に思いだしまして…。残念な事に、この地域(愛知県三河地方)では「カロリー計算」「3食きちんとバランス良く」が主流のようです。「お米を食べない」というと怒られマス。服用している薬ですが、糖質制限をしていて服用しても大丈夫なのでしょうか?それとも主食を食べる時だけ飲んだ方が良いのでしょうか?この薬の効果(強さ?)がわからないので不安です。通える範囲で糖質制限をして下さる先生(病院)に出会えれば良いのですが…糖尿病は「自己管理が大切」と思いながらも、「自己判断」はやはり怖いし不安ですから…。悩んでます。教えていただけると助かります。宜しくお願い致します。
2010/09/11(Sat) 00:25 | URL | まるこ | 【編集
はじめまして
江部先生毎日のブログ更新ありがとうございます。2008年に突然目が見えにくくなり 紆余曲折の末、糖尿病性網膜症と診断されました。 当時のA1c 8、5 空腹時290mgでした。主治医は、即「入院」と 言いましたが
仕事の事もあり 渋っておりますと「じゃあ一週間後に結論出して 」 と言われ ぐぐった所 先生の所へたどり着きました!そこから厳格な糖質制限をし 一週間後の数値はA1c6、9 空腹時163mg 更に一週間後は A1c6、1 空腹感122mgとなり 主治医からは、「食事だけで これだけ下がるなら このまま行きましょう。」と言われ、薬もなく 無事に手術も受け日常生活も普通に過ごす事が出来るようになりました! 本当に糖質制限に出会えてよかったです。ただ…また別の手術を受ける事となり 今度は全身麻酔のうえ開腹手術で、 新たに主治医となった人は 「手術の時は絶対に血糖値が上がりますから 絶対にインスリン使いますから 絶対ですから!」
と、何度も言われ 凹んでおります。眼下の時は、ブドウ糖抜きの点滴 ( 江部先生の手術の時と同じで ) にしてもらいましたが「今回は、全身麻酔でしょ?だったらインスリン必要ですから。血糖値高いと傷の治りが悪いし感染症にかかります」と言われました…本当でしょうか?… それと もしインスリンを使ったとしたら  ほぼケトン体で動いているであろう今の体に 悪影響はないでしょうか? 今 現在のA1c4、9空腹時120mgです。すみませんお忙しいのに…すみません 。よろしくお願いします。
2010/09/11(Sat) 03:39 | URL | くくくる | 【編集
Re: 薬と糖質制限
まるこ さん。

総合病院 南生協病院
〒459-8540 名古屋市緑区大高町字平子36番地
TEL:052-625-0620 FAX:052-625-0621

糖尿病科の柴田先生とご相談いただけば幸いです。
2010/09/11(Sat) 18:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: はじめまして
くくくるさん。

手術で血糖値が上昇することはあります。
数日インスリンを使用したからといって、身体への影響は心配するようなことはありませんのでご安心ください。
2010/09/11(Sat) 18:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
感謝です
お忙しい中お答え頂き ありがとうございました。 安心して手術に挑もうと思います。 入院中の食事が 相変わらずネックですが、今回は 通販の低糖質パンの持ち込みをしようとおもいます^^ 本当に気持ちが楽になりました。 ありがとうございました。
2010/09/12(Sun) 00:29 | URL | くくくる | 【編集
2回目です
1回目は空腹時血糖が今まで108位でしたが病院で120ということで慌てて先生に突然コメントしてしまいました。お許しください。
 私も軽い糖尿病と診断され、情けないなとどうすればいいのか、家族に迷惑かかるなと思っていました。その時娘が江部先生の本を買ってきてくれて、読んでみると目の前がすごく明るくなりました。大好きな魚は食べられる、肉も大丈夫、ただ主食はだめですよということで本当にありがたかったです。
本当にありがとうございました。ただ、私もお付き合いがありまして、どうしても食べるのが制限し難い時がございます。そんな時は、その時だけジャヌビアを夕食後に服用するのは大丈夫なのでしょうか?お忙しいことと存じますがよろしくお願いいたします。
現在、医師からはまあ服用しなくてもいいくらいだけれど薬どうしますといわれ出してくださいとお願いしたにもかかわらず、江部先生の糖質制限で頑張り服用していません。Hba1cha5,3です。
2014/09/02(Tue) 14:11 | URL | くにたん | 【編集
Re: 2回目です
くにたん さん

拙著のご購入、ありがとうございます。
HbA1c:5.3% なら、コントロール絶好調です。

早朝空腹時血糖値もいつも108mg/dlが一度120mg/dlで境界型レベルになってますが
いずれも心配のないレベルです。

たまに主食摂取時だけ内服するなら、ジャヌビアより、
αGI薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル)を、食直前30秒に内服が
よいかと思いますので、主治医とご相談ください。

2014/09/02(Tue) 14:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
感謝感激
早速にお返事いただきまして有難うございます。
お忙しい中こんなに早く感謝感激です。
今後ともよろしくお願いいたします。
2014/09/02(Tue) 16:41 | URL | くにたん | 【編集
少し前に先生のことを知りました
ここで得た知識と自分なりに調べた知識
で質問させていただきます。
私事ですが質問の前提として。
以前栄養失調になるほど減量した結果過食症になり再度減量するのが難しく現在精神科でSSRIの食欲抑制抑制の副作用がある薬を飲んでいます。頭文字がtのものです。
ちなみに体重は標準でBMI21程度ですが職業上落とさなくてはならないので。

質問内容は
わたくし糖尿病ではないのですがビグアナイド系とsu系の薬を併用して軽い運動してダイエットするのはどうなのかなと。
若しくは
昨年春に出た利尿作用のある薬を使って同じように体重を落とすことぎ可能なのか。

ダイエット外来でもこれらの薬を土しているところがあるようです。であればダイエット方法として合ってるのかなとも思ったりなど

お答え頂けると嬉しいです。
2015/03/23(Mon) 18:43 | URL | 某モデルKY | 【編集
Re: 少し前に先生のことを知りました
某モデルKY  さん

「わたくし糖尿病ではないのですがビグアナイド系とsu系の薬を併用して軽い運動してダイエットするのはどうなのかなと。 」

低血糖の恐れがあるので、絶対にしないでください。

「若しくは
昨年春に出た利尿作用のある薬を使って同じように体重を落とすことぎ可能なのか。 」


こちらも、脱水、低血糖など、危険ですので、絶対にしないでください。
2015/03/23(Mon) 20:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
HIcは6.1です。ネシ-ナ服用しています。69歳。糖質制限を知りましたが、実践してもよいのでしょうか。なお、スイ-ト病1年前再発し、HIcが4以下になり血液内科の所見では、血液のサイクルが短くなっているので、数値が低下したのではとのことでした。
2016/01/31(Sun) 12:17 | URL | 高橋明 | 【編集
Re: タイトルなし
高橋明 さん

私はスイート病のことはよくわかりませんので主治医とよくご相談ください。

糖尿病に関しては、ネシーナ内服なら、
スーパー糖質制限食実践で低血糖が生じる可能性はほとんどないので、OKと思います。
2016/01/31(Sun) 18:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
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