2007年07月26日 (木)
こんばんは。京都は一日良い天気です。
高雄病院でお昼の診察中、2.3分ほど、通り雨がありましたが、またすぐお日様がでました。
さて、今回は、グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。
例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(*脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)
一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。
私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。
精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が100もあります。ちなみに白米は70、玄米は50です。
糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。
過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。
なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。
世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。
なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。
江部康二
高雄病院でお昼の診察中、2.3分ほど、通り雨がありましたが、またすぐお日様がでました。
さて、今回は、グルコーススパイク(ブドウ糖スパイク)のお話です。
近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。
糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。
例えば、空腹時血糖値が100~120mgとかでも、糖質摂取後の血糖値は200、300mgとなってしまいます。(*脂質やタンパク質を食べても、ブドウ糖スパイクは起こりませんので、念のため。)
一方、糖尿病がない人でも、精製された糖質(高GI食品)を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、ブドウ糖スパイクが生じますから、代謝全般に乱れが生じてアレルギー疾患や高脂血症・肥満など様々な生活習慣病にも悪影響がでる可能性があります。
私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ミニスパイク』と呼んでいます。
精製された糖質は、特に血糖を上昇させやすい食品です。中でも白パン、ケーキなどの精製小麦粉製品は血糖上昇指数(GI)が100もあります。ちなみに白米は70、玄米は50です。
糖尿病が無ければ、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ミニスパイクもほとんど起こらず、血管内皮の障害のリスクも無くなりますし代謝も安定します。
過去経験的に、「玄米魚菜食がいろんな病気の改善に良い」と言われ、高雄病院でも1984年から玄米魚菜食を給食で提供してきました。
なぜ良いのか、理論的根拠に長年悩んでいましたが、「ブドウ糖スパイク理論」でやっと説明がつきました。
世界中に、今まで様々な食事療法があり、それぞれ治療効果を謳っていますが、やはり「ブドウ糖スパイクが少ない」という一点で共通していることが多いようです。
なお、糖質制限食ならミニスパイクも全く起こらず、血糖値は勿論、代謝全てが安定します。
江部康二
江部先生 はじめまして。極最近先生のブログの存在を知り、血糖値を安定させる事が出来る様になって 喜んで毎日を過ごしております若者2型糖尿人です。
勝手乍 3つ程 質問させて貰っても宜しいでしょうか?
私は発症初期 インシュリン抵抗性が完治していない状況の為、ブドウ糖スパイクが起こりやすい状況にあると思っています。(発症後の経過時間はあまり関係ないのかも知れませんが)
そこで糖質を限りなく多く取らない食事療法がベストだとは思いますが、その実践が難しい環境の場合、つまりどうしても糖質が多く含まれる食事を取る事が避けられない場合、食後の運動で血糖値を下げていく必要性があると思い、それを実践し、現在正常値を保ってますが、
① 今後長期に亘り 「多糖質食事+食後運動」 で血糖値をコントロールし続けて良いものなのでしょうか?
心配事は、食後の運動の時間帯を極力1~1.5時間後以内に開始する様 心掛けてますが、食べた内容によっては血糖値の変動の仕方が時間帯によって変わってきますし、運動をし 結果的に数値は下がって来るとは云え、少なからず一定の時間200 overとなっている可能性が考えられます。
瞬間的に血糖値が高いのもやはり問題なのでしょうか?
② どうしても食後の運動が出来ないケースも週に2,3回程度あろうかと思います。
中長期的に見た場合 好ましくないのは分かりますが、合併症を起こさない為にはどの程度であれば問題ないものなのでしょうか?
今後HbA1C数値変動がうまくいくレベルであれば十分なのでしょうか?(評価に時間がかかりますが.....)
参考までに、食前 85 → 食後 (推定カーボ量 75g)+ 運動 (30min.walking) で 125~135 の血糖値変動という食生活が多いです。
*今はカーボ量を 60g/食 以内 に極力抑える様 努力はしてますが、中々難しい食環境にいます。
③ 一旦糖尿人になってしまった場合、大小ブドウ糖スパイクは起こり続けるものと考えるべきなのでしょうか?
(健康人のスパイクレベルに近づける可能性はないものなのでしょうか?)
他の方のブログで、完治を目指しておられる方がいらっしゃって、出来れば私も頑張ってみたいものですが、医学的にやはり完治は現実的ではないのでしょうか?
遅くなりましたが、自己紹介を。私は今年8月末に食後2時間血糖値452,HbA1C 11.2%で即緊急入院し、2週間でHbA1C 10.2% 血糖値は食前100以下, 食後(+運動)140以下となり退院しました。10月頭にはHbA1C 9.2% で現在に至り その後海外勤務で年末に検査予定です。
BMI=20.3でγGTP他数値は正常値ですが、真っ白けっけの脂肪肝でした(笑) [これがインシュリンに悪戯をしている可能性大ですが....]
先月まではカロリー制限ばかりを言われて中々食前血糖値をコントロール出来ず境界の範囲をうろついてましたが、先生のブログに出会い、カーボ量を制限しながら今 食前100以下 食後(+運動) 120~135 でコントロールしております。因みに薬は一切飲んでません。先生が赤ワインとナッツでenjoyされていると知り、私もここ1週間満喫した生活を送れる様になりました。本当素晴らしいです。感謝の意味も含めて日本に帰ったら即本を買って、栄養士の人に勧めてみようと思ってます。
食後2時間の重要性を私の担当医へ相談した事があり、その時は恐らく発症初期であるためか 取り敢えず起床時のみ測定する様に指示を受けてますが、個人的に江部先生の意見に可也同意しており、都度測定したいのですが、残念乍 持っているチップ数が足らなくなるのであまり測定出来ません。
年齢30代という事もあり、是非先生の意見を頂戴して、これからの長い糖尿生活を少しでも健康人に近い形で過ごせたら と思っておりますので、是非共宜しくお願い致します。
勝手乍 3つ程 質問させて貰っても宜しいでしょうか?
私は発症初期 インシュリン抵抗性が完治していない状況の為、ブドウ糖スパイクが起こりやすい状況にあると思っています。(発症後の経過時間はあまり関係ないのかも知れませんが)
そこで糖質を限りなく多く取らない食事療法がベストだとは思いますが、その実践が難しい環境の場合、つまりどうしても糖質が多く含まれる食事を取る事が避けられない場合、食後の運動で血糖値を下げていく必要性があると思い、それを実践し、現在正常値を保ってますが、
① 今後長期に亘り 「多糖質食事+食後運動」 で血糖値をコントロールし続けて良いものなのでしょうか?
心配事は、食後の運動の時間帯を極力1~1.5時間後以内に開始する様 心掛けてますが、食べた内容によっては血糖値の変動の仕方が時間帯によって変わってきますし、運動をし 結果的に数値は下がって来るとは云え、少なからず一定の時間200 overとなっている可能性が考えられます。
瞬間的に血糖値が高いのもやはり問題なのでしょうか?
② どうしても食後の運動が出来ないケースも週に2,3回程度あろうかと思います。
中長期的に見た場合 好ましくないのは分かりますが、合併症を起こさない為にはどの程度であれば問題ないものなのでしょうか?
今後HbA1C数値変動がうまくいくレベルであれば十分なのでしょうか?(評価に時間がかかりますが.....)
参考までに、食前 85 → 食後 (推定カーボ量 75g)+ 運動 (30min.walking) で 125~135 の血糖値変動という食生活が多いです。
*今はカーボ量を 60g/食 以内 に極力抑える様 努力はしてますが、中々難しい食環境にいます。
③ 一旦糖尿人になってしまった場合、大小ブドウ糖スパイクは起こり続けるものと考えるべきなのでしょうか?
(健康人のスパイクレベルに近づける可能性はないものなのでしょうか?)
他の方のブログで、完治を目指しておられる方がいらっしゃって、出来れば私も頑張ってみたいものですが、医学的にやはり完治は現実的ではないのでしょうか?
遅くなりましたが、自己紹介を。私は今年8月末に食後2時間血糖値452,HbA1C 11.2%で即緊急入院し、2週間でHbA1C 10.2% 血糖値は食前100以下, 食後(+運動)140以下となり退院しました。10月頭にはHbA1C 9.2% で現在に至り その後海外勤務で年末に検査予定です。
BMI=20.3でγGTP他数値は正常値ですが、真っ白けっけの脂肪肝でした(笑) [これがインシュリンに悪戯をしている可能性大ですが....]
先月まではカロリー制限ばかりを言われて中々食前血糖値をコントロール出来ず境界の範囲をうろついてましたが、先生のブログに出会い、カーボ量を制限しながら今 食前100以下 食後(+運動) 120~135 でコントロールしております。因みに薬は一切飲んでません。先生が赤ワインとナッツでenjoyされていると知り、私もここ1週間満喫した生活を送れる様になりました。本当素晴らしいです。感謝の意味も含めて日本に帰ったら即本を買って、栄養士の人に勧めてみようと思ってます。
食後2時間の重要性を私の担当医へ相談した事があり、その時は恐らく発症初期であるためか 取り敢えず起床時のみ測定する様に指示を受けてますが、個人的に江部先生の意見に可也同意しており、都度測定したいのですが、残念乍 持っているチップ数が足らなくなるのであまり測定出来ません。
年齢30代という事もあり、是非先生の意見を頂戴して、これからの長い糖尿生活を少しでも健康人に近い形で過ごせたら と思っておりますので、是非共宜しくお願い致します。
eriさん。
糖質制限食でやせにくい人は時々おられますが、
太った人は極めてまれです。
ともあれ、eriさんは倹約遺伝子(肥満遺伝子)の持ち主と考えられますのでカロリー制限も必要なタイプと思われます。
(10.21ブログ参照してくださいね)
あとは、知らないうちに糖質が摂取されている可能性があります。
糖質制限食でやせにくい人は時々おられますが、
太った人は極めてまれです。
ともあれ、eriさんは倹約遺伝子(肥満遺伝子)の持ち主と考えられますのでカロリー制限も必要なタイプと思われます。
(10.21ブログ参照してくださいね)
あとは、知らないうちに糖質が摂取されている可能性があります。
2007/11/13(Tue) 08:45 | URL | 江部康二 | 【編集】
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