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糖尿病発症とインスリン分泌能の関係
こんにちは。

今回は、ケンさんから、インスリン分泌能についてコメント・質問をいただきました。

「10/08/27 ケン
インスリン分泌指数につきまして
こんにちは。
インスリン分泌指数につきましてご質問させて頂きました。
私の場合HOMA-Rは0.9・HOMA-βは37と先生の数式の計算で数値が出たのですが、 インスリン抵抗性は正常、内因性インスリン分泌機能は正常でないがやや少ない程度と なりました。

インスリン分泌指数は30分値を計っていないので分からないのですが、 内因性インスリン分泌機能はそれほどひどくないのに75gの糖を摂取すると 1時間値は250とかになってしまうのは1相反応が低下しているからかと思われるのですが、 これは糖質制限により回復する又は回復させる方法はあるのでしょうか?

お時間のございます時にご指導頂ければ幸いです。」


ケンさん。

ご質問に関連しているので、まずは、糖尿病発症とインスリン分泌能の関係を考えてみます。

2型糖尿病患者の非糖尿病の近親者を調べたら、追加分泌インスリンの第1相が欠如している人が時々いるようです。

つまり、先天的に膵臓のベータ細胞の機能がよろしくない一群の人達がいて、当然、将来糖尿病になりやすいというパターンが一つ存在するわけです。

順天堂大学の河盛隆造教授によれば、2型糖尿病患者の子供や孫など、若い人に経口ブドウ糖負荷試験を行うと、血糖値は正常を保っているが、30分インスリン値も2時間インスリン値も低い例が高率に見られたそうです。*

このデータだと、遺伝的に追加分泌の第1相も第2相も不足気味の一群がいるといえます。これらの素因のある方々が長年精製炭水化物を摂取していると、もともと不足気味の追加分泌インスリンが、β細胞の疲弊によりさらに不足して、40代・50代で糖尿病発症ということになります。もともとの日本人に、一番多い糖尿病発症パターンでしょうか。

一方で、2型糖尿病患者の非糖尿病の近親者を調べたら、インスリン抵抗性**が認められても、インスリン追加分泌の第1相反応は保たれている場合もあります。

例えば、経口ブドウ糖負荷試験で、血糖値が軽度上昇していて、30分インスリン値が高い例が近年増えているようです。(河盛教授)

これは、インスリン抵抗性が高まったため、インスリンが過剰に分泌されているパターンであり、脂肪肝や内臓脂肪肥満を伴っていることが多いようです。こちらは、インスリン分泌能力は保たれていますね。

このように、インスリン分泌低下とインスリン抵抗性(合わせてインスリンの作用不足)で糖尿病を発症しますが、日本人には分泌低下が主の糖尿人が多く、欧米人には抵抗性が主の糖尿人が多いとされています。

しかし、上述の如く、日本でもインスリン抵抗性が主の糖尿病が、少し増えてきているようです。

「内因性インスリン分泌機能はそれほどひどくないのに75gの糖を摂取すると 1時間値は250とかになってしまうのは1相反応が低下しているからかと思われるのですが、これは糖質制限により回復する又は回復させる方法はあるのでしょうか?」

ケンさんの場合、ご指摘どおり、追加分泌インスリンの第1相が先天的に欠如、あるいは不足しているタイプと考えられます。従って、先天的な部分は、残念ながら回復はしないと考えられます。

しかし、追加分泌インスリンの第1相が、先天的に欠如、あるいは不足しているタイプでも、膵臓のβ細胞が疲弊していない若い頃は、糖尿病にはなりません。40・50代でβ細胞が疲弊して、初めて糖尿病となります。

糖尿病を発症し、一旦、高血糖になってしまうと、高血糖そのものがベータ細胞にダメージを与えてインスリン分泌低下になり、また高血糖そのものがインスリン抵抗性を高めてしまいます。

<高血糖→インスリン分泌抑制とインスリン抵抗性増大→高血糖>

この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。

なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。

ともあれ、糖質制限食を実践することで食後高血糖を防ぐことができるので、糖毒の悪循環を断ち切ることが可能です。

そうすると、うまくすれば、疲弊していたβ細胞が休養できてあるていど回復することも期待できます。

個人差が大きいとは思いますが、ケンさんの場合も、若い頃と同じレベルまでの回復は無理としてもスーパー糖質制限食実践で一定の改善があればいいですね。


*参考文献
「今日の血糖コントロールの考え方」 
順天堂大学内科学 教授 河盛隆造 日本醫事新報 No.4193(2004年9月4日)


**インスリン抵抗性
細胞レベルでインスリンの効きが悪くなることをいいます。
インスリン抵抗性は、HOMA-R指数が参考となります。
空腹時の血糖値とインスリン濃度から、以下の計算式によって求めます。

<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン濃度÷405>

インスリン分泌が比較的よく保たれている、軽症の糖尿病患者さんのインスリン抵抗性を把握する方法として、よく利用されています。

この数値が大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられます。1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。

しかし、空腹時血糖値140mg以下の場合はいいのですが、140mgを超える場合はやや信頼性が劣ります。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
血糖値
医療関係で働いているため、病院の簡易血糖測定器poctで血糖値を測ってみたところ、メンチカツバーガーとチョコクッキー三枚で1.5時間後130 2時間後145 3時間後120 4時間後109 の結果でした。この値は糖尿病にあてはまるのでしょうか?
3年前にogttをしたときにはインスリン指数0.57で一応正常でした。
2010/08/28(Sat) 18:08 | URL | みかん | 【編集
有難うございます。
がよくなかったのかも知れませんね。

ただ、私の場合現在はインスリン抵抗性は正常なのですが、以前は肥満だったので
もちろんインスリン抵抗性は良くなかったと思います。
糖質制限を始めて5ヶ月、血糖コントロールも良いと思うのですい臓も休めたと思うので
すが、インスリン抵抗性タイプかどうかはよく分かりません。
(たぶんインスリン抵抗性タイプでないとおもいますが・・・)
現在は玄米100gとおかす(糖質少なめ、量いっぱい)を食べると1時間値は140~150です。
すい臓を休ませる期間は5.6ヶ月は十分なのでしょうか?
これ以上の回復も1~2年と長いスパンで糖質制限食を続ければありえるでしょうか?

糖尿人には贅沢な願望ですが、可能性があればと思っております。

何度も質問をして申し訳ございません。
またお時間のございますときにご返信頂ければ幸いです。

貴重なお時間を頂き本当に有難うございます。
2010/08/28(Sat) 23:15 | URL | ケン | 【編集
上で投稿した文が途中で切れてしまいましたので再度投稿させて頂きました。

こんぱんはケンです。
私からの質問を採り上げて頂き有難うございます。

私は約1年ほど前に糖尿と診断され、その当時(35歳)A1cは12近くありました。
その後カロリー制限をし、運動もして体重が90kgから75kg(身長175cm)
まで減り5ヶ月ほど前に先生の本と出合い糖質制限食を始め、
現在はA1c4.8~5.2・体重も63kgとなりました。

気になる点はBUNが20~25と高値なことです。
しかしこれは問題ないのですよね?
過去に尿中アルブミンが39と高値だったことがありましたが現在は13です。
(尿中アルブミンが39のときはBUNが25でした)
クレアチニンは0.62~0.74です。

糖質制限食は本当にすばらしいです。
有難うございます。

先生の指摘されている通り私の父も軽い糖尿で、父方の両親は糖尿の合併症で
亡くなっております。
糖尿家系なのでもともとすい臓の機能がよくなかったのかも知れませんね。

ただ、私の場合現在はインスリン抵抗性は正常なのですが、以前は肥満だったので
もちろんインスリン抵抗性は良くなかったと思います。
糖質制限を始めて5ヶ月、血糖コントロールも良いと思うのですい臓も休めたと思うので
すが、インスリン抵抗性タイプかどうかはよく分かりません。
(たぶんインスリン抵抗性タイプでないとおもいますが・・・)
現在は玄米100gとおかす(糖質少なめ、量いっぱい)を食べると1時間値は140~150です。
すい臓を休ませる期間は5.6ヶ月は十分なのでしょうか?
これ以上の回復も1~2年と長いスパンで糖質制限食を続ければありえるでしょうか?

糖尿人には贅沢な願望ですが、可能性があればと思っております。

何度も質問をして申し訳ございません。
またお時間のございますときにご返信頂ければ幸いです。

貴重なお時間を頂き本当に有難うございます。
2010/08/28(Sat) 23:21 | URL | ケン | 【編集
糖尿病に対するスタンス「闘う」から「付き合うに」変更しました。
おはようございます、未熟なセインです。

ケンさんのコメントに、激しく同意です。
ケンさんと違うのは、糖尿病歴20年と糖質制限始めて7ヶ月と家系が糖尿病と無関係という、些細な点だけです。

ケンさんへの返信、私も、期待します。

さて、スタンスを変えた理由でありますが、「主治医の糖尿病に関する専門性が非常に高いと」金曜日の診察で、10年ぐらい掛かって、やっと分かったからと、未熟なセインは、感じたからです。診察は、50年の人生で、これ以上は、経験がないという15分でした。私は、背伸びできる限り、背伸びして診察に当たったと言わせていただきます。

なぜか、糖尿病者の「食事」には、過去の診察を振り返っても、ほとんど、触れたことのない主治医ですので「スーパー糖質制限」を続けていくのに、何の障害もありません。

これが、最大の好都合です。
主治医、セインが、糖質制限をしていることは、確実に知っているはずなのに、です。

この主治医、変わっている点を、もう少し述べます。
血液検査は、毎月しているのですが、検査結果の印刷物は、10年以上もらったことはありません。
パソコンの画面を見て、用紙に手書きで、記入して渡す。それが「スタイル」だそうです。「同じ書くなら、糖尿病健康手帳に書いてほしい」と言うと
「患者さんに、自分で、記入してもらうのが、私のこだわりです」って言ってました。

どうも、必要ないことは、知らせる必要がないという「方針・主義」のようです。

よく出てくる「HDLコレステロール」とか「ケトン体」とか「尿酸値」とか、聞いたことがないです。
(尿酸値に関しては、関心があったので、6月4日の診察時に、「気になるので、教えてください」というと、「5.8」だから、問題ないですよと教えてくれました)

HOMAーRって、よく分からなかったのですが、
それに関する4項目ばかり、メモして持っていったら、してほしいなら検査できますよって、言われました。来月の診察時の血液検査で、してくれるそうです。

アリナミンF糖衣錠(薬価6.8円)1錠でいいから、処方してほしいと聞くと、「方針で出来ない」と言われました。

その他、いっぱいあるのですが、カットします。

もう少し詳しいことは、ブログに載せてますのでお暇なら、URLをクリックしてみてください。

なお、懲りん性格ですので、ケンさんのコメント中にあった「BUN」というのも、調べてもらいたいと言うつもりです。それに関する項目と数字、3つメモしました。

「HOMA-R」も「BUN」も、セインには、必要ない検査だから、検査してないというのが、正解のように思いますが、お願いしてみようと思ってます。

本題に入りますが、(今からです)

インシュリン離脱に関してですが、毎日の空腹時血糖値を測って、エクセルで棒グラフにして、もっていきました。先生にも、お伺いした「330」という値については「暁現象」では、ない。と判断でした。それ以上のコメントはありませんでした。最高のその「330」という数字と最低の「95」という数字を除いた空腹時血糖値の平均は「130,4」でした。それを見せると、糖尿病健康手帳の10ページにある「血糖値コントロールの指標と評価①」を指して、ちょっと(0,4mg/dl)オーバーしてるけど、問題ないでしょうと言ってました(驚き)。
経過観察していきましょうとなりました(想定外)

「毎回でなくていいから、空腹時血糖値に加えて
食後1時間後と2時間後の血糖値も測ってみるといいですよ」とその意味の説明を加えて、言われました。毎回測れる状況下にありますので、毎回測って、エクセルの表にして持っていきたいと思っています。(現在、棒グラフがいいか、折れ線グラフがいいか検討中です)

まだ、続きます。

9月5日の公開講演会についてでありますが、
8月12日のコメントしたとおりなのでしたが、セインの都合が悪くなり、行けなくなりました。別ルートで事前に「糖質制限についてどう考えるか」を質問することを伝えておいてありましたが、その別ルートから「「まとめ役」として、参加するので質問に答える立場にない」との回答を得ております。(診察後)
診察時には、参加証を示して、行きたいけど行けなくなったと東京?まで断りの電話を入れさせてもらいましたと診察時に言いました。ちょっと驚かれてようですが、やはり、「糖質制限」に関するコメントはありませんでした。

長くなりまして申し訳ありません。

主治医の専門性が高いので「任せよう」と思った理由については、ブログの方でアップしてあります。

主治医、手強い相手ですが、ちょっとずつ、糖質制限を、糖尿病治療の1つの選択肢と認めてもらえるよう、少しずつ、努力していきたいと思っています。(大胆にも、暇ならブログを見てほしいと書いて渡しました。そんな暇はないといってましたが(当然だと思います)、セインが自分であるというとちょっと関心を示してました)

最後に、改めて、宮本さんとの対談集「我ら糖尿人、元気なのは理由がある」を昨日から、読み始めました。はじめの言葉のところを読んだだけで
その通りであると、涙が出てしまったと、報告させていただきます。

報告ですので、コメント返しの必要は、ないと言わせていただきます。

貴重なお時間を頂き本当にありがとうございます。
10月31日に、姿を見られることを楽しみにしています。
2010/08/29(Sun) 06:40 | URL | セイン | 【編集
Re: 血糖値
みかんさん。

75gブドウ糖経口負荷試験に診断基準に当てはめてみると
2時間値が145mgなので、境界型に相当します。
2時間値が200mg以上で糖尿病型、
2時間値が140mg未満が正常型です。
2010/08/29(Sun) 08:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
血糖値
1.5時間後が130だったのに2時間後が上昇したのはなぜでしょうか?
また145は一番高い数字で実際は何度か測ったら133から145と幅がありました。先生のブログで簡易測定器では病院での採血より高くでるとありましたが、その関係もありますか?

また3年前にも食後の血糖値が高くて受けたOGTTは前90-30分後138-1時間後140-2時間後104とまったくの正常でしたが、短期間に悪くなることはありますか?
2010/08/29(Sun) 11:42 | URL | みかん | 【編集
Re: 血糖値
みかんさん。

「1.5時間後が130だったのに2時間後が上昇したのはなぜでしょうか? 」
追加分泌がやや出遅れています。正常から境界型パターンになりつつあります。


「また145は一番高い数字で実際は何度か測ったら133から145と幅がありました。先生のブログで簡易測定器では病院での採血より高くでるとありましたが、その関係もありますか? 」
あると思います。

3年は短期間ではありませんね。
2010/08/29(Sun) 11:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
すでに境界型になりつつあるとのことですが、今後糖質制限を行っていけば、追加分泌がまたもとに戻り正常になることはありますか?
また糖質制限はスタンダードではなくスーパーの方がよいのでしょうか?
2010/08/29(Sun) 19:11 | URL | みかん | 【編集
Re: ありがとうございます
みかんさん。

可能ならスーパーの方がよいと思います。

「すでに境界型になりつつあるとのことですが、今後糖質制限を行っていけば、追加分泌がまたもとに戻り正常になることはありますか?」

保証はできませんが、可能性はあると思います。
2010/08/29(Sun) 19:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
普段コンビニが多いのですが、頑張ってやってみます。

現在33ですが、尿糖もでたことがないですし、このくらいの血糖値でしたら今後糖質制限スタンダードとかを続けていけば、たまにはめをはずしても糖尿病にならずにすみますでしょうか?
2010/08/30(Mon) 07:10 | URL | みかん | 【編集
Re: ありがとうございます
みかん さん。

大丈夫と思います。
2010/08/30(Mon) 07:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
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