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第27回和漢医薬学会学術大会・特別講演・糖質制限食による糖尿病治療
こんばんは。

2010年8月28日(土)、29日(土)に、京都薬科大学で、第27回和漢医薬学会学術大会が開催されます。

今回の大会では、「和漢薬と生活習慣を科学する」を主題として、特別講演3題、シンポジウム4題、ランチョンセミナーと一般講演(ポスター)の発表があります。

和漢医薬学会ですから、和漢生薬や漢方エキス薬を含む、天然医薬品領域の科学的な基礎研究や臨床応用の発表が行われます。

特に、今回は糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病に対する、生薬や漢方薬の役割を考えるため、基礎と臨床の両面からのシンポジウムもあります。

生活習慣病、糖尿病関連ということで、私も特別講演「糖質制限食による糖尿病治療」をさせて頂くこととなりました。

伝統ある和漢医薬学会に呼んで頂き、特別講演ができることは嬉しい限りです。糖質制限食の医学界への認知度が、また一歩前進したという思いです。

医師、薬剤師の学会ですので、残念ながら一般の人は参加できません。

ブログ読者の、医師、薬剤師の皆さん、お時間がありましたら是非ご参加ください。


☆☆☆
第27回和漢医薬学会学術大会・特別講演
2010年8月29日(日) 14:30~15:30 A会場 京都薬科大学
座長:西田 愼二(大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座)
糖質制限食による糖尿病治療」
演者:江部 康二(高雄病院)

京都薬科大学
〒607-8414
京都府京都市山科区御陵中内町5

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糖質制限食による糖尿病治療」抄録

Life With Diabetes(2004.ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わるが、蛋白質・脂質は血糖に変わらない。糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収される。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響を与えない。これらは、含有エネルギーとは無関係な、3大栄養素の生理学的特質である。現在グルコーススパイクが、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されている。そしてグルコーススパイクを生じるのは3大栄養素のなかで糖質だけである。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、グルコーススパイクを防ぐというものである。糖質制限食なら薬に頼ることなく即座に良好な血糖コントロールが可能である。一方、カロリー計算に基づいて食後血糖値をコントロールすることは理論的に不可能である。

糖質制限食実践中は常に脂肪が燃え、追加分泌インスリン(肥満ホルモン)はごく少量ですみ、尿中・呼気中にケトン体が排泄され、肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われる。この4つの利点で、脂肪制限食より糖質制限食のほうが体重減少効果がある。糖質摂取によりこの4つの利点はは全て失われる。
 
脳はブドウ糖だけでなくケトン体をエネルギー源として利用する。日常生活では心筋・骨格筋など多くの体細胞は脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのに対して、脳・網膜・生殖腺胚上皮・赤血球など特殊な細胞だけがブドウ糖を主エネルギー源としている。赤血球はミトコンドリアを持っていないのでブドウ糖だけが唯一のエネルギー源である。しかし脳を含めてそれ以外のミトコンドリアを内部に有す細胞は全て、脂肪酸・ケトン体をエネルギー源にできる。

人類の食生活は食前・食後血糖値の変化で「農耕が始まる前」「農耕以後」「精製炭水化物以後」の3つに分けることができる。生命体の健康には恒常性を保つことが重要である。人類の血糖値の恒常性は399万年間保たれていたが、その変動幅は農耕開始後3800年間2倍程度となった。精製炭水化物摂取が始まったここ200年はその幅は3倍となり、インスリンを大量・頻回に分泌せざるを得なくなり、年余にわたり膵臓が疲弊すれば糖尿病を発症する。生活習慣病の元凶は精製炭水化物過剰摂取によるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えられる。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
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