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糖質制限食とは・2010年8月
糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 
 
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質は、ごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が、大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。そして食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病患者の血糖値を、約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースにできるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかに、リアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということが、おわかりいただけたと思います。

なお、糖質制限食はカロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。


糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や、インスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」
「やせる食べ方」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
「 糖質制限食 春のレシピ」
「 糖質制限食 夏のレシピ」
「糖質制限食 秋のレシピ」
「糖質制限食 冬のレシピ」
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」
(以上東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)

dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」
dancyu プレジデントムック  「酒飲みダイエット 」
(プレジデント社)

などを参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。


【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F


【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。
m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、コメント・質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
できるだけ全ての質問に本文かコメントでお答えするよう努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
> 米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は
> 100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。

一見、にわかに信じがたい主張に思われますが、、
確認できる具体的な引用元および正確な原文の引用をしていただければ理解の助けになります。
2010/08/22(Sun) 21:33 | URL | korune | 【編集
7.7から6.0になりました
10年以上食事には悩んできました。カロリーを抑えてもaicが7パーセントを超えたりして、インシュリンの量もだんだん増えてきて。半信半疑で主食を夕食だけ主に抜いてみたところ。無理なく数字が改善してきました。本当に感謝です。主治医に主食を抜いた話をしても、カロリー不足の心配をされただけで、話はかみ合いませんでした。今後の課題でしょうか。かなり食事量を抑えたとしか捉えられてもらえませんでした。(糖尿の治療実績では有名な病院なんですが)。インシュリンを使っているので運動量に応じてご飯やパンも食べています。良くなったとわかると、もっと良くしようと気持ちが前向きになります。しかし、相変わらす、カロリーだけ必死にやっている人も多い訳で。もっと多くの人に知ってもらいたいですね。
2010/08/22(Sun) 21:44 | URL | shinichi | 【編集
Re: タイトルなし
korune さん

1) Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004


私の主張ではありません。
米国糖尿病協会(ADA)の公式見解です。
2010/08/22(Sun) 22:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 7.7から6.0になりました
shinichi さん。

血糖コントロールの改善、良かったですね。

糖質制限食実践で、インスリンの量を減らすことは、身体にとって大変いい影響を与えます。

大量のインスリン注射は、発ガンやアルツハイマー病のリスクとなることが、確認されています。
2010/08/22(Sun) 22:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
酒飲みダイエット、買ったばかりの糖質制限歴7ヶ月、初心者マーク付きのセインといいます。
朝から、ノンアルコールビール(FREE)を7~8本飲んでます。少しだけ、糖質が気になってます。
少しだけです。

コメントさせてもらったのは、糖質制限食についてです。
丁度、話題に上ったので、普段から、疑問に思っていることを質問させていただきます。
今、自分は、スーパー糖質制限で、何の迷いもなく過ごしているのですが、半年くらい先になると
スタンダード糖質制限にならなければならないかもしれないという状態になることが予想されます。5月くらいに、4日ほど、お昼にパパットライス100g、将来に備えて、食べてみたのですが、2時間後血糖値が一日だけですが250を超えたので、ちょっと、びびって、実験を止めました。まだ、先ですが、スタンダードの時期は近づいています。そのときが不安です。
スタンダードに変えたときに起こる不都合はどんなものが予想されますか?
また、その不都合を最小限に抑える対策があれば、今からでも、取りたいのですが、なにか、ヒントになるようなことないでしょうか?

簡単なことのように思いますが、真面目に質問させてもらいます。
時間があれば、よろしくお願いします。
2010/08/22(Sun) 22:33 | URL | セイン | 【編集
Re: タイトルなし
セインさん。

主食を摂らざるを得ない時は、

<グルコバイ(100)1錠+グルファスト(10)1錠>

を食直前30秒に内服して、主食をやや少量にして、食後2時間血糖値180mg未満を
なんとか達成したいですね。
2010/08/22(Sun) 23:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
ブログ拝見させていただきました
こんにちは!
ブログ拝見させていただきました。
食事は糖尿病に本当に大事ですよね。
私も食事で糖尿病を克服したので、痛いほどわかります。
2010/08/22(Sun) 23:28 | URL | 糖尿病改善ドットコム | 【編集
お忙しい中、コメントありがとうございます。
グルコバイですが10年以上飲んでいるのにガスが出るという症状が治まらないので、自分には合わない薬だと思っています。グルファスト(10)1錠というのは試したことはないので、丁度、27日に主治医診察があるので聞いてみたいと思います。
ありがとうございました。

食直前の薬って、なかなか、飲むの忘れます。
今、キネダック?という薬、食後に飲み忘れたことに気づいて焦ることの多いセインでした。
2010/08/23(Mon) 08:11 | URL | セイン | 【編集
食物による血糖値の上昇
1.「国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。」とのことが明らかにされました。 
2.以前は、タンパク質は50%、脂肪は10%が血糖に変わると言われていましたが、私自身は不思議に思っていました。
3.炭水化物は糖が連結した高分子化合物で分解すれば総て糖になります。所が、タンパク質は分解してもアミノ酸になるだけで糖にはなりません。脂肪は、分解してもアルコールと脂肪酸になるだけで、糖にはなりません。
4.なぜこのような事実が今まで正確に説明されていなかったことが驚きです。
5.栄養学に関しては俗説が学説になっていることが多すぎるように思います。
2010/08/23(Mon) 09:19 | URL | イーサン | 【編集
スーパーを一生続けることは可能?
スーパー
をしている限りは
なんとか
コントロール可能な
海物語です
スーパーでも
全然支障を感じないというか
むしろ、スーパー炭水化物抜きの方がいろいろと楽です
スーパーは一生続けてはいけないのでしょうか?
その場合
スタンダードには
どの時期変更しなくては
ならないのでしょうか?
スタンダードにすると
たぶん
コントロール
不能になると
おもいますので
不安です
2010/08/23(Mon) 09:37 | URL | 海物語 | 【編集
有難うございます。
直接血糖に変わるかどうかは置いといて、、

> 私の主張ではありません。
なるほど、了解しました。

タンパク質・脂質でカロリーを摂取すれば、一日の消費カロリーの一部はタンパク質・脂質の消費に割り当てられますので、
血糖値が上がる(空腹時血糖の下がりが減る)のは自明です。
基礎分泌が旺盛なデブ2型患者では問題にならないと思いますが。
2010/08/23(Mon) 12:33 | URL | korune | 【編集
Re: スーパーを一生続けることは可能?
海物語さん。

スーパー糖質制限食を一生続けても何の問題もありません。
私も一生続けるつもりです。
スーパー糖質制限食は農耕が始まる前400万年間の人類の日常的な食性ですので。
2010/08/23(Mon) 15:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
有難うございます。
心強い御言葉有難うございます。
2010/08/23(Mon) 16:00 | URL | 海物語 | 【編集
??
先生、毎日とっても暑いですが、高蛋白・高脂肪の食事のせいなのか、だる~くなることもなく、今年の夏は、いつもの夏よりもなんだか快適です。

kuroneさんの
「タンパク質・脂質でカロリーを摂取すれば、一日の消費カロリーの一部はタンパク質・脂質の消費に割り当てられますので、 血糖値が上がる(空腹時血糖の下がりが減る)のは自明です。 」

というのは、ぜんぜん理解できないのですが、そういう事はあるのですか?

「炭水化物からカロリーを消費する」「脂肪から消費する」というのではなく、食べたものをエネルギーに変えて消費するので、
「炭水化物からカロリーをとらないと空腹時血糖値が下がらない」ということはなく、
むしろ、炭水化物を摂取すると、エネルギーとして保存しておけず、食後すぐに運動すれば多少食後血糖値は降下するものの、基本的には血中に取り込まれ、インスリンがたくさん分泌され、追いつかない分は高血糖を起こしますよね?

また、炭水化物の割合を少なくすれば、肝臓に蓄えた脂肪を糖質に変えてエネルギー源にするになるだけで、どちらも、使われる糖質量は変わらないように思います。

「肝臓の脂肪のリサイクル」で必要な糖質を作り出すか、「口から入れるか」の違いで、前者は「必要なだけ」、後者は「可否に拘らず」なため、要らない分を処理するのにインスリンが大量に必要で、それでも処理しきれない糖質によって高血糖が起こってしまう・・・・

また、空腹時血糖値は、前日夜の遅い食事は多少引きずるかもしれませんが、その人の「膵臓の基礎力」のようなもので膵臓をお休みさせて上げることで、能力の高低差はあるもののその人の最良の状態になるのだと理解しています。

(私も、一年前の発覚時206あったものが、一月弱で138までになりましたが、自宅で計るといつも115くらいなのに、病院では130くらい。でも、A1cは7.3から4.4にまで下がったので、空腹時が高いタイプなんだろう と思って、膵臓は大事にできている感触アリなので、まぁ、良いことにしています。)

そんな理解なのですが、どうなのでしょう??
違うとしたら、ショックですし・・・・。
2010/08/30(Mon) 10:21 | URL | ゆうこ | 【編集
Re: ??
ゆうこ さん。

私も、ゆうこさんの考えに賛成です。
2010/08/30(Mon) 14:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ??
先生
ありがとうございます。

良かった!

一年間、まったく苦痛なく、おそらく他人が我が家の食事を見ても、昼ごはんに主食が無い以外は違和感のない食事、夜は肉や魚・野菜などたっぷりのおつまみ&ワインで、楽しくスーパー糖質制限食を続けてこられたので、今後もこのまま行こうと思います。

炭水化物を摂取して一時血糖値が下がることがあるとすれば、ボールをはずみをつけて落とすようなもので、高血糖ゆえの低血糖、そして跳ね返ってくる・・・そう理解していたので、先生の「賛成」は心強いです。
2010/08/30(Mon) 15:42 | URL | ゆうこ | 【編集
糖質摂取による血糖値上昇について
こんにちわ

私は20年来の2型糖尿病患者ですが、江部先生の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を購入してからは、ゆるい糖質制限食を実行してなんとかHbA1Cを5.4%程度にコントロールできています(感謝です!)。

ところで、先日あるところから「極端な糖質制限を続けると耐糖能が低下する」という報告を目にする機会がありました。HbA1Cが4%台の人で、20g程度の糖質摂取でも急激に血糖値が上昇する例があるとの事でした。

江部先生のブログでは「1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病患者の血糖値を、約3mg上昇させます。」という記述をよく拝見するのですが、これは米国での疫学的調査での結論なのでしょうか?あるいは経験則みたいなものでしょうか?

ちょっと気になったので質問させていただきました。
2010/11/08(Mon) 22:14 | URL | M.K. | 【編集
Re: 糖質摂取による血糖値上昇について
M.K. さん。

「1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病患者の血糖値を、約3mg上昇させます。」

この記載は、「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」からの引用です。
勿論個人差はありますが、高雄病院の経験でもおおむね一致しています。
2010/11/09(Tue) 08:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
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