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肝硬変と糖質制限食
おはようございます。

肝硬変糖質制限食について、内科大学院生さんからコメント・質問をいただきました。


「10/07/18 内科大学院生
肝硬変糖質制限食について
江部先生

こんにちは。高炭水化物食について、大変わかりやすい記事をご提供いただき、
ありがとうございました。
ご飯を推奨する先生が多くて本当に困っているので(糖尿病学会の重鎮達も含め)、
助かります。

さて、江部先生は糖質制限食を勧めない患者として、
腎不全と急性膵炎をあげていますよね。

肝硬変(非代償期)の患者さんについてはどのようにお考えでしょうか?

肝硬変の非代償期になると、消化器科の先生は 蛋白制限と脂質制限を指示し、夜間の低血糖予防に分岐鎖アミノ酸製剤(リーバクト)を処方されることが多いと思います。

正直、患者さんが肝硬変になり、この指示が出ると食後高血糖と食前低血糖が頻発で、血糖コントロールに非常に難儀します。

仕方ない部分があるのは承知しているですが、江部先生のご見解をお聞かせ下さい。

ブログの皆様は、腎臓の合併症(尿蛋白量やcre値)についてはとても興味があると思いますが、脂肪肝→肝炎→肝硬変となっても、糖尿病は大変だということをご理解いただきたいです。」



内科大学院生さん。
お久しぶりです。

肝硬変に関しては記事にしようとして忘れていたので、タイミングよくご質問いただき助かりました。

2010年7月4日(日)東京慈恵会医科大学・大学1号館3階講堂で開催された、第9回日本GI研究会において、肝硬変の食事療法をずっと研究しておられる、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・臨床栄養学分野の栄養士さんのお話しを聞く機会がありました。

その中で、肝硬変の非代償期になると、肝臓はグリコーゲンの蓄積がほとんどできなくなり、また糖新生も障害されるので、夜間や早朝の低血糖が生じやすいとのお話しがありました。

そうすると糖新生が障害されるレベルの非代償期の肝硬変で、糖質制限食を実践すると理論的に低血糖を生じるおそれがあります。

「分岐鎖アミノ酸製剤+一定量の糖質」を含む食材を、late evening snack(LES)・・・夜食として摂取することで、夜間・早朝の低血糖を防ぐことができたとその栄養士さんは、発表されました。

結論です。

肝硬変の非代償期で、糖新生能力が低下している場合は、糖質制限食実践で低血糖になる恐れがありますので、
適応とならないと思います。

腎不全活動性膵炎、非代償期の肝硬変は、糖質制限食の適応とならないこととなります。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ありがとうございました。
江部先生

休日にもかかわらず、ご返答いただき、誠にありがとうございます。

先生のご見解が私と一緒で安心しました。

私は外来で診察する際、

◆糖質制限についてのプリント
◆江部先生と大柳珠美先生の著書を一覧にしたプリント

を患者さんに配らせて頂いています(勝手にすみません)。

私が作った糖質制限を説明するプリントの中で

『持続的に尿蛋白が出ており、腎機能が低下している患者様、急性膵炎の患者様、重症の肝硬変の患者様は糖質制限の適応ではありません』

と記載していたので、江部先生のご意見を伺いたかったのです。

腎症については、以前先生に教えていただいたように、個々の患者さんに対して、糖質摂取からの食後高血糖による腎臓への悪影響と高蛋白食による腎機能悪化の可能性を天秤にかけるような感じで説明しています。

ただ、ブログのみなさんや先生の患者さんのように、糖質制限によって尿蛋白が陰性化する患者さまも結構いますので、いつかきちんとしたデータを集められたらなーと考えています(大学に所属している間は、外勤先でしか糖質制限を強く勧められない為、まだ先になりそうですが・・・)。

うちの妻がBS放送の『教えて!からだのミカタ』を録画していてくれました。
一般の方にもすごくわかりやすい内容でしたね。

今度はもっと視聴率のいい番組でやってくれるといいなーと思います。

本当にありがとうござました。
2010/07/19(Mon) 14:06 | URL | 内科大学院生 | 【編集
Re: ありがとうございました。
内科大学院生 さん。

BS放送の『教えて!からだのミカタ』

結局、家のテレビではみることができなかったのですが、
わかりやすい内容とのことで安心しました。

肝硬変には糖質制限食禁忌は、今後私のほうも記載するようにします。
ありがとうございました。
2010/07/19(Mon) 15:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖尿病予防には
こんにちは。母が糖尿病のためこのブログいつも読ませていただいております。さて、先生の7月18日付け佐藤彰夫先生への反論のブログより、先生が糖尿病を発症したのは高糖質食だったということなので、糖尿病予防には、やはり高糖質食を避けるということでしょうか?現在、私は、正常人で、糖尿病予防のために糖質の多い、スイーツやジュースを食べないように、またご飯も発芽玄半膳にして低糖質食にしています。またダンベル体操などの筋トレをして筋肉を増やすようにもしています。それでよろしいでしょうか?高GIの食べ物も避けています。アドバイスよろしくお願いします。
2010/07/19(Mon) 16:30 | URL | 心配性 | 【編集
Re: 糖尿病予防には
心配性さん。

それでいいと思います。
2010/07/19(Mon) 20:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
心配性さんへ
心配性さん

内科大学院生と申します。

1型糖尿病や特殊な糖尿病もあるので、すべてを防ぐのは不可能ですし、体質も関与しますが、

2型糖尿病予防のためには

①糖質制限
②低GI食品を食べる
③有酸素運動をする
④筋肉量を増やす筋トレをする
⑤太らない
⑥食事の最初に食物繊維の多いものを食べる


これが大切だと思います。
2010/07/19(Mon) 22:33 | URL | 内科大学院生 | 【編集
BS放送の『教えて!からだのミカタ』
江部先生
7月24日、25日に再放送されるようですが、
下記URLにて動画再生で観られます。
http://top.dhc.co.jp/contents/health/mikata/index.html
2010/07/20(Tue) 03:14 | URL | keyeye | 【編集
Re: BS放送の『教えて!からだのミカタ』
keyeyeさん。

ありがとうございます。

2010/07/20(Tue) 10:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
「代償性」肝硬変の場合
江部先生
いつもブログを拝見し、勉強させていただいています。ありがとうございます。
2月から「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」をはじめ、レシピの本も全部購入し、糖質制限食を実践してきました。HbA1cは7.0から5.5へ、体重も67キロから61キロへと好転しました(身長175センチ)。そんな中で心配な事は、今日のブログに「肝硬変の非代償期は糖質制限食の適応とならない」とある事です。実は私は「代償性」肝硬変で、自覚症状は全く何もなく健康体のように過ごしており、糖質制限を実施しても何も不都合なことは生じておりません。こういう状態であれば糖質制限を続けてよろしいでしょうか。それともう一つ気がかりなのは、制限食を始める前の1月のBUNが、14.2だったのが7月には30.1に増えていることです(クレアチニンは1.10)。お忙しい中、すいませんが教えていただければありがたいです。よろしくお願いします。
2010/07/21(Wed) 19:38 | URL | アモーレス | 【編集
Re: 「代償性」肝硬変の場合
アモーレスさん。

糖質制限食を実践しておられて、体調良好なら
肝臓の糖新生も確保されていますので問題ないと思います。

「1月のBUNが、14.2だったのが7月には30.1に増えていることです(クレアチニンは1.10)」

これは相対的高タンパク食のためです。
クレアチニンが正常であれば問題ないと思います。
2010/07/22(Thu) 20:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
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