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DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)と低血糖
おはようございます。

低血糖が起こりにくいはずのDPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)で、重篤低血糖が続発しています。

正確には「DPP-4阻害薬+SU剤」併用で生じています。

4月8日に日本糖尿病協会の公式サイトに医療従事者向けに緊急情報が掲示されました。

DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ)は高血糖の時は作用し、血糖値が108mg/dlくらいになると作用しなくなるので、単独使用では、理論的に低血糖はほとんど生じないはずです。

しかし、SU剤の作用が持続している状態でDPP-4阻害薬を併用すると、血糖値が108mg/dl以下に下がってきても、DPP-4阻害薬の作用が持続するのです。このため「DPP-4阻害薬+SU剤」併用で低血糖が続発したと考えられます。

低血糖発作を起こしたほとんどの症例において、SU剤が高容量内服されていました。

一部の医師が「DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい」と単純に信じて、高容量のSU剤を内服していた糖尿人にDPP-4阻害薬を追加処方したことが、低血糖発作続発の原因と考えられます。

日本糖尿病協会の勧告では、DPP-4阻害薬と併用するときは、

「グリメピリド(アマリール) 2mg/日以下に
グリベンクラミド(オイグルコンまたはダオニール) 2.5mg/日以下に」

と記載されています。

高容量というのは、上記を上回る量ということですね。

実際、高雄病院、高雄病院京都駅前診療所、江部診療所で10名以上の糖尿人において、「DPP-4阻害薬+SU剤」併用投与していますが、低血糖は一人も生じていません。**

私は、アマリール以外のSU剤は使用しません。

オイグルコン(ダオニール)は、心筋への悪影響が報告されているので、私は使いません。アマリールも1mg/日か0.5mg/日です。2010年6月からアマリール0.5mgの錠剤ができたので使いやすくなりました。

糖尿人の皆さん、SU剤とDPP-4阻害薬を併用するときは、SU剤の量は少量にすることをこころがけて下さいね。


江部康二


**

スーパー糖質制限食なら、2型糖尿人の大多数は、経口血糖降下剤は不必要となります。

かくいう私も薬なしで、コントロール優レベル(HbA1c5.8%未満)で、HbA1c:5.1~5.4%くらいです。

たまに宴会などで、付き合いで主食を食べざるを得ないときだけ、グルコバイなどαグルコシダーゼ阻害剤やグルファストなど超速効型インスリン分泌促進剤を直前に飲めば、あるていど食後高血糖を抑えることができるので、そのような使用法もあります。

この方法で、たいていの場合はコントロール良好レベル(HbA1c6.5%未満)を保てます。

一方で、糖質制限食をしているはずなのに、なかなかHbA1cが6.5%未満にならない糖尿人・・・。

どうしてもちょこちょこ糖質を食べておられるのでしょうね( ̄_ ̄|||)

こういった方には、私もたまにSU剤を処方することがあります。



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
SU剤についての質問
江部先生の助言のおかげで、「食べ物を持ち込み」でき、やっと父(← ビール隠れ呑みするバカ)の食後1時間血糖値と常時血糖値が(私の指示を守った時は)180を越すことがなくなり、足首複雑骨折の手術が本日6/16(水)にできる予定となりました。江部先生は父の命の恩人です!!!

さすがに「糖尿病で複雑骨折の切開手術ができない」と言われて、バカな父も「糖尿病の怖さ」が身に染みたようで、私の話にきちんと耳を傾けるようになりました ><

 父の話を聞くと「強烈に腹が減り、ついつい米飯やパンやカップ麺を喰ってしまう」とのことでした。酒を呑みたがる話は、亡き母からさんざん聞かされていたのですが、「強烈な空腹」は初めて聞きました。
 インターネットで父が処方されている薬について、検索を掛けまくったところ

http://www.nagayoku.com/basic2/medicine/ に

●「スルフォニル尿素薬の欠点は、おなかが非常にすくということです。

と明記されておりました。交通事故前の主治医の話では今年2月からHbA1cの値がめきめきと悪くなっており、私息子が呼び出しを喰ったほどです ><

 今は「基本的に糖質と思われるモノは全部口にしない。不足分は無調整豆乳で帳尻を合わせる」を実行しております。肉、肴、卵と葉野菜と海藻は病院食を食っております。今も「桃のシロップ漬け」が出て来ますが、食べ残しOKになりました。江部先生感謝!!!

 SU剤について以下の2点を教えて下さい。

1.「耐えられない空腹」が襲うとは本当ですか?
2.上記の状態で「アマリール服用中止」すると何か悪影響がでることが予想できるでしょうか?

 お忙しいことは重々承知しております。お手透きの時に御教示下さいませ!
2010/06/16(Wed) 01:14 | URL | らこ | 【編集
Re: SU剤についての質問
らこさん

1.「耐えられない空腹」が襲うとは本当ですか?

個人差がありますが、人により空腹感が結構あるようです。

2.上記の状態で「アマリール服用中止」すると何か悪影響がでることが予想できるでしょうか?

糖質制限食で血糖コントロールがよくなれば、アマリール中止しても問題はありません。
2010/06/17(Thu) 08:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生ありがとうございます
早速アマリールを本日より中止実行しました。医師の理解は得られなかったのですが、中止しました。経過をまたご報告させて頂きます。本当にありがとうございます。
2010/06/17(Thu) 19:50 | URL | らこ | 【編集
糖尿薬の副作用
父が処方されていた糖尿薬は以下の3種でした。

1.アマリール
2.アクトス
3.ベイスン

江部先生の助言に従い、アマリールを即止め、翌日アクトスを止め、さらにその翌日ベイスンを止めました。

◎アマリール中止 → 病的な食欲がすぐに止まった。
◎アクトス中止 → 早朝無闇に起きることが無くなった
◎ベイスン中止 → 特に変化はわからなかった

です。早朝血糖値=135程度なので、「曉現象」はあるようです。
 「日本糖尿病学会推薦の治療」では、父の場合は『副作用だけが出て、全く効果が無かった可能性が高い』結果でした。
 尚、入院先の病院食は「自宅で喰っていた量を遙かにしのぐ糖質」になっている上に、SU剤で腹が減っていたので全部喰い、血糖値を上げていたようです ><

 父の場合、DPP-4阻害剤を投与した方が良くなる可能性が高いのでしょうか? もちろん、糖質制限食を続ける前提です。
 お忙しい中と存じますが、お手透きの時に御教示頂ければ幸いです。
2010/06/22(Tue) 21:32 | URL | らこ | 【編集
Re: 糖尿薬の副作用
らこ さん。

糖質制限食+DPP-4阻害剤

はよい選択と思います。
2010/06/22(Tue) 21:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
早速の御教示ありがとうございます!!!
明日、入院先に掛け合って見ます。
本当にいつも御指導頂きありがとうございます!!!
2010/06/22(Tue) 21:39 | URL | らこ | 【編集
Re:2007年11月10日 (土) ブログ
>「2型糖尿病の治療は、食事・運動療法が
>基本だが、それだけで血糖値をコントロール
>できる人は患者の5%程度に過ぎない。」
>
>「このため最初は経口薬を処方することが
>多いが、血糖コントロールがうまくいかず、
>薬を増やしたり変えたりしているうちに、
>インスリン分泌能力がほとんどなくなってしまう
>ケースが少なくない。」

 江部先生のブログの昔のところに書かれていましたので、こちらにコメントさせて頂きます。
 私の父も「95%の中の1人」だったわけです。私は姉も祖父も糖尿病で亡くし、私自身も脳梗塞を軽い症状ですが起こしています。その時点で本屋で江部先生の著書に出会えたのは、本当に幸運でした。脳梗塞の後遺症も全く消えた上に体調が良くなりました(バンザイ)
 スグに父に先生の本を持参して読むように言い、読むことは読んだのですが「医者の説もいろいろ合って、主治医とは違うな」と言って全く無視しました。本人は「交通事故に遭って、血糖値が高くて手術ができず、このまま腐るまで待つしか無いかも」と外科医に言われるまで本気にならなかったワケです。
 バカと言えばバカですが「95%は直らない」のでは

◎「従来の糖尿病治療法」は完全な誤り

のように思えます。
 江部先生は「私の命の恩人」であるとともに「父の命の恩人」ですので、本当に感謝するばかりです。「95%のバカ」もいずれ父のように「死に直面」すると、糖質制限食を受け入れるのでしょうかね?
 父の場合「手術日が決まった」と言われただけで、病院食を喰ってしまい血糖値が上がり、危うく「手術無期限延期」になりかけました><
 それも「アマリールの副作用」だった可能性が高く、何とも暗澹たる気持ちです。
 父の交通事故が3年前だったら、江部先生がブログを初めていなかったので、「良くて足が腐って切断、悪ければ敗血症で死亡」だったと思います。(祖父は糖尿病の敗血症で死亡)
 本当に江部先生は命の恩人です!!!
2010/06/22(Tue) 22:46 | URL | らこ | 【編集
ジャヌビア
こんにちは。低炭水化物の食事療法でHbA1cが9→7.1になり、江部先生にはとても感謝しております。糖尿病歴が長くいろいろな薬を処方されていましたが、現在はジャヌビア50mg/1日と低炭水化物の食事療法です。しかし、外食が重なりついつい炭水化物を摂取することが多くなる場面があり、そういうときにジャヌビアと併用できる薬はないものかと思っています。家での食事はほぼ低炭水化物なので現在のジャヌビアだけでOKだと思うのですが、併用できる食後高血糖を抑えるような薬があれば教えていただきたいのです。先生の著書には「グルコバイ」のことが書かれていましたが、ジャヌビアと併用しても良いものなのでしょうか?
2010/09/08(Wed) 15:06 | URL | ゆり | 【編集
ジャヌビアとの併用薬
ゆりさんのコメントに関連しての投稿です。
私の主治医は、新薬のジャヌビアを積極的に薦めてくれましたが、その時に教えてくれたのは併用が認められていないのはインスリン分泌を亢進させる薬剤だということです。私はそれまでグルファストとグリコランを服用していましたが、ジャヌビア投与に際してグルファストは中止しました。
まだ3ヶ月ですが、HbA1Cも空腹時血糖も毎月改善されています。江部先生の著書からはグルコバイなども糖質吸収の阻害剤らしいので、大丈夫では?
いずれにしても主治医とは相談されたほうがいいと思います。
2010/09/09(Thu) 10:25 | URL | M.K. | 【編集
ジャヌビアとの併用薬
M.Kさん、コメントとアドバイスどうもありがとうございました。
主治医は糖質制限よりカロリーコントロールを主に考えられており、なかなか思いが伝わりません。また、糖尿病に関しての自分の甘さもあるかと思います。
江部先生の著書やHPで糖質制限に出会い、スーパー糖質制限食を2週間続けたところ、まず食後2時間血糖値が200を超えていたものが150以下になり、空腹時血糖値が110とか、今までいろいろな薬を飲んでもなかなか改善しなかったものが見事な数値になりました。HbA1cも7.1になり、これからもっと頑張ろうと思ったのですが、やはり、昼食でどうしても炭水化物を摂取したり、付き合いでの外食時に糖質制限がなかなか難しく、食後高血糖を抑えることができたらと思ったわけです。
まず、もう一度自覚をしっかり持ち、糖質制限を厳しくしていこうと思います。また良いご報告ができるよう頑張りたいと思います。
本当にどうもありがとうございました。
2010/09/09(Thu) 19:12 | URL | ゆり | 【編集
Re: 先生の医院ではGLP-1は使用されてますか?
糖存腎さん。

*糖質制限とGLP-1の併用
はありと思います。

GLP-1は注射薬なのでやや使いにくく、高雄病院では使用しておりません。
2010/09/09(Thu) 20:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
いざとなったら試すしかないと決心ができました
先生大変お忙しいところご回答いただきありがとうございます。
いざとなったら試すしかないと決心ができました。
その時は
糖質制限とGLP-1の
効果を報告させていただきたいと思います。
2010/09/10(Fri) 10:22 | URL | 糖存腎 | 【編集
極端な糖質制限をすると耐糖能が落ちることが教科書的にはいわれています。
糖質摂取時には血糖値跳ね上がりませんか?αGIやグリニドでしのげるのですか?
2010/10/18(Mon) 18:16 | URL | 糖尿病専門医 | 【編集
Re: タイトルなし
糖尿病専門医さん。

「極端な糖質制限をすると耐糖能が落ちることが教科書的にはいわれています。」

浅学にして、そのような記載のある教科書をみたことがありません。
もしあればその教科書あるいは文献をご教示いただけば幸いです。
2010/10/18(Mon) 19:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
GLP-1
教科書的(たとえば食品交換表)に大きく異なるような自説を展開されるのであれば、例えば10年後の予後のリスク可能性も引き受けておられると存じますが、まあそれは分かっておられるからいいと致しまして、GLP-1は専門医でない江部先生は使えないのじゃありませんか?
使えないからと言って“注射薬だから使いにくい”はないのではないかと思います。大変優秀な薬剤です。
専門医検索
  ↓
http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/senmoni_search/search.php
2010/10/19(Tue) 00:24 | URL | 別の糖尿病専門医 | 【編集
すみません(^_^;)
上記の記事のURLには直接飛べませんでした。
googleで“糖尿病専門医検索”で調べたら『検索選択画面』のURLが出てきますので、それで。
2010/10/19(Tue) 00:29 | URL | 別の糖尿病専門医 | 【編集
2010/10/19(Tue) 06:00 | URL | 匿名 | 【編集
江部先生
お忙しいところコメントありがとうございます。
糖尿病専門医ガイドブック改訂第4版(私にとってはこれが教科書)の23ページ12行目に、
「飢餓時や食事からの糖質摂取が少ない場合には耐糖能は低下する。」と記載があります。
OGTTを正確に行うためには
「糖質150g以上含む食事を3日以上摂食した後に行うこと」、その根拠としてかいてあるようです。
通常の食事程度ではあまり影響ないのかもしれません。

なお、糖質制限食について私は否定的な立場ではありません。
素朴なギモンを持っただけですので失礼になっていたらすみませんでした。

2010/10/19(Tue) 13:46 | URL | 糖尿病専門医 | 【編集
Re: タイトルなし
糖尿病専門医 さん。

ご教示ありがとうございます。

「糖尿病専門医ガイドブック改訂第4版(私にとってはこれが教科書)の23ページ12行目」

私も確認しました。


糖質制限食と耐糖能低下関して1935年にヒムスワースが
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
という結論の論文を発表しました。

一方、 1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。この報告がNew England Journal of Medicineに掲載されました。

正常人の耐糖能に関しては異なる結論の二つの論文があるわけですが、真相はどうなのでしょうか。

少なくとも糖尿人においては、糖質制限食で食後高血糖もなく、血糖コントロールが改善し、膵臓も休養できるので、結果として耐糖能があるていど改善される方がおられることは確認できていますが・・・

正常人においてどうなのかは、確認できておりません。
2010/10/19(Tue) 14:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: GLP-1
別の糖尿病専門医さん

GLP-1は、医師であれば、糖尿病専門医関係なく誰でも処方できる注射薬ですが・・・

私も消化器症状などの副作用がでない人においてはいい薬と思います。
2010/10/19(Tue) 14:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生
お忙しい中ありがとうございます。
ご教示いただいた文献読んでみるようにします。
データは古いようですが、近年では倫理的に検証は難しそうなので、新しいデータがないのでしょうね。
動物実験ならあるのかもしれないですが。
あまり調べもせずに質問をしてすみませんでした。
先生の患者さんで、長期間糖質制限食をされている方のOGTTやinsulinogenic indexなどあれば、良いデータが報告できそうですね。患者様でご協力していただける方がおられたら、ぜひご検討ください。
どうもありがとうございました。
2010/10/19(Tue) 16:01 | URL | 糖尿病専門医 | 【編集
Re: 母が糖質制限食で改善しました。
はっちゆっき さん。

本のご購入ありがとうございます。

朝一番→ジャヌビア50mg ピオグリタゾン錠15mg
毎食前→ボグリボーズOD(マイラン)
毎食後→ジベトス錠50ml

これらの糖尿病のくすりは、いずれも膵臓への負担がないタイプです。
また、いずれの薬も低血糖になりにくいタイプのお薬です。

インスリンは中止できたのでしょうか?

ともあれ糖質制限食で、薬は徐々に減らせると思います。
現在、HbA1c6.3%でコントロール良好です。
HbA1c5.8未満なら理想的ですね。
2011/09/19(Mon) 13:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
真由美 さん。

ノボリンRは、よく使用されるインスリンです。
詳しくは主治医にご相談ください。
2012/02/10(Fri) 16:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
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