2010年05月31日 (月)
こんにちは。
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上
③随時血糖値200mg/dL以上
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上
③随時血糖値200mg/dL以上
のうちいずれかと
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)
の両方で評価するよう決められており、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
江部康二
第53回日本糖尿病学会年次学術集会において、開催初日の2010年5月27日に、糖尿病の新しい診断基準の概要と、2010年7月1日に新基準を施行することが発表されました。
今回新しくなる診断基準は、前回の基準から11年ぶりに改訂されます。改訂の目玉は、診断基準に「HbA1c 6.5%以上」(6.1%[JDS値])が追加されたことです。
HbA1c値については、日本独自の測定法によって得られるJDS値と、欧米を中心に使われている測定法によって得られるNGSP値があり、両者のデータにはずれがありました。
換算するとJDS値に0.4を加えた値が、NGSP値となります。当然国際基準としては、NGSP値が優先されます。
新診断基準のHbA1c:6.5%は、NGSP値相当であり、現行の日本の測定法によるJDS値では、6.1%となります。
今後HbA1cはNGSP値に相当する値を基準としますが、HbA1c測定方法はこれまでと同様のJDS値なので、単純に0.4を足した値をNGSP値として示すことになります。
国際標準化作業が行われて、JDS値に0.4を足せばNGSP値と同じになることが確認されました。
従来の診断基準では、
①空腹時血糖値126mg/dL以上
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上
③随時血糖値200mg/dL以上
のいずれかが別の日に2回以上、確認された場合に糖尿病と診断しており、HbA1c値は補助的な位置付けでした。
近年HbA1cは、糖尿病の診断基準として国際的評価が高く、米国糖尿病学会(ADA)は、2009年、糖尿病診断に原則HbA1C検査を適用することとしました。
これを受けて日本でも、今回の改訂で、「補助的な項目」から格上げで診断基準の1つとして取りあげられることとなりました。
診断基準項目の1つとなったHbA1c値は、6.5%以上(6.1%以上[JDS値])とされました。
これは、日本のデータを用いて、網膜症の出現頻度や血糖値とHbA1c値との関係を解析した結果から、決定したそうです。
新診断基準にはHbA1c値が加わりましたが、糖尿病の診断は
<血糖値>
①空腹時血糖値126mg/dL以上
② 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上
③随時血糖値200mg/dL以上
のうちいずれかと
<HbA1c>
6.5%以上(JDS値で6.1%以上)
の両方で評価するよう決められており、血糖値データは必ず必要です。
すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。
HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。
1回目の検査でHbA1c値が「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」で糖尿病型と診断され、再検査でHbA1c値再度糖尿病型と診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまるとされました。
また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。
江部康二
こんにちは。
先生の記述の中で、「すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。」とありましたが、逆の場合(HbA1c:6.5%以下で血糖値が高い場合)は糖尿病と診断されるのでしょうか?教えていただけると助かります。
先生の記述の中で、「すなわち患者さんが「HbA1c:6.5%以上(JDS値で6.1%以上)」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できません。」とありましたが、逆の場合(HbA1c:6.5%以下で血糖値が高い場合)は糖尿病と診断されるのでしょうか?教えていただけると助かります。
2010/06/01(Tue) 10:14 | URL | Toshi | 【編集】
ちいさん。
ラカントS、パルスイート共にエリスリトールが主成分で、
糖質制限食OK食材です。
ラカントS、パルスイート共にエリスリトールが主成分で、
糖質制限食OK食材です。
2010/06/01(Tue) 10:27 | URL | ドクター江部 | 【編集】
Toshi さん。
「HbA1c:6.5%以下で血糖値が高い場合」
これは従来の基準通りに糖尿病と診断されます。
「HbA1c:6.5%以下で血糖値が高い場合」
これは従来の基準通りに糖尿病と診断されます。
2010/06/01(Tue) 10:31 | URL | ドクター江部 | 【編集】
kinakoさん。
1日2食が、長い間人類の普通でしたので、問題ないですよ。
162.5cm女性なら、1400キロカロリーくらいが一つの標準・目安ですね。
kinakoさんがもし倹約遺伝子タイプなら、「糖質制限+カロリー制限」がいると思います。
1日2食が、長い間人類の普通でしたので、問題ないですよ。
162.5cm女性なら、1400キロカロリーくらいが一つの標準・目安ですね。
kinakoさんがもし倹約遺伝子タイプなら、「糖質制限+カロリー制限」がいると思います。
2010/06/01(Tue) 10:38 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生 いつもありがとうございます。
Toshiさんの質問と重複しますが、
先生の記述の中で、
「また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。」
という事は、負荷試験で糖尿病型であっても、HbA1cが低く、「典型的症状」が出ていなければ、糖尿病と診断されない、という事でしょうか?
となると、例えば以前の検診でたまたま空腹時とHbA1cが高めだった人が糖質制限食を始めて、どちらの数値も下がった場合、本当は糖質を摂取すれば糖尿病型の血糖値の上昇の仕方なのに、それを知らないまま終わってしまう、という事になってしまいませんか?
また、私は、糖尿病と診断され、糖質を摂れば1gで2mg上昇してしまいますが、空腹時もA1cも基準値内ですが、糖質を摂取する時用に薬を処方してもらっています。
新しい病院にいったりした時には、負荷試験で×でも、A1cや空腹時がクリアなので、糖尿病と診断されず、薬も処方してもらえない、ということになりますか?
Toshiさんの質問と重複しますが、
先生の記述の中で、
「また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。」
という事は、負荷試験で糖尿病型であっても、HbA1cが低く、「典型的症状」が出ていなければ、糖尿病と診断されない、という事でしょうか?
となると、例えば以前の検診でたまたま空腹時とHbA1cが高めだった人が糖質制限食を始めて、どちらの数値も下がった場合、本当は糖質を摂取すれば糖尿病型の血糖値の上昇の仕方なのに、それを知らないまま終わってしまう、という事になってしまいませんか?
また、私は、糖尿病と診断され、糖質を摂れば1gで2mg上昇してしまいますが、空腹時もA1cも基準値内ですが、糖質を摂取する時用に薬を処方してもらっています。
新しい病院にいったりした時には、負荷試験で×でも、A1cや空腹時がクリアなので、糖尿病と診断されず、薬も処方してもらえない、ということになりますか?
2010/06/04(Fri) 02:20 | URL | ゆうこ | 【編集】
ゆうこ さん。
HbA1cが正常でも、従来通りの基準は生きてます。
つまりHbA1cが正常でも
負荷試験や空腹時血糖値、随時血糖値で、2回糖尿病型が出たら
糖尿病と診断されます。
「また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。」
これは結構進行した糖尿病が確実なので、2回検査しなくても診断できるという意味です。
HbA1cが正常でも、従来通りの基準は生きてます。
つまりHbA1cが正常でも
負荷試験や空腹時血糖値、随時血糖値で、2回糖尿病型が出たら
糖尿病と診断されます。
「また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状が確認されたり、眼底検査で糖尿病網膜症が認められれば、糖尿病と診断されます。」
これは結構進行した糖尿病が確実なので、2回検査しなくても診断できるという意味です。
2010/06/04(Fri) 07:45 | URL | ドクター江部 | 【編集】
この記事へのトラックバック
| ホーム |