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LDL-コレステロール値とスタチンの投与
こんにちは。

今回は、内科大学院生さんからの質問の続きです。

「②糖尿病患者においてスタチン製剤(*)を投与する際、先生はどのような選択をなされますか?
最近3種類のストロングスタチン(**)に副作用やその効果に有意差なしという発表がなされたようですが、アトルバスタチンは血糖上昇させる可能性があるという報告がありますよね?
やはり避けるべきでしょうか?
私は糖尿病患者にはフルバスタチンを第一選択にしています。 」


内科大学院生さんがご指摘のように、ストロングスタチンの中で、アトルバスタチン(リピトール)により、血糖値上昇の可能性が指摘されていますね。

血糖値が上昇する可能性があるからには、糖尿人にわざわざリピトールを使う必要はないと思います。

以下は2007. 7. 20 日経メディカルオンラインの記事です。

【第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会】
『2型糖尿病を合併した脂質異常症の患者に対するスタチンの使い分けに関して、第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会で2題の発表があった。いずれも、アトルバスタチン投与で有意に血糖値やHbA1cが上昇したというデータを報告しており、耐糖能に対する影響は、スタチン間でも差がある可能性が出てきた。』


前日の本ブログの記事に書きましたように、糖質制限食実践で半年以上経過すれば、高LDL-コレステロール血症は改善することが多いです。

従って、私はスタチンを使用することは少ないです。通常の内科医と比べると、使用量は1/10以下と思います。

スタチンを使用する場合も、ストロングスタチンはまれで、メバロチンのジェネリックのメバンを処方しています。

内科大学院生さんの第一選択剤フルバスタチン(ローコ-ル)も、スタンダードスタチンですね。

スタチンにも、賛否両論がありますから、そう安易にストロングスタチンを処方する気にはなれないのです。

一方、家族性高コレステロール血症の場合だけは、積極的にスタチンを使います。

なぜなら、心筋梗塞のリスクが圧倒的に高い(特に男性)からです。この場合は、必要ならストロングスタチンも考慮します。

LDL-コレステロール値がどの程度から投薬が必要かなどは、日本動脈硬化学会のガイドラインはやや?なので、またその内記事にしたいと思います。


江部康二

(*)スタチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スタチン (Statin)、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬は、HMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる薬物の総称である。1973年に日本の遠藤章らによって最初のスタチンであるメバスタチンが発見されて以来、様々な種類のスタチンが開発され、高コレステロール血症の治療薬として世界各国で使用されている。近年の大規模臨床試験により、スタチンは高脂血症患者での心筋梗塞や脳血管障害の発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされている。

(**)ストロングスタチン
スタチンは1987年頃から発売され、徐々に種類が増えていきました。スタチンには、作用の強さによりスタンダードスタチンとストロングスタチンがあります。発売が新しいストロングスタチンの方が強い降下作用を持っています。
スタンダードスタチン
  プラバスタチン(商品名 メバロチンなど)
  シンバスタチン(商品名 リポバスなど)
  フルバスタチン(商品名 ローコール)
ストロングスタチン
  アトルバスタチン(商品名 リピトール)
  ピタバスタチン(商品名 リバロ)
  ロスバスタチン(商品名 クレストール)

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
江部先生

糖質制限に直接関係のない質問で、大変失礼いたしました。

私も糖質制限でLDLが改善する患者さまが多いと思いますが、中にはLDLだけは下がらない(TGは下がり、HDLは横ばい)患者さまもいます。
もちろんレムナントやsmall dense LDL が多いかが重要だと承知しておりますが、心疾患の既往があると目標値が100以下になるので、なかなか難儀しております。

LDLの質がもっと簡単に測定できるようになれば、多少LDLの高い糖質制限食実践患者も安心できると思うのですが・・・

次は糖質制限に関する質問をさせて頂きます。

追伸:両親が勧めたらしく、うちの兄も江部先生の新作著書を購入したと報告がきました。
明日仕事が休みなので、熟読するそうです。
四人家族で4冊です(*^_^*)
2010/04/09(Fri) 21:30 | URL | 内科大学院生 | 【編集
糖尿病初の再生治療薬になる可能性」―仏サノフィ導入の新規化合物 - 医療介護CBニュース - キャリアブレイン
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/27135.html

>インスリン分泌機能を持つ新しい膵島の成長を促進し、
>正常な代謝機能と血糖コントロールを回復することが前臨床研究で確認されている。

2010/04/10(Sat) 17:26 | URL | 通りすがりの SB&Wユーザー | 【編集
糖質制限
糖質制限していますが、同時にコレステロールが179で若干高いので紅麹というモナコリンが含まれているサプリメントを飲んでいます。
糖質制限するとケトン体をエネルギーにすると思うのですが、スタチンなどのHMG-CoA還元酵素を阻害するとケトン体が出ないということを聞いたのですが実際はどうなのでしょうか。
お教えいただければ幸いです。
2015/02/13(Fri) 18:46 | URL | 橋本 | 【編集
Re: 糖質制限
橋本 さん

「スタチンなどのHMG-CoA還元酵素を阻害するとケトン体が出ない」

逆に、スタチンがケトン体産生を高めるという説もあるようですので、
まだ、良くわかっていない段階ですね。

私自身は、家族性高コレステロール血症の人以外には、スタチンを使うことは
まずありません。
2015/02/13(Fri) 20:02 | URL | ドクター江部 | 【編集
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