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脳はケトン体が利用できるはずなのに、何故低血糖は生じる?
こんばんは。

ケトン体を脳が利用できるはずなのに、なぜ低血糖になってしまうのか?』

という鋭い質問を、 Pon さんからいただきました。

「10/03/12 Pon
低血糖とケトン体
 突然のご質問お許しください。たまたま見つけたホームページ、興味深く読ませていただいております。私は20年前に糖尿病と言われ、つい最近経過が悪いためインシュリン注射をはじめました。

 当初、インシュリン注射と薬で時折、低血糖になっていることがありました。赤血球以外はケトン体をエネルギーとして代謝できるとのお話なので、低血糖になっても手足のしびれや、脳機能の低下(少し眠く感じました)は、ないように思うのですが、そうはいかないのでしょうか?もしくは、赤血球が利用できる糖質が減って酸素供給が減るなど別の要因のために急激な低血糖状態が危険なのでしょうか?本来の代謝以外に薬やインシュリンの投与によって無理矢理変化を起こさせているので、ここでの脂質から生成されるケトン体がエネルギーとして利用されるというのがあてはまらない、つまり間に合わないということなんでしょうか?もし、既に他の場所にコメントされていたら、ごめんなさい。なかなかすべてを読むには時間がかかるものですから。^^ 失礼いたしました。」


Pon さん。
コメントありがとうございます。

ケトン体の主成分3-ヒドロキシ酪酸は、酸素濃度の低下した乏血状態の神経細胞群に有効にエネルギー供給ができ、虚血心筋にも有効とのことです。

また、難産のときには3-ヒドロキシ酪酸は胎盤を通過しますから、母体に投与することにより胎児の脳を虚血から保護できるようです。

また、Glut1(糖輸送体1)欠損症による難治性てんかんや成長障害にケトン食が有効です。

ケトン食は、脂質が70~80%で糖質はほとんどなしです。

ケトン食の場合は、尿中にケトン体が出続けますので、血中ケトン体濃度は2000~3000~4000レベルと考えられます。

脳細胞の糖輸送体はGlut1で細胞表面にあり、通常は血流さえあれば常に血糖を取り込めるはずです。

しかし、Glut1欠損症では、糖輸送体が上手く機能していないので、脳細胞は血中ブドウ糖を取り込めずに、「脳細胞内低血糖+難治性てんかん」を発症すると考えられます。

ケトン食実践により、血中ケトン体が2000~4000レベルになれば、脳細胞のエネルギー源は、ほとんど全てケトン体でまかなわれます。

従って、脳細胞はブドウ糖を利用できなくても、ケトン体をエネルギー源として正常な活動を続けることができるのです。

通常の糖質ありの食事でケトン体が26~122μM/L程度であれば、低血糖になったとき、脳細胞はケトン体を充分量供給されていないので、正常の活動を営むことができずに低血糖症状がでます。

次に、低血糖でもケトン体が充分量あれば、脳は正常の活動が行えるという実例を提示してみます。

私が30代に初めて本断食(水だけでゼロカロリー)をしたとき、血糖値は35mg/dlでした。

従来の考えでは、当然意識不明のはずですが、その時普通に外来診察も行っておりました。

私のケースを考察してみると、血糖値35mgのとき、脳はケトン体をエネルギー源として活動していたと考えられます。

本断食中の初期の血中ケトン体は3000レベルで、ケトン食と同等です。

このレベルの血中ケトン体濃度があれば、血糖35mgでも、脳は充分活動できるということになりますね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
Re: タイトルなし
ココ・ウルフ さん。

今までの経験では、糖質制限食実践で低血糖が頻繁になったというような
人はありません。

ただ個人差はありますが、米国で炭水化物中毒と呼ばれているような範疇の方々は
糖質制限食開始後の1~2ヶ月が、そうでない人に比べて大変つらいということはあります。
2010/03/18(Thu) 22:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
リトル さん。

糖質制限食実践の初期の段階では、尿中や呼気中にケトン体のアセトンが
排泄されるので、甘酸っぱい香りがすることがあります。
3ヶ月くらいで消えることが多いです。
2010/03/19(Fri) 15:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
ケルサさん。

チョコブラウニー早速食べました
見た目も味もとても良かったです。
ありがとうございました。
医局の先生方にも少しお裾分けしました。
2010/03/19(Fri) 15:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 神経障害について
hide さん。

神経障害で足が痛むとき、
改善が期待できるか否かは、神経を栄養する毛細血管などがどのていど傷害されているかによると思いま。

高血糖による代謝障害因子と血管障害因子が合わさって神経障害が出現します。
血糖コントロールがよくなれば代謝因子は改善しますが、既に完成した血管障害は回復不能の場合もあります。

罹病期間が長いほど回復不能の血管障害が増えると思います。
罹病期間が短ければ、回復可能の可能性が高くなると思います。
2010/03/19(Fri) 15:51 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 記事の引用のお願い〜m(_ _)m〜
スモークマン さん

OKです。
2013/11/12(Tue) 14:53 | URL | ドクター江部 | 【編集
お礼
江部先生へ

早速のご許可頂き光栄です ♪ 〜m(_ _)m〜
2013/11/12(Tue) 20:18 | URL | スモークマン | 【編集
突然失礼します。
ケトン体が十分体にある状態で、低血糖と低カリウムが出ているとどのような補正をするべきでしょうか?血糖値は40 カリウム値は2.5です。私はやはり、低血糖には目もくれず低カリウムの補正を先にするべきと思うのですが、どうでしょうか?
2015/04/24(Fri) 23:31 | URL | れな | 【編集
Re: タイトルなし
れな さん

低血糖も低カリウム血症も危険です。
低血糖はブドウ糖あるいは糖質摂取で改善します。
カリウムに関しては、すぐに主治医とご相談ください。
2015/04/25(Sat) 08:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
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