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血管年齢と糖尿病と動脈硬化
こんばんは。今日の夕食はヒレステーキ200gと特製サラダと卵スープ・・・そして赤ワインは残念ながら車の運転のため眺めるだけとしました。

帰りにリカマンで、ブルゴーニュの赤ワインを購入しました。
家に帰ってきて先ほどから雨がしとしとと降り始めた京都です。

さてペンネーム”わか”さんから
「血管年齢と糖尿病」ついての質問がありましたので、少し考えてみましょう。

まず単純に言うと、動脈硬化が進行しているほど血管年齢が高いことになります。

それでは動脈硬化って何でしょう?

血管は、だれでも年齢とともに徐々に硬くなり、老化していきます。動脈が肥厚し硬くなり弾力性を失ってもろくなった状態が、動脈硬化です。

動脈硬化の種類には、アテローム性動脈硬化、細動脈硬化、中膜硬化などのタイプがありますが、血管年齢と一番関係あるのはアテローム性動脈硬化だと思います。

アテローム性動脈硬化は、大動脈や脳動脈、冠動脈などの比較的太い動脈に起こります。動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロの粥状物質がたまってアテロームプラーク(粥状硬化斑)ができ、次第に肥厚することで動脈の内腔を狭めます。

動脈硬化症自体は、ほとんど自覚症状がありませんが、放置すると血管がつまったり破れやすくなったりし、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる重大な病気を引き起こします。

動脈硬化は、加齢以外にもいろいろな要因(高血圧・高脂血症・タバコ・糖尿病・肥満・・・)が重なり合って起こります。その中でも糖尿病は、全身の血管障害を引き起こすので、血管の老化(動脈硬化症)を進める大きな要因となります。

近年、特に食後高血糖(180mg/dl以上)が大血管の動脈硬化の最大のリスク要因の一つとして問題視されています。

アメリカでは糖尿病患者さんの7割近くが、心筋梗塞や脳梗塞で亡くなります。欧米人に比べて低かった日本人の心筋梗塞・脳梗塞発病率も、近年増加しています。

ヨーロッパで行われた調査で、糖尿病の人と糖尿病でない人を比較して、心筋梗塞を初めて発症する率は糖尿人が約5.8倍と1998年に報告されています。

日本でも、脳梗塞になった人の約半数、心筋梗塞になった人の約3分の1に糖尿病がみられます。

結論です。

要するに、糖尿病のコントロールが悪かったら、動脈硬化症もドンドン進行し血管年齢は老化の一途を辿り、心筋梗塞や脳梗塞をおこしちゃいます。

糖尿人のご同輩、努々油断なされぬよう、糖質制限食をお忘れなく。

なお、糖質制限食の実践で、糖尿病以外の動脈硬化のリスクファクター(高血圧・高脂血症・肥満)も改善されます。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限食と動脈硬化
人間ドックで境界型糖尿病と診断され、江部先生の著書を参考に、スーパー糖質制限を始めて2年が経過しました。
おかげさまでHbA1cは4.8~4.9%、早朝空腹時血糖は80~100mg/dlで落ち着いています。これはある程度予測できたことです。
今回のドックでさらに驚いた変化がありましたので報告します。
             右       左
2009年PWV   1409    1490
2010年PWV   1221    1354
2011年PWV   1163    1184
と年々改善しています。
糖質制限食により血管年齢が若返ったと考えて良いのでしょうか?
だとすれば、恐るべし糖質制限食の効果!
皆さんが糖質制限食を継続するモチベーションになると思い、報告させていただきました。
2011/12/01(Thu) 00:26 | URL | ヒデ | 【編集
Re: 糖質制限食と動脈硬化
ヒデ さん。

これは素晴らしいですね。
脈波伝播速度がめきめき改善しているので、血管がしなやかになってきていると思います。
記事に取り上げたいと思います。
2011/12/01(Thu) 18:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
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