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糖質制限食と脂質の摂取量・続き・お詫びと訂正
こんばんは。

2010年02月12日 (金) のブログ

「糖質制限食と脂質の摂取量・続き」

に関して、一部訂正です。すいません。<(_ _)>


(**)最後の文章
「ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)
そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。」

    ↓
<訂正>
柴田先生の資料では、脂肪供給量(消費量)125gまでは消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係がありました。しかし、脂肪供給量(消費量)と実際の摂取量とは当然のことながら、異なっていました。

例えば日本の、脂肪供給量は2003年の国連食料農業機関(FAO)の報告では86.2g/日ですが、この年の日本の国民栄養調査では、54.0g/日です。つまり、豊かになった国では食料を廃棄する分が結構あるということですね。

ということは125gの供給量はあっても、摂取量はその6~8割くらいの可能性があります。国連食料農業機関(FAO)の資料には、摂取量のデータはありませんので推測するしかありません。

従いまして上述の文章を以下の如く訂正させていただきます。

訂正
「ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量80~100g/日くらいまではOKと思います。そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、100gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。」


江部康二


☆☆☆
<2010年02月12日 (金) のブログ>

2月10日のブログで、糖質制限食は相対的に高脂質・高タンパク食になるけれど、従来の「脂質悪玉説」は否定されたので心配ないと述べました。

それでは、いったいどのくらいの脂質摂取が適量と言えるのでしょうか?

この問題、断定は当然なかなか難しいのですが、柴田博先生(*)の「ここがおかしい日本人の栄養の常識」(技術評論社 2007年)を読んでいて、いいヒントが見つかりました。

82・83ページに「脂肪摂取量が多いほど寿命が延びる」という記載があり、Sinettらの、世界137ヵ国の男性の脂肪消費量と平均寿命の関係をみたグラフ(**)が載っていました。1983年発表のデータです。

それによると、一人一日あたりの脂肪消費量が125gまでは、消費量が多くなるにつれて寿命が延びるという正の関係があります。

125gを超えるとほんの少し寿命が縮み始めますが、140gや180gの国々でも、55g以下の国々に比べれば、はるかに高い平均寿命となっています。

55g以下の国々の平均寿命は、55才を下回ることがほとんどです。

125gの国が75才でピークですが、180gの国の平均寿命は72才くらいあります。

柴田先生は、「脂肪の摂取不足が平均寿命を低くしている決定的要因である」と結論されています。

次にハワイの日系人のデータを提示されて、脂肪摂取量が40g/日未満になると、脳卒中死亡率と総死亡率が極めて高くなることを指摘されています。

さらに日本のデータでも、昭和30年代までは脳卒中が死亡原因の第一位でしたが、昭和40年(1965)頃から米の摂取量が減少し始め、肉や牛乳・乳製品が急速に増えていき脂肪摂取が増え、脳卒中による死亡が減り始めています。

脂肪の充分な摂取が脳卒中を減らし、総死亡率を減らすことは間違いないようです。

また、本ブログでもよく質問がありますが、

「高糖質食が糖尿病に良い。糖質制限食(高脂肪食)は糖尿病に良くない。」

と主張されている山梨医科大学名誉教授の佐藤彰夫先生のホームページがあります。

その佐藤先生が、根拠としてよく引用されているロンドンのヒムスワースの報告について、東北大学名誉教授、後藤由夫先生が、興味深い見解を述べておられます。

以下は「糖尿病メディカルネット」に記載されている後藤先生の文章からの引用です。

<後藤由夫 私の糖尿病50年 -糖尿病医療の歩み->
【43. 糖尿病の増減  http://dm-medical.net/14/000242.php 2. 脂肪摂取と糖尿病
 ロンドンのHimsworth(1935、1949年)は各国の糖尿病の死亡率と国民の栄養素摂取量との関係が図2のように、脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられると報告した。この成績をもとにHimsworthは脂肪摂取が糖尿病の増加と関係すると結論した。筆者はこれに興味を抱き、追試して同様な成績を得たが、次に粗死亡率ではなく訂正死亡率について関係を求めた。その結果は図3のように相関関係は認められなかった。このことから、Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない、と理解された。このことから脂肪摂取が糖尿病の発症と関係するという説は否定された。動物に大量の脂肪を与える実験も行われたが、これによって糖尿病が現れたという報告もなかった。】

後藤先生は日本の糖尿病医療をずっとリードされてきた医師ですが、上述の如くヒムスワース(Himsworth)の誤解を明快に指摘しておられます。

すなわち、

「Himsworthがみていたのは脂肪摂取量の多い国は豊かで糖尿病罹病年齢まで生存するのに対し、経済的に遅れている国では脂肪摂取量が少なく、安価な炭水化物をエネルギー源として、しかも糖尿病罹病年齢まで生存する者は少なく、若年期に死亡する者が多いことをみているにすぎない。」

と明言され、脂肪摂取量が多い国のほうが長生きであることを指摘しておられます。

そして、

「脂肪の摂取量の多い国ほど糖尿病死亡率が高く、また炭水化物ではこれと対照的に摂取量の多い国ほど糖尿病が少ないという傾向がみられる」

というヒムスワースの報告を完全に否定しておられます。

ヒムスワースのような著明な医学者でも、誤解して後生に多大な悪影響を与えてしまったわけですから、疫学的研究の解釈は結構難しいですね。 (*_*)


(**)
ともあれ、糖質制限食的には脂質摂取量125g/日までは全く問題ないというか推奨必要量ですね。 (^_^)

そして脂肪摂取が少なすぎるよりは、125gを超えたとしても平均寿命に関しては、はるかにましのようです。


まあ身長や年齢で、あるていど差はあるかもしれませんが・・・


江部康二


(*)
柴田博(しばた・ひろし)先生
1937年北海道出身。北海道大学医学部卒業。医学博士。東京大学医学部第四内科、東京都老人医療センター、東京都老人総合研究所副所長を経て、2000年より桜美林大学大学院老年学教授。高齢者の寿命と高い生活水準、社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。著書『8割以上の老人は自立している』(ビジネス社)、『肉食のすすめ』(経済界)、『元気に長生き元気に死のう』(保健同人社)など多数

(**)
下記は柴田先生のホームページのアドレスです。グラフをみることができます。
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/nihon_ichi/index.html
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
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