2010年02月14日 (日)
こんばんは。
さきほど、山形出張から帰京しました。
一面銀世界の蔵王温泉、氷点下7度の露天風呂、なかなかおつなものでしたよ。
さて、今回はゆうこさんから、DPP-4阻害剤について、コメント・質問をいただきました。
「10/02/06 ゆうこ
DPP-4阻害剤
先生、お世話になっております。
DPP-4阻害剤、興味があります。
現在、糖質を摂取するときだけ量に応じてベイスンのみかグルファストとベイスン併用で、普通の食事を普通の日と以上に摂取しても、食後1時間値が180を超えないですんでいます。(以前、そんなに薬が効く糖尿人は珍しい、と先生にコメント頂きましたが・・・)
このまま、この方法で続けるのと、DPP-4阻害剤 にトライしてみるのを迷うのですが、そこで質問です。
・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか?
それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?
・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか?
・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?
・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?
インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。
疑問だらけで申し訳ありません。
ちなみに、糖質制限食のおかげで、A1Cは3ヶ月で7.3→4.7に改善されましたが、空腹時は105から130の間で日によって変動があります。」
ゆうこさん。
コメントありがとうございます。HbA1cの改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
【・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか? それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?】
通常のカロリー制限食(高糖質食)なら、当然毎日内服が必要です。
しかし、糖質制限食なら、ゆうこさんの提案のように主食を食べざるを得ない日のみDPP-4阻害剤内服もありと思います。実際、それで実験してうまくいった糖尿人がすでにおられますよ。
【・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか? 】
膵β細胞保護作用は、マウスでは確認されていますが人間ではまだです。でも人間でも可能性はあると思います。
しかしこういう事情ですので、この質問への結論はでませんね。(∵)?
【・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?】
それほどの力はありません。HbA1cを平均、約1%ていど改善させるていどの効能です。DPP-4阻害剤を飲んでいても、普通の糖質ありの食事では、簡単に食後180mg以上の高血糖を起こすと思います。
【・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?】
その通りと私も思います。
【インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。】
現時点では、この問題には誰も結論はだせません。
ご自分のライフスタイルに合った方法を選択するというのもありますね。
江部康二
さきほど、山形出張から帰京しました。
一面銀世界の蔵王温泉、氷点下7度の露天風呂、なかなかおつなものでしたよ。
さて、今回はゆうこさんから、DPP-4阻害剤について、コメント・質問をいただきました。
「10/02/06 ゆうこ
DPP-4阻害剤
先生、お世話になっております。
DPP-4阻害剤、興味があります。
現在、糖質を摂取するときだけ量に応じてベイスンのみかグルファストとベイスン併用で、普通の食事を普通の日と以上に摂取しても、食後1時間値が180を超えないですんでいます。(以前、そんなに薬が効く糖尿人は珍しい、と先生にコメント頂きましたが・・・)
このまま、この方法で続けるのと、DPP-4阻害剤 にトライしてみるのを迷うのですが、そこで質問です。
・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか?
それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?
・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか?
・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?
・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?
インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。
疑問だらけで申し訳ありません。
ちなみに、糖質制限食のおかげで、A1Cは3ヶ月で7.3→4.7に改善されましたが、空腹時は105から130の間で日によって変動があります。」
ゆうこさん。
コメントありがとうございます。HbA1cの改善、素晴らしいですね。(^-^)v(^-^)v
【・現在、外食の際、ベイスン&グルファストを忘れそうになったり、そっと飲むタイミングが難しかったり、という事もあるので、例えば、“今日は夜外食をします!”という日だけ、DPP-4阻害剤を1回飲めば済み、同様の効果も期待できるのなら、そっちの方が楽な気がするのですが、そういう選択もアリなのでしょうか? それとも、「DPP-4阻害剤は毎日服用しなければ効果がない」ものなのでしょうか?】
通常のカロリー制限食(高糖質食)なら、当然毎日内服が必要です。
しかし、糖質制限食なら、ゆうこさんの提案のように主食を食べざるを得ない日のみDPP-4阻害剤内服もありと思います。実際、それで実験してうまくいった糖尿人がすでにおられますよ。
【・膵β細胞保護作用 というのは、この薬を飲まずにベイスン&グルファスト というよりもこの薬を飲むほうが β細胞にとって良いのでしょうか? 】
膵β細胞保護作用は、マウスでは確認されていますが人間ではまだです。でも人間でも可能性はあると思います。
しかしこういう事情ですので、この質問への結論はでませんね。(∵)?
【・DPP-4阻害剤は、必要な時に糖質の量に応じてインスリンを分泌させてくれる、つまり「一般人のメカニズムで」という理解でよいのかと思いますが、毎日DPP-4阻害剤を飲みさえすれば、糖尿人でも、普通の糖質ありの食事で問題ない、という事なのでしょうか?】
それほどの力はありません。HbA1cを平均、約1%ていど改善させるていどの効能です。DPP-4阻害剤を飲んでいても、普通の糖質ありの食事では、簡単に食後180mg以上の高血糖を起こすと思います。
【・検索してみると、DPP-4阻害剤は「体重増加の心配がない」とありましたが、これは、「SU剤と違って、必要の無いときにインスリンを出させない」という事かと思うのですが、いくらDPP-4阻害剤を飲んでも、糖質をたくさん摂れば、インスリンが分泌されるので、やはり脂肪が蓄積しやすくなり、結局は動脈硬化などに繋がるのでは?という気がしますが・・・?】
その通りと私も思います。
【インスリン抵抗性が大きく、体重コントロールが必要な私のような場合、やはりインスリンの分泌は最小限がベストかと思うので、糖質制限食ベースにはなると思うのですが、その場合、従来のベイスン&グルファストなのか、DPP-4阻害剤なのか、迷うところです。】
現時点では、この問題には誰も結論はだせません。
ご自分のライフスタイルに合った方法を選択するというのもありますね。
江部康二
糖質制限食を教えていただき先生は私にとって神様以上の方です。本当にありがとうございます。3年前より糖尿病を患い何の支障もないまま
いましたが3カ月前より多飲・多尿で外出もできず悩んでおり先生のサイトを拝見し1か月実行した結果血糖値325→106ヘモグロビン9.8→7.9になり脂質のコレステロール・善玉・悪玉・中性脂肪がすべて標準値になりケトン体も順調に1537と増えておりますが多飲・多尿があいかわらず続いているのですが何故でしょうか?主治医は糖質制限食に対し反対意見の方なので聞くわけにもいかず先生にお願いする次第です。なにとぞよろしくお願いします。
いましたが3カ月前より多飲・多尿で外出もできず悩んでおり先生のサイトを拝見し1か月実行した結果血糖値325→106ヘモグロビン9.8→7.9になり脂質のコレステロール・善玉・悪玉・中性脂肪がすべて標準値になりケトン体も順調に1537と増えておりますが多飲・多尿があいかわらず続いているのですが何故でしょうか?主治医は糖質制限食に対し反対意見の方なので聞くわけにもいかず先生にお願いする次第です。なにとぞよろしくお願いします。
和美さん。
「1か月実行した結果血糖値325→106ヘモグロビン9.8→7.9になり脂質のコレステロール・善玉・悪玉・中性脂肪がすべて標準値になりケトン体も順調に1537と増えております」
わずか1ヶ月で見事な改善ですね。
良かったです。
高血糖が改善してますので
多飲・多尿もおって改善すると思います。
お水はしっかり補給して脱水にならないように、
タンパク質・脂質はしっかり食べて低カロリーになりすぎないようにしてくださいね。
2010/02/15(Mon) 15:18 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生、DPP-4阻害剤の疑問に答えてくださり、ありがとうございます。
「DPP-4阻害剤を飲んでいても、普通の糖質ありの食事では、簡単に食後180mg以上の高血糖を起こすと思います。」
という事なので、HbA1C4.7程度で、たまにグルファスト+ベイスンで普通の食事が可能な現状からして、薬が合っているようなので、当分このまま冒険せずに、様子をみることにします。
どうもありがとうございました!
「DPP-4阻害剤を飲んでいても、普通の糖質ありの食事では、簡単に食後180mg以上の高血糖を起こすと思います。」
という事なので、HbA1C4.7程度で、たまにグルファスト+ベイスンで普通の食事が可能な現状からして、薬が合っているようなので、当分このまま冒険せずに、様子をみることにします。
どうもありがとうございました!
2010/02/18(Thu) 19:51 | URL | ゆうこ | 【編集】
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