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糖質制限食と脂質の摂取量
こんにちは。

糖質制限食を実践すれば、相対的に高脂質・高タンパク食になります。

例えば、スーパー糖質制限食なら総摂取カロリーに対する比率は、

「糖質12% 脂質56% タンパク質32% 」

 です。

日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)は

「糖質60% 脂質20% タンパク質20%」 

 です。

仮に、男性糖尿人が、スーパー糖質制限食で1800キロカロリー/日摂取したら、112g/日の脂質摂取量となります。

同様に、糖尿病食(高糖質食)で1800キロカロリー/日、なら40g/日の脂質摂取量です。

スーパー糖質制限食は従来の糖尿病食に比べて、約3倍近い脂肪摂取量です。

「脂質を減らすのがヘルシー食で、心筋梗塞や大腸ガンや乳ガンも脂質の過剰摂取が主たる要因である。」という脂質悪玉説が長らく、欧米や日本で信じられてきました。

この説が正しければ、糖質制限食を実践すれば、脂質摂取過剰で、心筋梗塞や大腸ガンや乳ガンを発症するリスクが増えることになります。

しかし、私たちにとって幸いなことに、脂質悪玉説は米国の大きな疫学的研究により否定されました。(^_^)v

その根拠となる権威ある研究を2つ、ご紹介します。

<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。

この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。


<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』

このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、
2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。

今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。

論文を要約すると

『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。

つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』

低炭水化物食(糖質制限食)を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。

今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。

その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。


上述の二つの論文により、「脂質悪玉説」は否定されて、糖質制限食が、長期的にも安全である可能性が高まりました。(^o^)v

さてそれではいったい、どのぐらいの脂質摂取が好ましいのでしょう。

続く。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
腎臓疾患
私は糖尿病予備軍でいま、夕食だけ主食を抜いてます。運動もしているお陰で体重も一ヶ月半で五キロ落ちました。
私は膜性腎症なのですが、今日三ヶ月ぶりに蛋白を調べた所+1でした。しばらく-か+-だったので驚きました。何が原因で蛋白が出たのかわかりませんが、高タンパクが原因と言うことはないですよね?なぜ、腎臓疾患の患者は糖質制限食はダメなのでしょうか。高タンパクが原因ですか?
2010/02/10(Wed) 21:58 | URL | まるちゃん | 【編集
Re: 腎臓疾患

まるちゃんへ

血液検査で腎機能傷害がある場合、低タンパク食が原則となります。
糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク食になるので、
血液検査で腎機能傷害がある場合は、適応となりません。

糖尿病腎症で蛋白尿が少量出ていても、血液検査で腎機能が正常なら
糖質制限食はOKとしています。
2010/02/11(Thu) 14:15 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: タイトルなし
かずさん。

糖質制限食で血糖値が良好なら、脂肪酸-ケトン体が常に燃えています。
体重減少は個人差が大きいです。
体重が少ししか減ってなくても体脂肪率は減っていると思いますよ。
2010/02/11(Thu) 14:17 | URL | 江部康二 | 【編集
脂質リスク
はじめまして
脂質リスクについてお聞かせください。
Drバーンスタイン氏著書によると、1940年代に、脂肪が血管に悪影響を及ぼすということから、米国糖尿学会(協会?)はそれまで摂取比40%であった炭水化物を同50%へ、ついには60%へと引き上げたそうです。
60年前でも現在でも、高炭水化物摂取から来る高血糖こそが血管には優しくなく、脂質摂取は高炭水化物摂取を伴わない限り、血管リスクのみならず他リスクを高めないと思いますが、炭水化物に関わらず脂質摂取による血管他リスクはあるのでしょうか。
また、先日以下の記事が出ていましたが、1940年代と同じベクトルのように感じます。
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2009/12/009629.php
 
2010/02/11(Thu) 15:12 | URL | 通りびと | 【編集
Re: 脂質リスク
通りびと さん。

あの記事は、私も見ました。
私の良きアドバイザーI先生に、文献の本文を取り寄せていただき検討して
もらいました。
血管傷害リスクは、本文では有意差なしですのに、要約ではあたかも差があったような
書き方でアンフェアです。
近日中に記事にします。 
2010/02/11(Thu) 18:21 | URL | 江部康二 | 【編集
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