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薬を飲んでコントロールと糖質制限食のみでコントロールの差は?
おはようございます。

「糖質を摂取して薬を飲んで血糖コントロールする」

のと

糖質制限食で薬なしで血糖コントロールする」

のと人体にとってどのくらいの差があるのでしょうか?

今回はりかさんから、コメント・質問をいただきました。

「10/01/03 りか
β細胞の疲弊について
先生 元気になる情報をどうぞよろしくお願いいたします。

先生のコメント中で、
『SU剤を、内服し続けた場合、徐々に膵臓のβ細胞が疲弊していき、インスリン分泌能が低下し、薬が効かなくなること』を、
<二次無効>といい、過去臨床現場で懸念されてきました。

この二次無効に関しては、糖尿病学会の最新の説では
『SU剤の直接の影響ではなく血糖コントロールが悪いことでβ細胞が傷害されていくためである』というように変化しています。

という事ですが、私は、病気発覚時ひどかったものの、糖質制限食で、6ヶ月かかりましたが、糖尿人の目標をすべてクリアできるようになりました。

ちょっと糖質オーバーになりそうな時はベイスン、
外食したい時や、どうしても主食が食べたい時などは、グルファストとベイスンダブルで服用することで、ご飯をおかわりしても、おもちを三つ食べても、食後一時間値は170を超えないのですが、グルファストとはいえ、一日に二度、数日続けてインスリンを分泌させてしまったら、β細胞が疲弊してしまうかしら・・・と不安だったのですが、上記の記事からしますと、食後高血糖にならないのなら、速効性のグルファストであれば、問題ない、という事なのでしょうか?

それからもうひとつ疑問があるのですが、
ベイスンは糖質を消化させずになかったものにするのではなく、ちょっと遅れて吸収させる事によって時間差を作り高血糖を起こしにくくする、という理解をしているのですが、高血糖さえおこさなければ、糖を吸収してしまうこと自体はそれほど問題ないのでしょうか?

ベイスンのみで食後高血糖を避けられるのは私の場合、一食分45g分の糖質までなので、しかも時間差での処理ならば、インスリンもそうたくさんは分泌させられないので、問題ない、ということでしょうか。」

糖質制限食で目標をクリアした後、ベイスン&グルファストを一日二回服用して、ごく普通の食事を続けていく事と、薬を服用せずに糖質制限食を続けていく事の違い・メリット・デメリットは何でしょうか?

もちろん、薬を毎日飲む事の、胃や肝臓への負担や、β細胞疲弊の心配は無いとはいえ、インスリンをグルファストで分泌させることにより中性脂肪やコレステロールが増えたり、という心配はあるとは思いますが、若干わからなくなってきてしまいました。」

「10/01/05 りか
追伸
先生 何度も申し訳ありません。
メリット・デメリットの追伸ですが、
薬を飲みながら糖質を摂取していくと、速攻型でもインスリンが分泌させられれば、体重・体脂肪増加には繋がってしまいます、よね?」


りかさん。

糖質制限食実践で糖尿人の目標を全てクリア、まずは良かったですね。 (^_^)

さて、

通常の日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を摂取した場合、糖質が60%ですから、例えば女性で500キロカロリー×3回/日で合計1500キロカロリー/日なら、1回の糖質の摂取量は約75gで一日合計225gです。

1gの糖質が約3g、2型糖尿人の血糖値を上昇させます。ベイスンやグルファストの効果はありますが、限定的で個人差もあります。

従ってベイスンやグルファストを食直前に内服していても、ほとんどの2型糖尿人において、従来の糖尿病食を摂取する限りは、確実に180mg/dlを超える食後高血糖が生じます。

そして、この食後高血糖のために、年余にわたりβ細胞が傷害されていくのです。今までの糖尿病治療は、この点において根本的に間違っていたと言えます。

一方、個人差があるなかで、りかさんの場合は、<ベイスン+グルファスト>食直前内服で「ご飯をおかわりしても、おもちを三つ食べても、食後一時間値は170を超えない」のなら、薬が良く効くタイプといえます。
2型糖尿人のほとんどにおいて薬はこんなには効きませんので・・・。

またベイスンを内服して、1回45gまでの糖質摂取で食後高血糖を起こさないのならば、膵臓への負担は少ないと思います。

グルファストは膵臓のβ細胞を2~3時間だけ働かせますが、グルコバイはデンプンの分解をゆっくりさせて食後高血糖を防いでいますので膵臓への直接の作用はありません。


【『SU剤を、内服し続けた場合、徐々に膵臓のβ細胞が疲弊していき、インスリン分泌能が低下し、薬が効かなくなること』を、 <二次無効>といい、過去臨床現場で懸念されてきました。

この二次無効に関しては、糖尿病学会の最新の説では
『SU剤の直接の影響ではなく血糖コントロールが悪いことでβ細胞が傷害されていくためである』
というように変化しています。】

これは糖尿病学会の見解ですが、私も高血糖がβ細胞を傷害する最も大きな要因と考えており、この点では一致しています。

しかし、糖質を摂取して、頻回に追加分泌インスリンを大量に出すこと自体が、やはり膵臓への負担となると私は考えています。

また、肥満ホルモンであるインスリンが頻回・過剰に分泌されることは、肥満をはじめとして、人体の代謝に様々な悪影響を及ぼします。
このことは、人類の食生活の歴史を振り返ってみればわかりやすいと思います。

人類の食生活は「農耕が始まる前」「農耕以後」「精製炭水化物以後」の3つに分けることができます。この3段階の変化が、人体の代謝において極めて重要な意味をもっています。その鍵となるのが血糖値の変化です。

人類の歴史が400万年として、農耕が始まる前の399万年間は、食生活の中心は狩猟や採集であり、人類皆糖質制限食です。従って血糖値の上下動がほとんどありません。

例えば、空腹時血糖値が100mg/dl程度と仮定して、食後の血糖値はせいぜい110~120mg/dlくらいで、
血糖値上昇の幅は10~20mgていどの少なさです。

これならインスリンの追加分泌はほとんど必要ありません。つまりこの頃は、膵臓のβ細胞は基礎分泌以外は、働くことはまれだったわけです。

農耕が始まったのが約1万年前で、世界に定着したのが約4000年前です。穀物(糖質)を摂取すれば、空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は140mgていどまで上昇し、インスリンが大量に追加分泌されます。血糖値上昇の幅は40mgもあります。

農耕以後の4000年間は、膵臓のβ細胞は毎日、懸命に働き続けることとなりました。

さらに18世紀に穀物の精製技術が開発され、ここ200年世界中で精製された炭水化物が日常的に摂取されるようになりました。

精製された炭水化物は未精製のものに比して、さらに急峻に血糖値を上昇させますが、私はこれを「グルコースミニスパイク」と呼び警鐘を鳴らしています。

即ち空腹時血糖値が100mgとして、食後血糖値は160~170mgまで上昇し、その幅は60~70mgもあり、追加分泌インスリンをさらに大量に出さざるをえません。

これほど急激に血糖値を上昇させる食品は人類史上類のないものです。

生体の健康を維持するには、恒常性を保つことが重要な意味を持っています。

人類の血糖値の恒常性は399万年間保たれていましたが、その変動幅は、農耕開始後3800年間2倍程度となり、精製炭水化物摂取が始まったここ200年はその幅は3倍となり、インスリンを大量・頻回に分泌せざるを得なくなりました。

30年、40年と年余に及びインスリンを過剰に分泌し続けて、膵臓が遂に疲弊して分泌能力が低下すれば糖尿病発症となります。

糖尿病になると、普通に糖質を摂取すれば、食後血糖値は200mgを超えてきます。私は糖尿病以外にもほとんんどの生活習慣病の元凶は、精製炭水化物によるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。

このように人類の食生活の歴史から考えると、内服薬なしの糖質制限食だけで血糖コントロールするのが、一番体にはよいと言えます。

グルコバイは膵臓への直接作用はありませんが、糖質を摂取して血糖値が上昇すれば糖尿人の目標を達成していても、ミニスパイクを生じ一定のβ細胞への負担となります。

グルファストは時間は短いですが、直接β細胞への負担となりますし、糖質を摂取すればやはりミニスパイクを生じます。

毎日、薬を定期的に飲んで糖質を摂取するのは、やはり一定のリスクとなります。ハレの日に時々、薬を飲んで糖質摂取ていどがお奨めですね。


【糖尿人の目標】
糖尿病合併症予防のために

① 空腹時血糖値140mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満
③ 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満

を達成していれば、高血糖による動脈硬化などの合併症予防になります。

一方、正常人が糖尿病になるのを、予防するにはグルコースミニスパイクを防ぐことが大切です。

既に糖尿病を発症している人においても、血糖値の恒常性が保たれるほど、膵臓にも身体にも優しいですね。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
今年もよろしくお願い申し上げます。
江部先生、早速ですが以下のような記事を
見つけました。もし既出でしたらご容赦ください。

「糖質オフ」米、消化3割減でダイエット効果
1月4日16時49分配信 読売新聞
ダイエット効果が期待される超硬質米
 九州大農学部の佐藤光教授(遺伝子資源開発学)の研究グループは、消化されにくいでんぷんを多く含む新品種米「超硬質米」を開発した。
 食べても糖質の3割が消化されないため、ダイエット効果が期待されるという。同大や新潟大など九つの研究機関や企業が「糖質オフ」のうどんやパスタ、パンなどの材料として商品開発を進めている。
 米の品種改良に取り組んでいる佐藤教授が、従来品種の「金南風(きんまぜ)」を改良する過程で生まれた。
 粒の大きさは金南風の8割前後とやや小ぶりで、重さは60~65%しかない。炊いても粘りが弱く硬いため、おいしく食べることができなかった。新潟大農学部の大坪研一教授(食品製造学)らと米の成分を分析したところ、一般の米には1%程度しか含まれていない消化されにくいでんぷん「レジスタントスターチ」が、30%も含まれているのが原因とわかった。
 一般の米と同じ量を食べても、消化される糖質は7割程度にとどまるため、大坪教授がダイエット効果に着目。米飯が無理でも、米粉にすることで、めんやパンなどの素材に利用できるのではないかと考えた。
 マウスにこの米粉を与えると、血糖値の上昇を抑える働きや、血中脂質を低下させる効果があることも明らかになっているという。こうした効果についても、さらに研究を進めている。
 実用化のためには、安定的に収穫できる栽培方法の確立が課題で、両大や福岡県農業総合試験場(福岡県筑紫野市)などの研究機関が試験栽培を続けている。
 一方、鳥越製粉(福岡市)などの企業は、米の粉砕方法や米粉に適したパンやめんの商品化に取り組んでいる。
 佐藤教授は「消化される糖質が少ないため、これまでと同じ量のめんやパンを食べても太りにくい。肥満や糖尿病が気になる人にお勧めで、ダイエットや健康食品の素材として期待できる」と話している。

 もしこのまま市場に出ることになれば糖質3割カットのご飯ということになるのでしょうか。
2010/01/05(Tue) 21:12 | URL | ゆう | 【編集
糖尿病予防
taichiと申します。
糖質制限食に出会ってから、そろそろ2年になります。3年前に受けたOGTTで、1時間値が191であったため、糖質制限に踏み切ったのですが、現在自分の耐糖能がどの程度のものか知りたく、先日OGTTを受けてきました。
その結果、
 負荷前 86
 30分値 191
 60分値 183
120分値 108
という結果で、やはり、境界型との診断を受けました。
このような状態で、これからも糖質制限食を続けていけば、糖尿病にはならないものでしょうか?
(現在はスーパー糖質制限をしているのですが、スタンダードやプチでも糖尿病の予防は可能でしょうか?)
また、SMBGでは、いわゆる主食を取らす、野菜などから50g程度の糖質をとっても60分値で140以下、120分値で100以下に収まっていますので、主食は取らずに1日150g程度の糖質を摂っても私の場合は糖尿病の予防は可能でしょうか?
2010/01/06(Wed) 11:19 | URL | taichi | 【編集
Re: 今年もよろしくお願い申し上げます。
ゆう さん。

仰有るとおり「糖質3割カット」のご飯ですね。

こんにゃく米を3割混ぜたご飯と一緒になりますね。

まあ7割の糖質は吸収されるので、糖尿人にはお奨めではないですね。
2010/01/06(Wed) 13:58 | URL | 江部康二 | 【編集
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