2010年01月04日 (月)
こんにちは
今回はWOOさんから、ステロイド糖尿病についてコメント・質問をいただきました。
「10/01/04 WOO
ステロイド糖尿病
再度ご相談させていただきます。
プレドニンが10㎎/日から5㎎/日になりましたがステロイド糖尿病が改善されません。
ステロイド投与は、かれこれ1年になります。
インスリンが無しでの昼・夕食後の血糖値が200前後だったりします。
食後運動をするようにしたので、血糖値は160くらいまで下げられるようには
なりましたが、食後運動をするのは仕事の都合もあり困ってます。
プレドニンがゼロになって永続の可能性はありますでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが再度コメントいたけますと幸いです。よろしくお願いいたします。」
WOOさん。
ステロイド糖尿病について、まず簡単に整理してみましょう。
副腎皮質ホルモンを一定以上の量、長期にわたり投与することにより、糖尿病・耐糖能異常をきたすことがあります。
文献によると、副腎皮質ホルモンの長期投与で糖尿病状態となる頻度は約8%です。
副腎皮質ホルモンの分泌過剰症であるクッシング症候群という病気がありますが、約80%に軽い耐糖能異常が認められます。
ステロイド(糖質コルチコイド)の作用として
①肝臓の糖新生亢進作用、
②骨格筋などのインスリン抵抗性の亢進
③高グルカゴン血症
④食欲増進作用
があります。
これらの作用により耐糖能が低下すると考えられます。
例えば、コルチゾールという副腎皮質ホルモン投与後、2~3時間で血糖値が上昇し始め、約5~8時間でピークとなります。
ステロイド投与により糖尿病を発症する場合ですが、現実にはもともと糖尿病の素因があった人が発症することが多いです。
まあ、この場合は、ステロイド糖尿病というよりは、2型糖尿病の発症にステロイド投与が他の環境因子などと共に一つのきっかけとなったということですね。
厳密な意味でのステロイド糖尿病は、外部からのステロイド投与がなくなれば、糖尿病が消失することが定義となります。
従いまして、W00さんの家族歴に糖尿病が全くなくて、肥満などの要因もない場合は、純粋なステロイド糖尿病で、プレドニンが休薬となれば、治る可能性が高いと言えます。
一方、家族歴に糖尿病があれば、2型糖尿病の可能性もありえると思います。
いずれにせよ、スーパー糖質制限食でコントロール可能と思いますが・・・
江部康二
今回はWOOさんから、ステロイド糖尿病についてコメント・質問をいただきました。
「10/01/04 WOO
ステロイド糖尿病
再度ご相談させていただきます。
プレドニンが10㎎/日から5㎎/日になりましたがステロイド糖尿病が改善されません。
ステロイド投与は、かれこれ1年になります。
インスリンが無しでの昼・夕食後の血糖値が200前後だったりします。
食後運動をするようにしたので、血糖値は160くらいまで下げられるようには
なりましたが、食後運動をするのは仕事の都合もあり困ってます。
プレドニンがゼロになって永続の可能性はありますでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが再度コメントいたけますと幸いです。よろしくお願いいたします。」
WOOさん。
ステロイド糖尿病について、まず簡単に整理してみましょう。
副腎皮質ホルモンを一定以上の量、長期にわたり投与することにより、糖尿病・耐糖能異常をきたすことがあります。
文献によると、副腎皮質ホルモンの長期投与で糖尿病状態となる頻度は約8%です。
副腎皮質ホルモンの分泌過剰症であるクッシング症候群という病気がありますが、約80%に軽い耐糖能異常が認められます。
ステロイド(糖質コルチコイド)の作用として
①肝臓の糖新生亢進作用、
②骨格筋などのインスリン抵抗性の亢進
③高グルカゴン血症
④食欲増進作用
があります。
これらの作用により耐糖能が低下すると考えられます。
例えば、コルチゾールという副腎皮質ホルモン投与後、2~3時間で血糖値が上昇し始め、約5~8時間でピークとなります。
ステロイド投与により糖尿病を発症する場合ですが、現実にはもともと糖尿病の素因があった人が発症することが多いです。
まあ、この場合は、ステロイド糖尿病というよりは、2型糖尿病の発症にステロイド投与が他の環境因子などと共に一つのきっかけとなったということですね。
厳密な意味でのステロイド糖尿病は、外部からのステロイド投与がなくなれば、糖尿病が消失することが定義となります。
従いまして、W00さんの家族歴に糖尿病が全くなくて、肥満などの要因もない場合は、純粋なステロイド糖尿病で、プレドニンが休薬となれば、治る可能性が高いと言えます。
一方、家族歴に糖尿病があれば、2型糖尿病の可能性もありえると思います。
いずれにせよ、スーパー糖質制限食でコントロール可能と思いますが・・・
江部康二
江部 先生
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
妻の実家に帰省いたしました
正月も,糖質制限食を
餅,米,麺類 を全く食しませんので. ?
義母は,A1C等 測定値は 不明ですが
アマリールを処方されています(年齢は70過ぎです)
アマリール,グルゴバイン,インシュリン 等,を処方する段階はいつでしょうか
薬と,糖質制限食の違いを (アマリール,グルゴバイン,インシュリン)
義母に説明をしたいのですが 理解はできないと思います
でも,できればアマリールよりグルゴバインを進めたいのですが如何でしょうか
PS
1/3 仙台放送局にインタビューされ
義母がTVを
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
妻の実家に帰省いたしました
正月も,糖質制限食を
餅,米,麺類 を全く食しませんので. ?
義母は,A1C等 測定値は 不明ですが
アマリールを処方されています(年齢は70過ぎです)
アマリール,グルゴバイン,インシュリン 等,を処方する段階はいつでしょうか
薬と,糖質制限食の違いを (アマリール,グルゴバイン,インシュリン)
義母に説明をしたいのですが 理解はできないと思います
でも,できればアマリールよりグルゴバインを進めたいのですが如何でしょうか
PS
1/3 仙台放送局にインタビューされ
義母がTVを
2010/01/04(Mon) 23:41 | URL | HIT | 【編集】
あんずさん。
糖尿病に関して吸入ステロイドはまず、大丈夫と思います。
便通は3ヶ月から半年で落ち着くと思います。
尿のケトン臭も同様です。
糖尿病に関して吸入ステロイドはまず、大丈夫と思います。
便通は3ヶ月から半年で落ち着くと思います。
尿のケトン臭も同様です。
2010/01/05(Tue) 09:14 | URL | 江部康二 | 【編集】
HIT さん。
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
私は元日に小さなお餅を1つだけ食べました。
小さいので薬はなしです。
ご母堂、糖質制限食の理解が困難であれば、とりあえず主食を少し減らして、
アマリールの1mg錠を、1/2錠×2/日とか
ありだと思います。
グルコバイの併用もいいと思います。
グルコバイ単独でコントロールできればそれでいいですね。
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。
私は元日に小さなお餅を1つだけ食べました。
小さいので薬はなしです。
ご母堂、糖質制限食の理解が困難であれば、とりあえず主食を少し減らして、
アマリールの1mg錠を、1/2錠×2/日とか
ありだと思います。
グルコバイの併用もいいと思います。
グルコバイ単独でコントロールできればそれでいいですね。
2010/01/05(Tue) 09:41 | URL | 江部康二 | 【編集】
新年早々の
ご回答ありがとう御座います
義母に話をいたします
ご回答ありがとう御座います
義母に話をいたします
2010/01/06(Wed) 10:15 | URL | HIT | 【編集】
始めまして、いつもお勉強させていただいております。
私の場合はお薬飲んでも飲まなくてもA1cが7.5位で、なかなか平均値にまで下げることが出来ず、今まで色々とお薬を変えてきました。今回、新薬のジャヌビアが出たのを機に、アクトスをやめてジャヌビアにかえました。
ゆるい糖質制限食をしています。次にA1c測定しそれでも変化がなければ、今まで一度も試したことがない「グルコバイ」を試みてみようか?と思いますが、注意点や助言をいただければうれしく思います。
私の場合はお薬飲んでも飲まなくてもA1cが7.5位で、なかなか平均値にまで下げることが出来ず、今まで色々とお薬を変えてきました。今回、新薬のジャヌビアが出たのを機に、アクトスをやめてジャヌビアにかえました。
ゆるい糖質制限食をしています。次にA1c測定しそれでも変化がなければ、今まで一度も試したことがない「グルコバイ」を試みてみようか?と思いますが、注意点や助言をいただければうれしく思います。
やまんばさん。
健康保険上はジャヌビアとグルコバイの併用ができないのが残念です。
理論上はOKなのですが・・・
健康保険上はジャヌビアとグルコバイの併用ができないのが残念です。
理論上はOKなのですが・・・
2010/02/28(Sun) 22:00 | URL | ドクター江部 | 【編集】
やまんば さん。
ジャヌビアとアクトスの併用は健康保険で可能です。
糖尿病でなければ、食後の眠気は機能性低血糖とかが考えられます。
しかしやまんばさんは糖尿病ですので、食後すぐは高血糖のはずですね。
食後の眠気私にもよくわかりません。
ジャヌビアとアクトスの併用は健康保険で可能です。
糖尿病でなければ、食後の眠気は機能性低血糖とかが考えられます。
しかしやまんばさんは糖尿病ですので、食後すぐは高血糖のはずですね。
食後の眠気私にもよくわかりません。
2010/04/04(Sun) 21:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
やまんばさん。
これらは、インスリン作用が極度に不足した非常に重症の糖尿病のときに
現れる症状ですので、
ちょっと違うような気がします。
これらは、インスリン作用が極度に不足した非常に重症の糖尿病のときに
現れる症状ですので、
ちょっと違うような気がします。
2010/04/06(Tue) 16:12 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、こんにちは。
京都はもう春が来たのでしょうか?
さて、4月2日、A1cチェックで病院に行きました。ここ1ヶ月ほどずっと早朝血糖が90台、暁現象もあり、以前先生にご相談のメールをさせていただきました。今回の検査結果は5.1。前回(1月29日)より0.5UPです。(+_+)
A1c6.6(2010.12末)→4.6(2011.1末)→5.1(2011.4初)
血糖値も自己測定では90だったのに、病院で測ったら111。
今年に入ってずっと同じ感じで糖質制限しているのに…。ちょっと落ち込みました。今まではカロリーについては特に気にせず、夜は油分を控える程度でしたが…食べる量も減らした方がいいのでしょうか。体重52~54キロ、体脂肪25~27%を行ったり来たりです。
また、首から背中にかけての湿疹がひどく、皮膚科で処方されたアトピー用の軟膏を1ヶ月続けて使用しています。軟膏はステロイド剤なのでできれば止めたいのですが、痒くて我慢できないのでやむを得ず塗り続けています。アトピーと診断されたのは昨年のことで、それまではこの種の湿疹はでたことがありませんでした。
もしかして卵とかナッツ類とかを主食代わりにけっこう食べているので、そのこととも因果関係が考えられますか?
季節の変わり目のせいか、今回の結果のせいか、とてもブルーな気分です。
今日からお昼のお弁当も減らしています…。(+_+)
京都はもう春が来たのでしょうか?
さて、4月2日、A1cチェックで病院に行きました。ここ1ヶ月ほどずっと早朝血糖が90台、暁現象もあり、以前先生にご相談のメールをさせていただきました。今回の検査結果は5.1。前回(1月29日)より0.5UPです。(+_+)
A1c6.6(2010.12末)→4.6(2011.1末)→5.1(2011.4初)
血糖値も自己測定では90だったのに、病院で測ったら111。
今年に入ってずっと同じ感じで糖質制限しているのに…。ちょっと落ち込みました。今まではカロリーについては特に気にせず、夜は油分を控える程度でしたが…食べる量も減らした方がいいのでしょうか。体重52~54キロ、体脂肪25~27%を行ったり来たりです。
また、首から背中にかけての湿疹がひどく、皮膚科で処方されたアトピー用の軟膏を1ヶ月続けて使用しています。軟膏はステロイド剤なのでできれば止めたいのですが、痒くて我慢できないのでやむを得ず塗り続けています。アトピーと診断されたのは昨年のことで、それまではこの種の湿疹はでたことがありませんでした。
もしかして卵とかナッツ類とかを主食代わりにけっこう食べているので、そのこととも因果関係が考えられますか?
季節の変わり目のせいか、今回の結果のせいか、とてもブルーな気分です。
今日からお昼のお弁当も減らしています…。(+_+)
2011/04/04(Mon) 13:52 | URL | アヒルおばちゃん | 【編集】
アヒルおばちゃん 様
HbA1c4.6→5.1%
コントロール優の範囲(正常低値)ですので
問題ないと思います。
血糖値もいろんな要因でわりと変動しますし、病院の検査でも誤差がないわけではありませんので
一喜一憂しなくてもいいと思います。
湿疹は
色素性痒疹(しきそせいようしん)の可能性があります。
低カロリーになりすぎないようにしてください。
体脂肪率はOKですね。
HbA1c4.6→5.1%
コントロール優の範囲(正常低値)ですので
問題ないと思います。
血糖値もいろんな要因でわりと変動しますし、病院の検査でも誤差がないわけではありませんので
一喜一憂しなくてもいいと思います。
湿疹は
色素性痒疹(しきそせいようしん)の可能性があります。
低カロリーになりすぎないようにしてください。
体脂肪率はOKですね。
2011/04/04(Mon) 18:51 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ありがとうございました。
色素性痒疹ですか。ステロイド剤は有効ではないとのことですので、再度皮膚科に行って相談してみます。
いつも的確な診断とアドバイスをいただき、感謝しています。
色素性痒疹ですか。ステロイド剤は有効ではないとのことですので、再度皮膚科に行って相談してみます。
いつも的確な診断とアドバイスをいただき、感謝しています。
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