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妊娠糖尿病と糖質制限食
こんばんは。

今回は妊娠糖尿病について、新ママさんからコメント・質問をいただきました。

「09/12/23 新ママ
妊婦中の糖質制限
第一子を妊娠中、妊娠糖尿病になりました。
主治医には次の妊娠も妊娠糖尿病になると念をおされています。でも、どうしてもあの辛い妊娠生活を送りたくなく、調べていたところ、「糖質制限」を見つけました。妊娠糖尿病のことも書いてあり、希望が出てきました。しかし、妊娠糖尿病で入院した時、妊婦は通常より多くカロリーをとる必要があると栄養指導を受け、入院中は白米が丼ぶりで出てきて、炭水化物でカロリーを増していました。かなりの量でしたが、赤ちゃんのため全て食べていました。パンの時も、まっ白い食パン4枚切り2枚が出され、苦しみながら食べていました。退院後も指導に従い、多くの炭水化物をとりながら、インスリンを2~3単位打っていました。
夜寝る前のインスリンを打つことなく、朝の血糖値は70台で、たまに低血糖を起こしていました。
旦那とも最後まで、インスリン打たなくても食事でコントロールできたのでは?と思っていました。
出産直後から、通常の血糖に戻っています。先生にお聞きしたいのが、私が受けた栄養指導どおり炭水化物をとる必要はあるのか、カロリーが必要であれば妊娠中何が一番よいのか、糖質制限による胎児への影響はないのか、ということです。こちらのブログを拝見して、前向きになれた気がします。お忙しいところ、誠に申し訳ありません。」


新ママさん。
コメントありがとうございます。

まず、妊娠糖尿病のとき、炭水化物を摂る必要はありません。糖質制限食で大丈夫です。

うさぎさんのコメント(*)にもあるように、米国でも<妊娠糖尿病→低炭水化物食>という食事指導が選択肢としてあるようです。

妊娠糖尿病と診断されて、糖質制限食でインスリン注射なしで無事出産という方も、本ブログでも数名おられます。

人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが約400~500万年前・・・。その後、3属17種の人類が栄枯盛衰・進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類(ホモ・サピエンス)だけです。

この間399万年間は、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食でした。農耕が始まり定着しての4000年間だけが、主食が穀物(糖質)と変化しました。

399万年間は、人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきていますし、勿論妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきました。従いまして、妊婦が糖質制限食を実践しても、何の問題もありません。

また、極北の民イヌイットも、伝統的食生活を守っていた4000年間は、糖質制限食で妊娠・出産・子育て・日常生活を送っています。

新ママさん、妊娠糖尿病の時も安心して糖質制限食でをお続け下さいね。


(*)<うさぎさんのコメント>

09/07/08 うさぎ
米国での妊娠糖尿病の食事制限
江部先生

いつも質問にご丁寧にお答えいただきありがとうございます。
先ほど主人から「うさぎさんに、江部先生から質問があるようだよ」と知らされ、出張の時のメモを探してみました。(笑)

妊娠糖尿病の糖質制限食ということで、とても興味深くお話をうかがったのですが、たまたま、出張先で出会ってお話をしただけの方なので、病院名まではわかりませんが、覚えている範囲でお知らせいたします。連絡先をお聞きしておけばよかったのですが・・・。

まず、出産された方はカリフォルニア州在住の日本人女性です。出産時の年齢は29歳だったそうです。今年3月にお会いしたときに、お子さんは生後15ヶ月だということでしたので、出産されたのは2007年の12月頃だと思います。

通っていた病院については詳しくうかがいませんでしたが、もともと、カリフォルニアの総合病院のようなところにお勤めだったそうで、一般的な病院とおっしゃっていましたが、ある程度の設備が整った病院に通っていたようです。妊娠糖尿病が発覚してからは、産婦人科と妊娠糖尿病専門の先生に診ていただいていたとのことでした。

アメリカでは保健に加入している人は妊娠24週頃に糖尿病の検査を受けることになっているらしく、妊娠26週のときに受けたブドウ糖負荷試験(グルコース50グラムを摂って1時間値を見る検査だったそうです。)で、妊娠糖尿病が発覚し、薬は一切使わずに、栄養士の指導のもと食事制限を始めたそうです。検査の結果が出て、その日のうちに栄養指導を受けたと言っていました。

「○○%の病院で・・・」という具体的なお話ではないのですが、「妊娠糖尿病になったら、低炭水化物食」というのは、かなり浸透していると聞きました。また、妊娠糖尿病でも妊婦さんの健康状態や病院の方針によって、インスリン以外の薬を使用することもあり、腎臓に問題があれば「低炭水化物&低タンパク質食(高脂肪食でしょうか?)」などということもあるそうです。

栄養士からの指導の内容は、食事の時に「避けるもの」「好きなだけ食べてよいもの」「制限するもの」などの指導を受け、好きなだけ食べてよいと言われたのは、お肉類、お魚、野菜。ご飯、麺、パンなどは極力避け、フルーツも糖分が多いので、なるべく控えるように指導されたと言っていました。

大好きなご飯は、1回の食事で15グラムまでと指導され、とてもさみしい思いをしたと言っていました。もちろん、麺類やパンも、どうしても食べたければほんの一口だけにするようにと言われたそうです。

血糖値は食事制限に慣れるまでは、1日に8回測定。血糖値を上げないために体を動かすように、とも指導されたそうです。

出産直前はストレスのために、たまにはデザートなども食べてしまったそうですが、食事制限を頑張ったおかげで、生まれた時の赤ちゃんの体重は3,000グラムを少し上回ったくらいで、とても健康に育っているそうです。

妊娠中の食事制限には、アメリカ人のご主人も協力して、冷蔵庫の中の食材に、糖質の量を書いたメモを張っておいてくれたそうです。特に制限をしていたわけではありませんが、一緒に食事をしていたご主人も自然と糖質制限になっていたようで、2ヶ月間で10パウンドほど体重が減って、お腹がへこんだと言っていました。

なお、出産後は血糖値もすっかり正常になり、普通の食事をしているそうです。

以上が覚えている限りの内容です。お役に立てますかどうか・・・。


☆☆☆
<妊娠糖尿病>

今まで糖尿病でなかったのに、妊娠した後初めて糖尿病になる場合があります。
これが「妊娠糖尿病」で、妊婦の約3%くらいにみられます。

妊娠糖尿病の診断基準は、国により異なっています。

妊娠糖尿病のスクリーニング検査として、グルコースチャレンジテストがあります。随時に50gブドウ糖経口負荷後1時間の血糖値が140mg/dl以上を陽性とします。

それで陽性の場合、日本では、妊娠中に75gぶどう糖負荷試験を行い、糖負荷前値100mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値150mg/dL以上の3つの基準のうち、2つ以上を満たす場合に妊娠糖尿病と診断します。

従って、非妊娠時の糖尿病の判定基準とは異なっています。

妊娠糖尿病と診断された場合には、分娩後に改めて75gブドウ糖負荷試験を行って病型を分類するとしています。

肥満、糖尿病の家族歴、高齢、などが妊娠糖尿病のリスクとなります。

もともとの糖尿病患者が妊娠することを「糖尿病合併妊娠」といい、二つはわけて分類されています。

妊娠すると、胎盤が形成され「母体・胎盤・胎児」がひとつのユニットとなります。

この時、健常な胎児を発育・成長させるために胎盤や母体が、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、成長ホルモン、グルカゴン、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンを分泌し、それらによりインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)がでてきます。

これらのホルモンは、妊娠の進行とともに増加しますから、特に妊娠中期以後にインスリン抵抗性が増加して、血糖値が上昇しやすくなります。

正常の妊婦は、インスリン抵抗性が増強する時期には、インスリンを多く分泌して血糖値が上昇しないように対処します。しかし、必要なだけのインスリンを分泌することができない体質の妊婦は、血糖値が上昇し、妊娠糖尿病を発症します。

妊娠糖尿病は、通常は妊娠期間が終わったら、糖尿病の症状は消失します。しかし、出産後も糖尿病が続く人もいます。

現在では妊娠糖尿病は「妊娠中に発症もしくは初めて発見された耐糖能低下をいう」と定義されています。

このため、お産が終わって、6~12週間後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って、正常型、境界型、糖尿病型に分類します。

なお日本では、若い女性の2型糖尿病が少し増えています。従って、可能性として、「糖尿病が既にあったのに検査していなくて見過ごされていて、たまたま妊娠して検査したら糖尿病が発見された。」というパターンがあり得ます。

この場合は、「妊娠糖尿病」ではなくて「糖尿病合併妊娠」の見逃しになります。高血糖に由来する奇形の発生は、妊娠7週までに規定されることが明らかになっていますので、妊娠機会のある女性は、糖尿病や境界型の有無を調べておくのがお奨めですね。

なお妊娠許可の条件として、
HbA1c6%以下が設定されています。

妊娠中は
HbA1c5.8%以下が目標です。

血糖値の目安としては、

妊娠前
食前血糖100mg/dL 未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、
妊娠中
食前血糖100mg/dL 未満、食後1時間糖値140mg/dL未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、

となっています。

産後の検査ですが
日本糖尿病・妊娠学会http://www.dm-net.co.jp/jsdp/qa/e/q02/
のサイトが参考になります。

以下は引用です。

「妊娠糖尿病の人はお産後も定期的な健診が必要といわれましたが必要なのですか?」

最近の報告では、妊娠糖尿病の人は産後早期の3~6ヶ月の検査でも、5.4%が糖尿病、全体で25%に何らかの耐糖能異常が見られると報告されています。その他の報告を集計すると、産後1年以内では糖尿病になる頻度は2.6~38%、産後5~16年追求すると糖尿病は17~63%の頻度で発症すると報告されています。

また、妊娠糖尿病の人を定期的に11年間追求した研究では、産後11年経った平均年齢40.6歳時にはメタボリックシンドロームの発症率は27.2%であり正常妊婦さんの8.2%に比較して明らかに高頻度に発症することが報告されています。

したがって、産後も定期的に耐糖能異常があるかどうかスクリーニングをうけることが大切であり、同時に食事や運動に気をつけていく必要があります。

(岡山大学 平松祐司)2007年11月


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
Re: おはようございます
みやびぃ さん。

「一回の食事で糖質20gで三食食べていますが、それでいいでしょうか?
20gの範囲でなら砂糖を使ってもいいですか? 」

よろしいです。
例えば、白菜や菜っ葉や枝豆にも天然のショ糖が少量入っています。
2009/12/25(Fri) 08:05 | URL | 江部康二 | 【編集
質問させていただきます。
いつもブログを拝見させていただいています。

普段、プチ糖質制限食をしているのですが、今日、久しぶりに玄米ではなく、白米を食べて、血糖値を測ってみたのですが、何か変な数値が出ました。


1時間値:142

2時間値:146

3時間値:151

4時間値:123

という結果でした。

普通は、食後血糖値のピークは30分から1時間と聞いているのですが、何か変なのです。

パスタを食べたときも食後3時間後くらいにピークが来ていました。

玄米のときは、30分後がピークで2時間後に140くらいに治まっていました。

ちなみに私は、境界型と診断されていて、無投薬です。

お忙しいところ申し訳ありません。

2009/12/25(Fri) 16:05 | URL | ダルメシアン | 【編集
Re: …ごめんなさい。
ベィビィ さん。

ありがとうございます。
12月28日、月曜日は
9:00~1:30くらいまで高雄病院京都駅前診療所で外来診察です。
その後、講演打ち合わせの面談です。
もし時間帯があえば、受付に漫画など預けていただけば幸いです。
2009/12/25(Fri) 16:57 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: 質問させていただきます。
ダルメシアンさん。

このデータだと追加分泌のインスリンが遷延していますね。
境界型のデータですが、インスリン分泌が遷延しているタイプなので
糖尿になりやすく注意が必要です。

今後もプチでいいですが、朝.昼は玄米など未清性の穀物少量が無難ですね。
2009/12/25(Fri) 17:01 | URL | 江部康二 | 【編集
空腹血糖値
お腹の調子も治り 今朝の血糖値は96と正常でした!胃腸炎で血糖値が上昇するとは知りませんでした!安心しました!ありがとうございました!
2009/12/25(Fri) 17:47 | URL | 山 | 【編集
Re: 空腹血糖値
山さん。

良かったです。
でも、シックデイ、侮るべからずですね。
2009/12/25(Fri) 21:01 | URL | 江部康二 | 【編集
妊娠糖尿病
エ部先生、こんにちは。
カナダ在住、妊娠37週目の34歳です。
27週の時、妊娠糖尿病と’申告され、約2ヶ月間、食事療法と一日5回の血糖値チェック、毎朝尿のケトンをチェックしています。
食事療法は野菜、高タンパク質、炭水化物(1日230g)を1日7回に分けて食べ、朝食事前の血糖値90以下、食後1時間後126以下というふうに言われています。
34週までは何の問題もなかったのですが、だんだん上がってきてしまい、乳製品(ヨーグルト、牛乳)以外の炭水化物を1週間ほど抜いたら、血糖値は維持できたものの今度はケトン値が上がってしまいました。今はまた炭水化物をとって食後に軽い運動をするようにしていますが、それでもたまに食後1値時間126を超えてしまうことがあります。出産まであと少し、頑張らなければいけないのですが、今は血糖値の測定とケトン値の測定にものすごいストレスを感じています。
妊娠中のケトン値の重要性と妊娠後期(36週以降)の血糖値の上昇が胎児に与える影響を教えていただければ幸いです。
2010/08/30(Mon) 10:29 | URL | カナダママ | 【編集
Re: 妊娠糖尿病
カナダママ さん。

糖質制限食でケトン体が上昇するのは生理的なので、妊婦にも胎児にも問題はありません。

ご先祖も、イヌイットも同様です。

血糖値のコントロールを優先してください。
2010/08/30(Mon) 14:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: インスリンは抗生物質?
二児の母 さん。

インスリンは抗生物質ではありません。
もともと人体に存在する、血糖値を下げるホルモンです。

妊娠中に使用されるインスリン注射の安全性は確立しています。
何の問題もありません。
2011/04/22(Fri) 17:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
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